トップ > ニュース&情報 > 国際情勢 > 宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

RSS


メルマガの登録・解除

登録した方には、メルマ!からオフィシャルメルマガ(無料)をお届けします。



宮崎正弘の国際ニュース・早読み

発行日:7/11


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◆◇◆◇

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 7月11日(水曜日) 
通巻第1858号  
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

<< 今週の書棚 >>

  
  ♪
藤井厳喜『2008年 日本沈没』(ビジネス社)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 友人が「本屋に三冊並んでますね」という。なにかと問うと、「2008年危機問題」の羅列で、拙著と黄文雄氏のもの、そして最新刊が藤井さんの本書。題名も決定的で『008年 日本沈没』である。
 2008年に国際政治の危機が結節することは多くの政治学者も指摘しているが、米韓ロシア英国フランス台湾と指導者が交代し、その間に共産党第十七回党大会が挟まれ、北京五輪後にも、「中国経済は劇的な収縮に見舞われる」(グリーンスパン)。
 大不況がこないという保証はあるまい。
 おりしも今月号の『文藝春秋』は、李登輝前台湾総統の「2007年世界情勢」。中身は拙HPでもダイジェストしたが、分析の基幹にあるのが「イラクの泥沼にはまった米国」である。
「イランの暴走を許し」、「北の核武装を容認し」、もっとも裨益したのはロシアと中国という情勢認識は拙著の基調と李総統の世界認識は共通する。

 さて、藤井さんは経済をカバーする論客だけに国債暴落の問題、人民元の変動問題にも触れ、表面的な北京五輪の背後に隠れている危機の数々を的確に剔っている。
 最悪のシナリオは米国に民主党政権、台湾には統一派の馬英九政権。日本はこの時期に大量に発行した国債償還を迫られる。

 さてさて、本書には特色ある分析が数ページある。
 これを特筆紹介しておくのは価値のあることに思われる。
 本書137p「日本を欺く親中派高級エージェント その1」。
 中国が使っている語彙「東亜共同体」を、そのままオブラートに包み込まずに使用して、グローバリズムの文脈で煽ってみせる寺島実郎氏は「我が国を米国一辺倒であると非難したり」しつつ、「反日米同盟の姿勢を一貫して続けている」が、氏は「不条理」の中身をぼかし、結果的に左翼に裨益するような論理展開をしている。
「寺島氏が日本企業を中国に誘導する役割を狙っている」うえ、まったく氏の論理にでてこないのは、「中国が自由も民主も人権も環境政策もない『ファシズム国家』であるという」事実であり、つまり「独裁国家の内実に関しては一切を黙殺するという狡猾さ」があると指摘している。

 本書141p「日本を欺く親中派高級エージェント その2」
 『ウルトラダラー』を書いて作家の仲間入りを果たしたのが手嶋龍一氏(元NHKワシントン支局長)だが、手島のいう「北が精巧なニセドルをつくる技術はなく、これはCIAの謀略ではないか」という推測。ついでに米国と裏取引が成立していて、というフィクション。
この出典は外国の情報にあるという。
 創作のことはともかく、手嶋氏は自覚してか、自覚なしかはともかくとしても、日米離間を巧妙にしかける側に与し、「あまり親中派であることを表に出さずに、氏のいうところのインテリジェントな外交ジャーナリストを演じている」のではないか、と藤井さんは本質的な疑惑を提示している。



   ♪
高貫布士『暴走する中国軍』(並木書房)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 中国の軍拡は毎年二桁の増大ぶりで、しかも十九年連続である。
これは江沢民前国家主席が軍事委員会主席を兼ねたものの、江沢民には軍歴がなくて、軍ににらみを利かせられない結果、軍の横暴を飲んできたからだと高貴氏はいう。
いまの胡錦濤主席も、おなじ程度に軍に影響力がないから軍の装備拡大要求は予算をほぼ認める。
だから人民解放軍はますます肥大化し、傲慢になり、やがて近隣諸国に戦争をしかける危険性がある。
 いまのところ経済成長がつづいているから問題はないが、北京五輪をおえたあと中国を襲う不況を打開するには、体内矛盾のすり替えのために対外的に軍事的冒険にでる確立が高い、と本書は言う。
 そのために台湾へ侵攻するか、日本の尖閣諸島を抑えようとするか。巻末にふたつのシュミレーションがある。

 さて本書のみどころは、しかしながら「どこか間抜けな中国軍」という箇所のほうだろう。
西側を越える武器を中国が果たして自主開発できるのか、どうかという根本の疑問に突き当たるのだ。
最新鋭ジェット戦闘機は中国“国産”と銘打たれた「殲10型」だが、鳴り物入りでデビューしたものの実物を見た人がすくなく、じつはイスラエルの技術である。
 ミサイル駆逐艦はソ連から。空母ヴァリヤーグはまもなくでビューするが、これはウクライナから曳航してくるときに信号電子系統をはずしているため、せいぜいがカジノホテルにしか使えないシロモノ。
 ともかく最新兵器を自分で生産できなければ、外国人技術者や外交官にハニー・トラップをしかけて、軍の機密を日本や米国から盗み出す。
 だから脅威だ。
しかし、盗み出した機密を使いこなして、実物を生産する産業的インフラが中国には整備されていない。整合性のない、間抜けな軍隊である側面が、本書には随所に指摘されている。

