国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2007/09/17


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年)  9月18日(火曜日) 
通巻 第1926号  (9月17日発行)
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 ムシャラフ・ブッド密約が成立した模様
  来年一月総選挙。反米、反中、そして「タリバン擁護」のパキスタンは何処へ行くのか
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 パキスタンは第二次大戦後、イギリスの人工的線引きによって現在の版図となったが、イラン寄りのバルディスタン地方は、スペインのバスクのように「分離独立」運動の動きが強く、民族として主流派パシュトンにはタリバン支持のイスラム原理主義が多く、そして、いまのムシャラフ大統領はパシュトン族ではない。
 ややこしい。その上、パキスタンは中国と半世紀以上にわたって軍事同盟を組んでいる。

 ややこしいのはムガール、チムールの帝国の旧版図にイスラムとヒンズーを意図的に割拠させて、イギリスは分離隔離支配が戦後も可能なようにと、インドとパキスタンを生まれさせた。
歴史的宗教的民族的にインドとパキスタンは地域覇権を狙う。
つまりは近親憎悪の関係。1971年、東パキスタン独立戦争はインドが助けて、いまのバングラデシュが生まれた。
 パキスタンは反射的に中国との軍事同盟を深め、だから両国は共に核武装をしている。

 八年前のクーデタは、ムシャラフが企図したものではなく、偶然の結果からだった。
即ち当時のシャリフ首相がムシャラフ外遊中に、かれの排除を図り、帰国便が飛行場に着けないように封鎖した。ムシャラフを載せた飛行機はイスラマバードからカラチへ向い、かれの同調者が空港の閉鎖を解いたため、ガソリンの切れる直前に着陸。

 シャリフの意図とは180度、逆に、軍が立ち上がり、ムシャラフが陸軍参謀総長が一夜にして権力を掌握した。 
シャリフは海外へ亡命する。

 911テロ以後、ムシャラフは米国の駐留を受け入れ、代わりにえたのが膨大な経済援助。パキスタンは経済的離陸を強めた。
 一方、パキスタン経済を潤すのは中国からの投資である。
 日本からはカネと中古のクルマ。企業進出は殆ど無い。

 既報のように紅色清真寺(赤いモスク)に立て籠もったイスラム原理主義過激派をムシャラフは軍を突入させて暴力的に排除しだが、直後の演説でムシャラフ大統領は、なんと「中国に感謝」した。この事件の原因は、中国人のポルノショップとセックスパーラー経営だった。

 パキスタンの大混乱が始まった。
 米国の憂慮、中国の策動。タリバンとイランは、この混乱の隙に乗じ勢力拡大を狙い、隣国アフガニスタンの治安はますます回復から遠くなり、とどのつまりは大混乱は納まらない。
 来年一月にパキスタンは総選挙を迎える。
一応、同国は民主主義国家である。

 そこでムシャラフが打った手は、海外亡命中の政敵二人を分離させ、一方と同盟、他方とは敵対という路線である。
 そうしないとムシャラフ与党は到底選挙を戦えないからだ。

 シャリフ前首相は先週、強引にサウジアラビアからイスラマバードに帰国し、その場で拘束され、次の便でサウジに追い返された。
シャリフは帰国ジェスチャーを演じることによって自派の選挙における拡大を狙った。
 一方、最大の政敵である筈のブッド元首相は、亡命先の倫敦からムシャラフ支持を発表し、最近はムシャラフの密使と倫敦を舞台に「密約」をすすめていた。
 
 ブッドが首相に返り咲き、係争中の裁判は棚上げする(ブッドは汚職で訴えられている)。かわりにムシャラフ大統領の政権維持を認めるが、すくなくともムシャラフは陸軍参謀総長のポストを兼ねるべきではない。
 これがブッド・ムシャラフ同盟の密約の基本であろう、と推測されている。

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(読者の声1) 澁谷の街頭演説に向かう前に、一票にもならない拉致被害者の決起集会に麻生太郎氏が駆けつけました。16日午後の出来事。
圧力のない対話なんてありえない!と吼えていました。 当然です。
テレビ出演の麻生さんの様子を視ていても福田内閣の外相か政調会長モードです。 
それにしても安倍さんが辞任の件を、きちんと森さんに伝えてなかったとはお粗末を通り越しています。
自分の後は麻生さんにお願いしたいと云って辞めていたらよかったのですが、それは無理にしても森さんに事前にきちんと伝えることまで麻生さんは安倍さんの面倒はみれません。これじゃオレは勝てんよと臍を噛んだことでしょう。 次の次を狙うしかありません。
世界は温暖化のようですが、日本だけは新しい宰相を戴いて冷ややかな世の中になりそうです。
    (有楽生)


(宮崎正弘のコメント) この論理の前提は麻生氏のほうが某より、多少はマシだろうということですが、その前提が拉致問題への理解でしょうか?
 安倍首相は森氏と相談しなかったのは、森氏をそれほどの存在と考えていない証拠でしょ?
 ま、順番を間違えてしまったのは、最初に慶応病院へ入院し、時間を稼いでから辞任表明すれば良かったのですが、安倍さんは、やはり修羅場をくぐり抜けていない二世(三世か)の弱さ。麻生氏だって、その意味では同じでは?
 ただし町の声は麻生待望、そして永田町だけが福田支持なのですね。



