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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

発行日:6/14



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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 6月15日(金曜日)  
通巻第1836号  (6月14日発行)
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 この「戦争の犬たち」の陰謀話はできすぎていないか?
  米国へ亡命した「モン族」の元将軍らが武器を調達し、ラオスでクーデター計画
****************************************

 その昔、フレデリック・フォーサイスが書いた『戦争の犬たち』は傑作中の傑作である。
 傭兵が掻き集められ、アフリカの或る国で軍事クーデターをおこす。背後に欧米多国籍の資源会社、亡命してきたおっちょこちょい現地人エリートでプレィボーイを「飾りの」大統領にして、当該国の資源を独占するため、戦争のプロたちに「仕事」を依頼したのだ。
作中「ザンガロ」とか架空の国名がでるが、舞台のモデルはナイジェリアだろうと言われた。
 戦争のプロ達はクーデターに成功するが、土壇場で「おっちょこちょい」もついでに射殺し、牢獄にいた反政府活動家の男を大統領にする。
多国籍企業の野望も、亡命者の野心の潰え、戦争の犬たちは社会正義を断行するという物語。
 
大ベストセラーとなった『戦争の犬たち』は、二転三転のストーリィの面白さがあって、映画にもなって世界でヒットした。
フォーサイスはその印税を元手にして、なんと、自分でもセイシェルズの腐敗政権転覆を企図し、傭兵を掻き集めていた。
 決行直前、セイシェルズの飛行場で武器が発見され、南アフリカの傭兵ら「戦争のプロ達」は捕まって、計画は頓挫した。この話は本当にあったことである。

 さて、現代版、傭兵による軍事クーデター計画があった。
 舞台はアメリカ、目標はラオス。

 NYタイムズが伝えるところに依れば、米国に亡命していた「モン族」の元将軍らが計画し、米国の元大佐らが武器調達に絡み、ロケット発射機、対戦車砲、機関嬢などをタイへ陸揚げして、ラオスへ攻め込むというプロットだった。
 「二月初旬から頻繁にカリフォルニア州の州都サクラメント近くのタイ料理屋に集合し、武器の点検が行われた。しかし武器調達の過程で秘密が露見し、米国で彼らは起訴された」(6月7日付けヘラルドトリビューンなど)。
 武器は運搬中にハイウエィパトロールに見つかり、押収された。

  主謀者はバン・パオ元将軍。ラオス王室陸軍を率いた。現在77歳。米国で「ラオス政権の腐敗」を告発し、民主化を要求する運動の中心人物でもある。

 モン族はベトナム戦争中、米国が部族対立を利用して武装ゲリラに訓練し、米軍の尖兵につかった。
 ラオスは「ホーチミン・ルート」の要衝であったため、北爆の主要目標とされ、いまも不発弾があちこちに残る。


 ▼ ベトナム戦争後、14万余のモン族は米国へ逃げた


 米国の敗戦、モン族はラオスを支配した共産主義者によって虐殺されたが、多くは米国へ亡命した。王制は廃止された。
 三島由紀夫『文化防衛論』の予言通りになった。

 1976年、タイへ避難したモン族はおよそ30万人。
そのうち145、000人が米国へ渡った。
米国はベトナム敗戦の責任をとって、南ベトナムの反共政権関係者同様に、モン族の亡命を大量に受け入れたのである。

 ラオスの近代化とともに、昨今、ラオスへもどるモン族が目立つようになった。昨年、筆者もラオス各地を旅行したが、モン族が故郷に戻っているのである。
 或る集落ではどぶろく酒をつくり、鶏を飼い、特有のまさかり形のナイフで料理をしていた。
 ようやくモン族の集落に活気が戻り、平和が回復された。かに見えた。

 このバン・パオ将軍らのクーデタ計画は、在米モン族のコミュニティをゆらした。
 米国はカリフォルニア州とミネソタ州に数千、数万人単位のモン族だけの亡命集落がある。
 その後、米国で生まれたモン族の若い世代、その子らもいる。州議会の議員になったモン族二世もいる。

 そのコミュニティが受けた衝撃とは、
いまだに共産主義体制を認めない、モン族の愛国者がいた! という事実。
しかしアーカンソー州のモン族集落では「せっかくアメリカ人になりきろうとしていう二世三世がいるのに!」と不安を口にする若い世代も多いという。

 一方、ラオスではせっかく帰国した祖国で、ふたたびモン族がラオによって虐待されるかもしれないという恐怖が拡がる。


 ▼むしろモン族の喪われるアイデンティテイの恢復を目論んだのではないか


 いったいバン・パオ将軍はなにが狙いだったのか。
980万ドルの資金はラオス・アメリカ人から集めた。ラオスに民主政権を!が謳い文句だった。
 米国はとうにラオスの民主化を諦め、ベトナムと修好した。
 パオが77歳の老骨に鞭打って提議した問題とは、クーデターの成功を或る程度は夢見たにせよ、現実にはアイデンティテイを喪いつつある在米モン族への精神の恢復を訴える目的があり、衝撃的諌言を意図したのではないのか。

 ベトナム戦争の後遺症は30年後のいまも、明確に残っている。
 
     ○◎み◎や○◎ざ◎き◎○ま◎さ◎◎ひ◎ろ○
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(休刊のお知らせ) 小誌は6月17日から19日を休刊します。地方講演旅行のため。
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発行者プロフィール

宮崎 正弘

宮崎 正弘

http://www.nippon-nn.net/miyazaki/

国際情勢の裏情報を豊富なデータと人脈から解析してゆく。独特な方法と辛辣な批判精神によるニュースの裏側で織りなされている人間模様に興味を持つ。筆者の人生観と執筆を継続する動機の基軸は同じ。ホームページは http://miyazaki.xii.jp/

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