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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

発行日:1/16



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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 1月16日(火曜日) 貳
通巻第1679号  
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 香港株式市場に「人民元建て」銘柄を上場する計画が浮上
   ライバル上海と「金融センター」の奪い合い、いよいよ本格化
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 日経新聞には小さな記事がある(1月16日付け朝刊)が、同日付けの「ヘラルド・トリビューン」には一面トップで関連記事がある。
 両紙を総合して読むと、つまり香港は中国フィナンシャル市場のハブとしての役割を追求へ、というわけだ。
五年以内に香港でも人民元建て株式を上場し、将来の市場の生き残りにかけるのが目的という。

 そもそもハイエクらのとなえた自由市場の基本は「自由な言論」「情報の透明性」にある。
 市場は情報に左右され、暗黒の言論状況下では、インサイダー取引が跋扈し、また情報を隠匿したり、操作したりすれば株価操作に繋がる。
 日本でも、いま騒いでいる不二家は、まさに情報隠匿と遮断により、株価は悪性のスパイラルを描いて下落する。

 言論の自由が無く、情報が検閲されている中国で、自由な市場は成立しない。

 国際金融筋の位置つけでは「香港はNY、上海はシカゴ」。
 つまり大手銘柄の上場は北米大陸では、ことごとくがNYに集中し、シカゴは金融相場の中心であっても株式上場はローカルな銘柄である。上海に国際的企業が上場しないのは、その面妖なる市場メカニズムへの疑惑からである。

 事実、香港に上場したレッドチップ(中国系企業銘柄)は、はやくも三百近く、おととしからは超大型企業が香港で株式を公開してきた。
かように香港が「中国のNY」であることに変わりはない。

 ところが変化の兆しは人民元と香港ドルの位置の逆転(トレーディング・プレイセズ, Trading Places)が起きたことだ。
 もし、この趨勢が続けば、香港にあってさえ「人民元」のほうが有力通貨として、やがて香港ドルを凌ぐことになるかも知れない。
理論的にはそう考えた方が整合性がある。

 上海は国際商品市場のアジアのセンターとして機能しつつあり、東京に迫ることは事実だが、株式市場に関しては、政治における「上海派」の没落やら対照的に天津の興隆もある。
共産党中央は上海への梃子入れを控え、むしろ香港の国際的役割増加という政策に傾くだろう。

アジア最大の金融マーケットはいうまでもなく東京であり、上場も起債も、香港、シンガポールが及ぶところではない。
だが、東京は業績を着実に伸ばしているとは言っても、「中国ブームを前にして投資家に対するセックスアピールがない」(ヘラルド・トリビューン、1月16日付け)。
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(読者の声1)貴コメントに言及されていた(ロシアの飛び地)カリニングラードが、小文で私が触れたプロイセン人の地、東プロイセンでした。
死語となったプロイセン語はリトアニア語、ラトビア語と同じバルト語系。
ルターのドイツ語訳聖書でプロイセン語のものがあり、この研究者がいるとも『自壊する帝国』に書かれていたと記憶します。
チェコ人の宗教学者に興味を持って、チェコ語を勉強し、チェコに行く野心を燃やして、その方便に外務省に入ったと語っている佐藤優氏らしい記述だなと思い記憶に残りました。
   (HN生、品川)


(宮崎正弘のコメント)チェコ?  懐かしき国名ですね。詩人のバーツラフ・ハベルが意想だもしなかったチェコ・スロバキアの民主化以後の初代大統領として、日本に来たときに小生もお目にかかりました。
体操で世界を魅了したチャスラフスカも、あの政権で閣僚級でしたね。
プラハには一度しか行ったことがありませんが、当時は冷戦終了直後で、半日かけて町を歩いても、外国人が食せるレストランを見つけるのに苦労した、じつに腹立たしい記憶も付帯します。


    ♪
(読者の声2)貴誌通巻第1607号(11月1日発行)で約束しました、『マオ』のシナ語版につきレポートさせていただきます。
どうにかやっと読了しました。
なぜかというと、小生はこの張戎という作家が嫌いで、仕方がないからです。
もちろん個人的に知り合いではないわけですから、その文章が、という意味ですが。彼女のファンの皆さん、ごめんなさい。 
前回の著作・『ワイルド・スワン』とおなじ作者の「病気」が全編から滲み出すようすでした、「わたしは偉い」という有名病が。その分析はあとにして、まずこの本の重要と思われる点、歴史見直しにかかわる点につき、取り急ぎ述べてしまいましょう。
宮崎先生をはじめ、中西輝政、櫻井よし子の各氏が日本語版出版のおり絶賛されたように以下の数点が今までにない歴史的事実(?)を暴露しているのはたしかです。
(1)一九二十八年六月の張作霖の爆殺は、ながらく関東軍の行為とされてきたが、しかしそれは、スターリンの指令に拠るコミンテルンの工作であった。
(2)国民党上層部にもぐりこんだ共産党のスパイ・工作員の張治中が、日本軍を故意に挑発し「上海事変」を引き起こさせ、日本を「支那事変」の泥沼に引きずり込んだ。
(3)およそ七千万人のシナ人がマオのために死亡した。

