国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/12/09

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成17年(2005年)12月9日(金曜日)
   通巻第1324号
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アセアンで日中韓首脳会議が延期されたのは喜ばしいことではないのか
   小泉首相、イスラエル、パレスチナ、そしてトルコを訪問へ
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 世界政治はまたも外交主軸の展開という局面を迎えている。
 12日からクアラランプールで開催されるアセアン会議では、米国が不参加という椿事のなかで日本と中国の主導権争いが激化、日本は「アジア共同体」設立構想を文言にもりこむ画策を続けている。

 米国はアセアン、ASEM、APECが既に存在し、機能しているのに、わざわざ米国を排除した形の「東アジア共同体」設立は不可解として、かねてよりの疑念を呈してきた。

 表面的には日中首脳会談、日韓首脳会談が延期となり、そればかりか三カ国の外相会談も開かれないことになった。歓迎すべき事態である。

 日本の大手マスコミは、これを小泉首相の靖国参拝が原因だとして「アジア外交を考えていない」などと的はずれの評価をし、日本にとって大きなマイナスなどと分析している。

 いま日中間で首脳会談を行うとすれば、その前に日本は中国の謝罪を得なければならないのではないのか。
 東シナ海のガス田開発と盗掘に対しての釈明さえ中国側からない。
反日暴動への謝罪もなければ、日本領海侵犯に対しても遺憾の意を表しただけで、ほかの教科書問題への内政干渉など、あらゆる外交的軋みを生じさせてきたのは北京であって日本側にはないのだから。

小泉首相は郵政改悪などの国内失政を糊塗するためか、靖国参拝でフッと保守陣営に近づき、しかし拉致問題や教科書では、左翼寄りの姿勢をとって党内のバランスをはかってきた。
女性天皇問題では最初から女帝容認の方向で有識者会議の主導権を舞台裏で発揮し、このくにの基本を危うくしようとしながらも、また中国に強いポーズを示すことによって、保守陣営の御機嫌をとるかのような作為を続けるのだ。

一方、胡錦濤は、江沢民の癌説に乗っかって、軍の強硬派と密かに妥協し、一気に上海派をコーナーへ追い込みつつある。
曾慶紅、呉官正ら、かつての江沢民派の胡への擦り寄りを見よ。

国内的には胡耀邦追悼行事を強行することによって党内をリトマス試験紙代わりに利用し、胡錦濤は権力基盤をさらに強固にした。
 日本との会談を延期する強い姿勢は、もっぱら、この党内権力闘争から派生した要素が強く、日中首脳会談が延期されたからといって、日本があわてふためくことは一切無いのである。

小泉首相は、ちかくイスラエルを訪問し、ついでにパレスチナ自治政府にも寄り道、かえりにトルコを公式訪問する。
いかなる計算に基づくかは不明だが、小泉外交はアセアンから遠く中東へ飛んで行こうとしているのである。
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<<今週の書棚>>

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松本徹、佐藤秀明、井上隆史『三島由紀夫の出発』(鼎書房)
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 ようやく創刊に漕ぎ着けた『三島由紀夫研究』の第一巻。創刊にふさわしく盛りだくさんの内容である。
 とくに創刊号であるゆえに、三島文学の「出発」に多くの焦点を合わせている。この研究雑誌の形式はムック本で、年に二回刊行の予定という。
創刊号は座談会「雑誌『文藝』と三島由紀夫―元編集長・寺田博氏を囲んで」が冒頭にある。出席はほかに松本徹、井上隆史、山中剛史の各氏。
 なにを隠そう、小生も高校時代、文芸部の属していて、この『文藝』は毎号買っていた。もちろん三島の『喜びの琴』が掲載された分もすぐに買い求め、授業はそっちのけで読んだ。このときの編集者が寺田氏で、往時の秘話を語る。「へぇっ」と思うような寺田氏の回想が面白かった。とくにこの号は文芸誌なのに、増刷したというから、当時の衝撃が伝わってくるようで、思いでも深いものがあった。
 ほかに田中美代子、山内由紀夫、高寺康仁の各氏ら三島論客の有益な論考がやまのように並んでいて、それぞれが読み応え十分。貴重な写真も多く挿入されていて三島ファンには欠かせない一冊であろう。
 鼎書房の電話は(03)3654−1064。
 同誌は定価2500円。主要な書店では店頭にも並ぶ筈である。
http://www.kanae-shobo.com/aboutus.html#contact
 (↑は鼎書房の注文サイト)
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(読者の声1)今回は、掲載されていた読者氏の意見について、少々お聞きしたいことがあり、メールをさせて頂きました。
 お聞きしたいことは、北朝鮮についての一文「中国からの農産品の輸入」という点です。率直に申し上げますと、これは非常に危険な行為なのではないか。と考えるのです。というのも、先の石油化学工場の事故もあるように、中国では危険な化学物質を殆ど垂れ流し状態であり、農地においても、多量の化学肥料の使用が常態となっていると聞いたことがあります。
ゆえに中国政府高官も、いや香港の消費者層においても、中国からの農産品を「毒草」と称し、決して口にしようとはしていないとも。
こういった問題について、先生はどのようにお考えでしょうか?
(RK生、大学生)


