トップ > ニュース&情報 > 国際情勢 > 宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

RSS


メルマガの登録・解除

登録した方には、メルマ!からオフィシャルメルマガ(無料)をお届けします。



宮崎正弘の国際ニュース・早読み

発行日:1/12


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 1月13日(土曜日)  
通巻第1671号  (1月12日発行)
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 “中央アジアの金正日”が急死したトルクメニスタン
  あの膨大なガス開発はどうなるのか。ロシアとEUには死活の問題だ
****************************************

 小生、ニヤゾフ大統領が急死したとき(06年12月21日)、上海にいたので、この大ニュース、すっかり分析が遅くなってしまった。

 トルクメニスタンを私物化し、各地に銅像を建てて個人崇拝を強要し、金ぴかの特性日時計は、時刻にしたがってニヤゾフの金時計が回転する仕組みだった。
滑稽で漫画的でさえある。

トルクメンはチュルク系で、トルコ語の方言。宗教はスンニ派。国土面積は日本の1・3倍ほどだが人口は五百万いるか、いないか。部族中心の社会を構成しており、部族抗争が政治の基本にある。

 ニヤゾフはしかしながら独特のカンが働き、自国唯一の資産であるガスと石油を、ロシア経由一本槍の輸出体制を、なんとか複数に分けようとしていた。94年以来のかれの外交路線は「積極的中立政策」と呼ばれた。
「ロシアからの自由」。これが彼の外交の基本だった。
実際にCISから脱退し、国連からは「永世中立国」として認められており、中国主導の「上海シックス」にも加盟していない。

 トルクメニスタンのガス埋蔵量はBPの試算で二兆九千億立法メートル。最大に見積もれば20兆立方と言われる。

 だからモスクワに気兼ねしながらも、ニヤゾフ大統領は米国から「ユノカル」(当時米国メジャーの第八位、その後、テキサコに買収された)の幹部を招き、アフガニスタン経由パキスタン(分岐して、もう一本はインドへ)のパイプライン構想に前向きだった。
カスピ海を海底パイプラインでアゼルバイジャンからトルコへ出すルートや、南のイランへまわる構想にも前向きだった。

 アフガニスタンに米英傀儡にちかいカルザイ政権が誕生したので、「ユノカル」が発案したプロジェクトが動き出した矢先だった。

中国からは04年7月に呉儀副首相を迎えても大歓迎、呉はトルクメニスタンーカザフスタンー中国へのパイプラインを提唱した。呉は小泉首相との面会をドタキャンした後、この地に現れたのだ。
 ニヤゾフはご満悦だった。

 だからロシアが警戒したのだ。
プーチンは正月の念頭挨拶でトルクメニスタンを「永年の友人」「パートナー」と絶賛。それもこれもトルクメニスタンのガスがロシア、ウクライナを経由してEU諸国に輸出され絶え入るが、これはロシアのドル箱なのである。
 理由は簡単で、流通(パイプラインを握るのはロシア、安く買いたたき、EUに高く売っている)を独占することによる莫大な差益!


 ▼ニヤゾフ後継はロシア接近を模索中

 独裁者ニヤゾフの死後、トルクメニスタン政治は鮮明に“ロシア回帰”現象を見せている。
 2月11日に予定される大統領選挙は、混沌としているかに見えるが、ほぼ大統領臨時代行のベルディムハメドフ(陸軍最高司令官)が政権を掌握しそうである。

 ニヤゾフの急死直後、憲法に従えば、臨時大統領代行は国会議長のアタエフが嗣ぐ筈だった。
ベルディムハメドフ陸軍最高司令官は、彼をいきなり汚職容疑で起訴し、政局の混乱を荒技でのりきり、臨時政権をほぼ掌握した。
国営テレビでニヤゾフの死去を発表したおりには、記者会見のとなりにマメトゲルデエフ国防大臣をさりげなく侍らせ、さらには「葬儀委員長」として外国からの賓客をもてなした。イタル・タス(12月26日付け)によれば、その直前に120人の国防省高官を逮捕したという。
 ニヤゾフの葬儀にはタジク、カザフからは大統領が列席した。

 日本とトルクメニスタンとの関係はまことにお寒い限りで、アシュガバッド(首都)に日本大使館を開設したのは2005年になってからのこと。一方、トルクメニスタンの在日大使館はまだ開設されていない。
     ◎ ◎  ◎ ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
(読者の声1)イランの石油枯渇に関する論文のご紹介を読み、 素人ながらいささか疑問に感じましたので、友人の資源開発業界の専門家に意見を聞いてみました。
友人の許しを得て、その簡単なコメントをご参考までに転送させていただきます。
以下引用です。

「第一、勘として輸出がゼロなるようなことはありえないと思う。理由は以下の通り。
1.統計に見ればこの2-3年イランの石油生産に大きな減退は見られない。石油生産を維持してゆくためには継続的な設備投資(探鉱、追加井の掘削、施設の増強/更新等)が必要であるが、今レベルの投資が今後とも許されるなら問題ないのでは。

2.現在の、生産量約400万バーレル/日のうち約250万バーレル/日を輸出している。イランには新旧あまたの油田があり、仮に今後9年間設備投資をしなくてもこの250万バーレルがゼロになるような生産減退は考えにくい。(国内の石油需要が爆発的に伸びれば輸出を圧迫することになり、話は別であるが、、) 一方で、中国、ロシア、北欧などはイランと石油契約を結びつつある。

