国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

全て表示する >

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/12/08

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成17年(2005年)12月8日(木曜日)
     通巻第1323号 真珠湾開戦記念日
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  「製造物責任」で中国製自転車を「詐欺」と訴える
      米国の裁判、つぎに中国を標的
**************************************

 「中国は子供を危険にさらすものを売りつけた!」として賠償要求の裁判が米国サンフランシスコで開始された(12月7日)。

 これは中国製自転車によって大けがを負わされた子供たらの親らがサンフランシスコの裁判所に訴えたもの。
 
 販売した大手デパート、ウォルマートの前でも親たちは抗議活動を行った。
 親たちはこのウォルマートとカリフォルニア州の自転車輸入会社「ダイナクラフト」を相手取り、危険な自転車を販売したのは詐欺だとして賠償訴訟を起こしたのだ。
 
 中国製自転車は、いまや世界を席巻しているが、たとえば前輪が走行中に外れ、乗っていた子供が前方に放り出されたりする危険な事故が相次いでいる。
 
 メーカー側は親や監督者が前輪の着脱装置を正しく取り付けなかったのが原因と反論しているが、ようするに着脱装置に欠陥があるわけで、適切な警告がされていなかった。
 
 米国ではこの種の裁判で製造側が勝訴した判例はほとんどない。
したがって、この裁判結果は世界市場で粗雑な中国製品への訴訟に発展しかねないだろう。
            ☆ ☆ ☆
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
(読者の声1)大陸の人々は、 有史以前から、つねに他部族、他民族、他人種、他国から喰い散らかされてしまう厳しい状況に晒されていて、生き抜くことに相当強かでシュルードでなければならない。
 日本人には持ち合わせる必要のない、生存のための強靭なDNAを有して、苛烈な生存条件を闘ってきたのでしょう。と想像はしても彼等と干戈を交えるとか直接シビアな体験を積まないと到底判るものではないでしょう。
そういう体験は開国以後、蓄積していた筈ですが、明治期から昭和期への引継ぎはいい加減で、敗戦後は語り継ぐこと自体、占領下禁じられ、伝えるべき事実は歪められ、日本人は、自らの来歴・民族の歴史のまっとうな継授を忌避して、60年経ってしまった憾みがあります。
 さて、先日都内で開かれた、延辺朝鮮自治州についてのセミナーに参加しました。主宰者側が驚く盛況ぶりで、6大ネット、5大新聞、共同・時事の通信社の揃い踏み。 中・ロ・韓の大使館員まで詰め掛ける関心の高さでした。半可通の小生には「あれっ」と驚く話で興味津々でした。 
他の情報・私見も交え、以下にリポートします。
 ◆驚くべき、中朝一体化の進展を促す、貿易と投資の急拡大
 【延辺朝鮮族自治州の現況】延辺朝鮮自治州は、旧満州、現在中国の東北区となった地域にある吉林省の東部、北朝鮮と接する朝鮮族自治が認められた地域です。
522キロの長い中朝国境に接しており、袋小路のようなドン詰まり地域で、何も産業が発達することなく、若い朝鮮人は他地域に稼ぎに出向き、故郷の家族・一族に仕送りするという貧しい土地柄でした。しかし今は成長率が10%を超え、経済ブームに沸いています。 外からの送金がGDPの10%も占め、バブルに近い好況を謳歌しています。
