国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

全て表示する >

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2007/01/11


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 1月12日(金曜日)  
通巻第1669号   (1月11日発行)
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 正確な炭坑事故の数字には驚きを越えた恐怖を感じる
  中国の炭坑事故の犠牲者に、やっと雀の涙の保証金がでるようになったが。。
***************************************

 米国ワシントンの「ジェイムズタウン財団」が発行する「チャイナ・ブリーフ」(07年1月10日号)に「中国、炭坑事故報告」がでている。

 これに依れば1949年の中華人民共和国成立以来、これまでに25万人の炭坑事故死が記録されているという。
 日本でも三井・三池、夕張そのほかで炭坑事故があった。
 いまでこそ日本には操業中の炭坑はないが、先進国でも発展途上国でもさかんに石炭が掘られている。

 中国における炭坑事故死は少ない年で5602人から最多事故発生年に6995人の任数の間で推移している。その数はインドより多く、安全対策は殆どなされていない実態を浮き彫りにしている。

 安全対策のなされていない炭坑は次々と廃坑を命じられているが、実態は地元のヤクザや、温州商人の進出による“闇炭坑”が操業をつづけている。
中国の経済発展で、おりからの石炭ブームがわき起こり、石炭の代金は四倍となり“俄か石炭成金”が遼寧省から山西省大同あたりに輩出してきたさまは、小誌でも何回か報じた。

 実際に廃坑命令は年率5・5%増の件数があるにもかかわらず、石炭生産は13・5%も増加している。

 多くの犠牲者は近郊の農家からでてきた出稼ぎである。
 チャイナ・ブリーフに依れば、犠牲者への保証金は最近、一万元から五万元。邦貨換算で15万円から75万円が中国の炭坑夫のいのちの代償。
しかも全土に炭坑夫は350万人!

 当局が安全を重視しての廃坑減炭政策も、現場では生活のかかったことであり、まったく徹底してはおらず、今後も是正される方向にはない。
     ◎ ◎  ◎ ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
(読者の声1)貴誌1663号拝見。人民元が“紙くず”と表現されていますが、ちょっと別の表現を思い出しました。
商社マンの中には銀行に還流させて新札に取り替える余裕のなかった1970年代から1980年代前半にかけての人民元のことを“クソ金”と呼ぶ人がいました。
又、外貨兌換券(外X券=ワイフイチェエン即ち外貨券)と呼称する外国人専用の人民元がありました。
今、手元に残している外X券の裏面には1979年とあります。しかし、実際に流通させたのは1980年の広州交易会即ち広州輸出商品交易会からでその交易会場の臨時交換所に於いて突然の発表の張り紙があり、今後は1980年10月以降人民元でなく外貨券を外国人は使用せよということであった。

 デザインは少しあか抜けしていて何よりもピンピンの新札で衛生的なので嬉しかった記憶がある。しかしそれまで3.6とか3.8元だ1US$であったころ5.4元と実質50%の切り下げを外貨券に切替えというドサクサにまぎれての大幅切下げを行ったのである。とても中国財務当局の担当は賢いなと思った。

 その後外貨券の対ドルレートは8〜9元になりそれが今の8.27から708元となっていてUS$xxx日本円200円とかで160円のときは1元が20円、それが12円〜10円にxx切下りはては9.99円と1元が10円を切った人民元の時があった(プラザ合意のころ。・・1995?)
それが今、100ドルが782元とかになると日本円では(1元が)15円とか16円となってきて元の切上げとなってきているのだ。
東南アジアへの投資は、比のペソもインドネシアのルピアもタイのバーツもすべて日本が投資した時のレートよりも切下げになって著しく減価して回収したものだかどうやら中国人民元は1元=約10円を底にして12−14−15−16.円とそして今後も切上げ傾向となり20円も夢ではない。
となると東南アジア諸国も含めた東アジア圏で投資した時よりも増価して出資金が返ってくる唯一の国になる。

 クソ金とか紙切れという表現は全く過去のものとなり、これまで半人前の通貨[経常収支(即ち貿易収支と特許料著作権などの貿易外収支)のみの開放]であったものが漸く一人前の通貨[さらに資本収支(即ち株や投資・出資金a/c)]も併せた開放となる。
しかも兌換した時のレシートの半分迄しか出国時に交換してくれなかったのが全額交換してくれるのは有難い。
 これが人民悲願のハードカレンシーであり、世界に通用する人民元となる。感無量だ。
   (CT生、大阪)


