国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2007/04/25


    
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年)  4月26日(木曜日)  
通巻 第1788号 
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 「ノルド・ストリーム」(バルト海からEUへのガスパイプライン)への懐疑拡がる
   スエーデン、フィンランド、デンマークの沿岸三国は明確に反対を表明
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 そもそもこの“壮大な”というより“怪しげな”プロジェクトはプーチンの野心的資源欲望と、シュローダー前独首相の個人的欲望とが絡み合って、夢想から現実のプランになった。プーチン直系「ガスプロム」が動き出した。
 しかもドイツとロシアが中心のコンソーシアムの総裁に、なぜかシュローダーが就任した。ドイツのメディアは一斉に、シュローダーの不純な動機を書き立てた。

 「ノルド・ストリーム」は、もともと西シベリアに眠る膨大なガスを、EUへ輸出しようとする長い長いパイプライン構想で、2008年に工事開始、2010年にEUへガス輸出を開始するという突貫工事のスケジュールだった(「ノルド」はNORDIC)。

 関係諸国に拡がった懐疑、もしくは反対論とは?、

 第一にロシアに歯向かうバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)の沿岸を迂回し、この三国を経済的に締め上げる策略が、あまりに露骨。
くわえてポーランド海域も巧妙に迂回するルートが提示されているが、これはバルト三国がロシアを最初に離脱してNATOへ加わったことへの政治的復讐劇ではないのか、という疑念である。

 第二に、もし海底パイプラインができたと仮定した場合、バルト海の環境汚染問題に対策が何もなく、ましてや第二次大戦中に沈没した列強の潜水艦や戦艦が海底に沈んだまま。その爆弾、化学・毒ガス兵器の処理に関して、ロシア案には一切の言及がない。
 中国が、日本軍が「遺棄」したなどと難癖をつけた毒ガス兵器処理に関して、これから日本は2500億円から一兆円をむしり取られる。

 第三に自然保護。魚介類の生態系への不安。観光への影響である。
 フィンランドなどの反対理由のひとつは、「リゾート地のそばを、汚染されるパイプラインが通過するのは不安であり、将来の保障も明示されていない」。
 スエーデンは原始林、野生動物の宝庫といわれるゴットランド島、デンマークはボルンホルム島という観光地を抱える。
 

 ▼資源は国家安全保障の文脈で考えるべきではないのか?

 第四によもや完成しても、工事費があまりに膨大なコストになるため、EU諸国の消費者が高いガス代金を負担しなければいけない。
欧州投資銀行(EIB)は、融資の意思を一度も明らかにしたことはない。ばかりかたとえ融資要請があっても猛烈に嫌がるであろう、と国際金融筋。
 ユーロトンネルは完成しても費用対効果でみれば、観光客がそれほどでもなく、やがて会社更生法を申請したように、コスト割れが目に見えているのではないか。

 第五に当初予定された西シベリアからのガスがバレンツ海近辺のガス田(シュトクマン鉱区)からの供給予定にと、「ガスプロム」からの提案がいつの間にか切り替わっており、ということはシベリアの埋蔵量は、発表された予想量をはるかに下回る懼れがあることも露見した。
 まして代替鉱区として急浮上のバレンツ海シュトクマン鉱区は2014年から本格生産の予定である。2010年の青写真にさえ間に合わないではないか。

 第六は鋼管、輸送、ポンプなど技術的な問題がある。
専門筋は「海底に敷設されるパイプライン(鋼管)の質が問題ではありませんか? 全てをロシア製でまかなうとして、国際入札を予定していない。ロシア製のパイプラインが、海底の水圧に耐える? いや何年耐えることが出来るか。爆発事故、漏洩事故そのほかで、海域の汚染が最も心配です」という。

 第七は、もっと大局的戦略的な懐疑である。
 つまりEUは、ロシアというもっとも信頼のおけない供給元に、ガス資源を今以上に一元的に依存することは国家安全保障上、初歩的なミスではないのか、という随分とまっとうな国際政治学的な、地政学的な懐疑と疑問なのである。
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● (休刊のお知らせ) 小誌は明日4月27日から5月6日まで休刊です。
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(読者の声1) 朝鮮総連(= 北朝鮮の代弁機関)は機関紙「朝鮮新報」(4月23日付ネット配信)で4月17日に日本外国特派員協会であった慰安婦問題について次のように報じています。

