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 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

発行日:9/15


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年)  9月15日(土曜日) 
通巻 第1924号 
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 米国は金利を下げ、中国は金利を上げた
  中国が恐れ始めた猛烈インフレ、日本への影響も深刻に
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 日本のスーパー・マーケットに異変が起きている。
インフレが忍び寄っていることだ。
 原因は中国ばかりではない。猛毒食品と不良品が「国産」嗜好ムードを呼び込み、ならばと、たとえば魚介輸入業者は輸入鰻を「国産」と標示し始める悪循環。

 原因はもうひとつあった。
米国や南米で、エタノール燃料ブームが起こり、トウモロコシ栽培が農家の主流となり、その分、大豆と小麦の作付けが減った。
この遠因も中国の石油爆食の所為であり、間接的要素だろう。

大豆を使う醤油、豆腐、マヨネーズ。小麦を使うパン、そばが値上がり。現在のところ商品パックの中身を縮小して値段を据え置くという姑息な手段で業者はしのぎ始めたが、この「忍び寄る」インフレが日本で顕在化するのは時間の問題だろう。

 だが、日本のインフレは、まだこの程度。深刻なのは中国だ。
 猛毒食品事件以後も中国の輸出は劇的な減少示しておらず、外貨は依然として溜まる一方である。

外貨準備高の増加は相対取引で当該通貨と交換するから、国内へのマネーサプライが増える。
 つまり、中国は増えた外貨分を債券化し、その分のカネを市中にばらまく。
 カネ余り=過剰流動性が生まれ、これは株式と不動産へ向かう。商品投機へも向かう。
 構造的に中国の株式が崩落するタイミングは、先送りされる。

 中国のインフレは過日(先週)6・5%と発表されたが、この公式数字は基本的に怪しい。
なぜなら不動産が27%上昇、株式は一年で二倍になっているではないか。
 さらに豚肉が50%値上がりし、野菜が30%近い値上がりを示し、どうしてインフレが6・5%なのか。誰も説明が出来ないだろう。そのうえ、この間の通貨供給量の伸びは17%近い。


 ▼バフェットはペトロチャイナ株保有を13%にまで減らしていた
 
 中国人民銀行は金曜日に金利を上げた。ことし五回目である。
 一方、米国は金利を下げる。ウォール街は、ちかくバーナンキFRBが、0・25%の金利下げを行って、FFレートを5%にするだろうと推測している(NYタイムズ、9月14日付け)。

 こうみてくると米中が、金利政策の一致こそないものの、経済運営でお互いの利益の保護が共通の利益であることを見いだしたかのようだ。

 全米最大の投資家ウォーレン・バフェットは、保有していたペトロチャイナの株式を、市中に売り抜け、劇的に減らしていたことが報じられている。
 バフェットの売却理由は、ペトロチャイナが国際非難の集中するスーダンの石油開発を行っているからで、米国の人権団体が問題視し、「ジェノサイドに手を貸すのか」と詰め寄られたからだ。

 バフェットはいきなり保有株を売却せずにタイミングを待った。「偶然」にも、ペトロチャイナは渤海湾で未曾有の石油埋蔵が確認されたと発表した。
「バフェットは7月12日から8月29日にかけて2億6240万株を売却した。
相前後して中国は、国内投資家が香港でも株式取引ができるように規約を変更。このためいきなり58億ドル相当の投資資金が大陸内から香港へ流れ込んだ」(ブルームバーグ、9月14日)。
こうして米中の阿吽の呼吸が、ペトロチャイナ株の暴落を防いだ。

   ○◎み○や○ざ◎き◎○ま◎さ◎ひ◎ろ○◎ 
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(読者の声1) 橋下徹弁護士は、外見とは違って弁護士会では珍しい保守志向の弁護士です。 
 橋下弁護士が光市母子殺害事件の弁護団(21名)に対してテレビで懲戒請求を呼びかけたのは、多くの国民が願っていたことで、このような制度があることを知らしめてくれたことは、大変有難いことでした。
既に3,900通の懲戒請求書が届けられているとのことです。 
 これに対し、広島弁護士会に属する4人の弁護士が、橋下氏を訴えました。 
 橋下弁護士を激励しましょう。 
*橋下弁護士の連絡先 
    電話:06−6314−9935  FAX:06−6314−9936 
                         
