国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2007/03/07



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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 3月8日(木曜日)  
通巻 第1728号  (3月7日発行)
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 中国福建省から台湾まで「海底トンネル」を三本、中国が計画を上程
   「台湾統一工作」の一貫としての政治謀略と台湾側は構想自体を警戒
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 金門島(台湾領)と対岸のアモイ(中国福建省)とを結ぶフェリーは連日、満員が続き、金門島では人民元が合法的に兌換可能である。
金門島知事は、アモイとの間に橋をかけるプロジェクトにきわめて前向きである。

中国政府当局は、高速道路網整備計画の一環として、台湾へ海底トンネルでつなぐ「計画」を、いきなり三本、上程する構えという(自由時報、3月4日付け)。
瀬戸大橋よりも長い、しかも海底をトンネルで結ぶ?

 現実に中国大陸のなかでは青島と膠州湾の沖合の島を結ぶ海底トンネル、アモイ祥安、ならびに紹興そばの杭州と上海近郊をむすぶ一部などで、海底トンネル工事が進捗している。
このほかに「大連→煙台」、「香港→マカオ」、「広州→深せん」などの珠海ルート、「広東→海南島」をむすぶ海底トンネルが計画されており、台湾への海底トンネルは、それら構想プロジェクトの一環。

計画案では、北ルートが「福建省平譚→台湾新竹」(125キロ)、中ルートが「福建省甫田→台湾苗栗」(130キロ)、そして南ルートが「福建省アモイ→金門島→膨湖諸島→台湾嘉義」(170キロ)の三本。

台湾側は、これを軍の政治謀略としての台湾統一工作の道具という位置づけで本気で取り合っていないが、すでに十年前から北京はことあるごとに内部で討議に付してきたという。

大法螺のたぐいと笑って済ませるのも一興だが、ちなみに世界最長の海底トンネルはわが青函トンネル(全長54キロ)、24年の歳月が費やされた。

ドーバー海峡をもぐって仏英をつなぐ「ユーロトンネル」は全長45キロ。開通して多くの観光客を集めるものの、2006年に負債一兆三千億円が債務超過、破産法を申請した。

