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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

発行日:8/10



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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年)  8月11日(土曜日)  
通巻第1889号  (8月10日発行)
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 << 今週の書棚 >>


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西尾幹二著『国家と謝罪』(徳間書店)
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 日本保守思想の原点が本書に集約されている。
 戦後、憲法の押しつけ、農地解放、教育改革等々。日本はアメリカの保護領のごとくに成り下がり、「独立」は主権回復後も、本当に達成されているのか、どうか。独自の神話も否定され、精神的営みも軽蔑される風潮がまだ続いている。
 日本はとうに国連に加盟したけれども、日本は本当に「独立」しているのか?
 歴史も国語もズタズタのまま、教科書を自ら作成できず、外国にお伺いを立てる始末。
 安保改訂後も、大店法の受け入れからM&Aの認可、ビッグバン、金融諸制度から郵便局まで。道路公団は民営化され、ついに日本はアメリカの法律植民地になってしまった。
 地方都市の景観が廃墟と化したのは大店法の悪影響だろう。
全国の酒屋さんが店を閉じた。これもアメリカの要求をやすやすと日本が受け入れたからではないのか。

 嘗てジャパン・バッシング華やかなりし頃、評者(宮崎)はパパ・ブッシュ時代に日本に「コメの自由化」を迫られたとき、これは日本の文化伝統を破壊する極めつけの愚行だとして、『拝啓 ブッシュ大統領殿、日本はNOです』(第一企画出版)を上梓したことがある。
 当時、日本の保守陣営といっても親米派が多く、小生のような議論への理解者は少なかった。随分と保守の側から反対が目立った。米の自由化でアメリカの怒りがやわらぐのなら開放しても良いじゃないか、と。
 天皇家の枢要な行事は新嘗祭。これを外国のコメでやるという発想は、かの皇室典範改悪論を奏でた偽「保守主義」の似非と通底している(座長のロボット博士は、ところで共産党の出身だった)。
 小泉前首相はひたすら「カイカク」と呪文を唱えたが、やったことはほぼ「カイアク」の類いだったろう。
外交の責任者に、愚か者が多い日本でも最悪の愚か者に委ね、アメリカの理論を吹聴する「ガクシャ」に机上の空論による経済運営を任せた。株価は市場最低値を彷徨い、潰れなくてもいい銀行はアメリカに乗っ取られ、日本はどん底に陥った。そもそも日本の株式市場の株価形成を主導するのが外国人投資家。それも青い眼のファンドマネジャーになり、それが常態だと詐話を展開している日本の経済学界、官界。

 西尾氏は果敢にも小泉首相を「狂人」と呼んだ。
 そして本書でこう訴える。
 「日本はいまこそ米中にとって厄介で面倒な国になれ!」
 「靖国、南京事件、慰安婦問題。アメリカにまで赦しを乞う必要などない」と。

 「勝者は歴史を掌握する。敗者は人類の敵であるという見方がとられる。戦勝国は敗戦国が二度と立ち上がれないように、道徳的にも精神的にも最後までこれを打ちのめしていまうという政策が戦後においても継承して行われる。占領期間に教育や文化が改造され、洗脳がなされる。それが経験上われわれの知っている全体戦争である」(本書18p)。

 しかし大東亜戦争以後の、朝鮮戦争もベトナム戦争もイラクも、勝った負けたがはっきりせず、「ドイツと日本のように国民の思想洗脳や国家改造にまで及んだ例はない。ドイツと日本だけが、例外的却罰を受けた。もとよりドイツはならず者の一団が国家を壟断したーードイツ人自身がそう認めているーー例外の戦争を起こしたのだから仕方がない」。
 だが「日本はそうではなかった」。 日本は「自存自衛」と「アジア解放」が二大動機」であって、大東亜戦争ははじめから終わりまで「受動的」だった。
 
 そして西尾氏は次のように続けられる。
 「二十世紀のならず者国家はナチス・ドイツだけだろうか。太平洋上で英、米、仏、蘭、独、豪のした陣取り合戦は、『侵略』の概念に当たり、『平和への罪』を形成していないのだろうか。英、米、豪は、日本に対して『共同謀議』の罪を犯していないか。広域にわたってあらゆる島々で起こった虐殺には、正確な記録はないが、ホロコーストの名で呼ばれるのがふさわしいのではないか」(本書29p)。

 しかし、日本はナチスと同列におかれ、「東京裁判の被告達は、全くヒトラー一派の側杖を食った」形となった。
 ナチスを退治するために、欧米はロシアと言う「悪魔」と握手した。

 その後、欧米はなぜかキリスト教がユダヤに謝罪し、カソリックは悔い改めたような態度を見せる。なにが後ろめたいのか。
 
 舞台はもう一度反転した。
 「ビン・ラーディンが出てきたために米国は中国という悪魔と手を組む方向へ走りだした。中国包囲網を固めつつあったイラク戦争までの戦略をわすれたかのごとくである(中略)。テロ自体の恐怖よりも、一極集中権力国家の理性を失った迷走の開始」は、じつに不安ではないか(本書38p)。

