国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

全て表示する >

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2007/03/07



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◆◇◆◇
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 3月7日(水曜日)  
通巻 第1727号  
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

呂秀蓮・台湾副総統が「次期総統選挙」に参戦を表明
  謝、蘇、遊の三強状況に「正しい政治感覚を」と民進党予備選登録へ一番のり
****************************************

 三月五日の演説で陳水扁総統は、また「台湾は独立するべき」と演説した。
 「四つの希望と一つの不望」と題された陳水扁演説は、「独立、正名、改憲、経済発展の四つを希望し、左右どちらかに偏ることを希望しない」というもの。
独立の必要あり、と言ってみたり、ないと言ってみたりジグザグぶりが目立つ。

しかし陳総統の独立志向演説は、内外に大きな波紋を呼び、中国の李肇星外相は、さっそくにも噛みついて「台湾で鳥がさえずっている」、「うるさい」などと罵詈雑言を吐いた。

 じっさい、「陳総統は,きょう独立を言っても、明日は違うことを言う」(民進党幹部側近)として、党内からも熱烈な支持が薄く、しかも有力な蘇貞昌(首相)、謝長廷(前首相)らは、沈黙したまま。
賛成とも反対とも言わないのは、現時点での党内の予備選がからむ複雑な政局があるからだ。

 この状態に6日、副総統の呂秀蓮が「次期総統選挙」の党内予備選への立候補を表明し、党内でイの一番に登録を済ませた(チャイナディリー、7日付け)。
 
呂副総統は、独立運動の女闘士、獄中十年組だが、近年はジェンダーフリー、フェミニズムの闘士として活躍が目立つため、党内に基盤を持たず、主流派からはずれている。
党内に派閥がなく、ほかの三人よりも影響力が薄い。しかし呂は現職の副総統である以上、陳水扁に万一があれば、憲法上、総統に昇格する立場だ。

 陳水扁に指名権があれば、意中の人物は遊錫コン(党主席)だろう、と観測されるが、対抗馬の謝長廷(前回の台北市長選で惜敗、前首相)が、党内予備選で現実には一歩だけリードしており、次を猛追しているのが現首相の蘇貞昌と言われている。

 総統選挙本番は2008年一月。
◎ ◎ ◎ ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ♪
(読者の声1)貴誌1726号の「中共の衛星破壊実験を最高指導者が知らなかったのではないか」という分析ですが、これは北朝鮮の核実験を金正日が知らなかったのではないか、というのと同じパターンで世界の油断を狙った一種の謀略に思われます。
左翼独裁国家というのは軍を重視します。
(1)それは政権を軍事力で手に入れたからです。「政権は鉄砲から生まれる」と毛沢東が述べています。
(2)歴史の教訓:しかし暴力で手に入れても、仏大革命では結局ロベスピエールら過激派が処刑されて最後にナポレオンが政権を握ったので、左翼は常に軍を警戒します。
左翼運動が軍人支配を生む現象を左翼はナポレオンにちなんで「ボナパルティズム」といいます。
このためスターリンは軍隊に政治人民委員(コミッサール)をおいて部隊長を監視しました。ということで左翼政権は軍部が党に反乱を起こさないように軍幹部は古参党員に限り、また頻繁に交代させて私兵化しないように厳重に注意を払っています。
 以上から中共軍が指導部の命令もなく勝手に実験をやるなどありえないと考えられます。 
 彼らは世界の反発が強いと軍が勝手にやったというガセを流して、ほとぼりが冷めるのを待つのです。
    (MC生)



(宮崎正弘のコメント)おっしゃる通りかも知れません。しかし胡錦濤は個人的に軍のトップから嫌われているという抜きがたい事実があり、軍の長老の受けも悪いようです。
マルビナン博士ほどの中国通でも、その内側を覗けないディレンマが、分析に如実に出てきていると思います。 