  ○◎み◎○や◎○ざ○◎き◎○ま◎○さ◎◎ひ○◎ろ◎○◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

(読者の声1) 貴誌(7月6日付け)1853号の(読者の声1)に、
「一昨年に海竜社から、『皇后陛下お言葉集 歩み』(宮内庁侍従職監修)が上梓されています(HN生、品川)」とあり、
(宮崎正弘のコメント)として「皇后様の歌集『瀬音』(せおと)は竹本忠雄氏の名訳でフランス語にも訳されております」
とでてきました。
その『瀬音』(せおと)を、フランスから一時帰国した友人が土産としてプレゼントしてくださいました。

海陸のいづへを知らず姿なき
  あまたの御霊 国護るらむ

改めて靖国に眠る英霊を「みたままつり」で慰霊しなくてはと思います。

神まつる昔の手ぶりまもらむと
    句祭に発たす 君をかしこむ

いかにも、三島由紀夫さんの講演会で講演なすった竹本先生ならの選句。
妃殿下の達筆な毛筆での一句は、

葉かげなる天蚕はふかく眠りゐて
   櫟のこずゑ 風渡りゆく

ことし何かと話題の硫黄島を詠んだ

慰霊地は今安らかに水をたたむ
    如何ばかり君ら 水を欲りけむ

写真ではおちいさい頃から現代までのお姿。ご出版なされたご本、先のメルマガでご紹介のあった「あゆみ」も。
日本女性の素晴らしさを、お歌から汲み取ってくださるフランスのたマダムたち。フランスに在住する日本女性の多くが、より気高く気品ある生き方をと、心にちかったと聞きます。
竹本先生の翻訳でフランスの方に妃殿下の素晴らしさを理解していただけた事は日本への理解を深めていただけると在住者にとっては大きな援護射撃になったことでしょう
 竹本先生の、講演を伺ったときから手に入れたいと願った1冊でした。
友の厚い友情に感謝しつつ、日本女性として「凛」とした生き方をしていかなくてはと思わされたご本でした。
   (FF生、小平)


(宮崎正弘のコメント) 『SEOTO』には日本語原文が併載されているようですね。

                ◎○◎○◎             
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ♪
<< 宮崎正弘の新刊 >>
 『世界新資源戦争』
 世界の新しい資源地図を精密な地図を附録に、資源戦争の実態を網羅。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4484072181/ref=pe_pe_2102_5114352_pe_snp_181
(アマゾンの発注は上記サイトへ ↑ 全国主要書店、一斉発売中)
定価1680円(阪急コミュニケーションズ刊)。

♪♪
<< 宮崎正弘のロングセラーズ >>
 『2008 世界大動乱の予兆』 (並木書房、1680円)
『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
 『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
 『拉致』(徳間文庫)
          ◇ ◇ ◇   
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(休刊のお知らせ) 小生は7月19日から30日まで海外取材のため休刊となります。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宮崎正弘の新ホームページ http://miyazaki.xii.jp/
 ♪ ( 新ウェブサイトに移転しております ↑)
◎小誌の購読は下記サイトから。(過去4年分のバックナンバー閲覧も可能)。
http://www.melma.com/backnumber_45206/
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2007 ◎転送自由。ただし転載は出典明示のこと。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

最新の記事

ブックマークに登録する

TwitterでつぶやくLismeトピックスに追加するdel.icio.usに追加Buzzurlにブックマークニフティクリップに追加Yahoo!ブックマークに登録記事をEvernoteへクリップ
My Yahoo!に追加Add to Google

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

登録した方には、メルマ!からオフィシャルメルマガ(無料)をお届けします。


この記事へのコメント

コメントを書く


上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。
コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  1. 寺島実郎てらしまじつろう財団法人 日本総合研究所会長、そして手嶋龍一(てしまりゅういち)元NHKワシントン支局長。なるほど、どちらも「ワシントンつながり」ですか。世の中に偶然はないですね。よく覚えておきます。いつもながら鋭い指摘です。お見事!大学生にはできる限り貴サイトを読んでほしいですね。必ず自分のため、日本のためになるでしょう。   講師

    講師 2007/7/11

このメルマガもおすすめ

  1. Japan on the Globe 国際派日本人養成講座

    最終発行日:
    2017/06/25
    読者数:
    13239人

    日本に元気と良識を。歴史・文化・政治・外交など、多方面の教養を毎週一話完結型でお届けします。3万8千部突破!

  2. 月刊アカシックレコード

    最終発行日:
    2017/06/15
    読者数:
    17020人

    02年W杯サッカー韓国戦の「誤審」を世界で唯一「前日」に誌上予測し、誤審報道を「常識化」した推理作家が、政官財界の分析にも進出し、宣伝費ゼロで読者19,000人を獲得。2009年9月から月刊化。

  3. 頂門の一針

    最終発行日:
    2017/06/27
    読者数:
    5712人

    急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。

  4. 甦れ美しい日本

    最終発行日:
    2017/06/24
    読者数:
    7042人

    日本再生のための政治・経済・文化などの発展・再構築を目的とし、メールマガジンの配信を行う

  5. 斎藤吉久の「誤解だらけの天皇・皇室」

    最終発行日:
    2017/06/27
    読者数:
    2859人

    君主制の国は少なくありませんが、神話の世界につながるほど古く、1つの王朝が連綿と続くのは日本の天皇だけです。天皇は何をなさっている方なのでしょう。知っているようで意外に知られていない天皇・皇室の世界を、日本人の精神史の語り部が事実に基づいてお話します

発行者プロフィール

宮崎 正弘

宮崎 正弘

http://www.nippon-nn.net/miyazaki/

国際情勢の裏情報を豊富なデータと人脈から解析してゆく。独特な方法と辛辣な批判精神によるニュースの裏側で織りなされている人間模様に興味を持つ。筆者の人生観と執筆を継続する動機の基軸は同じ。ホームページは http://miyazaki.xii.jp/

過去の発行記事