 日本はなにをなすべきか。「白人キリスト教文明では四世紀に及ぶ歴史の罪過を精算するために、新しい歴史の塗り替えが必要になっている」。
西尾氏が「新しい教科書をつくる会」を立ち上げたのはいまさら述べることもないだろう。

こういう重要なタイミングに「日本を代表する人物に必要なのは気迫である。安倍首相はなぜ、こともあろうに米国に許しを請うたのか。主権国家は謝罪しない。謝罪してはいけないのだ」。
 この激甚な訴えを読者諸兄はなんと聞くだろうか?

 評者はたまたま本書を持って中央アジアの旅に出た。
 キルギスという小国は僅か人口五百万。七十年もの長きに渡ってソ連の桎梏に喘いだ。独立してすぐ憲法を変え、「自国語(キルギス後)を喋れない人物は大統領に立候補できない」旨を謳った。
 アフガンのタリバン空爆のため、やむなく米軍海兵隊の駐留を受け入れたが、昨年から「役目は終わった。米軍は出て行け」の合唱が始まった。
 マナス国際空港で、米軍の取材をおえてタクシーでホテルにもどりつつ、運転手と会話がはずんだが、かれはこう言ったのだ。
「日本に米軍が五万人もまだ駐留している? 日本って独立主権国家じゃないのかね」。
 日米同盟がもし対等であるならば、いったい日本軍のほうは米国のどこに駐在しているのだろう?


  ♪
(書評余話)西尾氏の言われる、「日本はいまこそ米中にとって厄介で面倒な国になれ!」
 卑近な例が小沢民主党でしょう。イラク特別措置法延期反対を表明しただけで、(小沢一流のはったりでしょうが)、米国大使が民主党へすっ飛んできました。
 たまたまワシントンへ入った防衛大臣は異例中の異例の「おもてなし」を受け、チェイニー副大統領から、ライス国務長官まで。小池大臣のカウンターパートはゲーツ国防長官だけの筈ですから。
 厄介な、面倒な国に徒らになる必要はないけれど、日本の怒りに米国が微かに「怯えた」事態が到来したのではありませんか。
  
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(お知らせ1) 「東京新聞」ならびに「中日新聞」を購読の皆さんへ。16日付け夕刊の文化欄。「自著を語る」というコラムに宮崎が写真入りで登場します。『世界新資源戦争』について語ります。
   ♪
(お知らせ2) 8月11日(土曜) 夜九時からの「討論、闘論、倒論」(三時間スペシャル)に、西部遭、西村真悟、遠藤浩一、上島嘉郎氏らとご一緒に宮崎正弘が出演します。
テーマは「今後の国際情勢と北京五輪」。スカパー「チャンネル櫻」。
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<< 宮崎正弘のロングセラーズ >>
http://esearch.rakuten.co.jp/rms/sd/esearch/vc?sv=30&g=001&sitem=%B5%DC%BA%EA%C0%B5%B9%B0&Submit=%A1%A1%A1%A1%A1%A1%B8%A1%BA%F7%A1%A1%A1%A1%A1%A1
(上記サイトから拙著はほぼ全て購入可能です)。

 『世界“新”資源戦争』(阪急コミュニケーションズ刊)。
  (マスコミで書評が次々と出始めました ↑)

『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
(読書誌「トップアイ」で上半期ベスト2に選ばれました ↑)

 下記四冊はロングセラー入りしております!
『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
 『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
 『拉致』(徳間文庫)
 『三島由紀夫の現場』(並木書房)
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宮崎正弘の新ホームページ http://miyazaki.xii.jp/
◎小誌の購読は下記サイトから。(過去4年分のバックナンバー閲覧も可能)。
http://www.melma.com/backnumber_45206/
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2007 ◎転送自由。ただし転載は出典明示のこと。
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  1. 米中国に対し厄介な、面倒な国になるためには
    インフラとして、スパイ防止法、国家反逆罪の制定施行があります。その上で、自主防衛体制を確立すべく、諸要件を満たして行く必要があると考えられます。子供の教育からマスコミ偏向の是正、気が遠くなるくらいの山々があります。
    しかし、諦める訳にはいきません。憲法から。。。。。

     2007/8/10

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発行者プロフィール

宮崎 正弘

宮崎 正弘

http://www.nippon-nn.net/miyazaki/

国際情勢の裏情報を豊富なデータと人脈から解析してゆく。独特な方法と辛辣な批判精神によるニュースの裏側で織りなされている人間模様に興味を持つ。筆者の人生観と執筆を継続する動機の基軸は同じ。ホームページは http://miyazaki.xii.jp/

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