国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

全て表示する >

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2007/03/15



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◆◇◆◇
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 3月16日(金曜日)  
通巻第1738号  (3月15日発行)
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 ベルギーの浮き足だった軽挙妄動にハンガリーも相乗りへ
  ロシアのガスパイプラインの「ハブ」構想に乗り気、EU分裂は決定的か
****************************************

 ハンガリーが変心したようだ。
 EUを揺るがすブタペストの変心の予兆は昨師走にライス国務長官が訪問したときに顕現していた。
「カスビ海からEUへのパイプライン(ナブッコ・パイプライン)構想には現実味が薄い」とジェルチャーニ首相が発言していたのだ。

 NATOのメンバーでもあるハンガリーは、ロシアからのガスパイプライン建築という大プロジェクトを、同じく拠点化をめざすベルギーを出し抜いて先に拠点化させるという「ガスプロム」からのおいしい話に乗った。

 ガスプロムの「ブルー・ストリーム」というパイプライン構想(トルコからバルカン半島を経由してハンガリーかオーストリアに拠点、分岐)は、いきなりハンガリーに拠点を築き、EU諸国へパイプラインを分岐しようとする大がかりな構想である。
2012年完成予定。

一方、EUがしゃかりきで進めている「ナブッコ」パイプラインがあるが、これを袖にして、ブタベストの社会主義政権は、ある日唐突に旧宗主国ロシアへ寝返った格好となった。
EUは法的訴追を辞さない構えという(ユーラシアディリー、3月11日付け)。

 EUが決議した「ナブッコ」パイプラインとは、カスビ海のガスをEU諸国が集団的コンソシアムを組んで引っ張ってこようとするもので、米国が支援し、欧州復興開発銀行は70%の融資をきめていた(06年6月のベルリンサミット)。

しかしオーストリアがナブッコの拠点と聞いたハンガリーがむくれ、「(ナビッコパイプラインは)長い間の夢、しかし古い計画である。我々には夢は要らない。ガスが欲しい」(ハンガリーのジュルチャーニ首相)。
 

 ▲ プーチンの強引な資源戦略にEUの反発も予想される

 EUは3月9日にブラッセルで開催したサミットでも「ナブッコ」プロジェクトを再確認し、ルートへの本格参入と予算を決めたばかり。
ところがハンガリーがロシア側のブルーストリームに傾くとなれば、白紙にもどる懼れもある。
ハンガリーはトルコ、オーストリア、ルーマニア、ブルガリアと並んで「ナブッコ構想」の最初の提唱国家でもあった。
アゼルバイジャン、カザフスタンなどは年間200億立法メートルのガスを輸出する態勢を2012年までに準備できる」としてきた。

 その最終段階でハンガリーが、ルートが隣のオーストリアに流れると知ってむくれた。その間隙をロシアが巧みに突いたのだ。
 
もっとも「ブルー・ストリーム」構想はプーチン一流のEU攪乱作戦かもしれず、ベルギーをさきにハブ化すると言って、EUの団結に楔を打ち込んで政治力の示威をしたように、もう一歩、本物とは捉えにくい。

その現実的には工事の実現にあたってロシアからEUまで間にウクライナ、ベラルーシ経由のルートが見込まれ、このふたつのスラブ兄弟国家のロシアへの愛憎半ばした感情的もつれは、いまも尾を引いている。
したがって近未来にはまだまだ紆余曲折が予想されているが。。。。
          ◎ ◎ ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(深夜番組に出演) 3月16日の2400 (正確には17日土曜日午前零時。ラジオ日本の「ミッキー安川の朝までナマ勝負」に宮崎正弘が生出演します。午前零時から同一時ごろまで。
ご意見ご質問は下記へ(16日午後11時から17日の0030頃までメールでも受け付けます)
yasukawa@jofr.co.jp
    ▽
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
(読者の声1) 第1736号へのコメントを二つ。
まず(読者の声1)について。アメリカの親中反日国民感情の源流の有力なものとして、19世紀後半から20世紀前半に中国へ布教に行った新教牧師の報告があります。例えば、パール・バックの『大地』です。
これら新教牧師の報告はアメリカの大衆紙を通じて普通の国民に親中反日感情を埋め込みました。
 つぎに(読者の声2)への宮崎さんのコメントについて。「これで『文藝春秋』四月号は買わなくて済みます」と仰言っていますが、「昭和天皇戦時下の肉声」を読むため、やはり買わねばなりませんよ。
     (KI生、生駒)