(参考) 懲戒請求とは 弁護士の所属する弁護士会に提出する。 
「懲戒請求書」の書式は、インターネット上に「懲戒請求テンプレート集」として整備されている。「懲戒請求書」を送付する場合は、出来ればサンプルを参考にして御自分の言葉に直された方がよいと思います。
主な弁護士 
  足立修一、今枝仁(広島弁護士会)、安田好弘(東京第二弁護士会)   

<弁護士法> 
第五十六条 弁護士及び弁護士法人は、この法律又は所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し、所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたときは、懲戒を受ける。 
 (コメント:弁護士の発言は社会常識とかけ離れている。弁護士の信用を著しく害しています。) 

<弁護士職務基本規程> 
第七十五条 弁護士は、偽証若しくは虚偽の陳述をそそのかし、又は虚偽と知りながらその証拠を提出してはならない。コメント:容疑者の陳述が一審、二審と変わったのは、虚偽の陳述をそそのかしているとしか考えられません。)
     (X生)



    ♪
(読者の声2) 先日、現役の検事総長の法化社会についての講演を聴いていましたら、「コンプライアンス」を話題にし、単なる法令順守という浅い理解ではダメで、社会秩序への規範性を支える倫理感、社会常識、それら全体を包み込んでいる一定のレベルの文化が、人々にきちんと刻まれていることが肝心であり、「コンプライアンス」を欠くと、製造企業であれば欠陥商品を出したりしたときに対応を誤り、倒産してしまうことになりかねないし、ちょっとした不法行為で組織が崩壊するのが今の世のならいであり、その意味でたいへん重要な概念であると述べられた。
一例として北京郊外にある石景山遊楽園を採り上げて、あの国有企業が経営する施設で、違法なコピーをされたものが堂々と展示され、海外から批判されるとそれがどうしたという態度をしていたのを見ると、トップの役人の著作権への理解の程度だけでなく、それを楽しんでいる一般中国人の教養度も問われているというべきで、一方日本人は高い規範意識、倫理性、教養を具えていて、これに中国が追いつくのはいつになるのかということだが、容易ではないだろうと語り、 さらに東アジアの中心がどの国になるかという議論があるが、市場の大きさでは中国だろうが、果たしてそれにふさわしいかというとどうだろう・・・というあらましの話でした。
かなり辛辣な内容で、現役の検事総長がここまで踏み込んで中国を批判するのは、日々の職務で不法滞在の中国人の凶悪犯罪や不逞行為の対処に相当悩まされ、鬱憤が溜まっているのだろうと忖度しました。
講演会を主催していたのが中国の将来はバラ色だとその経済発展を絶賛・賛美している大手町経世済民瓦版屋でした。
(NH生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント) 北京郊外には、じつはもうひとつ、「偽ディズニーランド」まがいの残骸があります。田圃の真ん中にシンデレラ城など、建設途中でなげだした、壮大な廃墟です。
 その残骸の撮影に行ったら、どこからともなく公安らしき人間が現れ「撮影禁止」と言われたそうです。前週の『週刊文春』のグラビアをご参照あれ。



    ♪
(読者の声3) 「ア○ラ編集部ご一同御中」
冠省 毎週、美麗な人物写真に彩られた上質紙を使った貴誌を書店で見掛けている、一匹夫です。
あまりに高雅な貴誌のたたずまいに気圧されて、手に取ることはほとんどありません。
他週刊誌の何倍もの記者、編集スタッフを築地瓦版屋の豪華・快適な社屋スペースの一郭に抱え、潤沢な製作費と ”築地瓦版” という天下無敵の通行手形で取材し、神のように天から地上の民草を見下ろす、俯瞰的教導的な貴編集方針に目が眩む思いです。
 某月某日付けの貴誌に 、大見出しを ”「毒」輸出国ランキング” とし、副見出しを ” 「中国産さえ食べなければ」の愚” とした記事があり、アレレッと思いました。
小見出しには、「このご時世、中国産はもってのほかだと敬遠する人も多いだろう。でも「毒」食品が中国産とは限らない。日本には世界の毒があふれている」という文字が躍っていますね。

