国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2007/02/14



◎ 小誌登録読者数、8900名を突破(2月14日)
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 2月15日(木曜日)   
通巻第1705号  (2月14日発行)
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 馬英九「国民党主席」辞任劇に北京も震撼
   緊急幹部会を召集のもようと多維新聞網など。
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 中国共産党台湾弁公室は、馬英九の国民党党首辞任に衝撃をうけて、緊急の会議に入ったと複数の中国語新聞がネット上で伝えている。
 中国としては馬英九が次期総統になることを規定の方針として台湾政策を立案してきただけに、しかも馬英九なら遠隔操作が可能と考えてきたふしが濃厚。したがって突然の辞任は寝耳に水の椿事といっても良いだろう。

 どうやら霧がはれるように台湾政局の次が読めてきた。
 
 さきの李登輝前総統の爆弾発言、こんかいの馬の電撃的辞任は、背後で地下水脈が連動しているようだ。

 つまり台湾の政界再編のダイナミズムの中で、あらゆる政党が生き残りをかけての戦闘を開始しているのだ。

 年末総選挙で台湾の国会議員は半分に激減されることが決まっている。日本で言えば衆議院議員は半分になるのである。
 となれば、猿でもわかるように二大政党に成らざるを得ない。

 与党・民進党は結成以来の四大派閥が内ゲバを繰り返しており、次期総統候補は謝、蘇、遊、呂の四人が争って調整は出来ていない。
陳水扁総統は夫人の起訴によってレイムダック入りしており、次期総統を指名するゴッドファザー役はとても期待できない。
 
与党のもう一方の「台湾団結連盟」は現有の十二議席を守るのは至難の業、というよりも解党の危機に直面していた。
 この状況に喝をいれたのが、さきの李登輝氏の爆弾発言であったとすれば、すべての流れの奥底が見通せるのではないか。
 新たなる核となる指導者が登場し、台湾団結連盟は政党名を変更し、綱領もかえるという。
 フレッシュな政党が、次期総統選をめぐっての台風の目になる可能性がある。

 また野党の国民党・親民党、新党とて、国民党が単独で絶対多数をとることは、いまの情勢では難しい。
かといって宋楚諭率いる親民党がすんなりと国民党に合併されるシナリヲも考えにくい。新党はいまやないも同然のミニ政党だが、古い体質の国民党は新しい印象、あたらしいスローガンが必要であり、むしろ馬英九は「無所属」による立候補を選ぶという深謀遠慮も考えられるのではないか。

 日本の政治には二大政党の潮流にあると良いながらも、比例区などという曖昧な制度が残るため、少数野党がいつまでも存在し、半世紀前の幻影をかかげる化石のようなミニ政党まで国会議員に数席を得ている。

 いやはや台湾政局のダイナミズムに比べると、日本の方が学ぶこともあるんじゃないの?
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(資料)
 【歴史の曲がり角】李登輝発言の真相

              アンディ チャン

最近の李登輝(前総統)発言をめぐって台湾は大きく動揺した。
中国人のメディアがバッシングを開始すると、たちまち一部の台湾人が同調し、民進党員も李登輝を貶すことで名を上げて得意がっている。
メディアのデマ攻撃は陳水扁や彼の家族に始まって、教育部長の杜正勝に続く李登輝バッシング、明らかな各個撃破である。
中国人はメディア、政治家、退役軍人とその家族、国民党員などを使って総力戦を挑んでいるのに台湾人は妥協を考えるだけで、政治家も民衆も敵に対処する防御や反撃を考えない。
香港系週刊誌『壱』は刺激的な見出しを掲げた。
−−李登輝は言う:「独立放棄」「中国資本を受け入れろ」「大陸を訪問したい」。
みんなウソだった。

それにしても…、である。あれほど尊敬し、信じていた李登輝元総統に対し、多くの人が簡単にメディアの歪曲報道を信じて李登輝バッシングに走るとは情けない。
なぜ自分で真相を調べてから判断しないのか。台湾人はそれほどバカなのか。
新聞がウソを言うことは百も承知の民衆がなぜコロリとウソに踊らされるのか。

それにしても…、民進党員はなぜ中国人メディアの尻馬に乗ってメディアや国民党党員と同調し、自分の同志で民衆の敬愛する李登輝を攻撃するのか。
年末の立法委員選挙のため、敵の国民党を攻撃せず台聯党と同士討ちをやるのは愚の骨頂である。

それにしても…、独立派の長老・辜寛敏までが簡単にメディア報道を信じて李登輝を攻撃するのか?
ブルタース、お前もか?

