国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2007/03/16



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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 3月16日(金曜日)  貳
通巻第1739号 
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 資源開発戦争はカスピ海沿岸諸国でも乱戦模様
  トルクメニスタンに五つの商談、大型開発プロジェクトの風呂敷
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 もつれた糸を解すように、順番に簡潔な説明を試みる。
なにしろ日本から遠隔地の話なので、掴み所がない話題かも知れない。しかし、資源のない日本には致命的な事柄なのだ。

 一、トルクメニスタンの豊富なガスを東南方面へ運ぶルートは、米国メジャーの「ユノカル」がタリバン政権の時代から話し合ってきた。
爾来、十年の歳月が流れ、まだプロジェクトは一向にはかどらないが、03年12月にトルクメニスタンとアフガニスタン、パキスタンの三カ国が合意に達した。全長1580キロ、総工費25億ドル。
年間200億立方メートルの天然ガスをパキスタンの港まで輸送する。

 この構想にはパキスタンから分岐してインドへ運ぶプロジェクトも浮上し、インドの参画も正式に決まっている。
 ただしガスの鉱区は現在ロシアへ輸出されているダウレタバードで、ロシア企業「ガスプロム」との軋轢も予測される。ガスプロムは世界第三位の大企業で従業員39万、マイクロソフトより大きい。納める税金が全ロシア歳入の四分の一を占めるほど。


 二、トルクメニスタンの豊富なガスを北東方面へ運ぶルートの開発は05年7月に中国との間で原則合意された。
 中国へは2009年から年間300億立法メートルのガス供給を約束している。
「シノペック」はアムダルリヤ川の側にある鉱区を抑えた。手始めの援助は2600万ドルの発掘ドリル。中国輸出入銀行が融資した。


 三、トルクメニスタンの豊富なガスをEUに輸出するためカスピ海の海底を跨ぎ、アゼルバイジャン経由トルコへのルートがニヤゾフ前政権のもとでも前向きに進んでいた。
  EUと米国がこのルートに前向きだが、「この構想は不可能に近い」とトルクメニスタン政府幹部は発言した。(『ユーラシア・ディリー』、3月11日付け)。


 四、トルクメニスタンの豊富なガスを、一番近いくに、南に隣接するイランも興味を示し、やはりパイプライン建設プロジェクト計画が進捗している。
 またカザフスタンが同国からトルクメニスタン経由イランへのルート開発に前向きともいわれ、アフマデネジャット(イラン大統領)は、たびたびこれらの地域を訪問している。


 五、トルクメニスタンの豊富なガスを、ロシアとは別個に、鉱区開発プロジェクトの協議をウクライナとベラルーシとも、それぞれ進めている。


 ▲ ロシアの独占体制を内外から揺らす

 現在のところ、トルクメニスタンの豊富なガスはロシアが独占的に購入している。
 パイプラインを敷設しているロシア企業が運輸を独占しているからである。独占企業は「ガスプロム」、プーチンの子分、ミレルが会長。第1副首相のメドベージェフが幹部会議長。実質的にはエクソンモービルについで、世界第二位のメジャー。
トルクメニスタンから安く買いたたき、高くEUに売る。

 この美味しい独占ビジネスをほかの国のルートにさらわれては大変とばかり、モスクワはトルクメニスタンに異常ともいえる熱意で近づいているわけだ。

 トルクメニスタンの新大統領ベルディムハメドフは3月7日、首都のアシュガバードでロシアのガス貿易企業「イテラ」のムカロフ社長を迎えた。
 イテラ社はモスクワの「ザルベズネフツ」および「ロスネフツ」とジョイント・ベンチャー企業の「ザリト」の株式を持ちあっている。

 「イテラ」「ザルベズネフツ」、「ロスネフツ」「ザリト」と紛らわしく舌を噛みそうな名前だが、いずれもモスクワの会社。
この新ベンチャー企業がトルクメニスタンの新しいガス鉱区開発を持ちかけ、トルクメニスタンの国営企業「トルクメンネフツ」と合弁でカスピ海沿岸部の鉱区開発を狙う。
  ガスプロムの競合企業なのか、ダミーなのか、実態は明確ではない。
 本来なら03年12月に25年間の開発権利協定に署名した筈だが、トルクメニスタン政府は批准を遅らせてきた。
理由はすぐ南のイランが有利な条件を出しているからだ。

 ロシアは慌ててトルクメニスタンに首相を送り込み、向こう二十年間の供給保障を取り付けた。
ただしトルクメニスタンの値上げ要求を呑んで、1000立法メートルを百ドル(50%の値上げ)で2007年に600億立法メートル、08年に700億立法メートル、2028年までに800億立法メートルを買い上げる。


▲ 砂漠のくにぐにの乱戦

 くわえてカスピ海にもう一本のパイプラインを敷設しようと提案している。
 トルクメニスタン政府は、カスピ海沿岸五カ国の合意がないと新パイプラインは難しいとしてロシアに正式な許可をしていないが、問題はそれほど膨大なガスが本当にトルクメニスタンに眠っているのか?