(引用開始)「旧日本軍の「慰安婦」強制動員 証明文書を確認」
「旧日本軍が「従軍慰安婦」を強制動員していた事実を示す資料の存在が確認され
た。関東学院大学の林博史教授が、東京大学社会科学研究所図書館所蔵の資料から
発掘した。今回確認された資料は極東国際軍事裁判(東京裁判)にオランダ、中
国、フランスの検察団が提出、受理された公文書で、日本海軍情報機関の軍属に対
する訊問調書(46年3月13日付)、日本陸軍中尉の陳述書(46年1月13日
付)など7点。これらの資料からはインドネシアのジャワ、ボルネオ島(カリマン
タン)、モア島、東ティモール、中国、ベトナムで旧日本軍が「従軍慰安婦」を強
制、動員した事実がありありとうかがえる。
 17日、林教授をはじめ同教授が事務局長を務める「日本の戦争責任資料セン
ター」(以下センター)の吉見義明共同代表(中央大学教授)、西野瑠美子幹
事(「女たちの戦争と平和資料館」館長)らが日本外国特派員協会で記者会見を行
い、資料の内容を公表した。
 これまでも、日本の国内外で「従軍慰安婦」強制動員関連資料が数多く確認され
てきたが、今回の資料が注目されているのはその作成過程だ。
 資料で明らかにされている「従軍慰安婦」強制動員に関する証言は、民間レベル
で収集されたものではなく、日本の戦争犯罪を裁いた極東国際軍事裁判に、検察団
を派遣した各国の政府機関が作成した公文書であり、裁判では提出されたこれらの
資料が証拠書類として採択された。
 今回確認された資料は、サンフランシスコ平和条約11条で極東軍事裁判戦犯裁
判を受諾した日本政府としては否定できない性格のものだ。
 そのうち、日本海軍情報機関軍属に対する訊問調書(オランダ提出)には、日本
軍に拘束、抑留された現地(ボルネオ島)女性に、警備隊長(大尉)の命令で暴力
をふるい、衣服を脱がせ裸にさせたことが記述されている。女性を拘束した理由に
ついて尋問された軍属は、「淫売屋(「慰安所」)に入れるための口実を設けるた
めに警備隊長の命令でなされた」と証言している。
 周知のように、安倍首相は「慰安婦」に対する日本軍の関与を否定する発言を繰
り返しており、閣議では軍や官憲による「従軍慰安婦」強制動員の事実を否定する
答弁書が決定、採択された(3月16日)。
 日本の戦争犯罪の解明と過去清算のための活動を展開してきた林教授らセンター
の関係者は、今回の資料公表について「『慰安婦』動員に対する軍関与を否定する
動きが強まっている。これまでの研究を通じて得た成果が否定されてはならな
い」(林教授)と述べた。
 吉見共同代表は、安倍首相の一連の発言は被害者の名誉と尊厳を再び傷つけるも
のだと非難し、日本政府が「河野談話」から後退することは許されないと強調し
た。
 西野幹事は、被害者らが求めている「尊厳の回復」に日本政府が真剣に取り組む
ことを求めた(呉陽希記者)」(引用止め)。

「朝鮮新報」が、慰安婦研究者・活動家の吉見・林・西野三氏の会見記事で強調している点は、”発掘”された資料は各国の政府機関が作成した公文書で、所謂東京裁判で証拠書類として採用されたものだという点です。 
そこで犯罪として認定され、日本政府はサンフランシスコ条約11条で受諾しており今更否定できないというものです。
戦後の占領下開廷された極東国際軍事法廷の裁判管轄権の存否、戦勝国による一方的な訴訟指揮、証拠採用・対象案件・被告人選択の恣意性について、今更あげつらうまでもありません。

この方々が「日本の戦争犯罪の解明と過去の清算のための活動」をするのは自由ですが、資料の”発掘”を誇るなら、東京裁判の不当性・違法性に対する立論にきちんと反論しその正当性・合法性を立証すべきでしょう。 
そうしなければ彼らの立論は白ありが巣食ったもろい土台に新しい家を建てようとするようなもので、傾き崩れ去ってしまうのですから。

戦時中インドネシアでの日本軍人・軍属によるオランダ人女性への性犯罪は、軍の組織性を以って為されたものでなく一部の末端兵士らの違法行為であり、然るべく裁かれ処罰(処刑)されています。
きちんと法的処理をされており60年以上経って歪曲した非難をすることは正当といえません。会見を聴く限り、配られたハンドアウトを読む限り、林氏が”発掘”した資料や証拠は ”被害者”(慰安婦)や関係者(軍属)の証言のみで物的な証拠がないのです。
それに依拠する”判決”の信憑性や如何に、です。