(宮崎正弘のコメント)外貨券! 懐かしいですね。
小生も、記念にいまも何枚か保持しております。天然記念物ですね、いまや。



   ♪
(読者の声2)某女史の書いたという浩瀚な『ローマ人の歴史』。
ローマ時代に興味はあるけれど、 時間もあるけれど、 読み通すパワーがないので、『ルビコン』という、イギリスの仁が書いた本を、試しに手に取りました。
なかなか面白い本でした。
この週末、地上波で白虎隊のドラマを二夜連続でやっていました。歴史的事実を押さえた内容でしたが、十代後半の若武者たちとその母たちの間の遣り取りは、フィクションでしょう。
子にいつもやさしい母、デレデレに甘やかす母がいる一方で、 薬師丸某の演ずる母は超辛口で、彼女の厳しい躾を称える描き方がされていました。
病弱な母のために崖に生えている薬草を採りに出掛けて、死にそうになった子に、殿様・藩の為に差し出すべき命を何と心得ると、その頬にビンタを飛ばします。
しかしあそこまで厳しくされたら、当時といえども子はグレてしまうでしょう。

 『ルビコン』によると、ローマには「赤ん坊」にあたる言葉がなく、子どもを鍛えるのに早すぎることはないというのがローマ人の常識。
新生児は大人の体型になるよう包帯でぎゅうぎゅうに縛られ、赤ん坊らしさは力づくで矯正され、男の子の場合は、おちんちんの皮が伸びるように無理やりグイグイ引っ張られ、粗食と水風呂が奨励され、健康に生まれても一歳の誕生日を迎えられたのは三人に二人で、思春期まで生きられたのは、その半分以下。 
子どもが死ぬのは当たり前、厳しい育児と教育の果てに命を失っても、親は騒がず冷静に受け止めなくてはいけなかった。  かようにローマ人の貴族階級はとてつもなく厳しく子供を鍛えていました。
これは、共和政時代のローマの厳しい生存競争が社会背景にあったからと説明されています。 
ローマの子どもたちには遊ぶ時間がほとんどなく、 発掘されるおもちゃが、共和政期のものは共和制崩壊後に比べてとても少ないそうです。
一家の父親の権威はとてつもなく大きく、 生殺与奪の権限は子どもを家族の一員として認めるだけでなく、娘は嫁いで家を出た後も父親が後見人をつとめ、息子に対しても何歳になろうと、政務官に何度当選しようと父親の保護下から離れることはなく、 共和政ローマは、社会的地位は親から子へと自動的に継承されず、世代が代わるたびに、獲得しなおすことが求められ、息子が父や祖父より地位や業績で劣ったら、一家の恥という世界。
日本人は子どもを共同体の宝として、慈しみ、愛情を溢れるほど注ぎ、育ててきました。 
ローマ人的な薬師丸母の躾け方、子への接し方に違和感を覚えたのは私だけでしょうか。 日本人と違う世界のローマ人を理想にして、その真似をする必要はないし、そんな真似をしたら、大和敷島瑞穂の国の民は道を誤るでしょう。
『ルビコン』では、法律に対するローマ人の価値観にも興味を惹かれました。
「ローマでは、だれもが法律に強い関心を寄せていた。
市民は法律制度のおかげで自分たちは市民として生活でき、権利が保障されているのだと、きちんと分かっていたからだ。 
ローマ人が大いに自慢したのも、うなずける。
いろんな知的活動のうち、法律だけはギリシア人より優秀だと自負していたくらいだ。」と書かれていて、日本人の理解の通り、法による統治の原型が形成されたのが、ローマでした。
しかし、ローマ人の間では、法律を研究するより、弁論を駆使できる者の方が評価されていて、 巧みな話術を持たない、弁論の才のない人間が法律を研究していたのです。
「陪審員や裁判官だけではなく、群集や傍聴人をも相手に、その心をつかみ、笑いや涙を誘い、お決まりのジョークでドッと沸かせたと思えば、一同をジーンと感動させる。 ときに説得し、ときにアッと驚かせ、世の中の見方を変えさせる。 
こういうことができてこそ、一流の法廷弁護人と言える。 
何せ、たとえ友だちを失ってもジョークをとばせるチャンスを選ぶのがローマ人だと言われたくらいだ」という価値観の世界です。 
「ローマ人が感情むき出しの激しい競争意識に根っから染まっていたことも手伝って、裁判はスリル満点の観戦スポーツになっていた」のです。
日本人の中では、巧言令色鮮(すく)なし仁との儒教思想の影響からか、 弁の立つことは、法律を勉強・研究することより評価されません。 裁判は厳粛な場で、粛々と取り行われるのが日本です。 ローマ人の住んでいた世界は日本人の住む世界と縁遠かったのです。 
法律は口先で捻じ曲げてしまっていいというローマ人の世界はアングロ・サクソン人に受け継がれています。 法律の解釈で思い通りにならなければ、意に叶う法律をつくります。 毛唐鼠のキャラクター権を守るために、 期限切れ直前に法律を変えて延長することなど平気です。 日本人の世界ではとてもできない所業です。