    ♪
(読者の声2)。「ドレスデン逍遥」の先生の書評を読み、或る事が鮮明に思い出されました。それは、私が小学校時代(私は昭和22年生まれです)のことです。
担任のNH先生は関東軍の将校で、戦後ソ連の捕虜収容所に抑留されました。
それで授業に皆の集中力がなくなると、先生のソ連時代の話が始まるのでした。そこで、布の配給があると日本人は平等に分け合ったと言います。
しかしドイツ人は今度はお前の分と洋服を作り、時間が経つと日本人は相変わらずつぎはぎだらけの洋服を着て、一方、ドイツ人は一人一人きちんとした洋服を着ていた、ということでした。川口氏の著作に通じるものを感じ、報告致しました。
(TK生、浦安)


(宮崎正弘のコメント)ついでながら中村彰彦の直木賞受賞作『二つの山河』は、ドイツ人の日本における捕虜収容所の物語、かれらが日本にハムや陸橋など技術を残していったか、また捕虜をすこしも虐待しなかった日本軍幹部(所長は会津出身でした)の功績を淡々と書いております。



   ♪
(読者の声3)宮崎さんの中国情報に注目しております。宮崎さんの場合は、台湾情報を精確に把握されておる点が、全く他の著名のChina Watcherの追随を許さぬところと敬服いたします。
さて、本日の「中国軍に関する情報」ですが、日本では「中国が軍備を年々着々増強」という報道がしきりですが、「中国の軍隊、軍人動静」に関する情報が希薄です。
軍隊は軍人将官が動かすものであり、軍備状況はもちろん大切ですが、「ヒト」に関する情報はもっと重要です。 
昭和初期の日本が次第に軍人軍部に牛耳られていった歴史に照らしてみると、中国の軍部が、今、次第に最高唯一の権力である共産党のコントロールから離脱し始め、「自己増殖」を始めているのではないか? と私は危惧するものです。
「13億の人口を養うため、中国の自存自衛のために、軍は起たねばならなし、我々の武力行使は正当正義である!」という唯我独善思想は、中国軍部に生れていないのでしょうか? 
(刃物をもっているヒトの分析です) 
今後、折に触れ、「中国軍の内部動静情報」も発信していただきたいと念願します。
   (KI生、尼崎市)


(宮崎正弘のコメント)軍人の個々の動静は、把握するに最も難関な分野です。これこそ、北京、上海にいては分からない。一番通じているウィリー・ラムは、ちなみに香港CNNをベースに(かれはいま秋田の国際教養大学でも教鞭を執っていますが)、ときおり北京へ入って情報通(複数)と接触、軍内部の情報をあつめている様子です。
 昔と違って、この種類の分析は、いま、香港の雑誌がよく取材していると思います。



    ♪
(読者の声4) 最近のウラン価格の上昇はすごいですね。
今から10年くらい前にThe Economist誌に「今は反原発の動きが強くて需要低迷し、価格が最高値の十分の一くらいになっているが、将来既存の原発が燃料交換時期になれば価格が暴騰するであろう」と書かれていたことを思い出しました。
ところで、米軍関係の技術開発を主なビジネスとしている某社がレーザーを使ったウラン濃縮技術の開発に成功し、濃縮コストが劇的に下がる可能性がある旨のうわさを聞きました。
日本でも欧州でもレーザーを使ったウラン濃縮技術の研究・開発が数十年前から行なわれていましたが、全く成功していません。ほんとかいなとも思いますが、本当ならすごいことです。
石油開発に最近多額の投資をした中国や、オイルマネーの流入で花見酒景気真っ盛りのロシヤに大きな影響があることでしょう。
現在原子力発電の総コストの約4割がウラン濃縮コストなので、噂どおり20分の1で濃縮できれば、38%総コストが下がることになります。万一本当だとすると、ウランの需要が増えて、ウラン鉱石の価格がさらに急上昇することになります。
私は株を含めてギャンブルはやらない主義ですが、山っ気があるなら、世界一のウラン鉱山を所有しているWMC社あたりの株を買うのも面白いかもしれません。
  (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント)北朝鮮のウラン鉱脈の開発権は、ご承知のように中国企業が買収しました。アルメニアのウラン鉱脈は米国企業が試掘に成功、先般、この権利をロシアが横取りしました。
 ミャンマーにもウラン鉱脈開発をめぐってインドと中国が熾烈な権利獲得競争をしているという噂があります。後者の情報は真偽が分かりません。前者ふたつは複数の海外情報が確認済みです。