この数点については、シナ語版でも明記されています。疑われた改竄はありませんでした。
ドイツ語版でも同様はっきり明記されております。
しかし1)、2)は公開された旧ソ連の秘密資料によるものですから真偽の程は未だ検証されていません。
3)もまたどんな統計資料によるかは明らかではありません。 
よってそれを信じない、という読者の態度も可能です。
 日本の都合のいいところを取り出してこの本を賛揚すると、思わぬ落とし穴があると、知らねばならないでしょう。
それは南京事件を彼女は否定していないことです。(この点につき、先生ははっきり注意を促しておられました。)
南京事件だけを取り出して、他の重要点は無視する、という利用方法もあるわけですから。ですからこの書への評価、特に歴史見直しに関する貢献については未決定としておきましょう。
 好き嫌いでいえば、小生は嫌いです。 
 前作・『鴻』(ワイルド・スワン)にもみられた作者の以下のような欠点が、やはりこの『マオ』においてもはっきり顕れていました。
 (1)人物を白黒、善悪に分類したがる。前作では、「わたし」が基準でした。
すなわち「わたし」を助けた人は「善人」、迫害ないしいじめた奴は「悪人」。今回はその基準が「マオ」でした。マオは絶対悪、それに加担したものは「悪」、それに反対したものは「善」。じつにわかり易い大衆向けの基準です。すなわち読者、とくに欧米の読者に媚びるそのポピュリズムの鼻につくこと。
(2)「有名病」。あくまで「わたし」を褒め称える自分中心主義。前作では、「あたしは美人で頭が良くて、家庭環境もいいのになぜ迫害されるのか?
そして最初の英国博号をとったあたしってなんてすごい!」これだけがホントに書きたいことだったと思われます。
今回は、「あたしってなんて偉い。だって前回の大ベスト・セラーでえた印税をすべてこの『マオ』につかってしまった。欲の無い使命感にみちた愛国者なのよ。そしてこの本を書くために費やした労力といったら大変なものよ、旧ソ連の資料読み込みもそうだし、関係者へのインタヴューだって大変だったんだから、皆さんわかってね。」という基調低音がいつもその底部に流れていて臭くてなかなか読み進めませんでした。ああやだやだ。
誤解を恐れずに云えば、彼女の著作は個人的な憂さ晴らし、または報仇にしか過ぎません。 
そして肝心のマオについては、専門の毛沢東研究者からみてあまりにお粗末なので、専門家は彼女に反論する気にもなれないでしょうね。『マオ』の出版は、以下の諸著作が(海外華人)読者にあたえた衝撃と歴史的貢献はないものと思われます。日本語版は(李志綏のもの以外は)あいにくありませんが。 

■『毛沢東衛士長雑記』李銀橋述、権延赤著、香港文化教育出版、1989
(この李銀橋というマオのボディ・ガードは、長年マオに付き添い、便秘の処理まで行った男である。ゆえにその知るところのマオの個人生活は興味深い。彼には、『神棚から降りた毛沢東』という書あり。未見)
■『毛沢東的黄昏歳月』郭金栄著、天地図書出版(香港)、1990
(マオの晩年、二人の「生活秘書」(実は愛妾)がいた。すなわち有名な張玉鳳、と孟錦雲である。本書は孟錦雲に焦点をあて彼女から聞き取ったマオの晩年を描写し知られざる故事を紹介する。)
■『毛沢東家世』李湘文編著、南粤出版社(香港)、1990
(毛沢東の先祖から後裔にいたる家系を詳述)
■『毛沢東的生前死後』蘇量著、香港文匯出版社(香港)、1992
(政治事件や個人生活の裏話を詳述する)
■『陽謀』丁抒著、九十年代雑誌社(香港)、1991
■『人禍』丁抒著、九十年代雑誌社(香港)、1991
(丁抒氏のこの両著は、毛研究の必読書。『陽謀』では「百家争鳴、百花斉放」の思想「解放」運動が一転して「反右派運動」の知識人弾圧にいたる惨劇、マオの言葉「陽謀」を詳述する。また『人禍』では、「大躍進」のあとの「三年災害」が天災ではなく人災を証明する。著者は中共政府の公式統計数字を独自に集計し、が死者数を最低三千万人、おそらく三千八百万人と予測する。この数字は『マオ』にも引用されている。)
■『毛沢東私人医生回憶録』李志綏原著、李志綏訳、時報出版(台湾)、1994
(ご存知、マオの御殿医の暴露本。続編準備中に著者は急逝する。中共による暗殺が囁かれている。)
 出版が九十年代前半に偏っていますね。その後こういった本は、特に李志綏の暴露本以降はどうも禁止されてしまったようです。
あまりに影響が大きかったからでしょうか?その意味では。『マオ』の影響がどれほどあるのか興味がもたれるところです。
 注、ほとんど同内容のエントリーを以下のように弊ブログでもアップいたしました。
http://marco-germany.iza.ne.jp/blog/entry/101448/
  (マルコ、在独)



