トップ > ニュース&情報 > 国際情勢 > 宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

RSS


メルマガの登録・解除

登録した方には、メルマ!からオフィシャルメルマガ(無料)をお届けします。



宮崎正弘の国際ニュース・早読み

発行日:8/22


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◆◇◆◇

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年)  8月22日(水曜日)   貳 
通巻第1904号 
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 しばらく忘れられていたイスラエル情勢に巨大な変化の潮流
   米国はイスラエルを安全保障の死活的関心リストからはずしつつある
*************************************

敵のテロと敵対勢力に囲まれたイスラエルは、脅威を取り除くためにしたレバノン侵攻以後も、軍事的安定がない。ほぼ毎日、ハマスとの戦闘が繰り返され、一方、ロシアがシリアへ武器輸出を続けている。
 ロシアは対空ミサイルを中心に九億ドルもの武器をシリアへ搬入した。この一部がシリア経由でレバノンに巣くう過激派のハマスへ流れている。

イスラエルは国家安全保障の観点から、新しい入植地の返還、ガザ地区の独立容認の立場をとっており、パレスチナ独立を容認する米国の基本路線と軌を一にしてきた。
 治安が悪いため、イスラエルの売り物だった観光が成り立たず、最近はロンドンーテルアビブ間が99ドルというディスカウント・チケットも出回っている。

イスラエル政治は、民主主義制度である以上、宿命でもあるが、外交内政ともにジグザグであり、せっかく建設したヨルダン河西岸入植地を入れ替え、欧米が批判したが、高いフェンスを作ったりした。

オルマルト政権はやや硬直的な姿勢で妥協をパレスチナ自治政府との間で行わないため、ブッシュ政権が苛立ちを始めた。
イスラエルは米国から「パトリオット・ミサイル」の導入を検討している。従来のアロウ型ミサイルが、シリアの軍事力をまえに無力になりつつあるからだ。

こんな折りに驚くべき世論調査の結果がワシントンで、でた。
「全米知識人のなかでも、とくに歴代政権の国務、国防高官を務めた人物、米軍の司令官クラス、大統領府高官など。左はノーム・チョムスキーから右はパットブキャナンまで、エリート108人へのアンケート調査を『フォーリン・ポリシー』誌(ブルッキングス研究所発行)が行ったところ、『米国の安全にとって死活的に重要な国』として、イスラエルをあげたのは、僅か14%だった」(『エルサレムポスト』、8月21日付け)。

ちなみにトップはロシアが34%,パキスタンが22%,サウジアラビアが17%.そしてメキシコ、エジプトがそれぞれ5%(嗚呼、日本のことを挙げた人がいない!)。


▼ 強い衝撃がイスラエル政界を襲う

 戦時にはつよいリーダーが望まれる。
 いまのオルマルト政権は、基盤の「カディマ」が寄せ集めゆえに閣内さえ纏まらず、くわえて個性的にオルマルト首相は優柔不断のため不人気。
 ましてオルマルトは警備に余計な費用がかかるため首相官邸をでて夏休みも取れない状態。

政治混乱が続いたため、当時の与党「リクド」内の対立から野党と連立し、リクドからも多くの議員を引っ張って、アリエル・シャロン前首相が、中道政党「カディマ」(日本で言えば自民、民主の大同連合政府のようなもの)を結成、このため「リクド」の指導者ネタニヤフは貧乏くじのように取り残された。

 政界再編の流れでは、イスラエル政治は韓国の再編ダイナミズムと似ていて、その迅速性は現代日本政治にはないものである。

しかしシャロンが病に倒れ、「リクド」ばかりか、労働党も人材不足。老練政治家で大統領に横滑りしたペレス(元首相、ノーベル賞受賞者)は80歳を越え、“過去の人”になった。

そこで強硬派の政治家が再登場する格好の場がめぐってきたのである。
 1999年に「石もて追われる」かのように首相の座を追われ、和平交渉の場からはずされていたベンジャミン・ネタニヤエフ元イスラエル首相が返り咲くチャンスがでてきた。