●李登輝発言の検討

李登輝は「台湾はすでに独立した民主国家である。だから今更独立を主張する必要はない。必要なのは正名、制憲、国家正常化である」と述べた。
するとメディアは「李登輝は独立を放棄した」と新聞の見出しに書いた。
歪曲であること本文を読めばわかることで、本文を読まないから誤解するのだ。
李登輝は「台湾と中国は対等な国である。台湾が中国に投資するなら中国が台湾に投資することもできるはず」と言った。すると新聞は「李登輝は中国の台湾投資を奨励した」と書いた。
記者が李登輝に中国へ行きたいか? と訊ねて、李登輝が「昔は孔子が諸国訪問をしたように、行ってみたいと思った事もあった」と答えた。すると新聞は「李登輝は中国を訪問したいと言った」と書いた。
明らかな歪曲である。

問題はメディアが100%歪曲報道をすることを知っているはずの政治人物、有名人などがコメントを求められると、見出しを見ただけで「李登輝は変わった。間違っている」などと答え、それを新聞がまた歪曲して「独立派の人たちも李登輝を見捨てた」と報道する。
なぜ「私は新聞を信じない、李登輝を信じる」と答えないのか。
もっと情けないのは民進党連中が挙って李登輝の批判を始めたことだ。
メディアに踊らされて同士討ちを始めるような無思慮では台湾は潰れる。台湾が潰れる前に民進党を潰すほうがよい。

●「独立した民主国家」に疑義

李登輝の本意は、台湾が統一・独立の二極に分かれて論争を続けていけば、国は疲弊し、人民が苦しむだけだ。
台湾人政権が出来て7年目になるが、台湾は正常な国ではないから、正常化に向けて努力すべきだというのである。
民進党も同じように台湾が独立した民主国家だと主張している。
それなら民進党員は攻撃の矛先をメディアの歪曲に向けるべきである。李登輝が「路線変更」を言明したというのは間違いである。

このような論争が起きる原因は、つまり台湾が正常でない「真の独立した民主国家」でないからだ。台湾には政府があり選挙もある。
民主国家の形は存在している。しかし民主国家の形態はあっても実情は国民党独裁であることに変わりはない。
 この国は中華民国と呼ばれる“亡命政府”で、いまでも中国大陸、外蒙古や新疆、チベットまでを自国領土と主張している。
台湾の住民は統・独両側ともこんなバカな主張を信じていない。
そこで統一派は中国と統一すればよいと主張し、独立派は国名を変えればよいと主張する。

 第三の林志昇グループは中華民国は亡命政府で、台湾は米国の暫定占領領土であると主張する。歴史を見ればこれが最も正しい、しかし米国は台湾を暫定統治して中国と事を構える余裕がないので、現状維持としか言わない。
 統一とは台湾が中国に併呑され、台湾人は惨めな奴隷となることで、殆どの台湾人は反対である。
独立派は不正常な国でも一応、民主制度を保っているから、公民投票で国名変更すれば米国も反対できないと主張する。だが米国は中国の反対を予期して難色を示している。

●「制憲」か「修憲」か

ここで独立派が二つに分かれる。
陳水扁の民進党グループは中華民国の体制を維持しつつ憲法を修正する、つまり中華民国を台湾に変更しても「中国」に変わりはない。
李登輝は台湾独立を投票で決めて新憲法を制定すると言う。
 修憲は中華民国体制から抜け出せないし中国の圧力がかかる。制憲は人民の独立意識が強ければ可能だが、統一派と修憲派の反対があり、長年の迫害を受けた台湾人の独立意識は不足している。

制憲派と修憲派の大きな欠点はどちらも中華民国の体制化で公民投票を行うことだが、両派ともこれを「仕方のない現状」とみなしている。
現状を変えるなら公民投票か、さもなければ革命であるが、人民は革命を望んでいない。

●一方的な「和解共生」

次期総統の候補者の一人として注目されている謝長廷が先週アメリカを訪問して、地元の台湾人に彼の持論の「和解共生」を主張した。この理論は李登輝の考えと「似て非なるもの」である。
 謝、李の両派は、台湾人民の志向を大別すると統一、中間層、独立の三つに分かれるという。
中間層とはどちらでもない一般大衆を指す。統独の論争が進むと意見が両極化して中間層が減少し、M型になるというのである。
そこで統・独の両側が和解すれば中間層の大衆は板ばさみにならず、社会が安定するというのである。

しかし、謝長廷の主張は台湾だけでなく、中国とも相互の闘争をやめて「共生」すれば両国とも繁栄が得られる、と言うのだ。
この主張は一方的な理想論であって、中国人は鼻であしらう。

謝長廷もそれを知っているから、「共生には自存という大前提がある」と但し書きをつけている。
そして自存を遂行するには「民進党内だけでなく、国民党とも和解して相互間に運命共同体の概念を普遍させるべき」と言う。この和解主張に賛成できないのは台湾人、中国人の両方だから彼の理想は「ミミズのたわごと」である。

