国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2007/06/20


●小誌総発行部数808万部突破!  ●登録読者9300名(6月20日)

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 6月21日(木曜日)  
通巻第1841号  (6月20日発行)
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 グアンタナモから釈放された五人のウィグル人たちは、いま
  アルバニアを訪問したブッシュ大統領に、かれらは直訴を考えていた
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 昨年五月頃、米国はウィグル人を五人、ひそかにグアンタナモ基地から開放し、アルバニアがかれらの「亡命」を受け入れた。
 中国は引き渡しを要求したが、嘗て最大の親中派だったアルバニアは、いまや最大の親米国家。やんわりと引き渡し要求を拒絶した。
 かれらはいずれ新彊ウィグル自治区へ舞い戻り、反中国運動を地下で展開するかに予測された。

 結論から先に書けば、かれらはアルカィーダでも、東トルキスタン独立運動の活動家でもなかった。新彊で職が無く、有利な就労をもとめて国境を越え、いつの間にか「うまい職場がある」と騙されてアフガニスタンのトラボラ地区へ潜入、そこで軍事訓練を受けていたのだった。

 アルバニアの首都はティアナ。
 永らく独裁で閉鎖的で孤立していたアルバニアは、アドリア海に面する海上交通の要衝でもあり、対面のイタリアへの密航が絶えない場所としても知られた。
 イタリアの政治家は「軍艦を派遣して密航船を海に沈めろ」と選挙で訴えた程だった。
 じつは、このルートが中国人のヨーロッパへの密航ルートだった。

 環境は一変する。
 ユーゴスラビアがチトー独裁と冷戦の頸城から解き放たれ、六つの民族国家に分裂した。コソボ問題、ボスニア問題でNATOは反セルビアとなり、距離的にEUに近いアルバニアは、この動きに便乗した。
アルバニアは自由化され、逆に中国との旧来の異常な関係は「正常化」する。
 アルバニアは米国に接近する路線に転換したのだ。

  
 ▼グアンタナモ基地では虐待も拷問もなかった


キューバのグアンタナモ基地では「アルカィーダ」と見られる捕虜が40名ほど収容された。
 連日の取り調べ。
 それが四年間つづいた(凶悪犯などは、現在も収監されている)。かれらはトラボラ近くにいて、米軍の空爆が始まった2001年10月に、慌ててパキスタン領内へ逃げ込んだ。
 そこでパキスタン官憲によって米軍へ引き渡された。およそ40名近くが、おなじようにして、グアンタナマ基地へ運ばれた。

 その結果、ウィグル人で「過激派」でも「アルカィーダ」でもない、活動家でさえない人々が混ざっていたことが判明し、米国はひそかに外交ルートを通じて、最初に容疑が晴れた五人の「亡命」受け入れを打診してきた。
 米国の打診は百カ国に及んだが、最後にアルバニアが受け入れた。
 ほかに「容疑」が晴れたウィグル人がすくなくとも十五人から十七人いる、という。

 五人のウィグル人はアルバニアの「難民センター」に収容され、宿舎は警備が厳重で、そのまま、何もすることなく、およそ一年間を過ごしてきた。

唯一の楽しみは毎月支給される30ドル前後の小遣い、これを新彊ウィグルにいる妻や子に電話をかけて使い果たしてしまい、コーランを読んであとは高い塀と壁の中で孤独と闘っている。
 「彼らを支配しているのは絶望でしかない」とアルバニアへ取材へ飛んだNYタイムズの記者が書いている(IHT、6月11日付け)。

  今月初旬にアルバニアを訪問したブッシュ大統領に、かれらは直訴を考えていた。
 ようやく首相府へ外出が許され、米国のアルバニア人コミュニティへの移住を希望する旨を伝えたが、ブッシュ大統領との会見はなかった。

 彼らは、もうひとつ重要な証言をしている。
 それは「グアンタナモ基地では虐待も拷問もなかった」、と。
  
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(読者の声1) ”大政治学者”を標榜している櫻田淳氏が6月20日付けの自身のブログで、ワシントン・ポストへの掲載に至った慰安婦問題についての日本人有志による「事実広
告」に対して以下のように述べています。

(引用開始)「この意見広告が本当に決議採択に向けて「寝た子を起こす」効果を示しのたかは、まだよく判らない。
 ただし、件の意見広告には、「占領後の日本で慰安所が開設された」という趣旨の一文がある。問題の記述は。以下の通りである。

 実際、一般市民の強姦を防止するため多くの国が軍用の売春施設を設置していた。(例えば、1945年、占領軍当局は日本政府に対し米軍兵による強姦を防止する目的で衛生的で安全な「慰安所」を設置するよう要請していた。)
  Many countries set up brothels for their armies, in fact, to prevent soldiers from committing rape against private citizens. (In 1945, for instance, Occupation authorities asked the Japanese government to set up hygienic and safe "comfort station" to prevent rape by American soldiers.)