(宮崎正弘のコメント) パール・バックの『大地』が、最近日本でなかなか手に入らなくなって、ひそかに良いことだと思っておりました(苦笑)。
 ご指摘の米国におけるロビィですが、宋美齢が、その典型であったように、中国人のほうが、じつに巧妙ですよね。
「従軍慰安婦」をまたぞろけしかけたホンダ議員のもとに中国から十一万ドルもの献金があった(産経、15日付け一面トップ)。
 ホンダ議員の選挙基盤は中国人と韓国人がワンサカとすむ「反日ムード」一杯の選挙区ですから、反日を叫んでいれば当選できる仕組みです。



     ♪
(読者の声2)先日、福岡県立太宰府高校の教諭の占部先生の講演を聞きました。
「愛国」と言葉の語源なるものが語られました。宮崎先生はご存知と思いますが、今の日本の安全保障を語る上で大変重要なことだと思っております。
 それは663年の白村江の戦いで、唐・新羅連合軍に敗れた日本を、侵略するなら今だという議論が唐で高まった時、先の戦いで捕虜になった大伴博麻が自らを奴隷として売り、そのお金で仲間を日本へ帰し、祖国の危機を告げるというお話で『日本書紀』にでています。
その情報もあって日本では博多から大宰府まで政庁を下げ、水城といわれる土塁の防衛線を築き、大野城と呼ばれる朝鮮式山城を築き、そして難波に向かう瀬戸内海に砦をもうけ、朝鮮半島から日本まで狼煙を島伝いで知らせるという連絡網をしき、最後に飛鳥の宮から琵琶湖のほとりの大津に遷都するという一大防衛ラインを4年で築いたのです。
 こんなに守りの堅いところに攻め入っても、損だということがわかり、唐は政策を転換し、融和政策をとるようになったということです。
そこで遣唐使が復活したり、大陸との交流が深まりました。
もしこの時にちゃんと有事に備えなかったら今ごろ日本の歴史は変わっていたかもしれません。その自分の身を売ってまで、情報を伝えた大伴博麻は30年ほどしてやっと故郷に戻ってくるのですが、そのときに持統天皇が一農民兵に勅語をお与えになるのです。
そこに、
 「朕喜厥尊朝愛国売己顕忠」
  (朕、その朝を尊び、国を愛ひて、己を売りて忠を顕すことを喜ぶ)       
  とあり、その言葉が愛国につながったということだそうです。
少々長くなりましたが、独立国としてちゃんと備えたものだけが、世界から信用を受け、尊重されることが、1400年ほど前の歴史からも充分に読み取れ今もそれが通用するのではないかと思い、引用させていただきました。
 日本はもっと世界に向けて、英語で発言し、その訳ももう一度考え直し、「天皇」を「エンペラー」と訳すのではなく、「ザ ハイエスト プリースト オブ ジャパン」などと訳したほうが良いのではないでしょうか?
天皇はスメラミコト、スメルは「統める」で「支配」するのではなく、自然のようにあるものだと思います。
英語の「エンペラー」では強すぎると思いませんか。
    (MI生、福岡)


(宮崎正弘のコメント) 拙著のどこかに書きましたが、天皇をエンペラーと翻訳するのは間違いです。
それではツアー、キング、皇帝、ハーンなどと同じで、せいぜい「慈悲深い統治者」くらいの軽い受け取り方をされてしまいます。
村松剛氏が盛んに言っておられましたが、「プリースト・キング」(祭祀王)というのが、もっとも正確なニュアンスで外国人に伝わると思います。



