宮崎正弘の国際ニュース・早読み
2007/05/18
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成19年(2007年) 5月18日(金曜日)
通巻第1800号
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中国のアキレス腱を鋭利についてきた米国機関投資家
最大の投資信託「フィデリティ」が中国石油株を売却、バフェットも続く構え
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全米最大の投資信託フィデリティは、資産の巧みな運用で知られ、近年は中国の株式購入にも余念がなかった。
スーダンのダルフールの虐殺が露見して、非人道的な措置に国際的な非難を浴びているが、そのバシル政権に対して、中国が公然と武器を輸出し、残忍な独裁体制を支援し、あろうことかバシル大統領官邸を建てるとまで言っている。
欧米はスーダンよりも、中国非難の大合唱を再び開始した。
米国議会の108名は連署で中国に警告の書簡を送った。
有力紙「ボストン・グローブ」は社説で、「北京五輪を“ジェノサイド競技会”と呼ぼう」と書いた。
(同紙と連携する朝日新聞の社説は?)
ハリウッドではリチャード・ギアらが立ち上がり、スピルバーグ監督も北京に警告を発した。スピルバーグは北京五輪の芸術顧問であるのに!
議会の一部には北京オリンピックのボイコットを訴える声もある。
(平山画伯、この動きをどう見ますか?)
フランスでは温家宝首相が国会で演説をしたおりに、多くの国会議員が背を向けて立っていた。
独裁国家、人権無視の国からきた指導者に“神聖なる国会”の場を貸すとはなにごとか、という抗議も含まれていた。
日本の国会は温首相の演説に拍手する手合いもいた。欠席して抗議の意をしめしたのは小泉前首相くらいだった。
米国の議員連盟のように北京に抗議文を送る議員が不在、これでは中国から軽蔑されるのがオチだろう。
さてフィデリティである。
同社は世論に敏感である。
保有していた「中国石化」(ペトロチャイナ)の株式の大半を売却した。スーダンで石油を採掘し、輸入しているのは、この会社である。
フィデリティが保有していたペトロチャイナ株は、じつに11億ドル(香港時価総額)の38%。
投資専門ファンド「バークシャー・ハザウェイ」を率いる「投資の神様」こと、ウォーレン・バフェット(世界最大の資産家のひとり)は、同じくペトロチャイナの保有株を売却する動きを見せている。
五月五日の株主総会では、「いま儲かっている株式を売却するとは何事か」と反対が多くをしめたため売却を見送ったが、全米での中国非難が高まる環境では、いつまでの資本の論理が優先する筈はないだろう。
ブルームバーグ・ニュース(5月17日付け)によれば、中国が新しくスーダンで掘削している石油は貳箇所、一日40万バーレル。
中国石化はハルツームに拠点を置き、マレーシア国営「ペトロダルス」と合弁で、ポート・オブ・スーダンから1400キロの現場でも20万バーレルを掘り当てたという。
昨年から紅海へ送油を開始している。
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(読者の声1) 貴誌1798号の記事に関して。
「面白い情報は中国にあるとばかり、外国大手は北京、上海支局を拡充して東京が空洞化。外国メディアで東京に残ったのは現地採用組と、東京在住組をのぞけば、あたかもイエロー・ペーパーのように質の悪い記事を垂れ流すノリミツ・オオニシ記者が象徴するように二流の記者が目立つようになった。失業は目の前である。東京にいる外国人特派員にとって、明日の失業が懸念材料となった。」
じつは小生は有楽町にある外国人特派員倶楽部の会員です。
よく利用しますので、実態を知っております。まことにご指摘の通りで、『日本外国特派員協会』はそのクオリティにおいて危機に瀕しています。
名もない外人フリーランス記者が跋扈し、金がなくてライブラリーのソファに寝泊りしたり、No Smoking・携帯使用禁止・Be Silent」などのルールを平気で破るのは、二割に満たないレギュラー会員である外人ジャーナリストです。
日本人が大半を占めるアソシエイト・メンバーは、レギュラーより高い会費を払わされ決議権を持たされず、不当な扱いをされています。
