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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

発行日:3/28



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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 3月28日(水曜日)  
通巻第1752号  
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 資源戦争で、ロシアの“分断戦術”に引っかかった?
  トルコルートの安全性を軽視し、美味しい餌にくらいつくブルガリア、ギリシア
****************************************

 プーチンの方が役者は上だった。
南欧諸国でもトルコとギリシアは宿命の対決。ブルガリアには、国内にトルコ系国民がすこしいる。いずれもささくれだった関係だ。
その虚を突かれた?

 ギリシアのカラマンリス首相とブルガリアのスタニスヘフ首相がアテネに集ったのは3月15日だった。
 カラマンリスはアテネ五輪の成功をバネに経済重視政策を進めてきた。
 スタニスヘフも同様、ブルガリアの連立政権を巧妙に操舵する。

 ブルガリアの黒海に面したブルガス港から ギリシアのアドリア海にあるアレクアンドロポリス港まで173マイル(277キロメートル)のパイプラインは、12億5000万ドルの工事予算がつく。ロシアが半分を負担し、三カ国のコンソシアムを構築する。
 両国はこの美味しい餌に乗った。

 このパイプライン建設プロジェクトは過去十五年にわたって三カ国で話し合われてきた。
カザフ原産の石油をロシア経由、日量50万バーレルが、このルートで運搬され始めるのは2009年からになるという。
 キプロス問題でいつも対立するギリシアとトルコの仲の悪さを、プーチンが巧妙に利用して、別のルートを確立し、あくまでのEU向け輸出の主導権を維持するというのがロシアの目的だ。

 昨年、カスピ海を越えてアゼルバイジャンのバクー経由→グルジア→トルコを結ぶジェイハン石油パイプラインが繋がった(1092マイル=1747キロ)。
これを「ジェイハン・ルート」と言う。
 プーチンが目の敵にしてきたルートである。工事費は36億ドル、西側諸国が協力した。焦点のジェイハン港は地中海に面している。

 NATOの一員でもあるトルコにとって「ブルガス・アレクサンドロポリス」ルートは明らかなる商売敵となる。
   

 ▲ボスポラス海峡の戦略的要衝の位置はますます重要となるばかり

 いまのところ、トルコにとってはボスポラス海峡を通るタンカーが未曾有の渋滞をみせるほど、混み合っており、新しいルートが建設されても、目先の被害は少ないと見積もられる。

 ポスポラス海峡は、およそ10分おきに20万噸級のタンカーが通過している。
これはスエズ運河の三倍の交通量。もちろんマラッカ海峡より多く、世界一の調密頻度。2006年だけでも、じつに36000隻の船舶がボスポラスを通過し、合計一億四千万噸の石油を西側に運んだ枢要なルートだ。

 EUは、それでもルート開発の多様化に熱中している。
EU諸国はならして、石油は33%、ガスは40%をロシアに依存している。だからトルコへぬけての「ジェイハン・ルート」だけでは足りず、冒頭のブルガリア ギリシアルートも必要とされる。

 さらにEUが計画中の「ネブッコ」ルートに平行させて、ロシアの「ガスプロム」が主導する2本目の「ブルー・ストリーム2」を敷設、このハブをハンガリーに置くことは既報した。
これでロシアはEUの一環としてのハンガリーを揺さぶり、抜け駆けをさせた。

EUのネブッコ・ルートはオーストリアがハブとなる予定である。
 既存の「ブルー・ストリーム1」は、すでに2005年に総工費32億ドル(全長743マイル=1189キロメートル)で完成、石油を運んでいる。
「ブルー・ストリーム2」はガスを運ぶ。

 トルコそのものの資源も大方をロシアに依存しているため、独自のガス輸入をトルクメニスタンと交渉してきた。
 そのほかにトルコ→ギリシア→イタリアへのパイプラインは、ガス輸送として08年から稼働を予定している。

 ますますややこしいが、新冷戦を迎えつつある欧米政治、このパイプラインの政治学をよくよく整理しておかないと誤断するだろう。
       ○○○○○
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(読者の声1) 貴誌1751号。書評。僕は或る大新聞の論説委員室で、都留重人(常務待遇の同顧問)さんと十年ぐらい同室でしたが、ノーマンのことは一切「ノーコメント」で、この件に関す限り暗い顔をしていました。
(名無しの老人)
 