北京は「台湾海峡両岸の発展に役立ち、付近の経済特区が発展する」などと薔薇色の計画をしめしているものの、「本当の狙いは台湾海峡に楔を強く打ち込んで、台湾防衛に出動する場合の米国と日本の戦力の駆逐にある」とは或る台湾軍事通の弁である。
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(読者の声1)アメリカの議会に「従軍慰安婦問題」をまた、何を考えて持ち出すのか。それは弁護士が日本政府から謝罪を勝ち取って、カネを巻き上げようと言うのがホンネだろう、とする分析があります。
 へたにカントの恒久平和論など抽象論を学んだ人からは出ない発想です。しかし、アメリカでは、これがビジネスマンの普通の発想です。
小生は、どちらかといえば親米派ですが、アメリカの嫌らしさ、醜さを誰よりも身に沁みて感じている。
アメリカを特徴づけるいくつかのコトバで表現できるが、その第一は、「小さなことはamicable(友好的に)謝っても、大きいことは絶対に謝ってはいけない、認めてはいけない」ということです。
 日本には免許取り立ての運転者の車に若葉マークなどというものをつけますね。
これは「私は運転が下手だから周りの人は注意してください」と意思表示しているのですが、なんという甘えの構造でしょう。
もしこの車が事故を起こせば100%責任を取らされます。
というのは、事故を起こす前から「事故を起こす可能性がありますよ、運転技術が下手だから」と言っているようなもので、これで事故を起こせば、責任を逃れるわけには行きません。一発でアウトです。
最近、アメリカのどの州だったか黒人奴隷の問題を謝罪しました。
しかしこんな謝罪は アメリカの白人にとって人畜無害、痛くも痒くもありません。白人(あるいはアメリカ政府、州政府)がそのことで膨大な補償金を黒人に出す羽目になるような環境なら、アメリカ人は絶対に謝罪などしない。自分には類が及ぶことなく、しかも人道の(偽善の)カッコよさをPRできるので、ドンドン謝罪しちゃう。アメリカ人の謝罪にはTPOがあるのです。
すなわちどんな補償や弁償の支払いが身に降りかかるか否かが判断の鍵です。戦争中の在留日本系米国市民の収容所についても補償したとはいえ、大したカネでもないのに、いかにも正義の装いで格好(=偽善と自己満足)をつけることが出来るのです。
いつか将来広島・長崎の原爆投下を謝罪する日が来るかもしれませんが、人畜無害の確信が得られたときでしょう。
 中国の問題にせよ、アメリカの問題にせよ、日本人はあまりに自分の「非」の痕跡を文書で残しすぎてきた。河野談話もその一例ですが、この「非」の痕跡こそが、後世に、子孫にとんでもない災害を及ぼすことになります、いや既になってしまっている!!! ましてや、韓国からはその追及はこれが最後といわれたからとか、諸般の状況からそれで収まると思ったとか、アメリカ人なら幼稚園児も言わない言い訳です。
 私の国際経験の一つの結論は、「国際」には、上半身と下半身がある。性善部分と性悪部分がある。上半身は国際親善、国際友好、国際貢献、外交プロトコールの部分。下半身は警戒、猜疑、弱みを見せない、尻尾をつかませない・・・ことです。
前者は相手を信用する部分、後者は相手を疑う部分です。
この上半身、下半身が一体となって初めて平和が維持できるのです。かのレーガン大統領は、trustにはvigilance (警戒、自警団)をセットで使っていたように記憶します。前者は上半身、後者は下半身です。世界の主要な国々はみな T&Vのバランスを保っています。Trustを言いながらvigilance も忘れないしたたかさに感心したものです。
北朝鮮はさしずめ下半身オンリーの国と言っていいでしょう。
真偽のほどは分かりませんが、レーガンは宮中晩餐会にもタキシードの下に防弾チョッキを着けていたという話を聞いたことがあります。根も葉もない話なら私ごときにそんな話が入ってこないでしょう。文字通りtrust & vigilance です。
外務省は(いや日本人全体に)、自国を守るために相手国の弱点やアラを組織的に把握しておいて、いざ鎌倉に発動できるようにしておく危機管理の発想が欠けていると思います。インテリジェンスの問題です。
野中広務が当選回数が少ない割に自民党内で権勢を振るえるようになったのは、野党党員はもとより自民党員のスキャンダルを徹底的に収集していざ鎌倉の事態には、小出しにして相手の発言を封ずる「国際的常道」を実行していたからだと聞きます。
民主党に移った石井一議員が何かの追求をしたとき、「あなたはそんな偉そうなことがいえるのか?・・・・・・・あんたも叩けばホコリの出るカラダ・・・」という趣旨で反撃して物議をかもしたことがありましたが、自民党員は野中には逆らえなかったのです。
加藤紘一も野中に脅されたことがありましたね。尻尾をつかまれていることの弱みで平伏すのです。
前回の大統領選挙で、民主党の副大統領候補のエドワードは産婦人科の誤診追及で巨万の富を築いた弁護士です。普通の日本人の感覚から言うと、本当に嫌な野郎です。しかしそういうルーでやっているアメリカ人には違和感はないようです。
従軍慰安婦といえば、終戦直後に進駐軍が入ってきたとき、当時の遊郭の女性を進駐軍兵士用にリクルートしたことがありました。旧制中学一年生の小生の耳にもそんな話が入ってきたのですが、これは多分アメリカ側の要請によるものだったと思いますが、良家の子女を守るために日本側から提供したという可能性もあります。何れにせよ、国家間でこの種の議論がされたことは事実です。ホンダ議員はご存じないと思います。
この場合は狭義の強制ではありませんが、女性提供要請はアメリカの恥であることは間違いありません。日本が「良家の子女の防波堤の大義」のために積極的に提供したとしても、それを受け容れたアメリカは公式には恥です!
・・・・・・・(余談ですが、そういう女性と結婚して、アメリカで幸せな生活をしている夫婦も結構います。昔のアメリカでの隣人がそういう夫婦でした。そういえば曽我ひとみさんも拉致されなければジェンキンスと知り合えず、いまの幸せはなかったはずだと多分北朝鮮は言うでしょうが、それはいう屁理屈というものです・・・)
また敗戦後、満州や中国から還ってきた日本人人女性は、ロシア人や中国人に犯されて妊娠していないかどうか、下関港の施設で全員が検査されたそうです。妊娠中の女性は直ちに堕胎に回されたということで、私の知人はその悲惨さについて涙ながらに語っていました。
こういうことも厚生省に資料があるはずです。私の知人の姉は、満州で夫が虐殺され、自分も強姦(?)されたか、帰国後一切外出もせず密室に閉じこもり、友人も当時の事情を聞くに聞けない悲惨な生活を送っているという話でした。
羽田元総理や高橋哲哉・東大教授などはが「謝って、謝って謝りぬく・・・」などとバカことを言っていますが、冗談じゃありませんよ。一歩後退すれば二歩押し込んでくるのが「国際」の現実です。宗教の世界なら「謝って、謝って謝りぬく・・・」で結構ですが、ナマミの国際社会にはありえないことです。
日本が国際社会で名誉ある地位を占めたいのであれば「したたかに」上半身・下半身を使いこなす能力を身につけることです。
アメリカは怪しからんといっていても始まりません。
アメリカはそれでもイギリスやフランスに比べて分かりやすい国です。原理原則がハッキリしているので、英・仏に比べて対応は楽です。嫌な時代になったものです。
しかしそれこそが国際化というものです。それを会得しなければケツの毛まで抜かれてしまいます。
上半身で日本的な価値観を維持しつつ、下半身で悪徳弁護士と闘えるしたたかさを持つ人士がいまの時代の理想の日本人像です。すくなくとも小生の価値観から言えば・・・・・。
小生の友人で、アメリカ、イギリス、フランスに駐在したことのある人たちは、おおむねおなじ認識を持っています。それでも世界のどの国よりもアメリカはましです。
   (TK生、世田谷)


