宮崎正弘の国際ニュース・早読み
2007/07/13
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成19年(2007年) 7月13日(金曜日)
通巻第1862号
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小林よりのり『平成攘夷論』(小学館)
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たかが漫画、されど漫画。
全共闘世代のバイブルは『朝日ジャーナル』だった。『世界』という雑誌もあった。いまもあるらしいが書店でも見かけない。
当時、保守の雑誌はと言えば『自由』しかなかった。 左翼全盛は団塊の世代が社会へ溶け込むと同時に雲散霧消し、朝日新聞の権威は墜落し、一方で『諸君』『正論』『ボイス』が創刊され、そして、冷戦に西側が勝利したのちも、この列に『WILL』『月刊日本』などが並んだ。
すくなくとも論考中心の論壇の世界では保守が主流で、左翼はいなくなった。
だがジェンダーフリーやら男女共同参画、教科書採択問題、環境問題に潜り込んだ左翼は、いまも悪質な反日運動を陰湿に展開し、とくに歴史問題では中国、韓国に御注進におよんでの「外圧」を利用し、せっせと陰謀を展開している。新聞はおよそ世論から浮き上がった論調を日々書き殴っている。
この間、世間知らずの若者の大半が左翼の洗脳を受けなかった。
その功績は小林よしのり一人ではないにせよ、彼が切り開いた漫画による新世代への啓蒙活動は、すこぶる効果を挙げた。
なにしろ活字を読まず、新聞も取らない若い世代が、なぜ保守に傾いたのか。反日サッカーのブーイングによる反発だけではなかった。
この新作は、とりわけ保守の弱点である対米同盟関係への疑問を素朴に投げかけている。
中国と米国がなぜ反日となると狂奔するかのように共闘するのか。
とくに「従軍慰安婦」とかのフィクションにあげて熱中し、日本叩きを展開するのかを、論考している。
原則的自主独立は、基本的に「安保体制克服」にあるが、やや情緒的な反米が小林氏の特色であろう。
四年前だったが、小林よしのり氏が台湾への入国拒否にあって、その励ます会が開かれたときに、小生も西村真悟、金美齢氏のあとにスピーチしたように、「小林さん、あなたはこのまま行くと、いずれ三島由紀夫を書くことになるでしょう。そのときは、小生は全面協力しますよ」。
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今西光男『新聞資本と経営の昭和史』(朝日新聞社)
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緒方竹虎を中軸にすえて、朝日新聞がいかに右から左旋回したか。
その激動の朝日新聞の歴史を簡潔に叙しながら新聞経営の在り方と、その危機の根源をえぐる。
戦前の朝日は大政翼賛だった。なぜ急激な左翼主義に走ることになったか。その体質が内包していた大いなる矛盾が浮かび上がる。
本書は学術的なマスコミ論である。
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工藤美代子『母宮貞明皇后とその時代』(中央公論社)
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貴重な歴史の証言、後世への歴史的資料でもある。
三笠宮両殿下が合計十二時間にもおよぶインタビューに応じられ、昭和の激動期を振り返られる。
内容をざっと一覧すると、
第一章 澄宮ご誕生から大正天皇崩御まで
第二章 開戦前夜、三笠宮と百合子妃の婚儀
第三章 毅然たる貞明皇后の宮中生活
第四章 若杉参謀、南京へ赴任す
第五章 死なばもろとも
第六章 孤独で寂しかった昭和天皇
第7章 貞明皇后の生まれ変わり
第八章 戦後の混乱と貞明皇后崩御まで
近代史研究家、読書人には必携の書である。
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東祥三『日本 ただいま脳死状態』(高木書房)
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元外務政務次官の憂国の提言をあつめたエネルギッシュな本。現状の日本はまさに筆者に言われるまでもなく「脳死状態」にある。
「されど望みは捨てず」と副題がしめすように、まだ幾ばくかの解決策があり、戦略の空白が戦後六十年もつづいているのは対米依存の慢性化にあるのでは、と本質を喝破する。
国家の独立とは自主防衛の気構えであり、「核の選択」を放棄する必要はなく、日米は対等な防衛に進むべきであり、ミサイル防衛などでは間に合わない。
