宮崎正弘の国際ニュース・早読み
発行日:8/4
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成19年(2007年) 8月5日(日曜日)
通巻第1879号 (8月4日発行)
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はやくも6億5000万ドルの損害をだした中国国家ファンド「ソブレン・ウェルス」
それでも次は英国の名門老舗「バークレー銀行」に狙いを定めた
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鳴り物入りで発足したのは中国の国家ファンド。正式名称は「中国主権富裕」(チャイナ・ソブレン・ウェルス)という。
これはシンガポールの「テマサク」を真似た国家が経営する投資機関で、ありあまる外貨準備を背景にして年内に2000億ドルの基金とこしらえて、正式に設立される。
専務取締役ポストをNY連邦銀行準備制度副議長だったコイ氏に要請し、「お雇い外国人」が、運営を取りしきるそうな。
中国が官民挙げての国家ファンドを作り、安定的な収益をあげて、国家の貯金を富まそうとするのは、理由が分かるが、さて博打好き、冒険好きの生来の性格が改まらない限り、運営は円滑に行くとは思えなかった。
まして賄賂、横領、不正経理、インサイダー取引が伝統的文化である中国で!
あまつさえ基金の2000億ドルは「新株公開」で株式市場から集めるというから、壮大な、いや冒険に過ぎる構想なのである。
中国国家ファンドが、最初に投資したのが「禿鷹ファンド」として有名な米国のブラックストーンだった。
出発の時点ではやくも先行きが危ぶまれた。
案の定、ブラックストーンの株式は35ドル(新規上場時点の6月22日)から25ドル(8月2日)へといきなり29%もドカンと低落。評価損は6億5000万ドル。
同社は他の信託基金、ファンド同様に、流行の「サブプライム」といわれる住宅抵当証券に、多額を投資してきた。
本来、米国の住宅ローンを債券に組み替えた金融商品は、魅力的な筈なのだが、近年のコンピュータによる急激な金融テクノロジーの発達は、ローンを組んだ翌日からレバレッジによる転売、転売、転売と続き、米国を襲う住宅不況によって、貸し手が急に不在となって危機が一気に表面化した。
誰が所有しているか分からない。「金融技術の高度化によって空中戦のようなもの、墜落の懼れがある」(株式専門家)。
サブプライムの危機は昨今の日経平均の下落と円高にも現れている。
▼ 世界的株安の元凶は米国の住宅抵当証券だが。。。
中国金融の内部事情に詳しい専門家に聞くと、「中国は帳簿上の評価損を、気にしない態度を装っています。というのもブラックストーンが株式上場のおり、中国は4・5%ディスカウントの30ドル弱で購入し、『四年間は保有する』と約束しているため。しかし、四年後に同社の株式が上昇しているか、どうかは誰も判らないでしょう」と悲観的。
中国のウェッブ・サイトには「外貨準備は我々の血と汗の結晶。それをブラックストーンなど得体の知れないヘッジファンドへの投資を僅か一ヶ月できめてしまい、損出をだすとは何事か」などと当局を非難する書き込みが集中しているという。
一方、外貨準備高の対外運用で「中国人民銀行は米国の国債とはべつに、住宅抵当証券を1000億ドル購入している。ほかにまだ統計にでないが、買い増しがあるようだ」(IHI、8月4日付け)。
これに懲りたのだろうか?