(宮崎正弘のコメント) じつは、小生も、いまから二十二年ほど前に拙著『アメリカンビジネス常識の嘘』(日新報道)のなかで、この問題を書いたことがあります。
タイミングが早すぎたのでしょうか。この本、いま出すと、すこしは注目を集めるかも(苦笑)。
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(サイト情報)米国務省は世界196カ国の人権状況を調査した「2006年国別人権報告書」
(1)2006 Country Reports on Human Rights Practices 、US Department of State, March 6, 2007
http://www.state.gov/g/drl/rls/hrrpt/2006/
(2)ライス国務長官のブリーフィング
 http://www.state.gov/secretary/rm/2007/mar/81422.htm
(3)米国務省国際情報プログラム局の解説記事
http://usinfo.state.gov/xarchives/display.html?p=washfile-english&y=2007&m=March&x=20070306141434hmnietsua0.44445
(4)国務省国際情報プログラム局の人権に関するウェブサイト: Human Rights、International Information Program, US Department of State
http://usinfo.state.gov/dhr/human_rights.html
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< 宮崎正弘の近著 >

『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊、最新刊)
http://item.rakuten.co.jp/book/4115513/
 『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
 『出身地でわかる中国人』(PHP新書、増刷出来)
 『中国よ、反日ありがとう』(清流出版)
 『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『拉致』(徳間文庫、残部僅少)
http://www.amazon.co.jp/s/ref=sr_st/503-5227451-0680731?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&page=1&rh=n%3A465610%2Cp_27%3A%90%B3%8DO%81_c+%8B%7B%8D%E8%2Cn%3A466282%2Cn%3A492048&sort=daterank&x=8&y=8
(すべての本は上のサイトから注文が出来ます ↑)

<宮崎正弘の三島由紀夫論三部作>
『三島由紀夫“以後”』(並木書房、残部僅少)
『三島由紀夫はなぜ日本回帰したのか』(清流出版。絶版)
『三島由紀夫の現場』(並木書房、最新刊)
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