国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2007/03/08



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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 3月8日(木曜日)  貳
通巻 第1729号  
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 ロシアのEU分断作戦はエネルギー供給のハブ争いへ発展
  ベルギーが中継拠点をねらってクレムリン宮殿へのこのこと出かけた
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 ベルギーにはEU本部とNATO本部がある。欧州外交の中心地。
 じつはガス供給のハブとして、パイプラインの主要ルートも、ベルギーが主要な中継地として活用されている。
これまでは北海油田からの輸送中継地でベルギーは栄え、ヨーロッパ各地への供給を続けてきた。

 このベルギーのヴェルホフスタット首相が、経済使節団を率いてモスクワを“静かに”訪問し、クレムリン宮殿でプーチン大統領と面談、或る協議を行った(07年3月2日)。
 「ガスプロム」本社も訪問し、取締役会議長を兼任するドミトリ・メドベージェフ第1副首相とも話し合った(ユーラシア・モニター、3月6日付け)。

 いったい何が話し合われたのか?
 ロシアからのガス供給を、ベルギーが大量に受け入れ、将来はEU諸国へのハブとする協議が続き、ベルギーのガス供給企業「ディストリガス」を、「ガスプロム」が買収するという意想を越える話が行われたのだ。

 フランスのエネルギー企業「スエズ」は、ベルギー企業「ディストリガス」の子会社を買収し、その新企業がガスプロム参加に入るという手法をとる。
 またベルギーの別のエネルギー企業の「フラクシーズ」も、別途、「ガスプロム」と協議を重ね、将来、備蓄基地を提供する商談が進んでいる。

ベルギー国内のガス消費量は年間165億立法メートルと少々だが、同社は北海油田からのパイプラインでEU諸国に供給してきた。
 この中継ビジネスが北海油田の産出現象に直面、2020年を目処に多角化しようというのが動機だろうと推測される。

「ガスプロム」はドイツ、ハンガリーなどに備蓄基地をハブ拠点を持ち、フランスとも別途交渉している。
 またプーチン傘下の「ルークオイル」もベルギー進出に積極的で、コノコフィリップスの持つガソリンスタンド156箇所を買収する計画がある。

 これは、まさにロシアのEU分断作戦である。
 要するにEUには「整合性のあるエネルギー政策が不在であり、その間隙をロシアに疲れた格好と言える。


 ▼ダイアモンドにも目がくらむ?

 じつはベルギーには、もう一つの秘策があった。それはアントワープのダイアモンド研磨加工産業である。

 イスラエルと並ぶダイアモンド研磨で有名なアントワープは、アフリカ以外からの供給元多元化を図っており、ロシア産出のダイアモンドをロシア国営ダイアモンド企業の「アルロサ」から可能な限りの量を輸入する構えだ。


 そういえば、バルト三国の南端・リトアニア(昔杉原外交官のビザ発給美談があった)へのガス供給をロシアは06年7月から「補修工事」を理由に中断している。
 リトアニアは、反ロシア、親西欧の外交路線をとるが、ガスのパイプラインを通じて、ポーランド、ドイツへ中継する拠点でもあった。
ロシアの恐喝的エネルギー外交に対抗し、ポーランドと合弁の原子力発電所建設を決めたばかりだった。
 
 リトアニア国内にある巨大精油所の買収を、公然とロシアが希望してきたが、リトアニアはプーチン系列の「ルークオイル」ではなくて、ポーランドに売却したため、その腹いせもある、と観測筋は見ている。
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(読者の声1)いま米メディアは、ご承知のように昨日のNYT、FTなども大きく慰安婦謝罪拒否の安倍晋三発言を取り上げています。
米議会で決議案が通過しても謝罪などしない、と先週発言し、今週の国会発言では93年(?)の河野官房長談話は認めると後退したというのが英語メディアの事実認識のようです。
安倍晋三首相はかねてよりの持論を展開したのだとは思いますが、彼の真意、政治的狙いというのはなにか思惑見えますでしょうか?
 安倍の支持率低下を挽回したい意図があるとすると、それとの兼ね合いではいかがですか?
慰安婦などもうどうでもよいではないか。すでに政府で基金で多額のカネを払い受け取った元慰安婦も260人ほど。いまさら何を蒸し返して・・・・なのですが、米メディアは殺気だっていますね。何か書ける材料だと動き始めていますね。
   (RH生、カリフォルニア)

