国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2007/03/23



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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 3月23日(金曜日)  貳
通巻第1747号 
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 カフカスの小国、列強の狭間に苦しむグルジアの悲哀
  サーカシビリ大統領の決断は「欧米との戦略的パートナーシップ」
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 グルジアは自国の軍隊が1万8千人。
 それでもイラクへ2000人、アフガンへ最大200の兵力をおくると発表し、世界政治に激震を与えている。
 もし合計2200の兵力を紛争地域の平和維持に派兵するとしたら、自国軍の12%強に当たるからだ。

 イラクには現在すでにグルジア兵850名が駐屯しているが、この数はイギリス、ポーランドの撤退開始以後、米国に次いで二番目。陸上戦闘部隊、エンジニア(工兵)、医療チームからなる。すでにグルジア兵は17名が負傷している。

 アフガニスタンへもグルジアは近未来にNATOの一員をめざすために、独仏混成軍とリトアニア部隊の指揮下に入り、当初は100名、必要あれば200名まで増員するとしている。NATOは歓迎している。

 グルジアは北がロシア、領内に北オセチア、アブハジアという実行支配のおよばない異教徒の地域を抱え、南はアゼルバイジャンという、いわば狭間に位置する小国。しかも、自由を求めて、親ロシア派を叩き出し、欧米への急接近を見せてきた。

 考えてもみられたい。仮想のシナリオとして、北海道に異教徒の独立運動、沖縄に中国に唆された独立運動を抱えて国内治安だけでも大変な日本が、外国に兵力をおくる?

 この「涙ぐましい」グルジアの努力は、まさしく小国の悲哀である。
筆者は嘗て李登輝総統が司馬遼太郎との対談で語った至言「台湾人に産まれた悲哀」という言葉を思い起こした。
 

 ▲ベトナム戦争に協力した韓国とフィリピンの位相

嘗てベトナム戦争のおりにフィリピンはかなりの兵力をベトナムにおくったが、マルコス大統領は現地に飛んでフィリピン兵を激励し「前線には出るな。あくまで米軍の後方支援が役割である」と説いた。
フィリピンはスービック湾が米海軍基地、クラーク基地は米軍空軍、ベトナムへの大兵站基地として栄えた。

 対照的に韓国はベトナム戦争の最前線に、大兵力を送り込み、虐殺の限りとつくした、と噂された。「猛虎軍団」とも言われたが、ベトナム女性との間に数万の孤児まで“生産”してきた。
 韓国は北朝鮮との軍事的緊張のなかにあって米韓条約の手前、ことわることが出来なかった。

 同盟とは血の絆がときに必要であり、日本もイラクへ1000名の自衛官を派遣した。「同盟」の証しだった。
 グルジアの動きを観察していると、名状しがたい、深い同情心が湧いてくるのである。
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(読者の声1) 貴誌1743号「読者の声」の「STさんのご意見について一言。ご趣旨がいまいち、明確に理解できません」とありますので、簡潔に1740号と1741号に載せていただいた私の議論を以下にまとめさせていただきます。

「韓国、米国等の国民は自国の歴史の中にある醜い部分があまりのも多くそれらを含めて直視することを避けることが国柄あるいは国体となっている。
したがってかれらの歴史らあるいはかれら以外の国の歴史を直視できるように話し合っても無駄である。したがって、個々の事象ごとに反証するしかない。」
1740号に載せていただいた私の議論の関連部分は、以下のとおりです。
「過去の奴隷制や宮崎氏の言及された『原住民インディアンの虐殺』から目をそむけることを正当化するものを求める性向は、音楽で言えば通奏低音、宇宙で言えば黒体輻射であり、国で言えばまさに米国の国体である。したがって大東亜戦争末期において国体護持が日本にとって重要であったように、この米国の国体も米国にとって重要である。つまり、これを変えさせようとしても、直視させようとしても無駄である。唯一可能なのは、この国体に触れるような事象がおきるたびに、毎回事象ごとに厳格に反証することである。要するに対米交渉は自動車でのドライブではなく、サイクリングのようなもので努力を怠れ
ばこけてしまう。韓国との対応も同様でこちらは一輪車乗りのような芸当が必要になる。一度は腹を割って根本的に理解し合えれば理解しあえるというようなことはない。ここのところを理解することが肝要である。」

ところで、最近トルコ系の民族に関する話題がマスコミをにぎわしていますが、東北アジアおよび日本との関連で注記したいことが、2点あります。
1.大元蒙古帝国がユーラシア大陸に覇を唱えるまで、トルコ系民族はトルコからシナ地域名称としての「シナ」を程度の差はあれ軍事的に支配していた。
「シナ」諸王朝は、かれらの東北アジアでの代官とでも言うべきものであったとまで言うと、言い過ぎかもしれませんが、前漢の前半ではまさに漢の皇帝はトルキスタンに臣従した代官でした。
しかもこのころに「シナ」の人口は五千万人を越え、以降この水準を突破したのは17世紀末、清朝の時代です。まさに「シナ」は外部の民族に支配されると一般庶民は繁栄するのが定則です。