吉見氏は、末端で官憲が直接手を下していなければ政府に責任はないのか、狭義の強制性 = 軍・官憲による暴力的拉致だけが問題ではない、旧刑法では甘言を使って騙して連れ出すことも同罪だったと論じ、慰安所制度は軍がつくり業者を手足として維持・管理させたと述べていました。 
それなら軍が組織的に指揮命令系統を通してそのようなことを行っていたことを物的証拠により立証すべきです。
慰安所制度自体性奴隷制、人身売買、誘拐、略取の上にたち、彼女らはなんらの自由がなかったとも述べていました。
しかし当時、慰安所は合法的な社会制度でした。  
それに関わる暗いことごとがあったと慨嘆なさるのは吉見氏の自由ですが、法的な問題があったかどうか物証を挙げて論じるべきです。
戦後、アメリカ軍は日本に上陸するなり、米兵による日本女性への強姦事件を数知れず起こし、GHQは 米兵への”慰安” の提供を日本(東京都)に求めもしました。

このお三方は米兵により踏みにじられた多くの日本女性の人権をアメリカに対して抗議し、謝罪を求めてあげようとしないのでしょうか。
 林氏はこの会見で”発掘”した資料は10年前に朝日新聞が部分的に報じたものだと自ら述べていました。
会見場の記者が「それならなぜ今になってそれを”発掘”したと云うのか」と鋭く質問しましたが、林氏は明確に答えられず、日本政府やマスコミの対応に失望したからというものでした。 
新たな発掘でも新事実でもないのです。
こういう活動をしている「日本の戦争責任資料センター」とか「女たちの戦争と平和資料館」という面妖な拠点があること自体驚きを禁じ得ませんが、”江の傭兵”とも云われる政府高官がこういう活動に手を貸していたのです。

西野氏は、”河野洋平”が1993年政府の行った韓国人慰安婦への聞き取り調査について、「アジア女性基金」の出版物に次のような談話を寄せていると述べています。
「明らかに厳しい目にあった人でなければできないような状況説明が次々にでてくる。その状況を考えれば被害者の話は信憑性がある。いろいろな角度からみて信頼性にじゅうぶん足りるということがわかった」。
宰相としての気構えを示すなら、安倍首相は米国に発つ前に、身内の河野洋平にこの戯言を訂正させては如何でしょう。
   (HN生、横浜)


(宮崎正弘のコメント) 昨日付けNYタイムズは、これに関連した記事をまた大きく掲げました。
 NEW ANGER OVER JAPAN SEX SLAVES(4月25日付け同紙一面)。
 書いた人? 常習犯のオオニシ・ノリミツ記者です。NYタイムズは、もはや米国のイエロー・ペーパーに成り下がってしまったのでしょうか。
 


    ♪
(読者の声2) )貴誌1785号(読者の声1)にNH氏が、「歴史的の事実はひとつでも、まま幾通りかの解釈はあります。不明の部分は個々人が心眼、直観で測るのみです」とありますが、全く同感です。
重要なのはどこが確実に事実と知っている部分で、どこは心眼、直観で測ったのか、自分の知っていることを明確に区別し、測った部分は常に新事実を知るたびに検証し、大胆に改訂することです。
米軍の機密資料が公開されたいまになっても、まだ美術的、歴史的遺産を保護するために京都、奈良、会津若松を爆撃しなかったと思い込んでいる人がいます。
帝国陸軍防諜部隊の存在、活躍の機密のベールが剥がれ、ゾルゲ一味逮捕のきっかけになった電波傍受、そして戦後その驚異的な発信地点探索能力のため占領軍が機器を押収し、調査したことが明確になった今でも、誰かのタレコミで捕まったのだと思い込んでいる人がいます。
中野正剛氏自殺の原因は95%くらいの確度で正しいと判定しています。確度を判定する論理的推敲のための努力と感性、そして自分の判断ミスを素直に認める謙虚さが肝心です。
私は最後の自分の判断ミスを素直に認める謙虚さだけは自負しています。