 

(宮崎正弘のコメント) カリフォルニアの反日的な空気、よく分かります。メディアのうしろに中国人活動家の姿が透けて見えてくるようでもありますが。
 基本的に慰安婦問題で、単なる「慰安婦」と「従軍慰安婦」は違います。
かの「三光作戦」と同様、あとからの作り話で、藤岡先生らの努力で100%否定され、左翼の教科書からも「強制連行」「従軍慰安婦」は消えています。(中国の「光」には殲滅、皆殺しの意味があり、日本語の感性にはない。だから「三光」は、ご承知のように中国の情報機関の「創作」です)。
「強制連行」された「従軍慰安婦」も、日本軍が直接にアレンジした事実は一切なく、中間の「業者」が女性を騙したケースが多い。
安倍首相が党内のばらばらな空気統一を図る目的なんぞないでしょうね。信念の丈(たけ)を述べているのでしょうから。
 温家宝首相の四月訪日を控え、自民党内は沈静化への動きですが、ここで日本側が大攻勢をかけて、温来日がドタキャンになるようにし向けるほどの蛮勇が安倍さんにあるとは到底考えられません。



    ♪
(読者の声2) 貴誌1728号(3月7日発行)の「読者の声1」は、正に急所ついています。
私もどちらかといえば親米派ですが、アメリカの嫌らしさ、醜さを感じています。
免許取り立ての運転者の車の若葉マークですが、あれは行政が付けさせているものです。かならずしも、自由意志で「私は運転が下手だから周りの人は注意してください」と意思表示しているわけではありません。
1980年頃英国に住んでいたときある友人が、「若葉マーク」に相当するもの(日本の若葉マークとは多少用途が違いますが)をつけるようにアドバイスしてくれました。日本の若葉マークは、英国の風習の真似なのかもしれません。
かといって英国流「甘えの構造」というわけではないと思います。
英国では、細くて曲がりくねっていてせいぜい時速30マイルしかだせない道でも人が飛び出してくる可能性がなければ、制限時速60マイル、見通しがよくて平らなまっすぐな道路でも歩行者がいるところでは制限時速30マイルだったりして、制限時速は運転者以外を守るもの、自分の責任で危険を冒すのは本人の勝手という観念が徹底していることに驚きました。
米国で歩行者など絶対いない急カーブのハイウェーで制限時速20マイルというところを見つけて、むしろ米国人はあそこまで徹底できず「甘え」があるのではと思ったりしました。
「終戦直後に進駐軍が入ってきたとき、当時の遊郭の女性を進駐軍兵士用にリクルートしたことがありました。旧制中学一年生の小生の耳にもそんな話が入ってきたのですが、これは多分アメリカ側の要請によるものだったと思います」
とありますが、「多分」ではありません。
実際に進駐軍が日本政府に要求したものです。
それより涙ぐましいのは、少しでも日本に対する処遇がよくなるようにと貴族への憧れの強い米軍将校に対して性的サービスを提供した華族の未亡人たちがいたことです。
なかには未亡人ではあるいは成人女性では飽き足らなかった米軍将校たちもいたことでしょう。
「ホンダ議員はご存じないと思います」といわれましたが、そう思うことこそ甘えでしょう。知っていても知らないふりをする、自らに都合の悪いことには目を瞑る、これが人間の普通の姿です。
神の国の住人と同じ考えや反応をしないからといって、非難しても有効ではありません。
   (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント) 三島由紀夫の『金閣寺』に、米兵に連れられた日本女性が金閣寺に現れ、僧に命じてお腹を蹴らせ、中絶させる場面があります。占領当時の米軍兵士の横暴。あの時代、日常茶飯の出来事でした。
 日本政府の対応は、ようするに喧嘩の仕方を知らないのです。
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