彼らしか使えない端末・座席・スペースがあり、進駐軍意識が未だに抜けないようです。
最近、日本人のマネージメント・スタッフを解雇しかけたので、 アソシエイト会議で抗議文を配り、職権濫用と大ブーイングしました。
外人記者らは打ち合わせと称して盛んに飲み食いしているのに日本人スタッフの使う経費には異常に厳しいのです。
そんな日本人苛めの暇があったら「外を飛び回って取材でもせよ」と思います。
(有楽生)
(宮崎正弘のコメント)小生は誘われても、あの倶楽部へ入会しないのは、第一の理由がそれです。一時は講演したので、一年間「名誉会員」のメンバーでしたが(苦笑)。
第二の理由はあそこで食事をするときは相手がかならず会員だから、小生が入会する必要性がないからです。
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(読者の声2) 貴誌1799号に掲載頂きました拙文のエッカート著『日本帝国の申し子』についての弊投稿の補遺です。
同書の中で朝鮮人とナショナリズムについて次のように述べられていて、なかなかの卓見であると思いますので、少々長くなりますが、掻い摘みつつ引用します。
(引用開始)
「朝鮮の学者は南北を問わず、ナショナリズムという見地から朝鮮の歴史を説明しようとする。
しかし朝鮮におけるナショナリズムは歴史が浅く、19世紀後半に帝国主義への反動から生まれ、植民地統治の経験を経て強まったものである。 ・・・。
19世紀後半までは、国家としての「朝鮮」という概念や、同じ半島に住む同胞の「朝鮮人」に対する忠誠心はむしろ希薄だった。
それよりはるかに強かったのは、王に対する忠誠心に加えて、村や地域、そして何よりも氏族、家系、肉親、血縁集団への帰属意識だったのである。
とくに支配階級にとっては、ナショナリズムという概念はなじめないどころか、野蛮なものにさえ映ったことだろう。
少なくとも7世紀以降、支配階級は文化的にはみずからを朝鮮人というより、中国を中心とする大きな世界文明の一員と考えていた。
朝鮮の王位は、かたちのうえでは中国の皇帝によって与えられる地位であったし、・・・ 中国文化に触れないことは野蛮人となるに等しかったのである。 ・・・ 外国に対するこのような崇拝と服従は、朝鮮の支配階級に存在しえたかもしれない民族意識を大いに弱めるところとなった。
・・・ 1876年以降、ナショナリズムが成長する一方で、みずからのアイデンティティを異文化の枠組みのなかに見出すという支配階級の伝統は、植民地時代にも引き継がれたようだ。
彼らは文明の中心を中国から日本におきかえ、日本を朝鮮の「兄」とみなした。
そのプロセスは、中国の世界秩序が崩壊のさなかにあった19世紀後半にすでに始まっていた。
支配階級のなかの革新派は中国に見切りをつけ、新たな世界文明の模範として西洋と日本に目を向け始めたのである」(引用止め)
故坂本多加雄氏にも儒教思想に絡めとられた朝鮮人の癒し難い心性を穿った文章がありました。
朝鮮人は朝鮮という民族意識は希薄で、”中国を中心とする世界文明の一員と考え”ることが幸せな人々のようです。
日本人には想像し難い朝鮮人の意識です。
ならば朝鮮人が龍のごとく昇っている今の中国に再び靡くのは理の当然で、彼らにとり日本人は、再び夷荻として蔑むべき存在となるようです。
そうならば日本は距離を置いて相対すべき人々と観じるべきです。
(しなの六文銭)
(宮崎正弘のコメント) 懐かしき学者の名前が出てきました。坂本多加雄氏。
短い付き合いでしたが、小生にとっては彗星のような存在でしたね。坂本門下の徳富蘇峰論も、過日聴いたばかりでした。
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(読者の声4)最近のNHKに危うさを感じる。番組の新陳代謝が滞り、活発に運営されているとは言い難い。
他局で問題になった「あるある大辞典」じゃあないけど、人気のある番組にも“旬”がある。
「紅白歌合戦」や「朝の連続小説」はもう耐久時間を過ぎて飽きられ、新しい企画を待っている。
海老沢氏も側近も辞職したと聞いていたのにいつの間にか“理事級の連中が”NHKに出戻って
しまっている。
政治家絡みなのだろう。
そしてNHKの中が停滞してしまっている。