   ♪
(読者の声3) ビジネスのため上海、無錫、蘇州などの日本企業の工場をいくつか参観してきました。
おもにプラスチックの成型やバリ取り。製品の全てを大手企業に収めているので現地での競合はなし。 
単身赴任組を除けば豪華マンションに住んで、優雅な生活。上海ではバンド(外灘)の「ピ−スホテル」(和平飯店)でジャズ聞いたりして、楽しんできました。
ところで、カラオケなんですが、軍歌なんでもありで、「紀元2600年」を旭日旗燦たる画面で熱唱してきました。
第一興商のオートチエンジャーを丸ごとPCにコピーして、PCで再生しています。元の第一興商に軍歌があるのですべてついてきています。
そのカラオケ店は去年、手入れを受けて3ヶ月間営業停止となった由ですが、カラオケには何のお咎めもなかったそうです。上海で軍歌 感激風の雑感でした
     (SH生、大田区)


(宮崎正弘のコメント) いまから二十五年ほど前のこと。台湾の酒宴の席で、或る大手企業の幹部が、政治情勢をなにもしらずに「乾杯」となって、「毛沢東主席に乾杯!」とやったら座がしらけ、商談は破談。いまなら爆笑問題です。
しかし、そのころも台湾では軍歌は歌い放題、参加した台湾のひとも、日本時代を懐かしんで合唱したものです。
 さて上海の和平飯店ですが、あそこに租界時代の情緒が残っていたのも十年前までですね。
当時はジャズをやっているロビィは無料で開放されており、竹村健一氏なぞ飛び入りで舞台に上がり、バンドマンと一緒にピアノを弾いたこともあります。
 数年前からロビィを仕切って、ジャズ会場に入るだけで百元か、百五十元もの入場料を取るでしょ?
ドリンク料金も高く、あそこに蝟集するのは90%が日本人です。というわけで、小生は最近、上海へ行っても立ち寄らないことにしております(苦笑)。
    ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
< これからの拙論 >

(1)「中国外交の黒幕は誰か」(『月刊日本』4月号、3月22日発売)
(2)「安倍外交にのぞむ」(『ランティエ』4月号、3月24日発売)
(3)「聞こえませんか? 中国発世界大暴落の足音」(『WILL』、26日発売)
(4)「世界大動乱の予兆 池東旭氏との緊急対談」(「『サピオ』、4月11日号、3月26日発売」
(5)「微笑む中国の真実」(『ボイス』五月号、4月10日発売)
(6)「流刑地・海南島はいま」(『共同ウィークリー』、三月下旬号)
(7)「新華僑の噴出」(『力の意思』、四月号、下旬)
(8)「土地を失った農民の悲劇(仮題)」(『自由』5月号、4月10日発売)
(9)「ロシア資源戦略とサハリン2」(『経営速報』、四月初旬号)
   ◎ ◎ ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
      ♪
<< 宮崎正弘の近著 >>
   ♪
『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
 『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
 『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
 『中国よ、反日ありがとう』(清流出版)
 『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『拉致』(徳間文庫)
http://www.amazon.co.jp/s/ref=sr_st/503-5227451-0680731?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&page=1&rh=n%3A465610%2Cp_27%3A%90%B3%8DO%81_c+%8B%7B%8D%E8%2Cn%3A466282%2Cn%3A492048&sort=daterank&x=8&y=8
(上記以外、入手可能な拙著は下記を含めて、ほとんどが上のサイトから注文出来ます。↑)
    ♪
<宮崎正弘の「三島由紀夫論」三部作>
『三島由紀夫“以後”』(並木書房)
『三島由紀夫はなぜ日本回帰したのか』(清流出版)
『三島由紀夫の現場』(並木書房)
  ◎ ◎ ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
◎小誌の購読は下記サイトから。(過去4年分のバックナンバー閲覧も可能)。
http://www.melma.com/backnumber_45206/
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2007 ◎転送自由。ただし転載は出典明示のこと。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-08-18  
最終発行日:  
発行周期:ほぼ日刊  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。