先月、別の貴誌で "中国食品の「毒」は日本から来た" と築地瓦版屋独特の自虐史観を炸裂させ、そのカタルシスを味わいながら展開していた記事がありましたが、それに続いて 「中国の食品毒」問題を他国の毒で以って薄めるというインテリジェンスのテキスト通りの戦術です。中国政府擁護の、周到な一連のインテリジェンス活動と感心しました。 中共中央宣伝部のオシント(新聞、雑誌、ネット上などの公開情報)収集で、この記事を入手した中南海の人々は、さぞ歓んでいることでしょう。

週刊現○がそれを真似た記事を掲げていますが、起用したフリーライター椎名某の非力な取材と記事内容と比べると、貴誌編集部記者の藤井某、加藤某の優秀さが際立ちます。
 しかし記事の中見出し 「中国の違反率は低め」に、一匹夫はいささか猪クビを傾げました。 数学に強いはずの貴誌編集部のはずですが、論理に無理があり粗雑です。
「違反率ランキング」という統計表を掲げて、中国は23番目の違反率で、どうだ!こんなに少ないんだぞ! と見得を切っています。  もう少し知恵を使いましょう。
 「違反率1、2位のエクアドルとガーナ。両国の共通点はすべてカカオ豆で、殺虫剤、除草が基準値をこえて検出されていることだ。昨年7月から今年8月までに、エクアドルは105回、ガーナは85回も違反を繰り返した」と書かれています。
しかしカカオ豆なんて齧らない一匹夫には何の痛痒もないのです。

こういう立論をしているようでは、日本からアメリカに輸出されたイカ、タコにリステリア菌云々と騒ぎ立てている週刊現○とレベルが変わりません。
中国からは、日本の伝統食品を中心に、日々の食生活に関わる食料・食品が大量に輸入されています。
梅干の消費量の7割を占める輸入品は100%中国産です。
味噌用の白目大豆は6割が中国産です。 消費されるそば粉の3/4を占める輸入そば粉の9割は中国産です。
消費される野菜の79%は輸入されていて、キャベツ、ネギ、にんにく、シイタケ、きくらげ、はくさい、きゅうり、ごぼう、ほうれんそう、エンドウ、そのほとんどが中国産です。漬物も中国産が多く輸入されています。
金額ベースでは、輸入される食料品の17%も中国産が占めていて、数年のうちに20%に達する勢いで増えています。 これから秋冬にかけてコンビニの店頭で蒸かしている「まんじゅう」や暖めている「おでん」にも、中国で製造されたものが結構混じっています。 店頭販売の食品については原産地表示が義務つけられていませんから、消費者は知らないのです。 

つまりエクアドルやガーナのカカオ豆と違って、中国産食品や中国産の原料を使った食品から、日本人は逃げようが無いのです。
先日、シドニーでのAPECで、胡錦濤主席は国際社会が懸念を強めている中国産食品について演説し、「われわれは非常に責任ある態度を取り、真剣に努力し、品質と安全を確保する」と強調していました。不安払しょくに努めている中国トップの姿に接して、貴編集部ご一同は同情の涙を流し、もっともっとがんばろうと誓ったことでしょう。

