国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2007/04/16


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 4月17日(火曜日)  
通巻第1777号   (4月16日発行)  
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 アラブ湾岸諸国が一斉に核技術入手へ動き出した
  ペルシア帝国の核武装を恐れ“スンニ派の核弾頭を”と
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 日本でも核武装論議が本格化しつつあるが、アラブ諸国でもまた。しかしアラブ湾岸諸国の核論議は“本物”である。

 イランの核開発が日程にのぼり、早ければ二年以内、遅くとも十年でイランは核弾頭をもつだろう。
対して米国はタリーズなど核施設への先制攻撃を控え、イスラエルにも自重を促し、さるにても空爆を逡巡する、この頼りなき米国を目撃してサウジアラビアなどは、どうするか。
 当然ながら核兵器保有を目指すであろう。

 げんにエジプト、トルコ、サウジアラビアなどはウィーンのIAEA本部に対して核プログラムのデータを求めた。サウジはとくに執拗に求めている。

あくまでも「平和利用」「原子力発電」が表向きの理由だが、ホンネは、復活する「ペルシア帝国」(イラン)への軍事的脅威に対抗するため、“スンニ派の核弾頭”を得ることが目的である。イランはアラブ民族とことなってペルシア人。しかも宗教はシーア派。
サウジアラビアは世俗主義のスンニ派のパキスタンと密かなコンタクトがあり、なにしろイスラマバードに聳える世界最大のモスクは、サウジが全額寄付した。
ましてパキスタンはカーン博士がリビア、北朝鮮へ核技術を提供していた“実績”がある。

 二週間ほど前、テレビ討論番海で黄文雄氏がじつに印象的なことを言われた。
「台湾だって核保有を目指したことがあり、韓国もほしがっている。世界中で核兵器を欲しがらないのは日本だけで、不思議な国ですね」と。

 アラブ沿岸諸国では「もし、米国がイランの核施設を先制攻撃するとしても、誰も反対はしないばかりか、いやいやながら支持するだろう」(NYタイムズ、4月16日付け。IHIは一面トップ記事)。


 ▼ヨルダンなど穏健国家でも原発開発の声

 (イラン核保有秒読みで)「状況もルールも変わった。誰もが核保有にむかって走り出した」(アブドラ二世、ヨルダン国王)。
 湾岸諸国は殆どがスンニ派であり、石油リッチなのに、なぜ原発が必要かと問われると、「将来への投資であり、主権国家として当然の権利である」という回答が返ってくる。三月のアラブサミットでは加盟21カ国の代表が、「イランの核武装への動きは中東の安全保障に対して破壊的であり、地域が墓場化する始まりである」とする共通認識を示した。

 現在、「原発」建設に関心を示すアラブ湾岸諸国とは、バーレン、エジプト、ヨルダン、クエート、オマン、カタール、サウジアラビア、シリア、トルコ、イェーメン、アラブ首長国連邦(アブダビ、ドバイなど7カ国)、

 なかでも石油リッチのサウジアラビアの原発への関心と開発意欲は本物である。二月のプーチン訪問時にはロシア製原発導入で話し合いがもたれている。

 また米国でも原発をビジネスとして、あくまで平和利用と勘案すれば、湾岸全体の原発建設は一兆ドルにせまる世紀の商談ともなりえる。
 とくにサウジ、バーレン、クエート、オマン、カタール、UAE諸国は米国の“同盟国”であり、同時に原発を監視することは核武装を監視することでもあり、ブッシュ大統領は「スンニ派の核弾頭」を恐れているが、それゆえにこそ原発建設には米国は協力すべきだとする意見もワシントンの一部に存在している。
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(読者の声1) 遠藤周作「沈黙」が海外で映画化されます。日本への誤解がまた拡がる懼れが。

日本軍の南京入城に関しての出鱈目映画や、慰安婦強制連行に関する出鱈目謝罪要求が話題になっています。しかし私はあまり心配していません。
あまりにも出鱈目な内容であり多少左がかった日本人でも首を傾げざるを得ない内容です。また当時を知る日本人も生存しており、文書や写真も多数存在しています。
この問題への関心が深まり実証的な研究が進めば、近い将来「田中上奏文」と同じ扱いとなることでしょう。

私が心配しているのは、今年、アカデミー監督賞を受賞したスコセッティ氏が遠藤周作の小説『沈黙』の映画化に取り組んでいるということです。
島原の乱後のキリシタン弾圧に材をとり、棄教用に使われた穴吊りの刑をクリスチャン世界の欧米に紹介しつつ、話題性をもとめるつもりらしい。
セプルベダとラス・カラスの論争でも明らかなように南米では加害者であった宣教師が、戦国時代末期から江戸時代の日本では被害者であったということになります。
危険なのは、日本の歴史教育でこのキリシタン問題が、仏教僧との論争、宗教弾圧、さらに当時の日本を知る情報源としての宣教師の残した文書しかとりあげていないことです。
なぜキリシタンが弾圧されたかを知っている日本人はほとんどいません。
やはり日本人はこの問題では悪かった。日本人は残酷な人間で責められても仕方がいない、ということになってしまう危険性があります。
否、何故弾圧されたかという点から研究した歴史研究者すらほとんどいませんでした。今までのキリシタン研究者は、多くが自身キリスト教徒かキリシタンに同情的な学徒であり、そういった人しか関心を持たない歴史学におけるマイナーな分野であったのではないのでしょうか。