昨年(2006年)の12月1日、小さな変化に気がついた。夕方の衛星第二テレビのローカルな別府の鉄輪(かんなわ)温泉を紹介するナレーターが(久しぶりに)ピーター・バラカン氏だった。
そして12月13日(水曜日)だった。
この日はNHKテレビの衛星第一「今日の世界」はドーハのアジア大会で時間がずれ、いつもより1時間早く9時から始まった。「当事者が語るソビエト連邦の崩壊、CIF創設の功罪」というテーマのナレーションがなんとピーター・バラカン。
練習する時間もあまりなかったらしくて、“いつもよりたどたどしかった”がNHKの人間でもないのになぜこんなニュース番組のナレーションに出てくるのだろうか?
NHKにはたくさんアナウンサーがいるはずなのに?
多分トップクラスの管理職が関与しているのだろうが解せない出来事だった。飛行機のパイロットが民間人をちょっとの間操縦室に入れて操縦させたくらいの出来事だと思う。
もう1つ気になることがある。
クリスマスの頃ベトナム旅行中だったが、現地時間でクリスマス・イヴの11時台、NHK海外放送ではピーター・バラカン出演の“ジャパノロジー”をやっていた。翌25日のクリスマス本番、朝6時台また同じ“ジャパノロジー” バラカン氏が同じ黄色のシャツを着ていたから同じ番組なのだろう。 あいだが7時間も空いていない。
つまり、夜更かし型の人間にも、早起き型の人間にもクリスマスにこの番組を“何が何でも”見せたいということだろう。
「ターゲットは海外に住む日本人と、日本語を学び日本に関心のある外国人」
(特にクリスマスと関係のある内容ではなかった。)
今では簡単に録画できる装置があるのにNHKワールドの時間と経費の無駄使いではないか!
“英語でしゃべらナイト”もパックン以外のレギュラーが入れ替わった。(日本人はハーバード大卒に弱いからね)。
この番組には惜しげもなくふんだんにハリウッドスターが出てくる。(つまりハリウッドの絶大な協力があるということね)
そしてこの番組の背景のアーチにはダビデの星の六角形が2つ。三点セットだ(三位一体という政治家もいるが)。と、思っていたらいつのまにかダビデの星のアーチはなくなっていた。
復活しないという保証はないが。
(TT生)
(宮崎正弘のコメント) 小生、NHKを殆ど見ないため当該の番組も人物も知らないので、ちょっとコメントのしようがありません。
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<< 桜チャンネルで三時間番組 >>
番組名:「闘論!倒論!討論!2007」
テーマ: 「世界は今どうなっている?」
==政治・経済・安全保障等々、様々な観点から、世界情勢全般について議論。
パネリスト(敬称略、50音順)
加瀬英明(外交評論家)、上島嘉郎(「正論」編集長)、田久保忠衛(外交評論家)、西尾幹二(評論家)、藤井厳喜(政治学者)、宮崎正弘(評論家)。司会:水島総(日本文化チャンネル桜代表)。
放送予定日:5月19日(土)21:00〜24:00
(日本文化チャンネル桜 SKY PerfecTV!Ch.241)
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<< 宮崎正弘の近刊 >>
『2008 世界大動乱の予兆』 (並木書房、1680円)
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<< 宮崎正弘のロングセラーズ >>
『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
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『中国よ、反日ありがとう』(清流出版)
『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
『拉致』(徳間文庫)
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宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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