 それから話題が変わりますが、貴誌1787号(読者の声5)に「現代でもソフトバンクは帰化三世(?)の孫正義氏」とありますが、孫正義氏は高校生のとき、お父さんが日本に帰化したとき同時に帰化したと20年ほど前『Fortune』誌の孫正義氏特集記事で読みました。
したがって、自分自身が帰化したので、帰化一世です。
戦前、外務大臣を務めた東郷茂徳は明治20年頃、当時「朴」姓であったお父さんが、東郷姓の士族から、東郷という姓を使う権利を購入しました。おそらくそれ以前から何世代にもわたって日本に住んでいた朝鮮系の人です。
秀吉の朝鮮出兵時に日本に渡ったのか、それ以降あるいはそれ以前なのかは知りません。
  (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント) 当方も、ちょっと話題を飛ばしますが、明日から休刊に入りますので、もし、反論などが寄せられましても、掲載は5月7日からとなります。
 この旨をご了解ください。



     ♪
(読者の声3) 著書『2008 世界大動乱の予兆』過日届き、早速読ませていただきました。幸運にも宮崎先生のサインが記してありましたが達筆のため(?)、『天下○久』の○の文字が小生には判読できません。恐れ入りますが正確な文字とその意味をお教え下さい。
では善い黄金週間を!
(NZ生、山梨)


(宮崎正弘のコメント) 速筆略字で甚だ申し訳ありませんでした。サイン本に書いたのは、「天下為公」です。
「○」の箇所は「為」、「久」ではなくて、「公」です。
「敬天愛人」「滅私奉公」と同じ意味ですが、これは孫文がとくに頻繁に揮毫しました。 
頭山満、西郷隆盛の影響でしょうね。
それはともかく、御感想を早々と有り難う御座いました。御予約をされて、早速の読後感ありがたく、ところで、この本は連休に引っかかって配本がのびて全国的には5月2日ごろ、店頭に並びます。都内主要書店のなかにはデモンストレーションで、本日(4月26日)から並ぶ書店もあります。



    ♪
(読者の声4)「2008世界大動乱の予兆」が届き、読み始めたら途中で止まらなくなって一気に最終章まで。
 体中の神経がわなわな震えています。世界は何と中国に似ているのか。ウソとクソにまみれた中国の酷さに、隣国だから逃げられない、覚悟を決めて相対しないと考えていましたが、世界はみんな腹黒くて、信義も道義もお題目に過ぎなかった。
逆に言えば、超大国アメリカの存在が良くも悪くも世界安定の短い時代をつくり出していたに過ぎなかった。多極化といえば聞こえはいいが、アメリカの衰退が世界連鎖で魑魅魍魎を生み出しているのか。
数年前に、今日とよく似た震えを感じたのは、その名も「世界は腹黒い」という高山正之さんの本を読んだときでした。
どうやら私は典型的な日本人資質、世界はどうしてそんなに貪欲なのかと、嘆息するアキメクラであったようです。それにしても先生がアラブ、イスラムにも詳しいのに驚いています。
  新本の扉に署名をいただいた孫文の「天下為公」。麻生太郎の勉強会が「為公会」と名付けて安倍の次を狙う姿勢を示しているのが、ちらっと頭をよぎりました。
    (HS生、豊橋)


(編集部から) このほか、かなりの読後感をいただきました。来月にでも、二,三を紹介させて頂きます。


   ♪
(読者の声5)少しでも国家国民のために役立ちたいと宮崎先生や正論の方々、並びにメルマの投稿情報等々を基に、事ある毎に「護国」精神を惹起してはいますが、相手方が「精神より金」の思考が媚び付いていますので真剣に苦慮しています。
昨今は国民である事の、県民である事の、市・町・村民である事の、家族である事の結束性が、国民が選択選任した結果とは言え「売国奴によって解体壊され、結束性を欠く『砂の民』と化して行く様な事態は絶対興しては為らない」とは思うものの、宮崎先生の予測的中率には畏れと腹立ちさが混在しています。馬券の的中立なら喜べるのですが。
 宮崎先生よりも吉本バナナ如き者の知名度が高い様な世情には心底から腹が立ちます。ひょっとしたら宮崎先生ご指摘の国際化時代に多く渡来して来たのはフィリッピーナよりもチャイニ−ズの遺伝子を持った者が多かった所為ですかね。
 その結果が新YKKの宦官組の誕生ですか。「憂国の士」達には間を置かず、早々にYKK降しの新薬を開発してもらいたいものです。
    (TK生、佐賀)


(宮崎正弘のコメント)“砂の民”というのは、もともと孫文の言葉で、しっかり手中に掴んでおかなければ民はバラバラと砂のように風に散って行方不明となるだろう、という意味ですが、なんだか、中華民族を比喩したというよりも、日本人が「砂の民」化、嗚呼。それも、あの大陸から飛んでくる黄砂の所為でしょうかね ?