薄商務相が、厳しい日本のポジティブ・リスト制度の緩和を求めたのに、甘利経産相から「中国が安全性確保のために対応を取っていることを示し、それを内外に説明すべき」と指摘されてしまいました。 これには貴誌は苛立ったことでしょう。
APECでは、中国産食品への不安が高まる中で食品の安全性について活発に協議されました。  そして食品の安全性を確保し、消費者の健康を保護するための協力や、安全基準の改善などの必要性で合意した共同声明を発しました。  しかし「中国」を名指しすることはなんとか避けられて、 貴誌はホッとしたことでしょうね。
今後益々 ’築地瓦版屋幇’ の一層の叡智と精力の結集が、中南海から望まれていると忖度します。北京オリンピック、上海万博の取材で、自分たちだけ有利な取材条件を得よう、特ダネを貰おうと下心を燃やして、その期待に応えるべく渾身の情報操作、インテリジェンス活動に励むことでしょう。
そういう懸念の中、アララッという記事が貴誌に載らないかを、社会の一隅から眇目で密かに注視しております。
   (一匹夫より)


(宮崎正弘のコメント) 文中の「築地瓦版屋幇」というのは何のこと? とおもいつつ、そうか朝日新聞と、それに同調する左翼マスコミ集団のことを指しているわけですね。当該メディアは朝日新聞の週刊誌『アエラ』ですか。
一度も読んだことがない雑誌ですね。

       ◎◎
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(((( 資料 )))
  総理の辞意表明に関して
                        No.310 平成19年 9月14日(金)
                        西 村 眞 悟

 九月十二日以来、総理の辞意表明でマスコミが沸き立っている。このような場合、それに参加して評論家のようなコメントをする立場ではない。まさに、政界の中にいて、第三者ではないからである。しかし、本欄で全く触れないで済ますことはできない。従って、私なりの感慨を以下に申し述べておきたい。

 先ず、十日の午後一時からの国会開会式での情景から。
 参議院本会議場で、天皇陛下をお迎えした国会開会式が終了して出席議員が退席し始める。
 その時、偶然通路で安倍総理と出くわした。お互いに会釈をした。しかし、総理からは何か閉ざされたような暗い感じが伝わってきた。そして、総理を先にして後ろから私が歩き始めた。
 思えば、昨年の本会議場でも狭い通路で出くわしたのだが、その時は、反射的にお互いににこにこして握手した。気がつけば、総理が手を伸ばしていたのだ。これが、十年前からの拉致問題始まって以来の仲である。
 この昨年のことを思い出して、総理に向けて「がんばってくださいよ」と声をかけた。すると、間をおいて、まるで激励されたくないというような、「はい、エー、エー、わかってます」という返事が返ってきた。そして、本会議場からでるまでの間、他の議員、自民党議員も含めて、総理に話しかける者は誰もいなかった。
 私は、心ここになく鬱状態のような総理の返事が気になった。
 しかし、午後二時からの衆議院での所信表明で、安倍総理は拉致問題に関して「鉄の意思をもって臨む」と明言したので一安心した。

 そして、十二日。
 午後一時、代表質問の為の衆議院本会議が予定されていた。
しかし、いつもなら、十分前に鳴る開会の予鈴が十二時五十分を過ぎても鳴らない。そこで、秘書に議会事務局に何故予鈴が鳴らないのか問い合わせろと指示した。
 すると、一時開会を少し遅らせてくれと自民党から要請があったとのこと。
 本会議を野党が遅らせることはよくあるが、与党から遅らせるとは奇妙だと思っていると、総理の辞意表明の情報が飛び込んできた。総理の記者会見は二時にセットされたというニュースも入ってきた。
 これらのニュースに接して、一昨日の参議院本会議場での総理の暗い雰囲気が腑に落ちた。

 記者会見に際して懸念したこと。
 それは、一国の総理が、情けない姿をさらすのではないかということであった。仮に涙でも流せば、我が国は世界から冷笑される。
 実は、重大な国益がかかった記者会見であった。そして、十日の総理の態度が甦り、大丈夫かという思いがつきまとって離れなかった。
 しかし、現実には、そのようなことはなかった。
 さらに、しんどいとか、つらいとか、ではなく、テロとの戦いの継続という大義を強調して辞任理由を位置付けていたので安堵した。
 逃げ方にも色々ある。背中を見せるのではなく、正面を向いて逃げてくれたので安堵したわけである。
 しかも、与野党に、テロとの戦いに如何に対処するのか。
海上自衛隊のインド洋での活動をどうするのか。
この課題を明示した辞任の記者会見であったことは評価できる。 懸念を現実のものにしなかったことを評価したのである。