とどのつまり、大東亜戦争が日本の劣勢へ陥った転換点はミッドウェイの敗戦だが、これは米国に日本の暗合を読まれていたからだ。インテリジェンスなき国家は自滅への道であり、いまのような日本の情報機関は「国家の恥部」だと厳しい。(筆者が「太平洋戦争」を無造作に語彙に選んでいるのはちょっと気になるが。。。)
以下、
「外務省」は「お人好しの騙され屋」
「公安調査庁」とは「寂しい密偵」
そして「防衛庁」とは「大脳なきガンダム」
○◎み◎○や◎○ざ○◎き◎○ま◎○さ◎◎ひ○◎ろ◎○◎
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((((((((( 宮崎正弘の新刊 ))))))))
『世界新資源戦争』(1680円。阪急コミュニケーションズ刊)。
――世界の新しい資源地図を精密な地図を附録に、資源戦争の実態を網羅。
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(読者の声1) 宮崎さんの新刊『世界新資源戦争』を拝読。日々、貴メルマガで勉強させていただき、資源関係のニュースなども随分教えられた思いでおりましたが、こうして一冊にまとまったものを拝読するとまことに圧巻です。
ロシア、中国のなりふり構わぬえげつないほどの資源あさりにあきれかえる一方、わが日本は一体どうなるのかという思いしきりでした。
それにしても”資源爆食怪獣・中国”とは言い得て妙。 キャッチ・フレーズのうまさに思わず”爆笑”してしまいました。
(YY生、千葉)>>>>>>
(宮崎正弘のコメント) 「爆食怪獣」チャイナ、このところは「毒食怪獣」に。毒入り事件いらい、日本のマスコミは集中していますね。中国へとびだした取材陣も相当の数です。
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(読者の声2) レアメタルにおける「新資源戦争」に関して要注意の点があります。
それは、技術動向によって需要が大きく変わる可能性があることです。たとえば、中国が世界中の可採埋蔵量の大部分を持っているレアメタルにイリジウムとイットリウムがあります。
イリジウムは、現時点ではコンピュータ用モニターや薄型テレビの画面として使われるガラスに必須の物質です。
最近、東京工業大学の網野秀男教授の研究室がC12A7というセメントの主成分の物質からイリジウムと同様テレビ画面用ガラスへの添加物として使用可能な物質を造ることに成功しました。つまり透明かつ電導性を持った物質です。
ただし研究室での実験段階で将来工業的に大量生産可能になったとしても何年もかかることでしょう。
イットリウムは高温超伝導合金に使われます。ただし、高温超伝導合金にはイットリウムではなくビスマスを使った技術もあります。
ビスマスは世界中に比較的豊富にあり、日本でも東北地方に多く埋蔵されています。ただし、ビスマス系の高温超伝導金属は高電圧で不安定です。ここのところが解決できるか、は将来の課題です。
たとえどんなにまともな国に埋蔵されていても、レアメタルに依存した技術を使うことは持続性という観点から問題があります。代替技術の開発が必須です。
(ST生、神奈川)
(宮崎正弘のコメント)拙著『世界新資源戦争』でも、中国のレアメタルに関して、すこし触れております。ご指摘有り難う御座います。
そうそう、桜チャンネルの「良書紹介」(17日午後7時放映)は、拙著『世界新資源戦争』を特集する30分番組です。
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<< 宮崎正弘の新刊 >>
『世界新資源戦争』
世界の新しい資源地図を精密な地図を附録に、資源戦争の実態を網羅。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4484072181/ref=pe_pe_2102_5114352_pe_snp_181
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定価1680円(阪急コミュニケーションズ刊)。
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<< 宮崎正弘のロングセラーズ >>
『2008 世界大動乱の予兆』 (並木書房、1680円)
『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
『拉致』(徳間文庫)
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(休刊のお知らせ) 小誌は7月19日から30日まで海外取材のため休刊となります。
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