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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

発行日:4/4


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◆◇◆◇

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 4月5日(木曜日)  
通巻第1762号  (4月4日発行)
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 ハリバートンは米国から逃げ去ってドバイへ本社を移転
  すでにテキサス本社では石油もガスも枯渇。米国企業として立ちゆかないからか?
****************************************

 イラク戦争が開始されたとき、軍の後方支援として食事から洗濯、燃料補給まで幅広いサービスを請け負った企業はハリバートン。
もとより石油井開発、鉱区維持サービスで世界最大。ディック・チェイニー米国副大統領は、ブッシュ政権入り前まで、この企業のCEO(最高経営責任者)だった。かれは父親ブッシュの政権で国防長官だった。

 つねに戦争の影にはハリバートンがあり、外国の政治家への賄賂でも、頻度激しくスキャンダルに名前がでてきたハリバートンは格別に共和統系でもない。
リンドン・B・ジョンソン大統領のときはベトナム戦争で後方支援に当たった。
賄賂問題で騒がれ、それをベトナムへ飛んで調査した若い議員がいた。その人物の名前はドナルド・ラムズフェルドといった。

ビル・クリントン政権下でバルカン半島の空爆に参加したときもハリバートンが軍任務の下請けだった。

 昨年度のハリバートンの売り上げは226億ドル、経常利益26億ドル。いまでは世界120ヶ国で井戸を掘り、鉱区を開発し、軍事基地を構築し、米軍の幹部の格好の“天下り先”ともなってきた。

 そのハリバートンが本社をドバイへ移転。オペレーション機能をテキサス州ヒューストンの残し、企業の登録はデラウエア州とする条件で、外国へ去ることを決めた。

 米国連邦議会はおりからハリバートンの不正経理操作や外国要人への献金を捜査すると言いだしたところだった。
急先鋒はヒラリー・クリントン。このタイミングでの発表だったので「捜査のがれ」いや「税金逃れ」との風評も建った。
 
 ハリバートンはオクラホマ州で1919年に誕生した。
貧乏だったハリバートン夫婦が立ち上げた石油井開発企業は倒産目前だった。
夫人が結婚指輪を売却して、倒産を免れ、やがてテキサスへでて石油開発ブームであてた。

「第二次大戦中はハリバートン社所有のヨットを海軍に提供した。創立から90年を閲し、あまりに国際的に拡がりすぎた企業だが、戦争ビジネスは入札を伴わない業務も多く、言ってみれば米軍のあることろ、ハリバートンがあった。
イラク戦争で、まっさきにバビロンに米軍駐在基地を構築したのもハリバートンだった。
イラクでの契約は合計135億ドルにのぼる」(英紙「インデペンデント」、07年3月14日付け」。

 いまでは売り上げの過半は米国以外の場所から得ている。とくに中東とアジアで獲得している。
 移転するドバイは極東の香港のように税金天国、多国籍企業の蝟集する拠点である。このハリバートン移転事件はメジャーの凋落を意味することなのか。
     ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎
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   ♪
(読者の声1) 本日、ユタ州選出の米上院議員 Robert Benett氏の講演が、小生の在籍する大学でありましたので、従軍慰安婦関連の資料を持って行き、講演開始の前に渡しました。
 一応、渡す前に、少し説明をしたのですが、どうも、ほとんど関心を示さない様子でした。
 彼が言うには、
1:「自分は、上院の人間であり、下院のやっていることは、よく分からないし、どうしようもない。」 
2:「マイクホンダ? この人は、下院の人だろ? 自分は知らない。」
と言う答えでした。

 小生が渡した資料に関しても、講演の直前と言うこともありすぐに、自分の秘書に手渡しました。
 そこで、この秘書の所に行って、資料を見せて、重要な箇所を指差しながら、状況を説明しつつ、読ませたのですが、この人もあまり、関心を示しませんでした。(持って行った時に、なぜ、自分の方に持ってくるのか?とでも言いたげな表情でした。)
 一応、資料としては
1:読売英字版の記事、2:加瀬英明先生のホンダへの英文公開質問状、3:米陸軍の公式記録文書、4:小生の英文での書簡(事前にアメリカ人の友人に見せて、チェックしてもらいました。)を持っていったのですが、講演が間近に迫っていたこともあり、それらには、少し目を通しただけで、議員、秘書共に、あまり関心は無さそうな感じを受けました。
 小生の感じた印象として、
1:この問題が、日米関係に重大な影響を与えるという意識が、根本的に欠如している。
2:(秘書も含めて)もともと、この問題に関する知識や関心がほとんど無く、小生の持っていった資料を見て、初めて知ったという反応。3:これは、下院の連中が勝手にやっているだけで、上院の方は関係無いという態度。