これには、’92年親族訪問許可を切欠として人の行き来が自由化され、物の流れが活発化したことが寄与しています。中国・北朝鮮間の物資・品物の大量移動の経路になっているのが主たる要因です。
【中朝間の貿易と投資の現状】北朝鮮の貿易額は31億ドルです。韓国の5,000億ドルと対比すると微々たる規模であることが判ります。 そのうち14億ドルは対中国貿易が占めています。実に全体の45%です。 以前対日貿易額は3割ありましたが、’80年代前半に北朝鮮が支払いを滞らせたことを契機に日本側は退き、現在は1割程度です。
中国の対北朝鮮投資は’02年100万ドルが'04年1,000万ドルに、更に'05年は20億ドルに急伸しています。  中国の投資目的は北朝鮮の鉱物資源獲得にあります。
【北朝鮮の鉱物資源】茂山の鉄鉱石、恵山の銅鉱石、満哺の亜鉛、会寧の金、そして朝鮮に広く分布する石炭です。 中国の一番の狙いは鉄鉱石です。 茂山鉄鉱山への投資が最重要です。これは戦前三菱鉱業が開発した鉱山で、全体埋蔵量は30億トン。 最盛期は700万トン/年に採掘していたのですが、電力不足と設備の老朽化で150万トンに落ち込んでいます。 中国は、1,000万トンに引き上げることを目論見んでいます。
投資の主たる対象は発電インフラです。 その次は、 採掘した鉄鉱石を中国に運び込む鉄道・道路インフラです。 見返りに中国は50年の開発権利を抑えました。この鉄は、最終的には長春の第一自動車向けの部品資材です。 まず延辺天地公社で精錬し、これを通化鉄鋼集団で製鉄化します。 これに中鉄グループが絡み全体を統轄する体制を組んでいます。
【羅津・先鋒地区の開発】もう一つ、中国が北朝鮮との間で力を入れているプロジェクトは、羅津先鋒経済特区の開発です。
北朝鮮の羅津・先鋒地区の港湾・道路インフラの整備投資と引き換えに、同地区の50年間専用使用権を得る条件です。 かつて欧米列強が、上海・天津などに有していた租界を、中国が北朝鮮に持つようなイメージです。 羅津・先鋒と、延辺にある国境最端都市の琿春を結び、ここから更にハルビンや長春と鉄路で結びます。 このロジスティックが完成整備されると、東北地区の余剰農産物を、中国内から、北朝鮮の通関チェックなしにフリーで、羅津港から華中・華南へ海上輸送することが実現されます。 中国にとって、1860年の北京条約でロシアに奪われた沿海州への出口を回復することを意味します。
日本との貿易ルートの要としても重要な港になることでしょう。
【中国の経済植民地化する北朝鮮】以上の動きから顕かなのは、北朝鮮が、中国東北地区経済圏に組み込まれようとしていることです。 北朝鮮は中国の経済植民地として嚥み込まれようとしています。韓国呑ムヒョン政権には、さぞや手痛い動きでしょう。 韓国は、胡錦濤が金正日に差し出した20億ドルに、「我々同胞国家こそ出そう」と、慌ててチャチャを入れました。
【日本のスタンス】日本は静観していればいいでしょう。 ハルビン・長春 − 琿春 - 羅津・先鋒のロジが整備されれば、それに日本は敦賀、新潟、境港などとの物流ロジを構築して、中国の安い農産品(と製品)を買い上げたらよいでしょう。 「果報は寝て待て」です。
ただここで怪しいのは、中国が北朝鮮に貢ぐ20億ドルもの資金の出処です。日本は、対中ODAは2008年に切り上げることにしていますが、 アジア開発銀行が今年2005年から三年間に5,000億円もの融資をすることにしています。
これが、迂回して中国の対北投資に振り向けられはしなか、気掛かりです。 アジア開発銀行の最大の拠出国は日本、歴代トップは大蔵省・財務省のOBです。現在の総裁は元財務省財務官の黒田東彦氏です。 迂回してお金をぐるぐる回すことを政権与党は得意技にしています。 これが本当なら、2002年平壌宣言の違背行為です。
それよりも国民を謀る所為として、大非難を浴びることになるでしょう。 日本国民は注視する必要があるでしょう。
       (HN生、丸の内)