   ♪
(読者の声2) 先の大戦中、マレイ、シンガポール、インドネシア、ビルマ、ヴェトナム、インドでの日本軍の対英戦を裏から支える諜報活動で大活躍し、彼の地に大きな足跡を残し、インドの民衆の心にその英姿を刻したF機関の鋭将、 藤原岩市氏の熱血回想記『F機関 インド独立に賭けた大本営参謀の記録』に次の件りがあります。
敗戦後イギリス軍に捕獲された藤原氏は獄舎で訊問官から、「(あなたは)秘密工作の特殊訓練や実務経験のない素人で、現地語能力が皆無で、英語もろくろく話せない、それまでマレイ・印度の地を踏んだことも無く、現地関係者と何の縁も無かった、部下も海外勤務の経験・諜報実務の経験も無い若輩ばかり、そんなメンバーからなる貧弱な組織で、赫々とした ”グローリアス・サクセス”をおさめたのはなぜだ?」と詰問されて答えた藤原の言葉です。
(引用開始)
「それは 民族の相違と敵味方をこえた純粋な人間愛と誠意、その実践躬行ではなかったかと思う。 私は開戦直前に何の用意もなく、貧弱極まる陣容で、この困難な任務に当面したとき、まったく途方にくれる思いに苦慮した。
そしてハタと気付いたことはこれであった。
英国も和蘭(オランダ)もこの植民地域の産業の開発や立派な道路や病院や学校や住居の整備に、私たちが目を見張るような業績を挙げている。
しかしそれは自分たちのためのもので、現住民の福祉を考えたものではない。自分たちが利用しようとするサルタンやごく一部の特権階級を除く原住民に対しては、寧ろ故意に無智と貧困のままに放置する政策を用い、圧迫と搾取を容易にしている疑いさえある。
ましてや民族本然の自由と独立への悲願に対しては、一片の理解もなく、寧ろこれを抑制し、骨抜きにする圧政が採られている。絶対の優越感に驕って原住民に対する人間愛 − 愛の思い遣りがない。 原住民や印度人将兵は、人間、民族本能の悲願−愛情に渇し、自由に飢えている。
恰も慈母の乳房を求めて飢え叫ぶ赤ん坊のように。 私は私の部下とともに身をもって、この弱点を衝き、敵味方、民族の相違を超えた愛情と誠意を、硝煙のなかで、彼らに実践感得させる以外に、途はないと誓い合った。 そして至誠と信念と愛情と情熱をモットーに実践これ務めたのだ。
われわれが、慈母の愛を以て差し出した乳房に、愛に飢えた原住民、赤ん坊が一気に、しがみついたのだ。 私はそれだと思う。 成功の原因は」
 (引用止め)

訊問官は藤原氏の所説に、冷静熱心に聴き入り次のようにしんみり語ったのです。
「わかった。 貴官に敬意を表する。 自分は、マレイ、印度などに十数年勤務してきた。 しかし、現地人に対して貴官のような愛情を持つことがついにできなかった」
 藤原氏は工作機関を組織・指揮するという特命を受けたときは動転します。 世田谷の自宅近くにある松蔭神社に愛娘の手を引いて詣でます。  そこで 「仰慕するこの大先哲の霊前にぬかずいて、私の行くべき方途について神の啓示を得んと欲し」て祈っていたら、 「何か厳かな神の鞭撻を受けるような気が」したのです。
さまざまの雑念を追い払い、「大先生の信念と至誠と情熱と仁愛とに学び、日本武士道精神の神髄にのっとって工作の新生面を開拓すればよいのだ。 
知識や経験や語学の貧困と、いま接触しえる工作路線の貧困などに当惑してはならないといったような勇気が身内に湧いてきた」のです。

以上のような藤原氏の苦悩と活躍が情熱的に回想された一著です。
印度の闘将モハンシンの高潔な人格と統率力のすばらしさ、マレイのハリマオ谷豊との交わりも哀切をもって描かれています。
工作機関に付き物の莫大な機密費については、その管理と運用は厳密を極め、使途の公明さと透明性が機関の士気を保ったと述懐しています。 そして手許に残した資金は返納し、一切私しなかったのです。
政治資金の管理・処理で散々な為体(ていたらく)の永田町の住人らにこの故事を拳拳服膺、噛みしめてもらいたいものです。

政党助成金は国費です。税金から醵出されたものです。
政党助成法の第33条・34条に政党を解散する際、国に返還する規定があります。オザワは新生党の時も自由党の時も自分の政治団体に寄付をして国庫への返納逃れをしました。
そういうセコイことを想定していなかった政党助成法上の違法性はありませんが、脱法行為であり、ほりえもん・村上世彰が 「お金を儲けて何が悪いんだ」とほざいていたレベルの所業です。
民主党はオザワ自由党を迎え入れるときに結納の積もりか、三億円の寄付を自由党にし、オザワはそれを即座に自分の政治団体に回してしまいました。 
こんなことを繰り返して三十五億円の蓄財をしたのが民主党党首のオザワです。
F機関は志操堅固な藤原隊長を戴いたからこそ士気は保たれ、難事を次々にこなすことができ、占領地の住民にまで感謝されました。
民主党の士気は、党首オザワの所業の浅ましさから同党本部脇の銀杏の木から地に堕ちた実のように残暑のもとで腐臭を放っています。 掃除をして片付けないと踏んだ通行人の靴底にその腐臭が付着してしまうように国民の志操を堕落させます。
これ以上、権力に近づけてはいけない輩がオザワであり組織が民主党です。
    (HN生、品川)


(宮崎正弘のコメント) 久々にF機関の話を聞きました。原書房から、まさに藤原氏自身が『F機関』という本をだしていました。学生の頃、読んだことがあり、まだ藤原氏と何回か会いました。いや、講演に来てもらった記憶もありますね。
しかし昭和四十年代でさえ、戦後の学生でかれを知っている人は殆どおらず、その直後だったと思います。参議院議員に出馬され、かの三島由紀夫が推薦人に名を連ねたのは!

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