日本人はその優れた特性、その世界のすばらしさを判っていない憾みがあります。
それを他国に及ぼそうという気は全く持っていません。 
しかし隣りの文明圏然り、他の文明圏はその版図を拡げることが当然と心得ているものばかりです。
日本人は、他の世界の文物を時間を掛けても吸収・同化する、特性を持っています。
独創性を持たなくても消化し血肉化するバイタリティがあります。 漢字の吸収と同化はその最大のものでしょう。 
七百年以上かけて漢字を日本語化仕切った知恵と忍耐には敬服します。 
「独創性」の好きな向きには、これこそ独創と呼んでいいものです。
しかし鎧を纏わない特性なので、他から浸蝕・侵略される脆さがあります。
しっかり護らないといけない脆さです。
ローマ人の世界を垣間見てそんなことを思いました。
  (しなの六文銭)


(宮崎正弘のコメント)かの塩野七生さんのローマ歴史は全十五巻。
そうですか。「ルビコン」というイギリス人の作品を読まれたというのは凄いですね。
小生儀、塩野本は、ハンニバルの箇所だけ、チュニジアへ行く前に読みましたが、あとはまったく未読。あれだけ売れたと聞きますが、全部読んだ人、はたして何人いるのでしょうか?
 それより小生の手元にはティトゥス・リヴィィウス著、北村良和訳の『ローマ史』全五巻。ことし、これを全部読もうとする野心は抱いてますが。。。。
       △ △ △
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ♪
(サイト情報)1月9日、ワシントンにて、エネルギー省のサミュエル・ボドマン長官と経済産業省の甘利明大臣の共同記者会見が行われ、日米間でエネルギー安全保障と技術研究の協力を拡大のためのエネルギー・アクションプランを作成することが合意された。
日本政府は、米国主導の「無公害石炭火力発電施設」建設プロジェクトに積極的に参加する。
(1)U.S., Japan To Increase Energy Research Cooperation: Nuclear Power, Coal, Methane, Efficiencies Among Targeted Areas、 Bureau of International Information Programs, U.S. Department of State, January 9, 2006
http://usinfo.state.gov/xarchives/display.html?p=washfile-english&y=2007&m=January&x=20070109162348AKllennoCcM0.9932825
 (2)エネルギー省のFutureGenのウェブサイト
http://www.fossil.energy.gov/programs/powersystems/futuregen/
 (3)以下は、エネルギー省エネルギー情報局(EIA)の最新統計。世界各国の石油・天然ガスの確定埋蔵量;World Proved Reserves of Oil and Natural Gas, Most Recent Estimates 、Energy Information Administration, Updated October 5, 2006
http://www.eia.doe.gov/emeu/international/reserves.html
 (4)世界各国の原油の確定埋蔵量 
World Proved Crude Oil Reserves, January 1, 1980 - January 1, 2007 Estimates、Energy Information Administration, Updated January 9, 2007
http://www.eia.doe.gov/pub/international/iealf/crudeoilreserves.xls
    ▼ ▼ ▼
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(お知らせ) 18日に予定されております「立ち上がれ日本ネットワーク」の公開講座(宮崎正弘が講演)は満員です。現在会場の定員をかなりオーバーする申込を頂いております。新規のお申し込みは受付られなくなりましたのでご了解下さい。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪ ♪
<宮崎正弘の中国・台湾、北朝鮮関係著作>

 『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
 『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
 『出身地でわかる中国人』(PHP新書、1月中旬増刷出来)
 『中国のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
 『拉致』(徳間文庫)。
    ▼
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◎宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
◎小誌の購読は下記サイトから。(過去4年分のバックナンバー閲覧も可能)。
http://www.melma.com/backnumber_45206/
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2007 ◎転送自由。ただし転載は出典明示のこと。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-08-18  
最終発行日:  
発行周期:ほぼ日刊  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。