 ネタニヤフは傲岸不遜な個性があり、あまりにも政治的野心が突出しているので欧米から嫌われるのかも知れない。

往時の与党「リクド」は99年に労働党のバラック政権との交替を許し、03年選挙ではアリエル・シャロンが老体にむち打ってリクドの政権復活を実現した。
  リクドは独立戦争以来、もっとも保守的で国防論争では、もっともタカ派の政党である。

 ネタニヤフ前首相は、政治銘柄で言えば兄は戦争の英雄(エンテベ人質奪回作戦のおり、急襲したイスラエル特殊部隊でタダ一人戦死した)。血筋から言っても申し分ないが、米国と衝突を繰り返すのが玉に瑕なのだ。


 ▼ エルサレムにも政治的流動性が

 八月十五日に行われたリクドの党首選挙は入植地運動過激派の活動家モシェ・フェグリンが対立候補としてネタニヤフに挑戦した。
フェグリンなぞ、泡沫と見られていたが土壇場で23%を獲得、勝利には及ばぬもののリクドの四分の一が反ネタニヤフだったのだ。

理由は党員低落傾向のなか、フェグリン率いる極右セクトが、大挙してリクド入りしたためだ。

 この結果、判明したイスラエルの新政治傾向とは? 
 2010年の予定される選挙が繰り上げされ、現オルマート政権の弱腰と指導力不足により、大連立の「カディマ」が雲散霧消しそうな雲行きにある。
 米国のイスラエル離れが、この傾向に拍車をかけるか?  

         ▽▽ ◎ ▽▽
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
(桜チャンネルからお知らせ) 25日土曜日午後九時からの「闘論、倒論、討論」三時間スペシャルは中国覇権、環境問題、北京五輪をめぐる三時間です。
パネリスト:(敬称略50音順);上村幸治(獨協大学教授・元毎日新聞中国総局長)、児玉千洋(株式会社エコテスト代表取締役)、黄文雄(作家・評論家)、樋泉克夫(愛知県立大学教授)、水間政憲(ジャーナリスト)、宮崎正弘(作家・評論家)、鳴霞(月刊中国発行・編集人) 司会は水島総。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(休刊のお知らせ) 小誌は8月25日から9月3日ごろまで海外取材のため休刊となります。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪  
(読者の声1) 先日ある評論家の方の主宰する会で、平等と能力主義の観点から欧州・米と日本を比較した教育制度について聴講しました。
主宰の方がその中で、明治維新政府が初等教育を西欧流の階層別制度にしなかったのは何故なのかと独り言(ごち)ておられました。
そこでふと思い出したのは学制公布した当時 、世間が「文部省は竹橋にあり、文部卿は三田にあり」と政府を冷やかしていたことです。
学制を公布したものの高額な授業料だったことから、貧しい層の多くの子弟を学校から締め出すことになり、各地で一揆や学校焼き討ちがあって事は深刻でした。
そこで文部卿(文部大臣)の木戸孝允が動いて、藩閥出身でない尾張徳川藩の家臣だった田中不二麿を、その見識と行政手腕を見込んで文部少輔(事務次官)に取立てます。

学制の見直しにあたって、田中不二麿は木戸孝允から何度か名前を聞かされていた福沢諭吉の意見を聞いてみようと会ったところ、そのうわさに違わない高い見識に深く打たれて、幾度も師の礼を以って文部省のある竹橋から三田の諭吉の私邸に参して、意見具申を求めました。
そのことを世間は「文部卿は三田にあり」と揶揄しました。
木戸は諭吉を長与千斎(”衛生” の語を創出した)から紹介され、<ともに時勢を慨嘆した> と互いに気が合ったことを日記に遺しています。
当時の文部省は今と違って省の中でのプレステージは高く、国家の発展は人材にありと、教育制度に真剣に取り組んでいて、若い健康な国家ぶりが窺えます。
      (有楽生)


(宮崎正弘のコメント) 木戸孝充を明治維新後の改革の中心人物として膨大な歴史を描いた力作が村松剛『醒めた炎』です。
「日本経済新聞」に九年間連載して、その後、単行本となり中公文庫にも入りましたが、いまでは古本屋でもなかなか入手困難の由。
 ともかく、この出版記念会(二十年以上前のことですが)のおり、参加者の多くから「なんで、あの逃げの木戸、艶福家の木戸といわれて、修羅場にはいなかった男が明治維新の主人公なのか」と突っ込まれていました。
 木戸と言えば、幾松との艶聞ばなしや桂小五郎として鞍馬天狗など創作フィクションの波の間に顔を見せるくらいの人物と多くが思っていたのも、他方で西郷、大久保の存在があまりにも大きかったからでしょう。
 


