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 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

発行日:10/18



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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 10月19日(金曜日) 
通巻 第1962号  (10月18日発行)
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 三峡ダムの土石流と水質汚染、予測を越えた惨状
  おそらく400万人の再移転を中国当局は想定と『ウォール・ストリート・ジャーナル』
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 ウォールストリート・ジャーナル(10月12日付け)は、三峡ダムに関して、中国当局が潜在的な災害シナリオを想定しており、「あと地域住民400万人の再移転計画」していると報じた。

 周知のように、この三峡ダムは世界最大規模の発電を誇る。
 が、第二期工事は完成しておらず、第一期工事が終わった段階ですでに発電も始めている。

 すでに上流流域では土砂の堆積が顕著で、浚渫が間に合わず、また上流域で水没した地域からは、140万人の移転が完了したが、水質が極端に悪化し、生活用水に使えない状態、異常な藻の繁茂がみられ、各所で異臭を放っている報告がなされている。

とりわけ強制的に立ち退かされた住民の大半が流れ込んだ重慶市では、生活用水の枯渇に悲鳴を挙げている。各所に地割れがおきていることは欧米ジャーナリズムが大きく写真入りで報じた(NYタイムズ、タイムなど)。

 また湖北省の廟河村(ダムから十四キロ下流)では、土石流被害がひどく農園は破壊されて、村人の移転が熾きた。
 五月の豪雨で、同村はほぼ壊滅状態だという。

 国務院三峡ダム建設委員会弁公室の王粛風副主任は「場所によって大岩がごろごろと堆積したところがあり、洪水、台風があれば長江流域に部分的には50メートル級の高波(局所的な津波)を発生させ、沿岸の堤防を破壊する恐れもある」と警告している(台湾の有力紙『自由時報』、10月13日付け)。

 同ダムは毛沢東が夢想し、李鵬が積極的に推進した。水利土木の専門家でもあった李鵬の強力な梃子入れで93年に三峡ダムの着工が決まったが、このときの全人代では、じつに三分の一の代表が反対票を投じた、という経緯があった。

      ○◎み◎や◎ざ◎き◎ ○ま◎さ○ひ◎ろ◎
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(((( 今週の書棚 ))))

  ♪
寺井融『裏方物語』(時評社)
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 ▼民社一直線の人生を淡々と振り返るペーソス


 著者の寺井融氏は北海道出身、東京で学生生活を送り、そのまま民社学同の学生運動から民社党へ。そして民主社会主義研究会の理論誌『改革者』の事実上の編集長として四半世紀の人生を送った。それから民社の流れをひく西村真悟代議士の政策秘書を経験トまるで「民社一直線」の人生。
 『改革者』創刊のおり、民社党の責任者は「共産党の理論誌『前衛』に負けないものを目指せ」と激励したという回想場面がある。
 何故か、『世界』でも『朝日ジャーナル』でもなく、『前衛』なのか、ま、それがあの時代の空気であったことは事実だが。。。

 70年アンポ前夜の学生運動時代のビラ貼りの体験などの風景を淡々と描いているが、同世代として同じ時間的空間を共有した評者(宮崎)には感慨深い記述が多い。
 民族派、右翼、保守、体制御用の団体、ならびに宗教団体系、そして民社、公明が学生組織を持っていた。「自民党学生部」なるものもあった。
 思想的潮流の軽佻な左傾化、各派の革命ごっこはやがて血で血を洗う凄惨な内ゲバに発展し、大学の無法地帯化がおきた。
「一般学生」とか「ノンセクト・ラジカル」とかの言葉も生まれた。三島由紀夫「楯の会」も出現した昭和四十年代前半。

 学生運動を展開していた時期に小生らと民社学同は理論的に似通った所が多かった。
民社党理論誌の『改革者』で展開された安全保障の論議などは共鳴した論文がたくさんあった。
また当時、雑誌『諸君!』で、日本学生同盟の山本委員長と、民社学同の幹部が侃々諤々の議論をおこなったのも懐かしい記憶である。天皇論、国体論では対立が鋭かった。

 さて、いま日経新聞に青木昌彦氏が自叙伝を連載していて、一世代古く、これは60年代安保全学連世代の時代史となっている。興味深く読んでいる。
島、生田、唐牛子など懐かしい全学連指導者の名前とともに「アンポ反対」を叫んだ、あの熱気の時代の渦のなかでの北小路やクロカンや、そして西部遇の名前が頻繁にでてくる。
あの頃、小生はまだ中学生でテレビを通じてアイゼンハワー訪日を阻止した「ゼンガクレン」に共鳴していた。ナショナリズムの素朴な発露、そして、この時代の学生運動はなんと「牧歌的」であったことだろう。
江田五月も当時の学生指導者の列にいた。

それにしても60年アンポを闘った前衛組織「ブンド」は、なぜ途中で沈没したのか。再結集をはかろうとする旧同志に、西部は「まっぴらごめん」と開き直り、そして青木(当時、かれの筆名は姫岡怜二といった)は、学究の徒にもどり、苦労してアメリカへ渡る。羽田空港には生田も西部も見送りにきた。
米国では「お前がアイク訪日阻止した学生の仲間か」と言われたそうな。
 その後、青木はステグリッツなどと交遊し、スタンフォードの准教授となって、いまの日本ではおそらくノーベル経済学賞に一番近い存在となった。生田浩二も青木のあとを追うように夫婦で米国へ渡り、将来を嘱望されたが、火災事故で急逝した。
 このとき葬儀を執り行って遺骨を日本へ届けたのが羅福全(前台湾駐日大使)だった。この話は羅氏から直接聞いていたが、青木は自伝(10月18日付け)のなかに明かしている。
西部遭は米国を早めに切り上げて国内へ戻り、保守論壇の一翼を大胆に担った。
 青木昌彦の自叙伝はテンポが早い(脱線だが、この連載のことを西部氏に言うと、氏は「日経を取っていないので知らなかった」)。

