国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2007/01/24


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 1月24日(水曜日) 貳
通巻第1689号  
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 コンドレーサ・ライスは米国政治の期待値からほぼ消えつつある
  ヒラリーと対抗する共和党の「切り札」って何かの間違いだったのか? 
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 「ライスはブッシュ、チェイニー、ラムズフェルトとおなじ程度にイラクの泥沼に責任があり、嘗ての輝かしいスターの座を滑り落ちた」(英誌『エコノミスト』、1月20日号)。

所詮は器が小さすぎた。国際政治の荒波にはピアノとテニスの才女には不向きだったのだろう。
 猪口某女史が国務大臣に任命されたおり、 基本的に勘違いがあったが、永田町で誰も相手にはしなかった。机上のうえで「システム」を説くのは大学のレベルでは可能かもしれなかったが、現実の世の中には通用しなかった。

 バーバラ・ボクサーの酷評。「結婚をしておらず、子供もいない人が、外交や政治の機微が分かるものんですか」(ボクサーはカリフォルニア選出の上院議員、リベラル過激派)。

 ライスは恩師スコウクラフトに媚び、ブッシュ大統領に媚び、ま、そこまでは大統領補佐官の立場だから責任がなかった。国務省というハト派が蝟集する謀略の巣窟にはいって、彼女は国務省自体の統治能力が無かった。

 中東に本腰を入れすぎ、北東アジアに優先順位をおかず、しかもゼーリック副長官との調整もうまく出来なかった。
 ゼーリックが去ってネグラポンテが副長官として乗り込んできた。
 ブッシュの支持率は低下の一途。「ライスが次期大統領に!」とするディック・モリスら共和党の声も掻き消えた。
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(休刊のお知らせ)海外取材のため、小誌は週末の27日から2月4日まで休刊となります。
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(読者の声1)『月刊日本』2月号の貴論については他の方が投稿されていたので、小生は佐藤優氏の「親日保守の基盤を確立せよ」を引き合いに、駄弁を弄します。
 前田愛の『幻景の明治』の次の一節を引用します。
(引用開始)「牢獄に幽閉されている人びとは、名利や官職などの現世的利益から遮断されているが故に、かえって学問を功利的な具としてではなく、その本質にさかのぼってきわめることができる。
 また日常世界から放逐されて「逆境」に閉じ籠められていること自体が、逆にペリー来航いらいの国家の「逆境」―危機的な状況を理解する手がかりになりうるというのだ。 この開講の言葉をつらぬくディアレクテック(弁証法的)な論理の展開は、松陰における学問の意味をそのもっとも深いところで解きあかしているばかりでなく、彼の文体の主要な魅力のひとつをかたちづくっているパセティックな説得力の秘密にも触れているように思われる。
・・・  松陰はもともと行動の人であった。 ・・・ この行動の人が幽囚を余儀なくされたときに、彼にゆるされたほとんど唯一の行動は、文章を書くことであり、同志に向けて志を述べることであった。行動から疎外された孤立無援の松陰には、彼自身の個を文章に託して表現する以外に他者とのむすびつきをつくりだす途が許されていなかったのである。松陰が言葉によって人びとのあいだに自己を解き放とうとしたとき、フォームの完成を至上とする近世的な文章観にかわって、生動する表現としてのスタイルに個を賭ける近代的な文章観の開幕が予告されたのである。『講孟余話』はもともと漢文体で書かれているにもかかわらず、彼が同囚の人びとや萩の若者たちとともに感じ、ともに考えようとした切実な願いは、その切迫した独特のリズムにまきれもなくあらわれている。」
・・・(引用止め)