     ♪
(読者の声5) 3月3日の朝鮮総連のデモを目撃した感想です。
 若い男女から年配者まで、大量の在日朝鮮人がデモに参加し、日本人に政治圧力をかけるのに、改めて、北朝鮮の恐ろしさを感じました。
銀座を散策していた普通のカップル、買い物客などは、恐れをなして、北朝鮮には逆らわない方がいいなどと、びびってしまうでしょう。
北朝鮮が、国連や国際社会で、日本人が自分たちに対して差別しているとどれだけ激しい運動をしているのかも推し量れます。
 共産主義は、先軍思想とか鉄砲から政権が生まれると軍備拡張はもちろんのこと、「大衆」の組織化にも熱心です。
日本共産党はその基本文書で、(デモや運動を通して)大衆の組織化を明確にしていますし、私も日本共産党の活動家であった頃、「大衆」の組織化に取り組みました。
 日本は自由で民主主義の国なので、政府のデモに国民が動員されることはありません。
 デモに参加する自由、参加しない自由があります。
 しかし、北朝鮮はそうではありません。デモに参加しないと、強制収容所送りです。
 日本のような自由で民主主義の国が、北朝鮮のような政府の政治運動に強制参加の国に、負けるようなことがあってはなりません。
人間の尊厳にかけても、朝鮮総連の横暴と戦うべきです。
     (KA生、言論人)
         ▽ ▽ ▽
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
(サイト情報) 米商務省は2006年に仕事や観光で米国を訪問した外国人旅行者数は5110万人を数え、消費金額の総額は1074億ドルを越えたと発表した。9・11テロ以後減少していた米国への旅行者数が回復、今年は史上最高のレベルに達すると予測。
(1)米商務省のファクトシート: Trends in International Trade、United States Department of Commerce
http://www.commerce.gov/opa/press/Secretary_Gutierrez/2007_Releases/March/03_Travel_and_Tourism_Factsheet.pdf
(2)米国務省国際情報プログラム局の解説記事: U.S. To Welcome Record Number of  International Visitors in 2007: Upward trend to continue Commerce Secretary Gutierrez predicts、International Information Programs, Department of State, March 3, 2007
http://usinfo.state.gov/xarchives/display.html?p=washfile-english&y=2007&m=March&x=20070303174902lnkais0.2752497
(3)米国への旅行者に関する統計
http://tinet.ita.doc.gov/outreachpages/inbound.general_information.inbound_overview.html
(4)米国人が海外旅行で消費する金額と外国人旅行者が米国で消費する金額(1996年から2006年まで):Total International Travel Spending to and from the U.S. 1996-2006、 ITA, Office of Travel & Tourism Industries
http://tinet.ita.doc.gov/outreachpages/inbound.total_intl_travel_spending_1996-2006.html
      ◎◎◎◎◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
     ♪
<宮崎正弘の近著>

『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊、最新刊)
http://item.rakuten.co.jp/book/4115513/
 『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
 『出身地でわかる中国人』(PHP新書、増刷出来)
 『中国よ、反日ありがとう』(清流出版)
 『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『拉致』(徳間文庫、残部僅少)

<宮崎正弘の三島由紀夫論三部作>
『三島由紀夫“以後”』(並木書房、残部僅少)
『三島由紀夫はなぜ日本回帰したのか』(清流出版。絶版)
『三島由紀夫の現場』(並木書房、最新刊)
http://www.amazon.co.jp/s/ref=sr_st/503-5227451-0680731?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&page=1&rh=n%3A465610%2Cp_27%3A%90%B3%8DO%81_c+%8B%7B%8D%E8%2Cn%3A466282%2Cn%3A492048&sort=daterank&x=8&y=8
(すべての本は上のサイトから注文が出来ます ↑)
              ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
◎小誌の購読は下記サイトから。(過去4年分のバックナンバー閲覧も可能)。
http://www.melma.com/backnumber_45206/
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2007 ◎転送自由。ただし転載は出典明示のこと。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-08-18  
最終発行日:  
発行周期:ほぼ日刊  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。