 雪斎は、「馬鹿なことを書きおった…」と率直に思った。
それは暗に米国に対して「お前にも、身に覚えがあるだろう」と噛み付くのと似た印象を与えるものになったかもしれないからである。
説得し共感を得ようとする人々に対して、わざわざカチンと来るような物の言い方をする馬鹿はいない。
 この意見広告を報じた日本のメディアは、産経新聞を含めて、この「反米」的記述のことを紹介していない。だから、「保守・右翼」層には、意見広告発表に快哉を叫ぶ向きが多かった。「遂に日本も反撃だ・・・」という気分の反映であろう。
 しかし、日本の「自主独立」を何よりも切望する「保守・右翼」層には、「反米」的気分が抜け切らない。その「反米」的気分を反映した一言が、この意見広告の総ての意図をぶち壊した。
「正しいこと」を言ったつもりでも、言い方が拙ければ、その価値はゼロである。時事通信記事が伝えたとおり、この意見広告が慰安婦決議案採択への動きを加速させたとすれば、その最大要因は、この「反米」的記述への反発であろう。愚かというしかない。
 (引用止め)

上の「馬鹿なことを書きおった・・・」の件りを読んで、櫻田氏こそ、馬鹿なことを書き付けたものだと思いました。
「愚かというしかなく」とは、櫻田氏自身でしょう。  これで同氏の大政治学者への道は自ら崩落させた芥で通行止めとなり、清沢烈などの列に連なりたいとの望みは断たれたのです。
 米国がこの「事実広告」にカチンときたにしても、対日謝罪要求決議案を米下院で採択させたら、その行為への強烈なしっぺ返しをアメリカ自身が受けることになります。
一大汚点を米国と米国議会はその歴史に残すことになるでしょう。戦争時の戦場で何が行われているのか、それに付随してどのような所業がその周辺で生起しているかは、万古不易です。 
 
成熟した国の人々なら熟知しています。 
浅薄な正義感や理念で世界を律しようとしても、衰えつつある国力では無理です。 その理念を世界は受け付けません。 一部の日本人はそんなアメリカに危惧を覚え、励まそうとしているのです。 
目覚めよ、アメリカ! アメリカが目覚め正しい方向性をとらないことにはシナ大陸やユーラシア大陸の邪悪な勢力に対抗してゆけず、呑み込まれて、日本はそれらに隷従することになります。

55年間続いた日米同盟はこれからも形を変えても継続すべきものと観念しますが、今のようなアメリカでは再考せざるを得ません。 
功利主義と合理主義、そして競争主義に彩られた教育を受けたアメリカ人の心は日本人以上に蝕まれ、浅薄になり、誤った信念や理念の中を漂流しているようです。 対日謝罪要求決議案の採択がなかなか進まずにいたので、在米韓国人団体だけでなく、本当に米社会の裏で糸を引いて工作していた在米華人がいたたまれず、表面に躍り出て、採択を促す行動に出たのが真相です。
「事実広告」の一部を拡大して論じる櫻田氏の力量にはすでに限界があります。
    (HN生、品川)


(宮崎正弘のコメント)いつの世にも軽薄な論者という種族はいる者ですが、これはお粗末に極みですね。 


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(読者の声2) 過日、宮崎さんの講演を都内に滞在していたときに、初めて訊きました。
まさに目から鱗の連続で、お恥ずかしき限りですが、それまで御著書を読んだことがなく、この一ヶ月ほどで過去に宮崎さんが書かれた五冊ほどを拝読しました。
また、ホームページを隅から隅まで拝読し、その視野の広さと情報量の豊かさ、なによりそれらを土台に現代世界をばっさばっさと斬り捨てる手法の鮮やかさに感心しました。
 とりわけHPで、宮崎さんの西尾幹二氏『江戸のダイナミズム』の書評を拝見したとき、膝を打つこと数回。なるほどこれは当該作品を書評されながら、じつは「西尾産の白刃が鞘に収まらず、つまりは知行合一の陽明学にこそ、その白刃が収まるのではないか」という的確な西尾評ではないか、とおもった次第です。
 教えられること多く、このメルマガが無料なんて、殆ど信じられないくらいです。
      (YJ生、岩手県)



(宮崎正弘のコメント) どの講演会をお聞きになったのか分かりませんが、講演では90分くらいのなかで、全てを網羅することは難しく、そのあとで拙著に当たられた由。それが一番理解していただけます。有り難う御座いました。