    ♪
(読者の声2) 安倍首相は国内政局を逃れるためか、それともこってりと次期政権構想を練ろうとして外遊しているというのが、国内のイエローパーパーの分析ですが、インドネシアでガスの長期契約をしたり、重要な外交日程をこなしているんじゃありませんか?
      (YT生、横須賀)


(宮崎正弘のコメント) NYタイムズがこうかきました(同紙、8月21日付け)。
「日本のエスタブリシュメントは、中国とのバランスをとるため、中国が反日感情をひろめたと同様に日本に反中感情が拡大し、しかもインドのほうが中国より労働賃金が安く、これまで出遅れたと日本企業が判断して安倍首相に経済界首脳、とくにトヨタ、三菱、キャノン、日立が同行している。
 日印貿易は僅か65億ドル、これは日中貿易の4%でしかない。
日本が狙うのは、ムンバイーデリー間(1500キロ)の「工業回廊」のインフラ建設であり、物流、港湾が整えば、日本の進出は本格化するだろう」と淡々としています。
     ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

<< 宮崎正弘のロングセラーズ >>
http://7andy.yahoo.co.jp/books/search_result/-/writer/%b5%dc%ba%ea%c0%b5%b9%b0%a1%bf%c3%f8/page/1

『世界“新”資源戦争』(阪急コミュニケーションズ刊)。
http://item.rakuten.co.jp/book/4412326/

『2008年 世界大動乱の予兆』(並木書房刊)
『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
 『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
 『拉致』(徳間文庫)
 『三島由紀夫の現場』(並木書房刊)
     ◇ 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宮崎正弘の新ホームページ http://miyazaki.xii.jp/
◎小誌の購読は下記サイトから。(過去4年分のバックナンバー閲覧も可能)。
http://www.melma.com/backnumber_45206/
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2007 ◎転送自由。ただし転載は出典明示のこと。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

最新の記事

ブックマークに登録する

TwitterでつぶやくLismeトピックスに追加するdel.icio.usに追加Buzzurlにブックマークニフティクリップに追加Yahoo!ブックマークに登録記事をEvernoteへクリップ
My Yahoo!に追加Add to Google

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

登録した方には、メルマ!からオフィシャルメルマガ(無料)をお届けします。


この記事へのコメント

コメントを書く


上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。
コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  1. コメントはありません。

このメルマガもおすすめ

  1. Japan on the Globe 国際派日本人養成講座

    最終発行日:
    2017/05/26
    読者数:
    13244人

    日本に元気と良識を。歴史・文化・政治・外交など、多方面の教養を毎週一話完結型でお届けします。3万8千部突破!

  2. JOG Wing 国際派日本人のための情報ファイル

    最終発行日:
    2017/05/26
    読者数:
    3905人

    政治・経済・外交・社会・文化などの分野において「元気な日本」を作るためのオピニオン誌です。

  3. 月刊アカシックレコード

    最終発行日:
    2017/05/07
    読者数:
    17030人

    02年W杯サッカー韓国戦の「誤審」を世界で唯一「前日」に誌上予測し、誤審報道を「常識化」した推理作家が、政官財界の分析にも進出し、宣伝費ゼロで読者19,000人を獲得。2009年9月から月刊化。

  4. 頂門の一針

    最終発行日:
    2017/05/27
    読者数:
    5701人

    急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。

  5. 甦れ美しい日本

    最終発行日:
    2017/05/26
    読者数:
    7049人

    日本再生のための政治・経済・文化などの発展・再構築を目的とし、メールマガジンの配信を行う

発行者プロフィール

宮崎 正弘

宮崎 正弘

http://www.nippon-nn.net/miyazaki/

国際情勢の裏情報を豊富なデータと人脈から解析してゆく。独特な方法と辛辣な批判精神によるニュースの裏側で織りなされている人間模様に興味を持つ。筆者の人生観と執筆を継続する動機の基軸は同じ。ホームページは http://miyazaki.xii.jp/

過去の発行記事