逆に意気軒昂、中国はますます海外投資をダイナミックにすすめる様相で、次は22億ユーロ(30億ドル)をバークレー銀行に投資する。
さらに、もし、バークレー銀行が「ABN・アムロ銀行」の買収に成功すれば、追加で76億ユーロ(114億米ドル。この投資は「ユーロ建て」であることに留意。米ドル一辺倒からポジションをシフトさせているのも、中国の投資戦術)を投資する予定という。
世界の証券市場、ますまる攪乱要因が増えた。
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(読者の声1) 貴誌によりますと中共も内訌を始めた由、ご同慶の至りと存じます。
永田町の内訌は言論とスキャンダル暴露での足の引っ張り合い、そして多少の諭吉さんが舞う程度ですが、シナ大陸の内訌は暗殺、虐殺、冤罪逮捕拘禁、粛正、軟禁の度派手な展開を見せてくれます。
一昨年、胡錦濤が乗り込んだ潜水艦にミサイルが‘誤射’され、その難を逃れた胡錦濤は脱兎の如く専用ジェット機で雲南辺りまで避難してしばらく身を潜めていたと伝えられました。
中共軍の建軍記念日は1927年8月1日に、朱徳らが率いる中共軍が蒋介石軍に果敢に闘いを挑んで(優勢に終わった?) 南昌での戦いを記念したものとか。
某ブログ子によりますと中共軍の機関誌、『解放軍報』の八一社説での「党の絶対指導」の語の登場回数が2004年4回だったものが、2005年は23回に急増し、それが2006年は6回に急減した、だから胡錦濤が軍の大勢を掌握しつつあり、2007年の論調をみると従来の必死さが消えていて、胡錦濤による軍のコントロールが確立したようだとしています。
今年は建軍八十周年。党軍の一体化、一枚岩の胡錦濤体制を寿いでいると見受けましたが、実相はそんな甘いかほり漂う、バラ色のものではなく、刺々しい状況なのですね。
繰り返し、まことに大慶に存じます。
この八一社説に見られるそうですが、“「軍隊の非党化・非政治化」と「軍隊の国家化」の断固排除”の意味がこのブログ子同様ピンときません。原文にあたる能力がないのですが、事実そうなら、どういう含意があるのか、解いて頂ければ幸いに存じます。
(宮崎正弘のコメント) 広西省南昌に「八一起義記念館」があり、共産党の“輝かしい”歴史をパネル展示してあります。小生がみたのは四年前の夏、市内でタクシーを拾うと若い学生風。いきなり「小日本(ジャップ)」と吹きかけて来ましたね。
南昌は封建的な町ですが、交通の要衝でもあり、物価は安かった。ポルノ映画館があり、くだんの運転手氏に「あれは何か?」とわざと聞くと横を向いてましたっけ。
さて、八一起義とは周恩来、朱徳、賀龍、劉白承らが武装蜂起した、ややもすれば先陣争いのアリバイ証明的事件です。
もちろん三日天下、共産党の武装グループなんぞ、蒋介石軍に木っ端微塵に敗北したけれど、それを軍の記念日とするあたりなど、歴史の改竄・捏造はお手の物ゆえ、ま、気にする必要もないでしょう。
中国軍というのは人民解放軍という奇妙な名前ですが、実態の真相はといえば「人民抑圧暴力装置」です。
ときには「共産党高官だけを守る暴力団」と言い換えても良いでしょう。
ですから国家を守る決意はありません。国家は極端にいえば忠誠の対象ではなく、党への忠誠が一番大切なのが軍人の心構えの基本。
ゆえに中国の軍人の意識は「近代化(たとえ装備は近代化しえても)」が出来ないことになります。
軍は国家に所属すべきではないのか、とする「国軍化」議論は、小学生が考えてもわかる理論でありながら、軍のなかではタブーです。
よって中国人民解放軍が中国共産党のプライベート・アーミィである限り、党の指導者への忠誠がでてくるわけです。
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<< 宮崎正弘のロングセラーズ >>
『世界新資源戦争』(阪急コミュニケーションズ刊)。
『2008 世界大動乱の予兆』 (並木書房、1680円)
『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
『拉致』(徳間文庫)
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(小誌の八月の発行に関して) 夏休み中は、時々、予告なしで休刊する日があります。予めご承知くださいますよう。
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宮崎正弘の新ホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2007 ◎転送自由。ただし転載は出典明示のこと。
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発行者プロフィール
宮崎正弘
http://www.nippon-nn.net/miyazaki/国際情勢の裏情報を豊富なデータと人脈から解析してゆく。独特な方法と辛辣な批判精神によるニュースの裏側で織りなされている人間模様に興味を持つ。筆者の人生観と執筆を継続する動機の基軸は同じ。ホームページは http://miyazaki.xii.jp/
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