『講孟余話』に興味ある方には直接原文あたって頂きたいのですが、私がこの件りを引いたのは、書くことをもっぱらにしたり、思索を巡らすタイプの人間が獄に繋がれると、心境が一層研ぎ澄まされ、書く対象の選択と文章のリズムに大いに影響するという部分に頓首したからです。
そして大川周明、林房雄、岸信介(もの書きではありませんが)、そして佐藤優氏を思い浮かべました。  佐藤氏は「親日保守の基盤を確立せよ」で次のように述べています。
 (引用開始)
「政治というのは、味方と敵の区別を明確にして、敵を徹底的に殲滅するというヨーロッパや中国の伝統から考えると、日本の国体はずいぶんいい加減なように見えます。しかし、このいい加減さがいいのだということが『神皇正統記』から読み解くことができるのです。 この思想が大川周明に直接つながっていくのです。
前の戦争に引きつけていうならば、日本人は寛容の精神の中で、多元的世界を考え、これを大東亜共栄圏と名づけました。
アジアという場所(トポス)においては、アジア人である我々が、アジア人にとって住みやすい世界をつくることにある。 日本人と他のアジアの諸民族は兄弟であり、同胞である。
 ・・・ 「アメリカ人よ! イギリス人よ! われわれ日本人はあなたたちに迷惑をかけるつもりはないのだから、あなたたちもアジアを放っていていくれ」と主張したことに何か問題があるのでしょうか。   私は、その考え方はいまも基本的に間違えていないと思うのです。  当時、アメリカが日本に対してつけてきたのは明らかに難癖の類です。 ・・・ (引用止め)

西尾幹二氏は以前『諸君!』で、「日本人が国境を越えた外のものに公平で、憧れをもって遠望し、近づいてくれば無邪気にこれを歓迎するのは、太古からの本能みたいなものではなかろうか。縄文以来といえばべつに証拠はないので大げさといわれるかもしれない。」と書いていました。
 寛容でいい加減な本性を持つ日本人はいつになったらそれに気付き、悟達に至り、かつての共同体の秩序と調和と静謐を回復できるのでしょうか。
その悟達は江戸時代から明治時代頃はあったと思うのですが、 失われてしまっている憾みがあります。
教育のせいにするのは、問題の所在の矮小化と糊塗に繋がり避けたいところです。
明治末期から今に至るまでの日本人の心の致し方にどんな変化、挫折と怠惰と韜晦と欺瞞とルサンチマンがあったのでしょう。佐藤氏の論説に触れて、そんなことを思いました。
戦後、精神の挫折を曖昧のままにして、80年代まであれほどうまくいっていた日本的経営を打ち捨て、経済的な成長を守れず、欧米へ渡りMBAやPh.D.を取得して帰国した同胞を有り難がり、グローバル・スタンダードというアングロ・サクソン基準を易々と受け入れ、見事なまでに欧米に食い潰されボロボロになりゆく日本。
日本の繁栄と安寧を守ることが言葉や言論、思索を以ってどこまで可能なのか。
それを政治や経済活動につなげることがどこまで出来るのか。 そんなことを思いました。
    (HN生、神奈川)



(宮崎正弘のコメント)グローバル化というのは、そもそもアメリカ化ということであり、日本は法律的にアメリカ植民地に陥落してしまったのではありませんか。
かの「大店法」によって由緒と情緒があった地元商店街、じじばばショップはほぼ日本から消えましたね。
静かな名曲喫茶店なども姿を消してうるさいだけのドトールか、スタバ、酒屋はコンビニに、町の景観を破壊したのはアメリカの法律の日本への適用から。
さらにいえば、いま騒いでいる談合。これは日本人の体質であり、文化に繋がり、有る程度は日本の歴史ですが、これを根底から破壊するのは、アメリカの「独占禁止法」の害毒です。
 ご指摘のように、すべてを「教育のせいにするのは、問題の所在の矮小化と糊塗に繋がり避けたいところです」とありますが、まったくそうですね。



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(読者の声2)《向井敏明・野田毅両少尉慰霊祭》
 向井敏明・野田毅両少尉のご命日に慰霊祭を挙行いたします。昨年12月22日、最高裁が不当な決定を出しました。昇殿参拝の後、靖国会館において報告集会を開催いたします。【三澤浩一】

☆とき   1月28日(日)午後1時30分に集合

☆ところ  靖国神社(参集殿)

☆百人斬り訴訟を支援する会(会長・阿羅健一)
TEL.03-3263-6041
http://www.mukai-noda.com



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(読者の声3)「日中関係は「大人の関係」へ進め!
4月の温家宝首相の訪日準備が進められているが、中国指導部の振る舞いを辿り、日中友好の再構築(現在は「日中非友好」)が可能かどうかを考察してみたい。
 1.日中国交回復
 1972年、日中が国交を始めた時の、田中角栄首相と周恩来首相の「日中共同声明」では、「主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に両国間の恒久的な平和友好関係を確立する」ことに合意し、「両政府は、…、日本国及び中国が、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えない」ことを確認した。