 翻って寺井氏の文章は、のびやかでユーモラスで、しかしどちらかと言えば全編にペーソスが漂い、正義感と愚直さと、その理論にかける意気込みが哀愁の調べで奏でられている。
 政党本部の職員とは、どういう仕事をこなしているか、政治の裏方の世界を精緻に書いていく。
かれの目から見た春日、佐々木、西村、大内、塚本といった歴代民社委員長の意外な生活も映し出されるのだが、惜しむらくは周辺に登場する多くの人物描写に実名がすくなくて、その分だけリアリティに欠ける。
それにしても、寺井氏がもし政治の道にのめりこんで、民主社会主義運動に奔走していなかったら「ボヘミアン詩人」になっていた?

    ●◎み◎や◎◎ざ○◎き○●◎○ま○◎さ○○ひ○◎ろ○●
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   ♪
(読者の声1) 偶然手にした『週刊ポスト』(10月26日号)に宮崎正弘さんのコメントが大きく紹介されており、貴誌昨日付けでも触れていたように、次期中国指導部予測です。
このインタビューを受けられたのは、党大会前の時点だろうと思いますが、宮崎さんは、次のように言われています。
李克強と並び「太子堂グループが推しているのが上海市党委書記の習近平(54)。元副首相の習仲勲を父に持つ彼も揃って常務委員入りする可能性が高い。中国の最高指導部は権謀術数入り乱れる世界。五年後の次期党大会で退任が予定されている胡総書記の後に、どちらが実験を握るかはまだまだわからない」と。
いまようやく、この分析が日本の中国分析でも現れていますが、宮崎さんの先見性には脱帽です。
   (MB生、茨木市)


(宮崎正弘のコメント) 太子党が中国を牛耳るということは、日本で言えば、二世・三世議員が天下を取って、ダイナミズムを失って政治が浮世離れした論戦におわる状況。
民主主義を堕落させて経済の活性化を不能としたどこかの国のまつりごと、と似てきました、か。



    ♪
(読者の声2) 以下の報道があります。
「中国人ジャーナリスト不明  食品汚染の実態取材【北京17日共同】」
 中国の食品汚染の実態について取材を続け、今月日本で「中国の危ない食品」(草思社)を出版した北京在住の中国人ジャーナリスト、周勍さんの携帯電話などが不通になり、連絡が取れない状態になっていることが17日分かった。
第17回共産党大会が開かれている北京では、開会前から陳情者や人権派弁護士が拘束されており、関係者は「党大会開会中に(外国メディアなどに対して)余計なことをしゃべらせないように公安当局が周さんを一時的に拘束した可能性がある」と懸念を示した。
   (台湾の声読者より)


(宮崎正弘のコメント) 周さんは、天安門事件でも三年近く監獄へ入れられてもへこたれなかった民主活動家です。
もし、拘束されていたとしても、元気な筈ですが。。。



   ♪
(読者の声3) いつも貴重な情報を有難うございます。
さて貴誌1961号の「読者の声1」に、
<三島事件の直後、新聞記者たちの質問は、三島の行動が日本の軍国主義復活と関係あるか>
とありますが、「日本の軍国主義」というのは「民族主義」のことで、米国が日本の民族主義が正面から非難できないので作られた、偽の用語と理解しています。
したがって日本人は「軍国主義」を「民族主義」に言い換えると正しく理解できると思います。
 その意味で三島の行動は日本の民族主義の復活と大いに関係があります。「いわゆる日本軍国主義」は意味不明なので用語の使用を拒否します。
     (MC生)
                                   

(宮崎正弘のコメント) サイデンステッカー氏の引用の箇所ですね。引用文は、勝手に変更は出来ませんので、そのまま掲載しております。
 そうそう、三年ほど前に葉千栄(東海大学教授)とテレビで一緒だったときに、葉氏がなにげなく「軍国主義」の語彙と使って、「いまの日本に軍国主義なんてありませんよ」と発言したことがありました。
小生はすかさず「軍国主義は、いまの中国そのもの」と言ったところで、ちょうど番組が幕切れとなりました。
 
      ◎○◎
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    ♪
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『中国は猛毒を撒きちらして自滅する』(徳間書店、1680円)
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宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2007 ◎転送自由。ただし転載は出典明示のこと。
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  1. 三島は本当に右翼なのであろうか?
    彼の美意識が軍服姿に顕われる。いわば格好良いために着たではないか!?
    一種の自己陶酔と思う。その辺はその辺の少女に似低いるが、もっともそれが彼の異常なエネルギーとなったが。

    名有り 2007/10/18

  2. いつも新鮮、適切且つ迫力のある取材文、読ませて頂いてます。宮崎さんの論文を読むに従って、日本の政治家の方々(連中)の不甲斐なさ、脳天気ぶりが浮かび上がってくるのです。また多くの皆さんに宮崎論文を読んで貰いたいですね。

     2007/10/18

  3. 先週からメールを読んでいます。宮崎氏の本はほとんど読んでます。新聞報道と何と違うか。産経はまともですがそれでも取材に限度あるようです。

     2007/10/18

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発行者プロフィール

宮崎 正弘

宮崎 正弘

http://www.nippon-nn.net/miyazaki/

国際情勢の裏情報を豊富なデータと人脈から解析してゆく。独特な方法と辛辣な批判精神によるニュースの裏側で織りなされている人間模様に興味を持つ。筆者の人生観と執筆を継続する動機の基軸は同じ。ホームページは http://miyazaki.xii.jp/

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