 先日送らせていただいた分にも少し書かせていただきましたが、どうも、この問題の実態は、米下院の一部反日議員達とリヴェラル派マスコミの、アメリカの世論と大部分のアメリカ国民の民意を無視した独走(暴走)であり、それらに、日本側が、過剰反応しているように思います。(それが、この決議の背後で暗躍している連中の目論見の一つでもあるでしょうが。)
 アメリカでは、どうも本国の方々が、考えておられるほど、深刻視も重要視もされておらず、一部を除いて、ほとんど知られてすらいないように感じられます。むしろ、アメリカ側にとっては、今回の下院での決議提出に、日本側が、ヒステリックに騒いでいるようにすら見えるのかも知れません。
 ただ、アメリカ人の多くには、(前述の上院議員と、その秘書も含めて)その対日観の根底に「中国で、中国人を虐殺した日本人」という歴史観?が根強く存在しているのを感じました。

 もしかしたら、今回の下院での反日決議案可決問題が、一般のアメリカ人に、ほとんど興味関心が持たれず、また、積極的に否定も肯定もされずに、惰性のような感じで可決されつつあるのは、「既に既成事実として、存在するのだから、今更、それに対して、新しく穿り返したり、決議することもあるまい。」という冷ややかな対日観が、根底に在るからなのかも知れません。
 そうした事を考慮した場合、日本の戦争犯罪というのは、ある意味、多くのアメリカ人にとっては、自身のidentityにも繋がる問題であり、我々日本人が、アメリカにおける反日運動と、これへの対抗策を考える場合、最もやっかいな問題として日米間に横たわっている問題であり、これを、へたに無視、または刺激するやり方(例えば、一部で言われているようなアメリカの過去や戦争犯罪を非難したり、公に追求するようなこと)を行なった場合、確実に、(リヴェラル系マスコミや反日団体が、過剰に歪んだ形で取り上げて)この問題に、ほとんど関心の無い一般のアメリカ人を、感情的な反日にさせ、現在は、一般のアメリカ人に、ほとんど興味関心を持たれない、この問題が、確実に日米間の深刻な対立を生む大問題に発展すると考えられます。
 駄文、長文、失礼いたしました。

 さて貴誌1757号で「KI生、生駒」様が「もっぱら「米国内への影響」を考えて論じておられますが、この 決議は「米国内向け」ではないのではありませんか?  中国向けではないかと思います。中国が「米議会で糾弾決議がされた」と言っ て宣伝効果をあげるための決議だと思います。」
と書いておられましたが、小生は、ご指摘のとおり、もっぱら、アメリカ世論の動向を意識して書いております。
米国内向けではないのではないか? というご意見ですが、現在アメリカ国内においては多数の中国系、韓国系の反日団体を始め、反日色の濃いリヴェラル系マスコミが、暗躍しております。
 そうしたことを考えた場合、今回の決議問題は、中国向けというよりもこれら反日団体の米国内での反日活動に、一種の”お墨付き”を与えるようなものであり、そうしたことを考えました場合、小生は今回の決議提出は、KI様がおっしゃられるような中国による反日宣伝に利用されるためのものという面もございますが、同時に米国内における反日活動促進の為の大義名分を米下院が、米国内の反日団体に与えるという目的の方が、より重要な意味を持つように考えます。
彼らにしてみれば、自身の活動や発言に、一種の正当性を与えられ、米国内での活動が、今まで以上に、やり易くなるのですから。  
    (TS生、在米)