 この時代の政治家は大人だった。
 「靖国参拝問題」もなく、「中国からの軍事的脅威」もなかった。

2.靖国参拝問題
 宗教を政治の争点にしないというのは、1648年に成立したウエストファリア条約以来、世界のルールになっている。だから、諸外国を訪問した指導者は戦没者の慰霊場所へ、その国のルールに基づき慰霊の参拝をしている。
  しかし、中国政府は、1985年の中曽根首相の参拝から不快感を表明してきたが、これこそ世界のルール違反ではないか。

3.反日暴動
 天安門事件の後に誕生した江沢民政権は、民主主義を要求する群衆の力を恐れ、共産党政権の生き残りをかけて、反日的愛国主義教育に活路を見いだした。
 ところが、2005年3月21日、国連のアナン事務総長が国連安全保障理事会の常任理事国増員に関して、「アジアに予定されている2議席のうち1議席は日本へ行くだろう」と発言した。
  この発言が伝えられた翌日から、「日本の常任理事国入り反対」のネット署名が開始されるとともに、反日デモと日本大使館などへの暴動へと発展した。
 ところが、4月12日、インドを訪問中の中国の温家宝首相は記者会見でこれら反日デモについて、「日本による侵略戦争が中国、アジア、世界の人びとに甚大な苦痛と困難を与えた」・・・「最近、我々・・・近隣国で、日本が常任理事国入りを目指すことへの抗議デモを目の当たりにしてきた」
 などと語った。
 この発言は、一国の指導者が語るに足る外交常識であろうか。

4.歴史問題を収束させる時期到来
 「廬溝橋事件」(1937年7月7日)、「日中戦争の死傷者3500万人」 「南京大虐殺30万人」などについて、中国国内の歴史資料ならびに国外の資料から捏造と判明しており、今こそ歴史問題の真実を中国政府から日本政府に向かって表明し、謝罪する時期であると考えます。

5.「経熱政冷」のネジレ現象
 2005年の日中貿易総額は、1893億ドルと7年連続過去最高となった。
 ところが、中国国内の世論調査では、「日本と聞いた際、危険な帝国主義を連想する」が80%、「日中関係の未来について、日中両国が資源をめぐり再び戦争になる」が60%と掲載された(中国新聞週刊)。
 この反日感情が「経熱政冷」のネジレ現象とであり、「日中友好」を目指すのであれば、歴史に正しく向き合いお互いの利益になるよう日中の指導者は調整を図るべきであると考えます。
 国内の学校内のイジメ問題に例えれば、「東アジアの悪ガキ大将・中国」と「虐められ子・日本」という東アジア学級を、「子供の世界」の歪な関係から「大人の世界」へ成熟し、日中両国が繁栄するように国民を指導していくことが国家の指導者に求められる資質ではないでしょうか。
    (TK生、愛知)

 
(宮崎正弘のコメント)時系列に区分しての分析をいただき、有り難う御座いました。参考になります。
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<< 今月の拙論 >>
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(1)「中国投資はブラックホールにカネを投げ入れるようなものだ」(『WILL』三月号、1月26日発売)
(2)「三峡ダム周辺の諸問題」(「共同ウィークリー」、1月28日号)
(3)「海亀派と貧富の格差」(『月刊日本』2月号。発売中)
(4)「転換点の一万ドル倶楽部入り」(『北国新聞』コラム「北国抄」。1月22日)
(5)「中国ビジネスは危険がいっぱい」(『正論』3月号、2月1日発売)
(6)「上海郊外水郷のひとびと」(『力の意思』3月号)
(7)「上海にはびこる拝金と偽中華文化」(『自由』3月号、2月10日発売)
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大増刷出来!
  宮崎正弘著『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
    北京愛国、上海出国、広東売国の実態は? 
         本邦初の中国人国記
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<宮崎正弘の中国・台湾、北朝鮮関係著作>
 『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
 『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
 『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
 『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『拉致』(徳間文庫)。
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