そんな先入観を持ったところから正確かつ実証的な研究が行われるはずがありません。
幸い、1990年ころから当時新進気鋭の歴史学者であった(現在では大家か?)藤木久志氏等の学者によって、室町時代末期から江戸時代初期のそれまで等閑に付されていた下級武士や一般庶民の実態に関する研究が進みました。
その結果、キリシタンが弾圧されるにいたった真相が徐々に明らかになっていきました。
当時の日本社会も支配階層も宗教に関して非常に寛容であった。法然上人の専従念仏が弾圧された平安時代末期や、日蓮が弾圧された鎌倉時代初期とはまったく違う状況であった。そんな中で何故キリシタンが秀吉の時代になってから弾圧されたのであろうか。

実は、彼らが弾圧された理由は簡単である。
犯罪行為を行ったのである。
南米で原住民に対して行ったような残虐な犯罪行為が、戦国時代で強力な武力持った戦国大名のいた当時の日本では行えなかった。
しかし、一旦大名がキリシタンとなった地域では犯罪のやり放題であった。
宇佐八幡宮をはじめ多くの神社仏閣が破壊された。僧侶、神官、一般信徒が虐殺された。
なかんずく秀吉が一番問題としたのは、戦国大名同士の戦いで捕虜となった兵士を、宣教師からの要請により、スペイン、ポルトガルの商人に奴隷として売り渡すキリシタン大名・武将がいたことである。
戦国時代を通じて総数約10万人。日本は16世紀末世界最大の奴隷輸出国であり、東南アジア一帯に日本人奴隷があふれた。

当時、日本全体の覇者となりつつあった秀吉のとって、これは許しがたきことであった。同盟関係にあった大友氏に対しても、捕虜を奴隷として売り渡すことを禁じている。
当時のキリシタンたちの倫理観の低きこと、かくの如しである。
神の恩寵により自分だけは救われる。それでよしである。マルクス(乃至、レーニン・毛沢東)の恩寵により自分だけは救われる。それでよしとする人たちの如しである。

処刑された「十三聖人」にしろ、彼らが裁かれたのは、彼らが行った犯罪行為に対してである。
しかも改宗すれば許されるというとてつもなく寛容な裁きを受けながら、改宗を拒否したのである。
改宗したかどうか外からはわかるわけもない。かれらを赦すためのたんなる口実であう。
にもかかわらず、彼らは自分の意思で改宗を拒否し自殺したのである。日本人的生真面目さの極地である。まさに、オーム真理教の信徒の如し。
それを悲劇のように言うのは笑止千万というしかない。
十三人聖人の碑が破壊もされず、観光名所となっていることこそ日本人の寛容性の証明である。
韓国や中国ならとっくに破壊されていることであろう。

この宗教的寛容性は徳川氏にも継承された。島原の乱までは、表面的に改宗さえすれば、赦された。島原の乱は徳川氏にとってまさに巨大な軍事的脅威であった。乱の中核は元秀吉方の小西行長の家臣たちである。
軍事戦術・戦略に強いはずである。この徳川氏の支配の存亡に関わる事態になった後から、初めて本格的にキリシタン弾圧が始まった。
つまり、最初から最後まで「キリシタン弾圧」は宗教弾圧ではなかった。

さらにひとつ重要な、あるいは驚くべき点を付け加えます。
島原の乱後、徳川氏によって島原藩の藩主が任命された。その藩主に対して、島原の乱後島原の農民たちが、田畑を鹿が荒らすので、農民から接収した武器を返還してくれという要求を出しました。
そこで、その藩主は、徳川氏の了解を得た後、三百数十丁の鉄砲を含め、接収した武器を返還しました。このことを知った上で、あえて「キリシタン弾圧」を誰が言いうるのであろうか。
キリシタン弾圧とは狂信的な犯罪者に対してやむを得ず行われたものである。
この事実は、これからの日本が正気の社会であるために、歴史教科書に絶対に書かれるべきものと確信いたします。
これこそ真に、現代日本の「生氣の詩」である。
   (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント)マイク・ホンダ連邦下院議員のインチキ議決案はどうやら消えそうですが、一難去って又一難、今度はハリウッド映画が新手ですか!
 ところで「島原の乱」の経過を攻める側、護る側から克明に描いた小説に中村彰彦『知恵伊豆に聞け』があります。
http://www.bunshun.co.jp/book_db/7/56/71/9784167567118.shtml
 文春文庫になって新登場、これは面白い小説ですよ。
 またキリシタン伴天連を禁教とするに至る最大の理由は、当時のシナ(明)からもたらされた或る情報、つまりキリスト教軍団の日本への侵略意図です。秀吉の朝鮮半島進出は日本の防衛戦争でした。
いま米国が得意げにいう“PRE EMPTIVE”(予防先制攻撃)です。このような正しい歴史認識は、保守陣営のあいだにあってさえ、あまり真剣に討議されていませんが。。。

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