(宮崎正弘のコメント)延吉から豆満江、軍春にいたるまでの最貧国地帯が韓国からの投資で活性化している実態は、小生も三年前に書いた『本当は中国で何が起きているか』(徳間書店)で詳しくルポしております。
 延吉は60万人の都市に変貌、豪華ネオンのレストランの大概は「犬肉」です。空港からハイウエィを敷設し、全部寄付したのは韓国です。
 長白山の麓の通化も、いつのまにやら50万人もの大都市に変貌している。ここから二時間、北朝鮮と国境を接する集安も五万人都市から、いまや八万人から九万人の都市、対岸が北朝鮮です。渡って行ける距離です。
 鴨緑江の対岸が新義州である丹東は、昔の日本時代の安東。当時、日本人が三万ほどいて、十五万ほどの都会でしたが、いまや、240万人もの大都市です。
 活況は凄まじく、日本には殆ど伝えられていない実態です。


   ♪
(読者の声2)貴誌昨日付けの「HS生、愛知」氏の鋭い指摘とおりの「最近の台湾は陳水扁の無能無定見から・・・「三無大統領」の盧武鉉と合唱」に加え、日本の○○劇場選挙で大勝した、歴史と伝統不在、ミーハー指向(思考)の某首相も負けずに(?)、「女帝容認の皇室改革」や「人権××法案」などなどの迷走で無能無定見ぶりを発揮しています。
これでは「東アジア三バカ大将」の様相といわざるを得なくなりました。
李登輝校長の苦悩の種は尽きません。
(TT生、厦門)
◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(サイト情報)ホワイトハウスは「テロ対策に関するファクトシート」を発表(12月5日)。2004年7月22日に9-11委員会(2004年8月21日に解散)が発表した最終報告書「米国へのテロ攻撃」で推奨されている対策についてブッシュ政権がとった行動をまとめたもの。
(1)Fact Sheet: Progress on the 9/11 Commission Recommendations 、The White House, December 5, 2005.
http://www.whitehouse.gov/news/releases/2005/12/20051205-5.html
(2)9-11委員会の最終報告書に対する政府の行動に対する評価が、9/11 Public Discourse Project から発表されたが、このプロジェクトは、政府機関として解散した9-11委員会のメンバーが、その活動を引き継ぐものとして設立した非営利組織。報告書の全文(PDF 7ページ)は以下のサイトから。
 報告書 Final Report on 9/11 Commission Recommendations、The 9/11 Public Discourse Project, December 5, 2005. 
http://www.9-11pdp.org/press/2005-12-05_report.pdf
 (3)同上を1ページにまとめたもの One page summary of grades
http://www.9-11pdp.org/press/2005-12-05_summary.pdf 
(4)トーマス・キーン委員長とリー・ハミルトン副委員長の声明 Prepared Statement by Thomas H. Kean and Lee H. Hamilton 
http://www.9-11pdp.org/press/2005-12-05_statement.pdf
         ☆
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
<<宮崎正弘のロングセラーズ>>

『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4890631925/ref=ase_ritoukijapan-22/250-0520816-2194622
『中国よ、“反日”ありがとう』(清流出版刊、1400円+税)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4860291239/africa07-22/ref%3Dnosim/250-0800565-9441848
『瀕死の中国』(阪急コミュニケーションズ刊、1600円+税) 
http://deserveit.jp/am/asin/4484052083.html
『中国のいま、三年後、五年後、十年後(改訂版)』(並木書房、1575円)
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円プラス税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円+税)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  <<宮崎正弘の新刊予告>>
☆新年早々に刊行予定の拙著は2冊。
『出身地でわかる中国人』(仮題、PHP新書、1月13日発売予定)
『中国の自壊が始まった』(仮題、阪急コミュニケーションズ、1月中旬発売予定)
       ☆ ☆ ☆ ☆
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◎宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
小誌の購読は下記でご友人・知己の代理登録もできます。
http://www.melma.com/backnumber_45206/
(過去4年分の小誌バックナンバーが閲覧可能です)。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(C)有限会社・宮崎正弘事務所2005 ◎転送自由。転載は出典を明記。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-08-18  
最終発行日:  
発行周期:ほぼ日刊  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。