国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2007/04/07


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 4月7日(土曜日)  貳
通巻第1765号  
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 カザフスタンから延々とパイプラインをポーランドの北、グダニスクまで
   ポーランド大統領がカザフ訪問、入れ違いにロシア首相もカザフスタン入りの異常事態
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 ▼グダニスクといえば、ワレサの「連帯」を思い出す

 ポーランドの北岸にグダニスクという港町がある。造船でも有名で、かのワレサ(のちにポーランド大統領、ノーベル平和賞)が率いた「連帯」発祥の地でもある。

 ポーランドの首都ワルシャワからベンツの白タクを雇って、グダニスクへ飛ばした。高速道路は整備されていたが、往復六時間半ほどかかった。
 運転手は初老の紳士、片言の英語しか分からず、ワレサはヴァレンツェ、グダニスクはグダンスクと現地で発音することが了解できた。当時、チャーターしたベンツは一日百ドル(1991年)で、飛行機の往復よりも安かった。

 さてグダニスクではワレサが組合運動の最中、ソ連の弾圧と闘っている日々に通ったという教会と「連帯」の本部を取材した。

 そこから北東へ数十キロほど飛ばせば、ロシアの飛び地カリニングレードへも行き着けるのだが時間がなかった。(いま思えば見ておくべきだった)。
 ワルシャワへもどり、ジャガイモ料理とウォッカを飲んだ(脱線するがウォッカの本場はロシアではなくてポーランド)。
 
 グダニスクのことを書いたのは理由がある。

 じつはカザフスタンからロシア経由の石油パイプラインを、ここまで引っ張ってこようという案が、ロシア側から提案され、本格化しようとしているからだ。



 ▼ 複雑に絡む各国の利権、 政治的思惑

 ロシアがカザフスタンの石油とガスを独占していたのは冷戦時代。その後、独立してカザフスタンは供給先の多元化を図り、どっと西側メジャーも開発に進出した。カザフスタンの石油とガスはパイプラインを経由して中国にも大量に輸出されはじめた。

 この事態を「不愉快」と考えているのは、勿論、ロシアである。
プーチン資源政権は陰に陽にカザフスタンに圧力をかけて、ロシア側の取り分を可能な限り多くして、一方的な価格を策定してきた。
 こうした文脈から、次の供給ライン建設をポーランドまで運ぼうとする訳である。

 「オデッサ→ブロディ」石油パイプラインはウクライナ経由でポーランドへ至る。おなじルートでカスピ海を越えてウクライナへ至るガスのパイプラインがある。

 3月29日、ポーランドから大型経済使節団がカザフスタンへ入った。カチンスキー大統領自らが率いたものだ。

 オデッサ・ルートの建設は、ロシアが過去五年間一貫して反対してきた。
 このためポーランドは黒海経由、アゼルバイジャンからグルジアを経由してポーランドへ至るルートを建議してきた。
これをグダニスクまで延長し、ポーランドがEUへの再輸出ハブの役割も担おうという動機だった。カチンスキー大統領は双子の兄弟で、弟が大統領、兄が首相をつとめることでも有名である。
 
 カザフスタンは、当初、このルートに乗り気ではなかった。
 表向きの理由は年間900万噸しか輸送出来ないという経済的事由で、グルジアの港湾施設の貧弱さを挙げた。

 ホンネは処理能力の多い黒海のノボリシークスへの陸揚げである。
 この間、バルト三国への資源供給ラインをロシアが中断したため、情勢が劇的に変化した。
 バルト海沿岸諸国へはポーランド経由だと、効率的だからである。

 翌日、フラトコフ首唱がモスクワからカザフスタンへ急遽駆けつけた。ポーランドのカチンスキー大統領と入れ替わりである。

 既存の「アテロ・サマラ」パイプラインの輸送能力を、現在の年間1500万噸から2500万噸へ増量するアイディアをもって。
 じつはカザフスタンのジレンマは、ここにある。
 輸出の増量はしたいが、ロシアへの依存度も同時に低減させたいのだ。
 「カスピ海ルートは領海問題が片づいていない」とナゼルバエフ(カザフスタン大統領)は記者会見し、このロシア側の提案に消極姿勢をとった。

 一方、トルクメニスタンが同じルート経由のガス輸送を中国と契約済みである。

 かくして薔薇色のシナリオは幾つも進んでいるが、最近の特色は、どこのプロジェクトであれ、必ず顔をだすロシアと中国。

 いまや産油国、ガス産出国と合弁プロジェクトの技術的問題、資本比率の問題で、関係各国がもつれ合い、対立を繰り返している。
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(読者の声1) 「反日宣伝にやり場の無い怒り」
北村先生の記者会見の冷静なレポート(貴誌1764号)に感謝します。しかし日本の新聞は相変わらず掲載していません。読者の知る権利は抑圧されています。
さて反日宣伝に対する日本人の感情が変わり始めたように思われます。
粗雑なプロパガンダなのに米国政府が調査もせずに信じ込み日本人の合理的な反論を押さえ込もうとします。
このため日本人が反発し苛立ちとやり場のない怒りが南京事件、慰安婦問題、沖縄集団事件などのデマを無責任に宣伝する政党、政治家、教科書会社、マスコミや札付きの反日文化人への敵意に変わり始めましたのです。
かれらはこれから国民の間で孤立してゆくでしょう。これも大きく見ると日本の正常化の一歩です。
    (MC生)