3.イラクは国家予算及び外貨収入の大きな部分を石油輸出に頼っており、これがゼロになることは国の破滅を意味するし、また石油市場にも大混乱を起こすことになるので、必然的にそのようなケースを避ける方向で世の中は動かざるを得ない。
 とりあえず、思いつくまま書きましたが、結論としてはロジャー・スターンのレポートは極端すぎると思う」。(引用終り)
   (TT生、丸の内)


(宮崎正弘のコメント)きっとご指摘の通りでしょう。イランの指導者も宗教的狂信者ばかりではなく、まともに経済が分かる人がいる筈ですから。
 スターン教授の予測はたぶんに警告的な意味が、このタイミングではあると思います。
 ところで中国がイランと契約した液化ガスは、じつに25年の長期契約、投じるカネは1200億ドルです。


   ♪
(読者の声2)ようやく貴著『三島由紀夫の現場』を拝読しました。
三部作の完成をお祝いすると同時に、これからも三島由紀夫に関しての新しい著作を期待しております。まだまだ(三部作が完結したとはいえども)教えて頂くことがたくさんあります。
 三島先生の足跡を国の内外に追求する志に深い感銘をうけました。文中の随所に三島の「聖処」を巡礼するこころが窺えました。 
イタリアはもちろん、ギリシアのデルフィとパンテオン神殿、インドにもアジェンタ、エローラの石窟群をわたしも訪れた経験がありますが、三島との関係には思いを馳せなかった。
 やはり、宮崎さんのモノを見る目が違います。私にとって三島ゆかりの地はバイヨンで、一度行ってみたいと思います。
   (VR生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)バイヨンはアンコール・トムの古びた寺院ですね。三島さんが、ここを舞台に戯曲の名作、『らい王のテラス』を書きましたが。
       △ △ △ △ △ △
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
<<今月の拙論>>

(1)「海亀派と貧富の格差」(『月刊日本』2月号、1月22日発売)
(2)「中国ビジネスは危険がいっぱい」(『正論』、3月号、2月1日発売)
(3)「上海にはびこる拝金と偽中華文化」(『自由』、3月号、2月10日発売)
(4)「V字型回復は本物か」(『経営速報』、2月初旬号)
         ◎ ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 ♪ ♪
<宮崎正弘の中国・台湾、北朝鮮関係著作>

 『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
 『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
 『出身地でわかる中国人』(PHP新書、1月中旬増刷出来)
 『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『拉致』(徳間文庫)。
    ▼
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◎宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
◎小誌の購読は下記サイトから。(過去4年分のバックナンバー閲覧も可能)。
http://www.melma.com/backnumber_45206/
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2007 ◎転送自由。ただし転載は出典明示のこと。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

最新の記事

ブックマークに登録する

TwitterでつぶやくLismeトピックスに追加するdel.icio.usに追加Buzzurlにブックマークニフティクリップに追加Yahoo!ブックマークに登録記事をEvernoteへクリップ
My Yahoo!に追加Add to Google

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

登録した方には、メルマ!からオフィシャルメルマガ(無料)をお届けします。


この記事へのコメント

コメントを書く


上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。
コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  1. 宮崎先生の博識ぶりには、日頃から感服しております。

    書込み方法が分からなかったのですが、今、成功しました。

    現在、インドネシアに在住しておりますので、先生のニュースの話題性が日本のマスコミ、メディアの騒々しさに埋没(というか全く無関心)されているのに比し、外地では敏感に響きます。「出身地で分かる中国人」が増刷とはご同慶の至りです。
    益々のご活躍をお祈りします。

    tropicasso 2007/1/12

このメルマガもおすすめ

  1. Japan on the Globe 国際派日本人養成講座

    最終発行日:
    2017/05/26
    読者数:
    13244人

    日本に元気と良識を。歴史・文化・政治・外交など、多方面の教養を毎週一話完結型でお届けします。3万8千部突破!

  2. JOG Wing 国際派日本人のための情報ファイル

    最終発行日:
    2017/05/26
    読者数:
    3905人

    政治・経済・外交・社会・文化などの分野において「元気な日本」を作るためのオピニオン誌です。

  3. 月刊アカシックレコード

    最終発行日:
    2017/05/07
    読者数:
    17030人

    02年W杯サッカー韓国戦の「誤審」を世界で唯一「前日」に誌上予測し、誤審報道を「常識化」した推理作家が、政官財界の分析にも進出し、宣伝費ゼロで読者19,000人を獲得。2009年9月から月刊化。

  4. 頂門の一針

    最終発行日:
    2017/05/26
    読者数:
    5699人

    急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。

  5. 甦れ美しい日本

    最終発行日:
    2017/05/26
    読者数:
    7048人

    日本再生のための政治・経済・文化などの発展・再構築を目的とし、メールマガジンの配信を行う

発行者プロフィール

宮崎 正弘

宮崎 正弘

http://www.nippon-nn.net/miyazaki/

国際情勢の裏情報を豊富なデータと人脈から解析してゆく。独特な方法と辛辣な批判精神によるニュースの裏側で織りなされている人間模様に興味を持つ。筆者の人生観と執筆を継続する動機の基軸は同じ。ホームページは http://miyazaki.xii.jp/

過去の発行記事