国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2007/09/24


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年)  9月25日(火曜日) 
通巻 第1937号  (9月24日発行) 
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 公安部長を狙う王楽泉(新彊ウィグル自治区党委書記)も
   山東省を舞台のハニートラップ(中国語は「情婦門」)に関与か?
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 ハニートラップは、なにも外国人をスパイに仕立てるだけの目的で仕掛けられるのではない。上海のカラオケバア「かぐや姫」は一躍有名になったが、おなじ名前の店が瀋陽の日本領事館の近くにもあって盛業中(上海の同店と無関係)。

 中国では賄賂の手段として、或いは政敵を陥れるために屡々用いられる。
 情婦をあてがい高級役人を共犯とする遣り方は、日本でもあった。
 アモイ事件でカナダへ逃亡した主犯の頼某も、軍の長老から地元の共産党幹部をつぎつぎと「情婦の館」と呼ばれる高級サロンへ「招待」して籠絡、利権を拡大した。
 頼は、それで中国密輸の大半を牛耳っていた。 

 王楽泉という男がいる。63歳。山東から出世し、過去十六年、新彊ウィグル自治区を統治し、実権を握ってきた。
 同区はこれまで産業の発展に取り残されて貧困に喘いだ。その上、住民はウィグル族が主体で、イスラム教徒が大半。漢族が治めるには大変な地域である。
 反漢族暴動は大規模な武装叛乱だけでも十数回、西側に伝わっている。
 二十年ほど前の「イリ暴動」は四百人が死んだとされる。

 毛沢東は民族移住政策を採って、まず満州族を、この地へ強制移住した。
 文革時代には多くの青年を「下放」させて定住させ、ともかく漢族人口を増やした。この結果、十年前すでに省都のウルムチは、人口400萬のうちの7割が漢族となっていた。

 ガスと石油がでた。
 砂漠のオアシス、寒村でしかなかったコルラが石油基地になり、周辺にも繁栄が拡がった。石油とガスのパイプラインが上海へと繋がり、西北のカザフスタンともパイプラインが繋がり、さらには天山山脈の支流と運河が開墾され、さらに遠くトルクメニスタンから、カザフ経由のパイプライン敷設が正式に決まったが、このパイプラインも、新彊から広東の広州へと繋がる大プロジェクトが本決まりとなった。


 ▼ 新彊の砂漠は核実験場だった。。。。。

 王楽泉は、この利権の巣窟のごとき新彊ウィグル自治区を十六年に亘って治めてきた。
 王楽泉は山東出身で、振り出しは山東共産主義青年団の副書記。86年に党学校をでて、トントン拍子の出世をとげ、91年に新彊へ。副書記、副省長から党委員会書記。

 弟の王楽義は、「新しい農業」を吹聴して、面妖なビジネスを立ち上げ、かれが山東の古巣を舞台に、党中央の幹部を接待した。
全人慶(前財務大臣。江沢民派)はつい先日、更迭されたが、理由のひとつが「愛人問題」だった。
陳良宇(前上海市書記)も汚職で失脚したが付帯した醜聞は複数の情婦問題。これを「情婦門」(ハニートラップ)という。

 裏の手口や詳細は判らないが、この遣り方で、王楽泉が、中央復帰を狙い、しかも次は周永康の後釜として「公安部長」を狙っているという(多維新聞網、9月25日付け)。
 だが、同紙は同時に王楽泉の公安部長就任の可能性は、醜聞露見により、きわめて可能性が薄くなったとも予想している。

      ◎み□や◎ざ△き□□ま◎さ□ひ▽ろ◎
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(読者の声1) 貴誌が真っ先に報じた「北京の一方的任命のカソリック司教をローマが追認」を拝見して、李登輝前総統が帰台する6月9日に日本外国特派員協会で行った記者会見の模様を思い出しました。
このとき、記者の「バチカンが中国と国交締結を模索しているが、どう思うか」との質問に対して、李登輝先生は次のように答えています。
ご参考になれば幸いです。