(宮崎正弘のコメント) そうでしょうね。古傷ていどの話ではありませんから。都留氏は、共産主義者でありながら戦後は一ツ橋大学で経済を教え、しかもガルブレイズの翻訳(『不確実性の時代』)をしています(じっさいの翻訳は弟子筋だったかも)。
前掲の鳥居民さんの本(『近衛文麿「黙」して死す』、草思社)には、じつはガルブレイズの面妖な動きに関しての記述もあります。



   ♪
(読者の声2) 貴誌1751号の書評(2)の「西部氏の講演がとくにそうだが、聞いているとなんだか、頭が良くなった錯覚に陥る。ところが講演が終わって、或いは書物を読んで、ハタと思い至るのは国家百年を論ずる始源的感動が稀薄なことである。論理が全面に突出し、精神論ではないからだろう。
 言ってみれば修辞学の美酒に酔わされてしまうのだ」。

いやはや、まさにこの人の本質を付いております この西部氏ほど実は日本的精神とか情緒を持ち合わせていない人は珍しい。サヨクから保守へ。
まさに思考法の原点はサヨクにあると思います。
それと根本にあるのは自らのアメリカ生活での惨めさのルサンチマンがあるのか、反米のための反米の理屈をこじつけまわる点であります。
       (AO生、千代田区)



    ♪
(読者の声3) 過日、台湾へ行っておりました。
開通した台湾新幹線で台南市に出掛け、有名な奇美実業で音楽会を楽しみました。
食事は仏跳薔という精力スープ、からすみ、田鰻入りの台南麺、蛯巻、むつごろうの姿煮スープ、蒸し蟹入りちまき飯などなど。
故宮博物院の特別展(北宋の汝窯や書画)に行き、それから再高層ビルの「101ビル」(金融センター)の展望台にも上がりました。ホテルから故宮までの片道10キロ、展望台までの片道5キロをトットコ歩いて行き来しました。
 さて台湾紀行はともかくとして、今朝の貴書評(1751号)を読んで二冊とも読みたいと思いました。
鳥居民氏は三島さんを悪く書いている『昭和二十年』第二巻でストップしたままですが(苦笑)、近衛には大いに関心があります。
ぜひ、読んでみたいと思います。
西部さんの本の貴ご書評はまことに的確で、私がそう書いてみたいと思う冴えが感じられました。
産経新聞に連載の西部節は昨日で終了しました。産経がクオリティ・ペーパーへの変貌を予感させる連載でした。ドゥリアンのようにとっつきにくい、しかし口に入れると病み付きになる文章でした。
      (HN生、品川)


(宮崎正弘のコメント) 西部さんへの書評の反響が意外に大きいので、書いた本人としても驚いております。
 で、ホテルから故宮博物館まで歩いた? お疲れさまでした。
小生はタクシーでしか行ったことがありませんが、あそこを朝から夕方まで九時間みても飽きないという日本人が何人もいますよ。



    ♪
(読者の声4) 貴誌にある「スターリンの朝鮮人移住政策」ですが、第二次大戦が迫ると、スターリンはソ連極東地域の朝鮮系老若男女を捕らえて中央アジアに移住させた。
彼らの多くは不毛の地に投げ出されて死亡したとおもわれるが、たくましく生残っているのであろう。
戦後ソ連が満洲や樺太の日本人を捉えて奴隷にし、中央アジアでも強制労働を課したがこれは日本人だけであり、朝鮮系日本人は含まれない。彼らは奥地に送られる日本人をみて嘲笑していたという。
   (MC生、目黒区)


(宮崎正弘のコメント) 旧樺太(サハリン)では朝鮮族の棄民が、およそ9万人ほどいました。
十年ほど前にサハリンへ行ったおり、各地を廻りましたが、泊あたりには、まったく流暢な日本語を喋る老人がたくさんいて、おもわず残置日本人かと思いきや、朝鮮族でした。驚きました。
ユジノサハリンスクには瀟洒なホテルが建っていて、日本のビールも飲めましたね。高かったですが。。。
 また山の中腹に神社の鳥居が残っており、ソ連兵は破脚の面倒なものはそのまま放置、それより王子製紙の残したパルプ工場などをそのまま流用して段ボールをつくっていました。
だから王子製紙の技術者は、数年留め置かれ、引き上げは昭和22,23年頃になったそうです。
 ところで昨日付けの投稿者のご指摘のオペラ座はサマルカンドではなく、タシュケントの建物でした。
それも小生、見学しました。実に立派な建物でした。