    ♪
(読者の声2)佐藤優氏批評で見落とされているもの。
 異色の人である同氏への私は、国策捜査という表現に当てはまる犠牲であったと思っている立場です。といって、同氏の見解にすべて同調するものではありません。また、同氏への共感と違和感からの様々な批評のうちで、深刻な問題が見落とされていることに危惧していました。
 その部分を初めて媒体で指摘したのが、貴誌1759号にも紹介されていた『諸君!』5月号の柏原龍一氏のそれなのでしょうか?
ともかく、早速書店で購入して読みました。共感したのは、外務省でインテリジェンスを教えているのか?との部分でした。
 実は、ある大使経験者から、二人きりの際に、この半世紀、外務省ではインテリジェンスもカウンターインテリジェンスも教えていないと、佐藤問題(あるいは宗男尾問題か?)が起きたときに指摘されたことがあるからです。
 外務省の長年に及ぶていたらくで、上記の指摘はわかります。再独立後の日本は国家としてそれを必要とする仕組みになっていなかったのは、最近になってやっと指摘され始めています。
 その狭間に佐藤氏は立ったつもりが、そして、そこに独自の存在理由をもったつもりが、その橋は氷か幻影でできていた?氷が溶けた、幻影は背後の政治力が失速したさいに消えた、といったところではないか。
 投書子の「しなの六文銭」氏は、「ソ連勤務時代に罠に掛かったとしてもどうでもよいことです。」と記していますが、個人としての「しなの六文銭」氏はそれでいいのでしょう、しかしタックスペイヤーの一人としてのわたしは、外務公務員がそれでは困ります。折角、別名を「しなの六文銭」としているのに悖るのではないですか?
 直接には関係しませんが、手嶋龍一氏が佐藤氏を持ち上げる真意が今ひとつ不明です。 
 それにしても、こうした投書が生きる場が少ないところに現在の日本の切なさがあります。
   (SJ生)


(宮崎正弘のコメント) 相済みません。猛烈多忙です。ともにコメントは別の機会に。
         ○ ○ ○ ○ ○ 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◇ 資料 ◇

 『光華寮事件最高裁判決について』
                          平成19年4月3日

                光華寮事件台湾(中華民国)代理人
                 弁護士小田 滋
                    畑口 紘
                    庭山 正一郎
                    金子 憲康
 我々は、いわゆる光華寮事件にかかる平成19年3月27日最高裁判決(以下
「本判決」)に接し、その国際法上の知識及び歴史上の事実認識への理解を全く欠如
した内容に、驚きを禁じえない。

 本判決の要旨は、本件訴訟の原告は、提訴当時から「国家としての中国」(中
国国家)であると断じ、この中国国家は提訴当時、中華民国政府により代表されてい
たところ、同政府はいわゆる日中共同声明(日本政府と中華人民共和国政府の共同声
明)により「中国国家」の正当な代表権限を失った、とするところにある。

 しかし、「中国」(英語ではChina)が一つの「文明圏」であることは疑
いないが、「国家」として近・現代史に登場するのは、清国であり、中華民国であり
、また中華人民共和国であり、「中国」という国家は未だかつて存在したことがない
。加えて、「中国という文明圏」において、清国等の国家が統治する地域は、時代に
よって異なっており、全く同一の国家が存在していないことは、公知の事実であるに
もかかわらず、本判決はこの事実を無視している。過去、中華民国も中華人民共和国
も、自己が現実に統治する地域に限定されることなく、中国という文明圏全体をその
統治下においているという主張をしていた時期があったり、その主張を続けたりして
いるが、そのような主張の存在をもって、「中国」という国家が存在することの根拠
にはできない。

 現に、日本政府も、昭和27年の日華平和条約締結の際には、その適用範囲を
事実上、台湾及び周辺諸島とし、また、昭和47年の共同声明の際には、台湾が中華
人民共和国に帰属するという中華人民共和国政府の主張を単に尊重する、という立場
にとどめたのであって、中国という文明圏全体を統治する国家が現実に存在するとの
認識を示していない。

 また、国家の成立要件として領土・住民・政府を挙げるのが伝統的な国際法の
理解であるが、最高裁は、「中国国家」とは、どの範囲の領土を有し、いかなる住民
を擁していると認識しているのか、本判決上からはまったく理解できない。台湾に居
住する住民の利益が中華人民共和国政府によって代表されていないことは公知の事実
であるが、最高裁がその事実を本判決の際に考慮した形跡は、本判決書のどこにも見
当たらない。

 本判決は、上記のような歴史的事実関係を無視し、日本政府が歴史的に示して
きた認識、あるいはこれを示さない政治的な配慮まで踏み越えて、国際法上の国家概
念についても反する「国家としての中国(中国国家)」なる虚像を創出した誤りを犯
している。

 本判決が誤った非常識な結論に到達したことは、本判決が被上告人の表示につ
き「旧中華民国 現中華人民共和国」という肩書を添えて、「被上告人 中国」と
したことに端的に現れている。中華民国は、現在も24か国との間で正式な国交を有
している。中華人民共和国政府も自らの国家の正式名称を「中華人民共和国」として
おり、「中国」とは名乗っていない。本判決の被上告人に関する表示は、本訴訟の
当事者として「中国国家」なるものを創出したことの自縄自縛の帰結と評価するほか
ない。