 さて、次に私の、多分独自の思いを述べる。
 何故、安倍晋三は精神と肉体の限界を超えてしまったのか。
 それは、総理大臣として、自分の祖父の生きた時代を「誤り」と発言し、靖国神社への参拝を回避したからである。
 
 この私の思いを冷笑するのが、近代合理主義であることはよく分かっている。
 しかし、ご自分の父親そして祖父を、人前で「間違ったことをしたやつだ」と公言して、読者諸兄姉は日々愉快ですか。
 さらに、その間違ったことをした者の子として孫として「生きる力」が湧いてきますか。
 理屈ではなく、まさに自分がそうすればどうなるかと思って頂きたい。
 
 安倍総理は、まさにそれをしたのだった。
 昨年秋、予算委員会における民主党の菅直人氏の
「大東亜戦争開戦の詔書に大臣として署名している貴方の祖父の岸信介大臣の行為は正しいのか誤っているのか」
との質問に対して、「誤っている」と孫の安倍総理は答えたのだった。私は愕然とした。祖父の存在とは当然ながら、自分が今ここに存在する命の連鎖のかけがえのない一つである。
 私は、とっさに、彼のために次のように言うべきだったと思い悔やんだ。
「正しかったか間違っていたか、それは、歴史の評価に委ねられている。ただ、孫の私としては、あの祖父があの時に開戦の詔書に署名するという枢要な立場にいて歴史に名を刻んだことを誇りに思っている」
 さらに、開戦が「誤り」だと発言した安倍総理は、靖国神社への参拝を回避したのだった。
 このことが、この度の辞任に至る淵源である。
つまり、安倍総理は先祖と英霊のご加護を回避したということになる。

 およそ人間は、物質的なこと合理的なことだけで説明できる存在ではない。チャーチルもドゴールもケネディーも、苦難に耐える使命感を母国の歴史と神秘の世界から得ていた。彼らは決して母国の歴史を誤っていたと公言はしない。むしろ、そこに自分を生かす霊を感じていたと思う。左翼や共産主義者や唯物論者でないのならば、洋の東西を問はず、之が人間としての政治家の素直でまっとうな姿であると思う。
 
 しかし、我が国だけが、この精神の素直さを奪われている。
そしてこの状況こそ、安倍総理がいう「戦後レジーム」そのものなのだ。従って彼は、この「戦後レジーム」に従って、祖父の行為を誤っていたと発言し、「戦後レジーム」に従って、靖国神社参拝を回避した。
 つまり、「戦後レジーム」からの脱却を掲げた安倍総理は、「戦後レジーム」にしたがって精神の強さを失い、肉体を痛めたのである。
 何たる皮肉か。

 ところで、私は、
「参議院選挙は、アメリカの中間選挙と同じだ。中間選挙で敗北したからと言ってアメリカ大統領が辞めておれば、アメリカの信用と安定性はつぶれる。同様に我が国も参議院選挙の結果で総理大臣が辞める必要はない」と主張してきた。
 従って、総理の辞任を聞いた十二日の午後一時、いささか驚いた。というより、私には驚く資格がある。
 しかし、参議院選挙敗北の責任を取って辞任せよと騒いでいた議員や政党やマスコミが、現実に辞任されれば驚いて大騒動している。これは一体どういうことなのか。本質論ではなく、所詮、この程度の大合唱、また、党内の足の引っ張りだったのだ。
 安倍晋三さんが、一刻も早く体力と気力を回復されることを切に祈る。 
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発行者プロフィール

宮崎 正弘

宮崎 正弘

http://www.nippon-nn.net/miyazaki/

国際情勢の裏情報を豊富なデータと人脈から解析してゆく。独特な方法と辛辣な批判精神によるニュースの裏側で織りなされている人間模様に興味を持つ。筆者の人生観と執筆を継続する動機の基軸は同じ。ホームページは http://miyazaki.xii.jp/

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