   ♪
(読者の声5) 貴誌1746号(3月22日発行)の(読者の声1)にある決議文案日本語訳の問題点を2点指摘させていただきましたが、もうひとつ決定的に重要な訳し忘れがあります。
それは、「its Imperial Armed Force's」と「its Imperial Armed Forces」にある「its」です。
「日本帝国軍」を素直に訳せば「the Japanese Imperial Armed Forces」あるいは「the Imperial Armed Fotrces of Japan」です。
「its」が「the」の代わりに使われたのではありません。「its」は明確に「the Government of Japan」(日本の政府)をさしています。イギリス英語では「government」が政府という意味で使われる場合は、三権の集合体なので通常複数扱いです。
しかしこれは米語でかかれているので、単数でも「the Government of Japan」(日本の政府)をさしています。
ということは、慰安婦に性的奴隷サービスを強要した「Imperial Armed Force」(武装した天皇の実行部隊)も「Imperial Armed Forces」(帝国陸海軍)も政府の下部組織ということになります。そしてその「it」つまり「the Government of Japan」にむけて「should formally acknowledge, apologize, and accept historical  responsibility in a clear and unequivocal manner」といっているのです。
ということは以下の3つのことを決議文案は主張しているのです。
1.大日本帝国陸海軍は行政府である「the Government of Japan」(大日本国帝国政府と日本国政府)の下部組織である。
2.性的奴隷サービスを強要した天皇の武装した実行部隊も行政府である「the Government of Japan」(大日本国帝国政府と日本国政府)の下部組織である。つまり、かならずしも日本軍に一部とは限らない政府の一部署が強要を行なった。
3.軍だけが悪かった、あるいはドイツのようにナチス党だけが悪かったなどという議論は受け入れない。あくまでも日本政府の責任を追及する。
 強要等の事実認定であの決議文案には多くの誤りがありますが、以上のように論理の進め方にも大きな問題があります。
しかも困ったことに英語を母国語とする人が読むと、以上述べたことが当然のこととして、語感・語勢を伴って伝わるのですが、日本の学校英語を学んだ人にはほとんど伝わりません。少なくとも高校の英語教師には以上述べたことが当然のこととして理解できる人がなるべきと私は考えます。
   (ST生、神奈川)


(編集部より) マイク・ホンダ議員の対日従軍慰安婦の決議案の関して、翻訳ならび改訂翻訳など資料的なブログが下記にもあります。
http://sakurako.iza.ne.jp/blog/entry/140890/
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<< 宮崎正弘の近刊予告 >>
 『2008年 世界大動乱の予兆  (中国発世界大暴落の足音)』 (並木書房、予価1600円 四月下旬刊行予定。四月上旬に特典付き予約販売をネット上で行います)
    
   ♪ ♪
<< 宮崎正弘の近著 >>
『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
 『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
 『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
 『中国よ、反日ありがとう』(清流出版)
 『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『拉致』(徳間文庫)
http://www.amazon.co.jp/s/ref=sr_st/503-5227451-0680731?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&page=1&rh=n%3A465610%2Cp_27%3A%90%B3%8DO%81_c+%8B%7B%8D%E8%2Cn%3A466282%2Cn%3A492048&sort=daterank&x=8&y=8
(上記以外、入手可能な拙著は下記を含めて、ほとんどが上のサイトから注文出来ます。↑)
    
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『三島由紀夫“以後”』(並木書房)
『三島由紀夫はなぜ日本回帰したのか』(清流出版)
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宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2007 ◎転送自由。ただし転載は出典明示のこと。
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発行者プロフィール

宮崎 正弘

宮崎 正弘

http://www.nippon-nn.net/miyazaki/

国際情勢の裏情報を豊富なデータと人脈から解析してゆく。独特な方法と辛辣な批判精神によるニュースの裏側で織りなされている人間模様に興味を持つ。筆者の人生観と執筆を継続する動機の基軸は同じ。ホームページは http://miyazaki.xii.jp/

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