(宮崎正弘のコメント)小生は、この本を絶賛してはいませんよ。
 「それにしても読む価値はある本である」と言っているだけであります。
 さてさて、それよりもなによりも貴兄が原文と独文訳まで読まれて、評されていて、これは随分と各方面に参考になると思います。
 第一、香港でユン・チアン(張戒)が漢語訳の出版記念講演会をやったとき、知人のジャーナリストのAI君が会場でテープを録音してきて呉れました。
小生儀、それを五人の専門家に渡して分析して貰いました。
その結果、彼女の語彙は貧弱で、要するに知識人として疑わしい、というのが多くの分析です。それは咄嗟の質問に答える瞬発的能力や、その応答に発揮される知恵、蓄積など。また自由討論となったときに準備書面いがいに出てくる語彙、とくに多用される下品な語彙からも、そのバックグラウンドが判断できるというのです。
これを本当に書いたのは夫君ではないか、という疑問まで出てきました。
 また自分を支援してくれる人は善人、ほかは悪人という図式。嗚呼、それはまるで佐高信のようでもありますね(快笑)。



  ♪
(読者の声3)杉原千畝に関する、ネットでの資料です。
[編集] 千畝の後半生。
リトアニア退去後、ドイツの首都ベルリンを訪れた後、1940年にチェコ・スロヴァキアの在プラハ日本総領事館、1941年に東プロイセンの在ケーニヒスベルク総領事館、その後1946年までルーマニアのブカレスト公使館などヨーロッパ各地を転々とし、各職を歴任。
第二次世界大戦および太平洋戦争の終結後、在ブカレスト公使館で家族と共にソ連に身柄を拘束され、一年間の収容所生活を送る。
1947年に日本へ帰国、神奈川県藤沢市に居を据えるも、外務省からリストラに伴う解雇通告を受ける(リストラは名目上で、実際はビザ発給の責任を負わされとされる)。外務省退官からしばらく息子を白血病で失い、義理の妹もなくなるなど家族の不幸に苛まれる。
その後は東京PXの日本総支配人、米国貿易商会、三輝貿易、ニコライ学院教授、科学技術庁、NHK国際局など主に語学力を活かした職に就き勤務した。
1960年に川上貿易のモスクワ事務所長、1964年に蝶理へ勤務、1965年からは国際交易モスクワ支店代表など再び海外生活送った。
1968年夏、ビザの発給を受けた元ユダヤ人難民の一人ニシュリ氏と在日イスラエル大使館で28年ぶりに再会。
翌1969年、イスラエル宗教大臣より勲章を受ける。それから1975年、モスクワ支店代表を退職して日本に帰国した。1985年1月18日、イスラエル政府より多くのユダヤ人の命を救出した功績で「諸国民の中の正義の人」として「ヤド・バシェム賞」を受賞。同年11月、エルサレムの丘で記念植樹祭と顕彰碑の除幕式が執り行われる。
1986年7月31日、心臓病で死去した享年86。なお、千畝の汚名が晴れたのはそれから15年後のことであった。
   (KI生、尼崎)


(宮崎正弘のコメント)ま、杉原千畝評価は、このヘンでうち切りましょう。小生はなんとなく胡散臭い人と思っておりますので。
 イスラエルの打算的評価も、きっと問題ですよ。
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(休刊予告) ♪ 小誌は地方講演のため、1月21−22日を、また海外取材のため1月27日から2月4日までをそれぞれ休刊します。
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<宮崎正弘の中国・台湾、北朝鮮関係著作>

 『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
 『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
 『出身地でわかる中国人』(PHP新書、1月中旬増刷出来)
 『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『拉致』(徳間文庫)。
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◎宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
◎小誌の購読は下記サイトから。(過去4年分のバックナンバー閲覧も可能)。
http://www.melma.com/backnumber_45206/
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2007 ◎転送自由。ただし転載は出典明示のこと。
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発行者プロフィール

宮崎 正弘

宮崎 正弘

http://www.nippon-nn.net/miyazaki/

国際情勢の裏情報を豊富なデータと人脈から解析してゆく。独特な方法と辛辣な批判精神によるニュースの裏側で織りなされている人間模様に興味を持つ。筆者の人生観と執筆を継続する動機の基軸は同じ。ホームページは http://miyazaki.xii.jp/

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