中国に対する謝長廷の共生理想は「與虎謀皮(虎に皮をくれと相談するようなもの)」で、国内では自存さえ困難なのに900基のミサイルの照準を台湾に向けている中国が相談に乗るはずがない。

●民進党の堕落は「選挙オンリー」にある

謝長廷の自存理想を分析してみよう。
台湾の人口分布をみると、85%の台湾人に15%の中国人である。台湾に亡命して60数年、今では殆どの「外省人」と名乗る中国人は台湾生まれである。
60年経ち、台湾に生まれても台湾に同化せず、中国人を名乗る15%が台湾の政治の50%を牛耳っている、この事実こそが台湾の大問題であり、85%の台湾人の無気力が少数独裁を許しているのだ。

謝長廷も陳水扁もこの数年来、中間路線、和解路線を主張して、その度に選挙で負けてきた。
彼らの中間路線とはM型の谷間の部分を引き入れて選挙で勝つことしか考えていない。
だが中間に居る人々は和解が不可能であることを知っている。民進党の中間路線はすでに二度の選挙に失敗している。三度目をやるのはバカな話だ。

少数独裁を許して民進党と国民党の二大政党制度で民主国家を作るというのはウソで、実は降参である。多数派が有利であるべき選挙で少数派に負けるのは多数の人間が中間路線を信用せず投票しないからである。
その事実が厳然と存在しているのに謝長廷はいまでも「和解共生」という。
民衆はバカでない。民進党の政治家は「多数派の台湾人が民進党に投票しないで国民党に票を入れるはずがない」と思っている。
民衆は「少数派の外省人に投票しないが、民進党が彼らと和解するなら投票しない」と言う。

元を正せば民進党は外省人に反対し、独立を主張したから人民の支持を得て今日の大政党となったのである。
ところが民進党が政権を握るとすぐに変質して選挙オンリー、権力保持に化けてしまった。
大衆は民進党を支持しないで、だから民進党は李登輝・台聯党を攻撃する。
でも民衆の関心は台湾の将来にあり、民進党が政権を取ることではない。この間違いを直さなければ民進党は支持できない。

●李登輝発言は民進党への宣戦布告

つまり、李登輝発言は民進党に対する批判と決別宣言だった。
国民党メディアはこれを歪曲報道し、民進党員は国民党と一緒に李登輝バッシングをやったのである。
李登輝は当初からこのような論争が起ることを予想して、台湾系の自由時報でなく中国系の『壱週刊』で爆弾宣言をしたのである。
もちろん歪曲報道もあることを予期していたと言われる。

産経新聞の長谷川記者のインタビューで李登輝はこれをハッキリ認めた。

【台北=長谷川周人】台湾の李登輝前総統(84)は産経新聞と会見し、「(独立か統一かを問う)統独論争は意味がない」と述べた上で、これまで連合を組んできた与党・民主進歩党と一線を画す考えを初めて明らかにした。
今後、自らが後ろ盾となってきた台湾団結連盟(台連)を再編成し、中道勢力の結集による「民主台湾」の再生を目指すという。
「攻めに転じる狼煙(のろし)を上げた?」
「そう、民進党への宣戦布告ともいえる。政権はレームダック(死に体)化し、将来の総統候補までがそれにしがみつくばかりで、政権交代から7年間、何もしなかったのだから。これまで(李氏が推す)台湾団結連盟(台連)は民進党の付属と思われてきたが、これからは違いますよ。どんなに頑固といわれようと私は自分の考え方を貫く。台湾再生のためにやらざるを得ないのだから」
「台聯党の今後は?」
「1月に就任した黄昆輝主席の下で生まれ変わる。2月中に綱領を全面刷新し、3月は公募で党名も変える。直面する課題は雑兵の処分だ。不正をやった者は除名にし、若い新鮮な血液と入れ替える。目指す方向は中道左派。
絡みに絡んだ政治の糸はぶった切り、政治の混乱にあきれ果てた中間層を取り込む。個人や政党の思惑を捨て、台湾の主体性を軸とする民主台湾を取り戻す」
李登輝は台聯党の進路を変更し、民進党と決別したのである。
歴史の曲がり角をまがり、新しい台湾に向けて進む始まりだったとも言える。
  (アンディ・チャン氏は在米評論家)
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<宮崎正弘の中国・台湾、北朝鮮関係著作>
 
『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊、最新刊)
 『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
 『出身地でわかる中国人』(PHP新書、増刷出来)
 『中国よ、反日ありがとう』(清流出版)
 『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『拉致』(徳間文庫、残部僅少)

<宮崎正弘の三島由紀夫論三部作>
『三島由紀夫“以後”』(並木書房、残部僅少)
『三島由紀夫はなぜ日本回帰したのか』(清流出版。絶版)
『三島由紀夫の現場』(並木書房、最新刊)
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  • 名無しさん2007/02/14

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