 そもそも本件は、中華人民共和国が成立した後である昭和27年に台湾(中華
民国)がその経済的負担のもとに購入した不動産の所有権を根拠にして不法占拠者
に明渡しを求めている事件である。台湾住民が、人民自決権の行使の結果として自ら
の代表である台湾(中華民国)政府を通して本件不動産を購入し、かつ不法占拠者に
裁判上の権利を誠実に行使してきたにもかかわらず、今回の判決はその所有関係の実
体を直視せず、誤った観念的な「中国国家」像を前提にして台湾住民の権利行使を許
さないとした。本判決は、本件不動産の所有権の帰属について何ら具体的な判断を示
さないままに形式的な処理をするに止まり、事案の真の解決になんら益するところが
ない。

 このように本判決は、提訴後40年、上告からも20年を経過した本件の処理
につき、私的紛争の終局解決を本旨とする司法の最高機関がその本来の役割を果たし
たものと到底いえないことは明らかであって、遺憾の極みである。                                  
                以上
  【光華寮事件台湾(中華民国)代理人弁護士 2007年4月3日】 
       ●
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(お知らせ)
    ♪
<< 三島由紀夫研究会 公開講座 >>

次回公開講座は4月18日(水曜日)です!

 恒例の第226回「三島由紀夫研究会公開講座」は、4月18日(水曜日)、午後六時半から「アルカディア市ヶ谷(私学会館)」で開催されます。
 今回の講師は桜チャンネル社長でもあり、映画監督、シナリオライターでもある水島総さんです。日本映画監督協会会員・日本脚本家連盟会員でもあり、連載コラムを『WILL』などで健筆を振るっておられます。氏は早稲田大学文学部でトーマスマンを専攻、同級生のひとりが、次のノーベル賞にもっとも近い作家といわれる村上春樹氏でした。
 村上春樹文学は意識を重んじて、祖国や伝統といったテーマを逃れながらも、世界性をもとめた作家。欧米ばかりか中国、台湾でもベストセラー作家ですが、伝統・文化・歴史を尊んだ文豪・三島由紀夫とは対比的です。
 ドイツ文学にも造詣の深い水島総氏が、同級生の目を通して三島文学と比較し、村上文学を新たな視点から位置づける画期的な講座になるでしょう。
 

★ 日時平成19年4月18日(水)18時30分(18時開場)
★ 会場アルカディア市ヶ谷(私学会館) 四階会議室
JR・地下鉄 市ヶ谷駅徒歩2分
★ 講師 水島 総(日本文化チャンネル桜 代表取締役社長、映画監督・脚本家)
★ 演題「村上春樹とミシマ文学」(仮題)
★ 分担金会員・学生1000円  一般 2000円
どなたでも参加できます。
問い合わせ FAX(3260)9633
   ●
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
再録 (随筆)

 カフカ流の無国籍文学「村上春樹」と三島由紀夫について
                         宮崎正弘

 たまたま「三島由紀夫と現代日本」と題するテレビ番組のシンポジウムの録画があって、桜チャンネルのスタジオに朝から夕方近くまで缶詰。なにしろ三時間番組である。
 出席は西尾幹二、松本徹、宮崎正弘、山崎行太郎、富岡幸一郎、遠藤浩一。司会は水島総。(各氏敬称略、発言順)
 その席で印象深いことが一つ。
 それは司会の水島総さん、桜チャンネルの社長でもあるが、その昔、映画監督、シナリオライターの経験者。武道家でもある。小生が知っていたのは、水島氏が早稲田文学部卒業でトーマス・マンを卒論のテーマにしたことだった。
 三島由紀夫は大学でドイツ語を選択し、トーマス・マンをおおいに参考にしたのは有名な逸話。三島が27歳の時に初の外遊で、携帯した本はマンの『ベニスに死す』だった。
 この両者の比較については過日、水島氏と小生のふたりの討論番組がある。
 さて話は白熱した中段になって水島さんがいきなり「私は村上春樹の同級生、したがってよく作品は読んでいる」と言いだしたことだった。
 えっ。
 村上春樹は直近にも中欧で有名な文学賞「カフカ賞」に輝き、日本人作家としては次にノーベル賞に最も近い人だが、小生儀、残念ながらこの作家、大江健三郎の亜流という認識で一冊も読んだことがない。初期の翻訳はみずみすしい、文体の艶もあって読んだが、小説を読んだことがない。理由は、この人の作品に「日本の臭い」「日本の歴史」「日本の伝統」がないからだ。
 おなじ無国籍文学と言っても、安部公房には情念があり、日本人が躍動していた。『砂の女』にも『榎本武楊』にも。
 あまりに無国籍、インタナショナルという意味で村上春樹の文学は、三島由紀夫の対極にあり、三島が書いた「あの日本の根からおいたった暗い熱血」(『奔馬』)の日本、伝統の日本、天皇のくに、日本とは無縁に近いといって良いだろう。
 しかし中国で書店に入ると「日本文学コーナー」は渡辺淳一と村上春樹、ついで吉本バナナ。欧米では村上春樹がダントツの人気をほこり世界三十ケ国に翻訳されている。
中国では『ノルウェイに森はない』などという村上作品をパロった小説までベストセラーだ。
 さて水島さん曰く。
「村上は三島の対極をめざして、グローバリズムの作品を書いた。外国にも住んで、日本とはまったく無縁の世界を書きつづけた。そして現在、かれの作品は行きつまりを見せている。ミシマは死後も成長し続けるが、村上はグローバリズムの限界に達したところで、同時に限界を打った」。
 なんとも印象的なひとことだった。
        ◎ ◎◎ ◎◎ ◎
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<< 宮崎正弘の近刊予告 >>
 『2008年世界大動乱の予兆 (中国発世界大暴落の足音)』 (並木書房、予価1600円 四月下旬刊行予定。近く、特典付き予約販売をネット上で行います)
    