《バチカンと中国大陸との関係というのは、これは宗教的ないわゆる個人の信仰の問題というよりは、全てに政治的な意図が含まれております。
あまりにも政治的な意図が強いので、個人的な自由、信仰の自由というものが唱えられておりません。divorce(注・台湾とバチカンとの国交断絶)の問題ですが、中国とバチカンでは違う考え方を持っているかもしれません。
これは基本的な問題ですが、中国では天主教(注・ローマカトリックの通称)の神父は北京政府に指定された人でなくてはならないのです。信仰が政府によって規制される、こういうことは世界的に見てもちょっとおかしな話です。神父あるいは牧師が政府によって支配される、これではちょっと話が違います。
人間の信仰は自由であります。
バチカンと台湾の問題については、台湾と天主教との間、あるいはむしろマイナーな問題として台湾政府とバチカンの間で適当な処理が行われるべきと思いますが、根本的な問題として「宗教の持つ元始的風景は何だったのか」ということを考えなくてはならないと思います。》

私は基本的に日本は「政教分離」ではなく「政教一致」が望ましいと考えていますが、支那にこそ宗教を政治利用しないための「政教分離」の考え方が必要のようです。
しかし一党独裁国家にあっては宗教もまた政治のツールでしかないことが宮崎さんのご指摘でよく分かります。
バチカンは中国という悪魔に魂を売りつつあるのではありませんか。
   (MY生、板橋)
:

(編集部から) このMY氏のほかにも、バチカンに関しては多くのご意見を頂きました。また読者からのご指摘によれば、あちこちのブログに、弊紙からの転載がある由でした。
  ♪
(宮崎正弘のコメント) この問題はちょうど本日あたりから書店に並びますが、拙著新刊『中国は猛毒を撒き散らして自滅する』(徳間書店)のなかでも一章を割いて論じております。



   ♪
(読者の声2) 神奈川ST生様への質問。
貴誌1779号「読者の声2」のお答えの藤木久志氏著「【新版】雑兵たちの戦場 中世の傭兵と奴隷狩り」を購入、ざっと読んだのですが秀吉が日本人奴隷を問題にしたという記述は見つかったのですが、
「戦国時代を通じて総数約10万人。日本は16世紀末世界最大の奴隷輸出国であり、東南アジア一帯に日本人奴隷があふれた」という記述が未だ見当たりません。
どの辺にあるのか教えてください。
    (TT生、町田市)


(編集部より) この件を、編集部から「ST生」氏(神奈川)に問い合わせましたところ、下記の回答を頂きましたので、掲載します。

 「3、4年前、藤木氏の講演を聴いて、そのあと藤木氏の著書を読んで同一趣旨であったことは記憶にありますが、著書のどこに「日本から10万人の奴隷輸出」という記述があったのかは記憶にありません。
ひょっとすると講演のなかだけで、氏の著書の中にはなかったのかもしれません。
私の頭の中で講演と本の内容が合体した可能性もあります。今後、出展を明記する場合は、再確認をこころがけます」
(ST生)」

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<< 今月の拙論 >>

(1)「左傾化する米国政治」(北国新聞コラム「北風抄」、9月25日付け)
(2)「赤い夕日だけは美しい 旧満州を行く」(『月刊日本』10月号、発売中)
(3)「APECの水面下で」(『週刊朝日』、10月8日号、明日発売)
(4)「いま大連、瀋陽、長春はどうなっているか」(『エルネオス』、十月号。下旬発売)
(5)「中国文明の再胎動と周縁国の動揺」(『正論』十一月号、10月1日発売)
(6)「中国の資源戦略が世界を揺らす(仮題)」(『諸君』十一月号、10月1日発売)
(7)「サブプライム危機の中国経済連鎖」(『自由』十一月号、10月10日発売)
(8)「商道徳が死滅したのか、中国」(『ボイス』、十月号、10月10日発売)
(9)「世界混乱情勢と日本の危機」(『BAN』、11月号)
(10)「反日記念館総覧と近年の陳列傾向(仮題)」(『正論別冊』、10月23日発売)
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(休刊のお知らせ) 小誌は9月27日(28日付け)から10月2日まで休刊です。
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(宮崎正弘の新刊)
『中国は猛毒を撒きちらして自滅する』(徳間書店、1680円)
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―――毒入り食品からオモチャの鉛、段ボール入り「肉まん」に至るまで[MADE IN CHINA]は、いかにして世界で嫌われ、忌避されるにいたったのか、その原因は奈辺にあり、今後本当に解決される見通しはあるのか? 中国の猛毒災禍により、いずれ上海株式市場は暴落を起こしかねないだろう。 
    ♪

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((( 宮崎正弘のロングセラーズ )))
『世界“新”資源戦争』(阪急コミュニケーションズ刊)。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/%8B%7B%8D%E8%90%B3%8DO/list.html
『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
 『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
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