国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

全て表示する >

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2007/07/17



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◆◇◆◇

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 7月17日(火曜日) 
通巻第1867号  
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 ムシャラフ大統領、乾坤一擲の賭けは、どちらに転ぶか
   イスラム過激派のテロ報復は前々から充分に予想されていた
***************************************

 パキスタンの政情は一気に不安定化した。
 イスラマバードの「赤いモスク」(紅色清真寺)への特殊部隊による武力突入は多くの犠牲を出したが、直後からパキスタン全土に吹き荒れる報復のテロは、パキスタンの軍を狙った自爆テロが主流。
 もともとイスラマバードは、マリオットホテル爆破、空港爆破など散発的テロが絶えず、警戒されてきた。世界で最も危険な首都のひとつ。

 パキスタンはアフガニスタン国境が「タリバニスタン」もしくは、「アルカィーダスタン」と渾名されるほどの無法地帯だ。住民はアルカィーダに同情的である。

 しかもインドとはカシミール紛争をかかえ、軍事同盟の相手として中国とは特殊な関係がある。
 パキスタン主流の部族はパシュトーンだが、軍の多くもパシュトーン族が多く、従来は、タリバンへの同情が深かったため、徹底した殲滅作戦は採れなかった。
 そもそもパキスタン軍の諜報部がタリバンを操ってきたのではとする疑惑があった。

 民族的にはパシュトーンのほか、パンジャブ、シンド、バローチなどが入り乱れ、この国が「民族主義」で統一されているなどとするのは幻想である。

 ムシャラフ大統領は、99年の無血クーデタ以来、陸軍参謀総長を兼ね、しかも大統領選挙を間近に控えての「勇断」が必要だった。
パシュトーン出身ではなく、印度生まれのムシャラフは、しかも、種族的には「異質」であり、パキスタン全体の合意を代弁する政治的立場ではない。

 海外に亡命中のブッド元首相の勢力も根強く(PPP連合)、またシャリフ元首相率いるPML(野党)も侮りがたい。
次の選挙を円滑化するためにはブッド派と妥協し、彼女の帰国を促す秘密交渉もムシャラフ代理人とブッドとの間で、ロンドンで続けられていた。

 紅色清真寺(赤いモスク)への突撃は、中国の圧力によって決行されたフシが濃厚であり、そのうえブッシュ政権の「支持声明」があった。
 
 パキスタン・ナショナリズムとイスラム原理主義過激派からみれば、これは許されざる外国との妥協政治であり、ムシャラフ大統領自身が、過去三回テロの対象となった。
 安定が回復される日はますます遠のいたのではないのか。

    ○◎み◎○や◎○ざ○◎き◎○ま◎○さ◎◎ひ○◎ろ◎○◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ((((((((( 宮崎正弘の新刊 ))))))))
 『世界新資源戦争』(1680円。阪急コミュニケーションズ刊)。
――世界の新しい資源地図を精密な地図を附録に、資源戦争の実態を網羅。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4484072181/ref=pe_pe_2102_5114352_pe_snp_181
(アマゾンの発注は上記サイトへ ↑ 全国主要書店、絶賛発売中)
             ▽         
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

(読者の声1)『草原のラーゲル』を全部読みおえました。
なにゆえこんなに分厚い本だろうか、と読み進めていましたが、最後まで感動が鳴り止まない内容でした。
モンゴル人と日本人の民族同士の親和性が高いせいでしょうか、主人公ソヨルジャブの思念が読み手にじんと泌み入りました。
悲惨な話は世に満ち満ちていますが、それを突き抜けた地点に立っている主人公ソヨルジャブに感動を覚えます。自分の人生と重ね合わせ、ソヨルジャブがウランバートルの中央ラーゲリに入れられていた時に自分は生まれた、彼がハルピン学院の仲間に招かれて東京の高層ビルで四十年ぶりに再会した時に、自分は大学を出て就職していたとか・・。
彼の生涯は映画になるなあと思いましたが、渋谷放送がドキュメンタリーにしているようです。
ハルピン学院の仲間は得意のロシア語を生かして外交官や大学の先生、国際会議の通訳、翻訳家になるなど活躍していました。戦後日本の大学院に入り直して三島由紀夫論で博士号をとった人もいました。
26期、千四百人余りの卒業生を送り出したハルピン学院。
一期生にはエストニア領事で数千のユダヤ人に満州国経由のビザを発行して救ったといわれる杉原千畝が特修生としていました。
戦中蒙・鮮・満人(満洲の漢人)以外の卒業生と在学中の日本人学生は出征し多くは帰らぬ人となり、戦後全卒業生の二割近くはソ連軍にシベリアやモンゴルへ拉致され強制労働に就かされもしました。
ソヨルジャブはその事実を知って自分だけが酷薄な運命にもて遊ばれたのではなかったと、自らを相対化し、失った過去をただ嘆くことを止めて、遅れた人生のスタートをモンゴルに日本語学校をスタートさせることにより切るのです。
これにハルピン学院の仲間が資金・物資、物心両面で援助するのです。
『草原のラーゲリ』の後半部分に描かれる遊牧民の生活のさま、馬、牛、羊たちの生態は興味深く、特に飼い馬と主人公ソヨルジャブの交流ぶりには読んでいて熱いものが込みあげてきます。
読み終えてなおしばらくは心が、ホロンバイル、ハルピン、フフホト、ツァイダム、西寧、ウランバートル、ハイラルの地を漂っていそうです。
    (HN生、神奈川)
      

(宮崎正弘のコメント) では次は実際にホロンバイルからハルピン、フフホト、ツァイダム、西寧、ウランバートル、ハイラルの地を漂よわれませんと。。。。
知り合いの記者が個人的に休暇をとって今夏、ホロンバイルへ行くそうです。アドバイスが欲しいというのですが、小生が行ったのは四年前、それからも迅速に現地は変貌をとげて満州里なんぞ夏の軽井沢に近いリゾートって報告まであります。
信じられませんがね。。

        ▽
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

<< 宮崎正弘のロングセラーズ >>
 『世界新資源戦争』(阪急コミュニケーションズ刊)。
 『2008 世界大動乱の予兆』 (並木書房、1680円)
『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
 『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
 『拉致』(徳間文庫)
            ◇ ◇ ◇   
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宮崎正弘の新ホームページ http://miyazaki.xii.jp/
 ♪ ( 新ウェブサイトに移転しております ↑)
◎小誌の購読は下記サイトから。(過去4年分のバックナンバー閲覧も可能)。
http://www.melma.com/backnumber_45206/
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2007 ◎転送自由。ただし転載は出典明示のこと。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-08-18  
最終発行日:  
発行周期:ほぼ日刊  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。