国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2007/02/07


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 2月7日(水曜日)  貳
通巻第1699号  
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(随筆)

 「山東人は団体行動が巧み、真面目な側面がある」
                                宮崎正弘

 
 日本人の山東省に対するイメージは汚染野菜と加工食品輸出のメッカくらい?
 山東省も舞台の一つとなって日清戦争が闘われた史実はとうに忘れ去られている。
 丁汝昌が率いた北洋艦隊は威海衛の沖合に浮かぶ劉公島が拠点だった。行ってみて驚くのは各施設の看板が「日清戦争」を「中日戦争」と表記しているのはともかく、「甲午戦争」と書かれたものが多い。

 しかも新設の「甲午戦争記念館」は98年に建てられ、内部に入って展示をみると「日本に負けた」とは一言も書いていない。日清戦争とは言わないのは分かるにしても、「あれは李鴻章と日本の戦争。国家対国家ではない」という奇妙な位置づけなのである。
 
 館内は「反日」のオンパレードで、韓国人観光客が大勢来て「ナルホド」などと頷いたりしている。日本人はまず来ない。
中華思想の御都合主義はこうした、臆面もない陳列方法にも現れている。

 さて山東省は孫子、孔子、孟子、そして多くの軍略家を生んだ。
 儒教の総本山ともいうべき孔子廟は省都の済南から南下すること四時間、曲阜という古都に広大な敷地に杏林(教檀)が残り、全土から数百万の観光客を集める。
 儒教の精神が庶民のくらしの中にも生き残り、山東の人々は忠義を重んじ、義を軽んずる余所者を快く思わない。外面的に粗野に見えるが、内面は柔らか。だが喋り出すと激しい。山東人は時代遅れと言われようが、階級的な社会秩序を重視する。

 ということは集団行動が得意で、これは中国のような個性が突出する社会では珍しい土地柄といえる。
だから青島から済南にかけて日本企業の進出が多い。
 

▼宗祠、宗廟を大事にする中国、祖先崇拝の日本

日本でもっとも有名、かつ人気があるのは『三国志演義』の軍師、諸葛孔明である。
 諸葛亮(諸葛孔明)の故郷は山東省臨沂市沂南県。現在、ここには二千二百年もの時間をタイムスリップした「諸葛宗祠」(一族の祖先を合祀する廟)が建立されている。ピカピカの建物は観光客目当てである。

 現在もそうした伝統をついで、山東省は軍人が多いうえ国有企業でも軍人的秩序を重んじて成功した「ハイエール」(海爾)などの大企業もある。井上靖、宮城谷昌光の小説の舞台もこの地域が多い。

 おなじ山東省でも東北部の青島からはフェェリーで五時間、対面にアカシアの大連がある。外国租界のあった戦前から青島は国際都市、軍人気質より商人気質が先行する。
 青島と北西部にある煙台は物流機能と輸出志向型の製造基地機能を強めている。

 共産主義のドグマは綺麗さっぱり中国の若者たちの意識から消え去り、国民を束ねる新しいイデオロギーが空洞化現象にあることはあまねく知られる。華僑の新世代も同様である。中国の新世代の価値観は多元化、混沌としてきた。

しかし射幸心、物理的欲望の表現は極めて原色的で直截なところは不変で、カネへの欲望と執着は露骨である。
 だから山東省の国有企業といえどもグローバル化とともに経営形態が激変しつつある。

(この文章は『力の意思』に掲載の拙文に加筆し、転載しました)
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(お知らせ)小誌は次号で1700号。記念増大号を発行の予定です。小誌登録読者数は、まもなく8900部を更新します。これもひとえに読者の皆さんの暖かいご支援によるものです。
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(読者の声1)ドキュメント「南京の真実」映画化にあたってプロローグおよびエピローグに東京裁判のあとの下記のパール博士の言葉を是非挿入してもらいたいものです。
 とくに最後の一節「日本の子弟が歪められた罪悪感を背負って・・・誤られた歴史は書き換えられねばならない。」は、この映画の主題でもあります。
繰り返し繰り返し、語りかけて欲しい言葉です。
 映画はもとより、京都と靖国のパール博士顕彰碑のかたわらに、この言葉のパネル表示が望まれます。現在の博士顕彰碑は、現実の語りかけに欠け上品な歴史記録に流れてしまい見過ごされがちです。
「わたしは1928年から45年までの18年間(東京裁判の審議期間)の歴史を2年8カ月かかって調べた。各方面の貴重な資料を集めて研究した。この中にはおそらく日本人の知らなかった問題もある。それをわたくしは判決文の中に綴った。 このわたくしの歴史を読めば、欧米こそ憎むべきアジア侵略の張本人であることがわかるはずだ。しかるに日本の多くの知識人は、ほとんどそれを読んでいない。 そして自分らの子弟に『日本は国際犯罪を犯したのだ』『日本は侵略の暴挙を敢えてしたのだ』と教えている。満州事変から大東亜戦争勃発にいたる真実の歴史を、どうか私の判決文を通して十分研究していただきたい。日本の子弟が歪められた罪悪感を背負って卑屈・退廃に流されてゆくのを、私は見過ごして平然たるわけにはゆかない。彼らの戦時宣伝の欺瞞を払拭せよ。誤られた歴史は書き換えられねばならない。」(パール博士来日講演記録)

さらにエピローグに、台湾李登輝前総統の「まことに残念ながら、世界が今最も頼りとするべき日本では、「武士道」も「大和魂」も一九四五年の終戦以降はほとんど見向きもされず、足蹴にされている状態にあります。もちろんその背景には、日本人の戦争という「過去」に対する全面否定、つまり自虐的価値観というものが大きく作用しているのでありましょう。「武士道」などと言えば非人間的、反民主的な封建時代の亡霊であるかのように扱われている状態です。しかし、日本を苦悩させている兇悪犯罪の増加、学校の荒廃や少年非行、失業率の増大、官僚の腐敗、指導者層の責任回避と転嫁など、国家の根幹をも揺るがしかねない今日の由々しき事態は、武士道という道徳規範を国民精神の支柱としていた時代には、決して見られなかったことなのでした。つまりこれらの諸問題は、戦後の自虐的価値観とは決して無関係ではないということなのです。ですから「武士道」の否定は、日本人にとっては大きな打撃と言わざるを得ません。もちろんそれは、同時にまた世界の人々にとっても、大きな損失であると言うこともできるでしょう。」(李登輝前総統スピーチより(台北週報2003.1.23))
李登輝前総統の言葉と映像を抄録することが、この映画にまさしく”画竜点睛”となるでしょう。
そして、次回作は「検証・パール判事判決文〜1928年から45年までの18年〜」をお願いしたいと祈念しております。
製作の水島総監督ほか皆様にお伝え願えれば幸いです。
(TT生、アモイ)


(宮崎正弘のコメント)たしかに承りました。日本文化チャンネル社長の水島さんに間違いなく伝えておきます。
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<宮崎正弘の中国・台湾、北朝鮮関係著作>
 
『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊、最新刊)
 『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
 『出身地でわかる中国人』(PHP新書、増刷出来)
 『中国よ、反日ありがとう』(清流出版)
 『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『拉致』(徳間文庫、残部僅少)

<宮崎正弘の三島由紀夫論三部作>
『三島由紀夫“以後”』(並木書房、残部僅少)
『三島由紀夫はなぜ日本回帰したのか』(清流出版。絶版)
『三島由紀夫の現場』(並木書房、最新刊)
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