2.第二次世界大戦末期、枢軸国で戦っているのは日本だけになったとき、中立国は連合国から対日宣戦を強要された。
多くの国が対日宣戦した中でトルコは終戦まで中立を守った。そのため国際連合=連合国の原加盟国になれなかった。
日本の総理大臣がトルコを訪れたとき、トルコ国会で、
「あくまで中立を守ったトルコ国民の勇気と良識に尊敬を表します。世界平和を希求する日本国民はこのトルコ国民の偉業に感謝するとともに、世界にこのような民族のあることを誇りに思います」
と演説すると、世界人類の正確な歴史認識に大きく寄与すると思います。
  (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント) トルコに行くと、いまも「日露戦争の勝利」をわがことのように喜んでくれます。日本の若者が知らない東郷平八郎の名前さえトルコの若者の間では、きわめてポピュラーです。Z旗の意味も由来も知っているトルコ人が多い。


  
  ♪
(読者の声2)貴誌1746号「読者の声(1)」非常に参考になりました。
米下院に提出された(慰安婦)決議案ですが、日本のマスコミで焦点となっている「(軍、官憲が)強制連行した」ことは、決議案では直接には糾弾していない、という小生の印象ですが、いかがでしょうか?
文中の「its Imperial Armed Force's coercion of young women into sexual slavery」は、素直に読めば、
「若い女性たちを、性奉仕奴隷として、(働くことを)日本軍が強制した」
ということであり、「性奴隷として、強制連行した」とは読めません。
(まして、commissioned the aquisition of young women  という表現もしています) 

つまり日本側が「強制連行はなかった」ことを争点として反論することは、相手に対して誤った対応になっているのではないか、という指摘を私はしたいわけです。
また、Trafficking of the comfort women for the Japanese Imperial Armed  forces never occured などとは、日本の誰も言っていないわけで、むしろ 「あれは、Trafficking comfort women に過ぎない(のでは)」と云っているわけで、Traffickingという言葉を用いたのは提案米議員連の大チョンボではないか? と思いました。
  (KI生、尼崎)


(宮崎正弘のコメント) ご指摘有り難うございます。関係者に回覧します。
   <>
(編集部より) 早速、NF生に回覧したところ下記の返答がありました。

「(1)米下院慰安婦決議案の仮訳は少し不正確なところがあったので、私の方で全文を訳し直したものです。かなり慎重に日本語の訳語を選んだので、間違いはないはずです。文書の形式が日本語と英語でことなるので、大胆に組み替えた部分がありますが、内容がずれているわけではありません。
ついでに、昨年廃案となった下院決議759との異同も調べて報告します。こちらのほうはもっとすさまじく、ホンダの決議案はいくらか微修正してあります。なお、櫻井よしこさんが「週刊新潮」3月15日発売号に引用されているのは、この廃案になったほうの決議案であると思われます。秘書の方かご本人が錯覚されたのではないでしょうか。

  (2)ニューヨーク・タイムズに意見広告掲載を拒否された事例は、過去に遡ればもっとあるはずです。ご存知の方、情報をお知らせ下さい。すぎやまこういちさんは立派です。もし宮崎案を実行するとすれば、1千万円程度の基金を用意し、10位の関連団体・グループに声をかけて広告掲載を申し込んでもらい、もし万が一掲載されたらその基金から支出する。ただし、広告の作成費だけは各団体もちとする、といったことになるでしょうか。
それにしても、3月6日付けのニューヨーク・タイムズの社説はひどい!
 「慰安所は商業的売春施設ではなかった。女性の調達には、明示的・暗示的に暴力が行使された。そこで進行していたのは絶え間ない強姦であって、売春ではなかった」
などと書いている。

ニューヨーク・タイムズはアメリカの朝日新聞である。ちなみに東京支局は朝日の社内にあり、記者は日本の左翼から情報をもらって書いている。
しかも、日本では正体がばれた慰安婦を使った工作が、15年おくれでアメリカ議会でまんまと成功している。
アメリカのメディアも識者もだまされるか、信じているふりをしている。
戦争をめぐる歴史認識問題で日本に対する道徳的な優位性を絶対に手放さないという彼らの決意の表れである。こうなったら、逆襲を本気で考えなければならないと思いだしている。
    (NF生、文京区) 
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『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
 『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
 『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
 『中国よ、反日ありがとう』(清流出版)
 『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『拉致』(徳間文庫)
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(上記以外、入手可能な拙著は下記を含めて、ほとんどが上のサイトから注文出来ます。↑)
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<宮崎正弘の「三島由紀夫論」三部作>
『三島由紀夫“以後”』(並木書房)
『三島由紀夫はなぜ日本回帰したのか』(清流出版)
『三島由紀夫の現場』(並木書房)
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