    ♪
(読者の声6) アフリカ大陸での反中国人感情・暴動について、ご存知かもしれませんが、過去3ヶ月以内の日経ビジネス誌(廃棄したのでわかりません)にFTだか、BWだかの翻訳記事がありました。 
FT、BWの当該サイトでバックナンバーを検索できるとは思います。 
資源を求めて当地政府に渡りをつけ操業、まではいいものの、資源丸呑み、地元住民搾取と差別意識。たまりかねて労働団体を作り、交渉しようとするも、機関銃乱射での鎮圧ときた。
その後は要塞化して険悪な対立が拡大中との要旨だったように記憶しております。根こそぎとる、自分以外は根絶やしにするという性質が誰にとっても不幸の原因であります。 
漫画の「へうげもの」がえらくおもしろいです。
       (KN生)


(編集部注)FTは英紙「フィナンシャルタイムズ」、BWは米国週刊誌「ビジネスウィーク」ですね。



    ♪
(読者の声7)ハンナ・アレント(1906 − 1975)は『全体主義の起源』を著した思想家です。
 ドイツ生まれのユダヤ人で、ナチから逃れるためにフランス、そしてアメリカへと渡りました。WIKIPEDIAによると、本来アレントの関心は哲学にあったものの、身をもって経験した全体主義の衝撃―「起こってはならないことが起こってしまった」―から、政治についての思索を開始するに至った。
なぜ人間にあのような行為が可能であったのかという深刻なショックと問題意識から、アレントは政治現象としての全体主義の分析と、その悪を人びとが積極的に担った原因について考え続けることになった、とあります。
アレントは被害者であるユダヤ人の立場から加害者のナチとそれを支えその行為を許したものども、ことどもについて思索したと理解します。

アレントは『イェルサレムのアイヒマン 〜悪の凡庸さについての報告』で、アイヒマン裁判を論じています。
ナチ親衛隊に属しユダヤ人虐殺の責任者と目されたアイヒマンはイスラエルの機関モサドにより、潜伏していたアルゼンチンからイスラエルへ拉致され、裁判にかけられ処刑されます。 その裁判の傍聴記が『イェルサレムのアイヒマン』です。
アレントはこの中でアイヒマンに協力したユダヤ人指導者がいたと指摘して、”悪の凡庸さ” という言葉を使ってアイヒマンの役割を低めたと非難され、同書はユダヤ人の間でたいへんな物議を呼び起しました。
アレントは、第三帝国で道徳が崩壊したように社会の土台が一夜にして転覆したときに、思考する能力と習慣のない人々は新しい規範を当然のように受け入れるしかない、アイヒマンはヒトラーの云うことを受け容れ第三帝国の有能な役人として機能したと考えたのです。
アレントは思考(ソクラテス的思考)が危機において善悪を判断する上で大切であり、考えることをしないとアイヒマンのような凡庸な悪にまみれると考えたのです(『責任と判断』、P230)。

その解釈や当否はさておき、アレントように原爆の被害者として徹底した思索をした日本人がいたかどうかに思いが移ります。
原爆を投下され二都市を消滅させられた日本人はそれを行った加害者であるアメリカ(人)についてどういう思索を巡らしたのでしょう。
被害者である日本人が原爆について思索を持たなくして誰が持つのでしょう。
アレントはホロコーストの被害者であるユダヤ人としてそれを全うしました。アレントの思考することへの熱情、徹底さ、緻密さ、独自性、これを阻むものへの不撓不屈の構えに感服します。
 アレントは、思考しないことの危険性を指摘しました。
過去60年間、アメリカが原爆を投下したことに対してアレントのような徹底性のある思想的な営為は日本人によってなされていません。
被害者である日本人はアメリカ人が勝者だから、原爆を投下し二都市を消滅させた彼らの善悪を問えず戦争責任に何も云えず、考えさえめぐらせられなかったのでしょうか。
原爆自体は悪でも善でもない。それを操った人間の道徳的善悪、法的な戦争犯罪の有無を問うことが本来です。
しかしもっぱら原爆の存在についてのみ議論されているのが日本の状況です。日本にハンナ・アレントはあらわれないのでしょうか。
   (しなの六文銭)