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(読者の声3) 貴誌のコメントですが、私は立花隆『天皇と東大』を読んでそれなりに面白い本だと思いました。
平泉澄教授に関する記述はあまりに一面的で、他のいわゆる皇国史観批判と同じですが、私が興味を持ったのは戦前の東大経済学部紛争から昭和13年の平賀譲総長による「平賀粛学」に至る経緯で、これまでよく分からなかった部分がはっきりしたと感じました。
戦前の東大経済学部は大内兵衛の左派(マルクス主義派)、河合栄治郎の自由主義派そして土方成美の右派(統制経済派)の3派が入り乱れて泥沼の紛争状態にあったが、それも実態はイデオロギ−による争いというよりも教授人事争いや大学内における権力闘争でした。
例えば河合栄治郎派を追い落とす為に、天敵である筈の大内兵衛と土方成美の左右両学派の頭目が野合を図るなど信じられない様な状態があった。
結局、平賀総長が左右両成敗という形で粛学を断行して事態は沈静化したという経緯です。
『天皇と東大』ではこの辺りの経過が山崎豊子の『白い巨塔』も顔負けの面白さで描いています。
私の亡父は昭和17年東大経済学部に入学し、当時花形だった大河内一男助教授のゼミに入りました。大河内一男氏も元々河合栄治郎門下だったのが、平賀粛学の後転向し、戦時中は戦争遂行の為に社会政策の重要性を説くいわゆる「総力戦理論」を提唱し、軍部からも高く評価されていました。
また我々が学生時代にご教示を頂いた早稲田の難波田春夫教授も戦前は土方成美の一番 弟子として、平賀粛学のあと一時は東大に辞表を出し(当時は講師)たものの結局大学に残り、戦時中は国家社会主義経済、統制経済の主唱者として東大経済学部の花形助教授として活躍されました。
父の思い出話によれば、当時難波田春夫助教授の授業には他の学生も押しかけて人気絶頂のスタ−学者だったそうです。
大河内一男氏が後年東大総長まで上り詰め(もっとも東大紛争の時にはお気の毒でしたが)、難波田春夫氏が早稲田でひっそりと晩年を過ごされたことなど、人生の浮き沈みを感じさせます。
   (武蔵国分寺住人改め「武蔵杉並住人」)


(宮崎正弘のコメント) つまり部分的に面白い箇所があるというご指摘であるとすれば、そうかも知れません。ただ小生は、立花の著作は読もうという意欲が最初から湧いてこないのです。大江健三郎や小田実に対して読む気力が起こらないと同様ですね。

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 名古屋周辺の読者の皆さんへ

7月1日(日)、宮崎正弘が名古屋で講演します。
   テーマは「覇権主義国家中国に如何に立ち向かうか」

■日 時:7月1日(日)午後2時〜4時30分(1時30分開場)

■会 場:名古屋クラウンホテル 7F 欅の間(朝日新聞社南側)
     地下鉄伏見駅7番出口より西進、朝日新聞社左折
■会 費:1000円
■懇親会:希望者のみ(会費:6,000円)16:30〜18:30

■申込み:日本李登輝友の会愛知県支部(略称:愛知李登輝友の会)
     詳しくは下記サイトで  
http://www5c.biglobe.ne.jp/~n-aichi/ibent/ritouki2007.htm
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(休刊予告) 小誌は宮崎正弘が海外取材および地方講演のため6月24日から7月3日まで休刊です。(途中、6月30日付けを一回発行予定です)。
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<< 宮崎正弘の近刊予告 >>
 『世界新資源戦争――中国、ロシアが狙う新・覇権』
 世界の新しい資源地図を精密な地図を附録に、資源戦争の実態を網羅。
(30日に全国主要書店、一斉発売、定価1680円。阪急コミュニケーションズ刊)。

<< 宮崎正弘のロングセラーズ >>
 『2008 世界大動乱の予兆』 (並木書房、1680円)
 http://www.namiki-shobo.co.jp/

『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
 『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
 『中国よ、反日ありがとう』(清流出版)
 『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『拉致』(徳間文庫)
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宮崎正弘の新ホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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http://www.melma.com/backnumber_45206/
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  • 名無しさん2007/06/22

    6月19日の産経新聞によるといわゆる慰安婦決議案が26日午前に米国下院外交委員会で採決されるそうである。

    外交の基本、相互主義からいえば日本の国会の委員会でもアメリカの戦後の慰安婦提供強要についての決議案を採択すべきでなないか。

    さらにアメリカに対しては半世紀以上前のことより現在目前の中国の軍事的、経済的脅威を喚起すべきではないか。