(宮崎正弘のコメント) 小誌に西法太郎氏が書いてくれた北村教授の記者会見の模様は、様々なメルマガに転載されて日本列島を駆けめぐりました。同様に多くの反応が寄せられました。御注目有り難うございます。おそらく十をこえるメルマガ、ブログへの転載がありました。
 久しぶりに大きな反響でした。


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(読者の声2) 「大虐殺とよべるものはなかった。 あれは南京の政治である」(西法太郎記)に関して、通読しまして、今次の米国下院本会議に提出されるとかの「(従軍)慰安婦問題」と同様の「彼我の認識差」を感じます。
「強制連行とよべるものはなかった。あれは当時(公認の)売春行為(業)である」という日本側の主張反論です。
彼ら(糾弾側)が、「ナチスのユダヤ人虐殺と同じ、組織的な大量(30万人)虐殺である」ということを論点の基軸にしているのか? ということです。 
いみじくも米人記者が「何人殺したのか?」という質問に北村教授は「そういう調査はしていない」と返答された由ですが、ここでもし、北村教授(日本側)が、「4万人を越えない数字であろう」などと答えようものなら、米人記者は「30万人でなく、4万人しか殺していないから、問題ない、と貴方は主張するのか!?」という糾弾質問で待ち構えているわけで、(その意味で北村教授の返答はじつに賢明です)「強制連行がなかったからといって、貴方はあのようなこと(軍専属の売春婦)は別に問題ないでしょうと主張するのか!?」という論法と同じです。
安倍首相も、この「彼我の論点の不毛さ(並行線)」に気づいて、発言修正をしたのだろうと私は推測していますが、、。
    (KI生、尼崎)


(宮崎正弘のコメント)話は飛びますが、安倍首相の評判、永田町で悪いですねぇ。驚くほどです。
防衛省昇格行事での挨拶で「日米同盟」の文言が出ず、米国から怒りをもって指摘され、ついで防衛大学の式典では「日米同盟が基軸」と演説したまでは良いのですが、そのあとレーガンが冷戦を終わらせたというのならともかく、いきなりチャーチルの評価があって列席したアメリカ軍人ゲストがビックリ。個人の好き嫌いは別にして、これで米国を怒らせたらしいのです。
つまりはスピーチライターが悪い、周囲にブレーンがいない。しかも夫人が単独で中国へ行くとか、行かないとか。 これも問題ではありませんか。
というような話が永田町を駆けめぐっております。



    ♪
(読者の声3) 貴誌の熱心な読者のひとりです。このところ宮崎先生の関心が中国より、ロシアと旧ソ連圏に移行して、それも資源戦争の側面を深く掘り下げておられる。
おそらく日本で唯一とは言いませんが、珍しく世界の舞台裏の資源戦争の実態が手に取るようにわかって貴重です。
 『正論』の先月号にも先生はプーチンの資源戦略について書かれておりました。
こういう日本のマスコミが殆どつたえない事情を知るのは有り難いことですが、なんとか、これを一冊に纏められて、指南書か、年鑑のような単行本にならないのでしょうか。いま、そういう本が求められているように思います。
またもや資源戦争が始まってからでは遅いし、警告としても重要だと思いますが。。。
     (YD生、茨城)


(宮崎正弘のコメント) ご心配有り難う御座います。中国のこともちゃんと書いております。資源戦争に関してですが、六月下旬を目処に一冊の単行本になります。
 『世界の資源戦争地図』(仮題)。ご期待下さい。



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(読者の声4) 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」は現在 日本で出されている最も優れたメルマガの一つであす。メインストリーム・メディアの触れることのない、(あるいは避けて通る、あるいは、触れたくても手の届かない)国際的な重要情報を驚異の行動力と分析力で配信しています。
宮崎さんのメルマガを購読していない人はないと思っています。これからも御活躍を。
    (TK生、世田谷)
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(サイト情報)米国国務省は4月5日、世界各国で民主主義を促進する米国政府の取り組みをまとめた年次報告書「人権と民主主義の支援−2006年米国の記録」を発表した。
(1)報告書全文: Supporting Human Rights and Democracy: The U.S. Record 2006、Department of State、 Released April 5, 2007
http://www.state.gov/g/drl/rls/shrd/2006/
 (2)ドブリアンスキー国務次官等のブリーフィング
 http://www.state.gov/g/drl/rls/rm/2007/82655.htm
 (3)米国務省国際情報プログラム局の解説記事
http://usinfo.state.gov/xarchives/display.html?p=washfile-english&y=2007&m=April&x=20070405123045ajesrom0.2524378
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(休刊のお知らせ)小誌は地方講演のため4月11日号が休刊の予定です。
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<< 宮崎正弘の近刊予告 >> 4月25日配本!

 『2008年世界大動乱の予兆 (中国発世界大暴落の足音)』 (並木書房、定価1680円)
近く、特典付き予約販売をネット上で行います!

    
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<< 宮崎正弘の近著 >>
『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
 『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
 『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
 『中国よ、反日ありがとう』(清流出版)
 『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『拉致』(徳間文庫)
    
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<< 宮崎正弘の「三島由紀夫論」三部作 >>
『三島由紀夫“以後”』(並木書房)
『三島由紀夫はなぜ日本回帰したのか』(清流出版)
『三島由紀夫の現場』(並木書房)
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