   ♪ ♪
<< 宮崎正弘の近著 >>
『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
 『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
 『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
 『中国よ、反日ありがとう』(清流出版)
 『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『拉致』(徳間文庫)
    
♪ ♪ ♪
<< 宮崎正弘の「三島由紀夫論」三部作 >>
『三島由紀夫“以後”』(並木書房)
『三島由紀夫はなぜ日本回帰したのか』(清流出版)
『三島由紀夫の現場』(並木書房)
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宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
◎小誌の購読は下記サイトから。(過去4年分のバックナンバー閲覧も可能)。
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2007 ◎転送自由。ただし転載は出典明示のこと。
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  1. 日本の歴史を問題にするのはいつも中国韓国朝鮮でしょう。日本はこれに対していつも相手が用意した土俵で戦っています。
    これこそ相手の思う壺であり、結果がどうであれ注目を集めて日本の細部の欠陥が
    クローズアップされてしまいます。
    これら中国韓国朝鮮、特に中国などは過去から現代まででも叩かれるべき材料が山ほど存在しています。正しい情報戦としては
    歴史を持ち出されたら、相手の土俵で戦わず、相手の叩かれるべき部分に対して攻撃し土俵を相手の嫌な部分の土俵にするのが
    肝要です。日本はその部分が欠落しています。反省するべき部分が多いのはむしろ
    日本の歴史を糾弾している連中なのですから。ただしアメリカは歴史にかこつけて
    対価を得ようとするタイプではないので
    アメリカを叩くのは無意味です。
    日本の歴史を攻撃材料にする中国韓国に
    対しては相手の負の部分を叩くという
    態勢がこれからの日本に必要なのでは
    ないでしょうか。

    影丸 2007/4/5

  2. 日本の歴史を問題にするのはいつも中国韓国朝鮮でしょう。日本はこれに対していつも相手が用意した土俵で戦っています。
    これこそ相手の思う壺であり、結果がどうであれ注目を集めて日本の細部の欠陥が
    クローズアップされてしまいます。
    これら中国韓国朝鮮、特に中国などは過去から現代まででも叩かれるべき材料が山ほど存在しています。正しい情報戦としては
    歴史を持ち出されたら、相手の土俵で戦わず、相手の叩かれるべき部分に対して攻撃し土俵を相手の嫌な部分の土俵にするのが
    肝要です。日本はその部分が欠落しています。反省するべき部分が多いのはむしろ
    日本の歴史を糾弾している連中なのですから。ただしアメリカは歴史にかこつけて
    対価を得ようとするタイプではないので
    アメリカを叩くのは無意味です。
    日本の歴史を攻撃材料にする中国韓国に
    対しては相手の負の部分を叩くという
    態勢がこれからの日本に必要なのでは
    ないでしょうか。

    影丸 2007/4/5

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発行者プロフィール

宮崎 正弘

宮崎 正弘

http://www.nippon-nn.net/miyazaki/

国際情勢の裏情報を豊富なデータと人脈から解析してゆく。独特な方法と辛辣な批判精神によるニュースの裏側で織りなされている人間模様に興味を持つ。筆者の人生観と執筆を継続する動機の基軸は同じ。ホームページは http://miyazaki.xii.jp/

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