(宮崎正弘のコメント)現地読みではハナ・アーレントと読むらしい。西尾幹二さんの『壁の向こうの狂気』(恒文社21刊)に、この思想家のことがでてきます。
 あと二人ほど、どなたか忘れましたが、現代の論壇で思想的な論文をたくさん書く人が、このハナ・アーレントを詳細に論じていましたね。
 アイヒマンの裁判を克明に傍聴しにわざわざイスラエルへ行ったのは村松剛氏でした。角川書店から、いまは絶版になりましたが村松剛さんの「アイヒマン裁判傍聴記」(題名は正確ではありませんが)があります。
 イスラエルは、アイヒマン裁判まで法律に「死刑」はありませんでした。このために法律を改正し、裁判を開廷しました。アーレントの哲学のごとくに。
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<< 台湾・東呉大学管弦楽団演奏会のご案内 >>

 5月10日、武蔵野音楽大学におきまして東呉大学管弦楽団演奏会を開催いたします。つきましては皆様にご来場いただきたく、ご案内申し上げます。

 武蔵野音楽大学では創立当初より、欧米各地からの著名な指導者の招聘や台湾をはじめ欧米各地への演奏旅行など、国際的な文化交流を推進しております。この度の演奏会もその趣旨により公開講座シリーズの一環として開催いたします。

 本演奏会は無料で、小学生以上であればどなたでもご入場いただけます。ご希望の方は下記へお申し込みください。
  
東呉大学管弦楽団
 指 揮 :黄 維明 / ソプラノ独唱:邱 玉蘭
 
プロコフィエフ:《ロメオとジュリエット》第2組曲
プッチーニ:歌劇《ラ・ボエーム》より 「私の名はミミ」
プッチーニ:歌劇《トスカ》より 「歌に生き、恋に生き」
プッチーニ:歌劇《ジャンニ・スキッキ》より「私のいとしいお父さん」
蕭 泰然:玉山の頌
ムソルグスキー:組曲《展覧会の絵》
 
日時:2007年5月10日(木) 6:30p.m.開演
会場:武蔵野音楽大学ベートーヴェンホール

   東京都練馬区羽沢1丁目13-1
   交通=西武池袋線江古田駅北口下車徒歩5分
      西武有楽町線新桜台駅4番出口徒歩5分
      地下鉄有楽町線小竹向原駅2番出口徒歩11分
   http://www.musashino-music.ac.jp/profile/location/ekoda.html
 
《お申し込み・お問い合わせ》
武蔵野音楽大学 演奏部 
03−3992−1120 ensou-1a@musashino-music.ac.jp
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<< 宮崎正弘の近刊 >>
 『2008 世界大動乱の予兆』
(並木書房、1680円、5月2日配本)

<内容> 2008年、北京オリンピック。米国大統領、ロシア大統領が入れ替わる。
    韓国、台湾もリーダーが替わり、日本は「反日派」に取り巻かれる懼れがある。
    資源戦争のぶつかり合い、通貨戦争の行方、そして日本企業が中国やヘッジファンドに次々と乗っ取られる悪夢が近いのではないか。風船のような中国経済のバブルが崩壊したら、日本経済はどうなるか?

<目次> 
  プロローグ  ドル暴落のイヤな予兆
  第一章    米国の衰退という衝撃
  第二章    大荒れの中東、平和は夢のまた夢
  第参章    中国発世界大暴落の予兆
  第四章    台湾海峡、またもや大波乱
  第五章    ロシア資源戦略の野望、帝国の復活
  第六章    BRICSからVISTAへ
  第七章    北朝鮮の核、イランの核
  第八章    日本企業が中国に乗っ取られる
  第九章    環境汚染、公害爆発の危険
  エピローグ  情報戦に日本は決定的に遅れている 

 版元へのご予約募集は終了しました。多数のご応募、有り難う御座いました。
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 << 宮崎正弘のロングセラーズ >>
『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
http://plaza.rakuten.co.jp/tigersyakult/diary/200704250000
(↑ このブログに書評あります)

 『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
 『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
http://shinshomap.info/book/4569646204_image.html

 『中国よ、反日ありがとう』(清流出版)
 『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『拉致』(徳間文庫)

 宮崎正弘の著作一覧 ↓
http://www.nippon-nn.net/miyazaki/tyosyo/index.html
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  • 名無しさん2007/04/25

    もっと勉強しないといまひとつ理解できない語句が出てきますが、とても楽しいです。読んでいると