国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2007/01/13


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 1月13日(土曜日)  貳
通巻第1672号  
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 ロシア軍、計画を二年も前倒してし、グルジアから撤退 
   サーカシビリ政権は祝賀、NATOに加盟早まるか
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  グルジアから番犬、というより支配者のロシア軍が去った。
これでトビリシのNATO入りは時間の問題となったかに見える。

 ロシア帝国がグルジアを侵略したのは1799年、イワン・ラザレフ将軍率いる軍隊がオセチアから侵入してトビリシを占拠した。
 爾来、二百年もの長きにわたってロシアはグルジアを支配下においた。

  グルジアにサーカシビリ政権が誕生したとき(04年)、ロシアの不快感は頂点に達した。
 それまではロシアを朋友としたシュワルナゼ(元ソ連外相)がグルジア大統領として君臨し、政治改革そっちのけ、腐敗の一途を辿っていた。

サーカシビリは親欧米派、自由と民主の旗振りだった。
シュワルナゼの大統領選挙直前に暗殺された民族主義的な詩人ガムサフルディアもいた。かれはグルジア民衆の人気が高かった。
 独裁からグルジアはようよう民主化へ。これはビロード革命とか、チューリップ革命とかいわれた。

 ロシアのグルジアいじめは一段と手が込んでくる。
 まずグルジア産の農作物、ワインを輸入停止とし、さらにはグルジア向けのガス供給を止める(蛇足ながらグルジア・ワインは実に旨い。モスクワにある有名レストランもグルジア料理が多い)。
 
昨年(06年)十月には旧チェコのスロバキアで開催されたNATOとの国防相会合に出席したロシアのイワノフ国防相が、公然とロシアの頸城から離れてNATO加盟を目指すグルジアを痛烈に批判した。

 しかしNATOとグルジアは水面下で急接近をはかっており、観測筋はグルジアが08年にもNATOに加盟するとしている。

 昨年秋にはロシアとグルジアがスパイ疑惑問題をめぐって鋭く対立したためモスクワが荒治療にでた。
 駐グルジア大使の召還やビザ発給停止に踏み切ったのだ。

 これはロシア将校四人が首都のトビリシで”スパイ容疑”で拘束されたことへの報復、ロシアは作業途中だったグルジアからの軍撤退を一時的に停止した。
 そのあとでロシアは駐グルジア外交官と家族をほぼ全員召還した。チャーター機が飛び、その機へ搭乗するロシア人の哀れな風景は全世界に配信された。


 ▼二百年、圧政に苦しんだグルジアの真の独立

 グルジア人へのビザ発給停止処分に加えて、ロシアは出稼ぎ労働者のグルジアへの送金も禁じた。ロシアにはグルジアからの出稼ぎ労働者がすくなくとも百万人はいる、と見積もられている。

 ともかくロシアが撤退計画を貳年間も前倒しにしての早期引き上げは、実際に最後の段階で四百人の軍人と家族しかトビリシにおらず、最悪の場合、これらがグルジアの人質と化すのを恐れたから(「ジェイムズタウン財団発行『ユーラシア・ディリー』、1月2日付け)。

 06年12月25日、グルジアを200年に亘って支配したロシア軍は正式に去った。旧ロシア駐屯軍司令部の建物跡はオークションにかけられ、二千万ドルで売りに出された。
 サーカシビリ大統領は祝賀会で演説し、「歴史にのこる記念日となるだろう」と発言した。

 数年後、あるいは数十年後、おなじ光景をわれわれは内蒙古、ウィグル、チベットで目撃することになるだろう。
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(読者の声1)レーニン以来、ソ連は中央アジアのイスラム勢力の懐柔と分断に意と威を用いてきました。
国内にいたユダヤ人はイスラエルなど海外に追い出して、中央アジアを主に国内に散在するイスラム人の統治はソ連共産党支配の内治の要、これをじつに巧みにやってきました。 
スターリンが一番うまかったように思います。プーチンはチェチェンや南オセチア問題で手こずっています。
近年、民族意識に目覚め、国際間の資源外交で引く手数多のこの地域で日本がクリーン・ヒットを飛ばせないものでしょうか?
プーチンと胡錦濤が石油資源の取り合いで喧嘩を始めて日本が漁夫の利をせしめるなんて初夢をみたいものです。
イスラムの世界は膨張しつつあり、20世紀のイデオロギーを軸とした覇権の対立・戦争の時代に対して、21世紀はイスラム勢力とキリスト教徒や中華無神勢力を前面に立てた非イスラム勢力の対峙が深刻化しそうです。
今世紀も前世紀以上に人が戦い、死んで行きそうです。日本はどちらに組してもなりません。ならぬものはならぬのです。
   (HN生、品川)


(宮崎正弘のコメント)最後は会津藩の藩校=日新館の家訓(かきん)調ですね。
 ところでロシアから追い出されたユダヤ人、十万の規模でオデッサに戻っています。エリツィンのときにロシアが経済的苦境のどん底、それで優秀なユダヤ人を片っ端から経済閣僚に登用して急場をしのぎ、こんにちのロシア経済復活のいしずえを築きました。
 90年代初頭、ルーブル大暴落、不況に喘いでいたころのモスクワで女性ガイドが言ったこと鮮烈に覚えています。
「ユダヤ人がいなくなったため、ロシア経済は破滅の危機に瀕しているのよ」。
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<宮崎正弘の中国・台湾、北朝鮮関係著作>

 『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
 『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
 『出身地でわかる中国人』(PHP新書、1月中旬増刷出来)
 『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『拉致』(徳間文庫)。
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