(宮崎正弘のコメント)北朝鮮は食糧援助の九割を中国に仰いでおり、それが流通過程で、金一族の利権にビルトインされている。また日本からのコメ援助は、その一部が輸出された事実も後日発覚しました。
 農薬、汚染、伝染病。そうした対策にまで北朝鮮は目が届いてはいないでしょうね。
 むろん、ゆゆしき問題です。


   ♪
(読者の声2)いつも国際派宮崎先生のニュース拝読いたしております。先生の世界的な視点と愛国心、何よりも先日の三島論に大きな感銘を受けました。当方も48歳のしがないサラリーマンながらも日本を真剣に立て直したいと願い、若い世代に期待しています。
 先日、紹介のあった『日本人の歴史哲学』(岩田温著 展転社)を早速購入し、読みました。本当に20代の大学生が書いているのか?と思うことが屡々でしたが、何よりも著者の愛国心に感銘を受けました。こういう青年が今なお存在することに大きな喜びを感じると同時に、我が子育てを含め反省するところ大であります。
   (YM生)

 
(宮崎正弘のコメント)この著者の岩田温氏が率いる磐南総合研究会は、現役の学生数十名が参加する、もっとも活動的な学生サークルです。多くの保守文化人もこの会に期待をしております。
先だっても学徒出陣慰霊祭を靖国神社で挙行し、多くの若者が参加し、内外の注目を集めました。
 この会のサイトは下記の通りです。
http://www.wadachi.jp/greeting/index.html
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(サイト情報)
(1)米国通商代表部(USTR)は12月8日、日本政府に対する規制改革要望書(2005年)を提出。「日本政府に対する規制改革要望書 2005年」。全文56ページ。
Annual Reform Recommendations from the Government of the United States to the Government of Japan under the U.S.-Japan Regulatory Reform and Competition Policy Initiative
http://japan.usembassy.gov/pdfs/wwwf-regref20051207.pdf
同上USTRのプレスリリース
http://japan.usembassy.gov/e/p/tp-20051208-01.html

(2)2000年12月19日、フェデラルファンド(FF)金利は6.5パーセントだったが、2002年11月6日、1.25パーセントまで下がり、 2005年11月1日、4パーセントになった。
2005年11月28日、米連邦準備理事会(FRB)グリーンスパン議長は上下両院合同経済委員会サクストン委員長の景気判断と金融政策に対する質問に回答したが、その書面が公開された。
Chairman Greenspan's letter to chairman Saxton 
http://www.house.gov/jec/hearings/testimony/109/11-03-05agletter.pdf
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<<宮崎正弘のロングセラーズ>>

『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4890631925/ref=ase_ritoukijapan-22/250-0520816-2194622
『中国よ、“反日”ありがとう』(清流出版刊、1400円+税)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4860291239/africa07-22/ref%3Dnosim/250-0800565-9441848
『瀕死の中国』(阪急コミュニケーションズ刊、1600円+税) 
http://deserveit.jp/am/asin/4484052083.html
『中国のいま、三年後、五年後、十年後(改訂版)』(並木書房、1575円)
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円プラス税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円+税)
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◎宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
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