 すでにサハリン開発も軌道にのって、これ以上の大口需要が継続してあるのか?
 ロシアはガス・OPECの形成を目指しているが、アルジェリア、イランのほかに参加する国があるのか?

 ガスの独占ビジネスに固執するあたり、プーチンのパラノイア症候群とも言えるが、ガスは物理的に蒸発する。
近未来のプロジェクトも、これまた“蒸発”してしまう危険性は本当にないのだろうか。
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(読者の声1) わたしは雑誌『諸君!』をほぼ毎月読んでいる愛読者です。
しかし4月号の酒井亨氏の「李登輝は転向したか」を読んで大きなショックを受けました。敬愛する李登輝先生が、親中派に転向したなどと、色々悪口が書かれていたからです。
 でも心の中では、「そんなバカな!」という思いがあり、知人や台湾の友人たちにも電話で色々と確認をしていたところです。
それでとりあえず酒井氏はいい過ぎではないかとの結論もえていたのですが、わたし自身がこの話は難解だったためもあって、今一つ、釈然としませんでした。
 メルマガ「台湾の声」で在米評論家のアンディ・チャン先生の論説を読んで、ようやく真相が理解することができ、李登輝先生が転向などしていないと安心しました。
しかし、気にかかったのは『諸君!』が、この論説の掲載を断ったということです。
なぜチャン先生の論説がボツになったかは知るよしもないですが、『諸君!』は、酒井氏の間違った内容を訂正しなければ、私のように同誌を信用している方々は、本当に李登輝先生が親中派に転向してしまったと信じてしまう。
 このままでは日本で李登輝先生は疑われるままになります。
酒井という人が書いた物は、はっきりいって李先生の名誉毀損です。ただの李登輝バッシングで、悪意さえ感じます。
チャン先生の論説を読んで本当にそう思います。
 『諸君!』が公正に何かの策をとらなければ、李先生が気の毒で、申し訳ないとしか言いようがありません。李先生は、これまでどんなに日本人を応援してくださったかを、忘れてはならない。
 日本と台湾を離間させようとしても喜ぶのは中国だけです。『諸君!』はそのような雑誌にいつからなってしまったのであろうか。
(ノブオ)


(宮崎正弘のコメント) 小生が仄聞する限りでは、『諸君!』は、酒井論文に対してほかの人の反論を載せるため、チャンさんのほうは見合わせた、という経緯です。


   ♪
(読者の声2) 貴誌1736号に林文堂『台湾哀史』(非売品)申し込み先の所在地が
〒160-0022 東京都新宿区新宿5丁目6番号 神谷ビル503号
とありましたが、
正確には、
〒160-0022 東京都新宿区新宿5丁目6番2号 神谷ビル503号
です。
  (ST生)


(宮崎正弘のコメント) そうですか。寄せられた原文が間違っていました。万一、郵送されてもどってきた読者がおられましたら、上記の通りです。
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< これからの拙論 >

(1)「中国外交の黒幕は誰か」(『月刊日本』4月号、3月22日発売)
(2)「安倍外交にのぞむ」(『ランティエ』4月号、3月24日発売)
(3)「聞こえませんか? 中国発世界大暴落の足音」(『WILL』、26日発売)
(4)「世界大動乱の予兆 池東旭氏との緊急対談」(「『サピオ』、4月11日号、3月26日発売」
(5)「微笑む中国の真実」(『ボイス』五月号、4月10日発売)
(6)「流刑地・海南島はいま」(『共同ウィークリー』、三月下旬号)
(7)「新華僑の噴出」(『力の意思』、四月号、下旬)
(8)「土地を失った農民の悲劇(仮題)」(『自由』5月号、4月10日発売)
(9)「ロシア資源戦略とサハリン2」(『経営速報』、四月初旬号)
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<< 宮崎正弘の近著 >>
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『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
 『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
 『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
 『中国よ、反日ありがとう』(清流出版)
 『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『拉致』(徳間文庫)
http://www.amazon.co.jp/s/ref=sr_st/503-5227451-0680731?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&page=1&rh=n%3A465610%2Cp_27%3A%90%B3%8DO%81_c+%8B%7B%8D%E8%2Cn%3A466282%2Cn%3A492048&sort=daterank&x=8&y=8
(上記以外、入手可能な拙著は下記を含めて、ほとんどが上のサイトから注文出来ます。↑)
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<宮崎正弘の「三島由紀夫論」三部作>
『三島由紀夫“以後”』(並木書房)
『三島由紀夫はなぜ日本回帰したのか』(清流出版)
『三島由紀夫の現場』(並木書房)
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宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
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