国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/12/07

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成17年(2005年)12月7日(水曜日)
     通巻第1322号 
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人民元、つぎの切り上げ幅は2・9%と周小川総裁が示唆?
  たまりすぎた外貨準備を市中銀行に強制交換、ただし2・9%を保証
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 米誌『ビジネスウィーク』最新号(12月12,19日、クリスマス合併号)によれば、中国人民銀行の周小川・行長(日銀総裁に相当)が、つぎの人民元の切り上げ幅を2・9%にみているフシが濃厚とする予測記事を書いている。

 周小川は1948年生まれのエリートで太子党ながらも米国へ留学し国際金融を学び、国際学会に十数本もの論文を英語で発表し世界のバンカーが注目したほどの逸材。いまも朱容基(前首相)派で改革派のトップをひたはしる。

 周の狙いは人民元がいずれ変動相場制へ移管し、そうすれば中国の国債も社債も世界のマーケットで通用するようになり、八年間低迷している中国国内の株式市場が、すくなくとも香港なみに円滑化すると過剰な期待とともに踏んでいる。

 さて11月25日に中国人民銀行は市中の10の銀行に対して、合計60億ドルのドルを売りつける一方で、一年以内に2・9%の利付けで買い戻しを約束した。この外為のオペレーションをいち早くかぎつけた欧米ファンド筋が、「一年以内に人民元は再切り上げ。その幅は2・9%であろう」という説を流し始めた。
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<<今週の書棚>>

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松本徹『あめつちを動かす』(試論社)
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 三島由紀夫研究の第一人者のひとり、松本徹氏は『三島由紀夫の最期』(文藝春秋)、『三島由紀夫 エロスの劇』(作品社)の二冊のほかに、『三島由紀夫事典』など数冊の三島研究書を共同編纂され、さらには季刊誌『三島由紀夫研究』の創刊準備に余念がない。
 されど松本氏は文学専攻であるがゆえに小説家、脚本家、芸術家としてのミシマをみつめてきたものの、これまでは政治には距離をおき、とくに天皇論にはタッチされてこなかった。
 本書は従来の姿勢を改め、はじめてミシマの天皇論にも踏み込んだ。
 三島由紀夫の天皇論は「お祭り」であり、諸外国のキング、エンペラー、ツアーとはまったく異なって「祭祀王」(プリースト・キング)である。
 それは『文化防衛論』でもかかれ、『奔馬』や『憂国』などの作品に顕現されている。
 また藤原定家以来、我が国では「文学は経国の大業」であり、三島は明らかに『中世』から『金閣寺』までは新古今集の影響を受け、以後、『古今集』に還る。
文学は「天地を動かす」のであり、雅は日本文学史上、もっとも重要なファクターであり、じつは簡潔すぎて多くの評論家が見落としがちだった三島の「日本文学小史」(『群像』に連載された)を松本氏は丁寧に掘り起こす。
 近代化以後の日本文学はある意味ではつまらない、退屈なものである。
 なぜなら「なによりも個人の思想感情の表現、あるいは個人が現に暮らしている、この現実を写し取ることに焦点が絞られるようになったと、概括してよかろう。いわゆる近代文学の成立である」けれども、その後、それならば日本文学はいかなる地平に到着したのか?
 松本氏はつぎのように三島の引用をされる。
 「現実と個人を基軸としてそこに拡がる領域ばかりを果てしなく掘り返し続けてきたのである。とくに戦後派の作家達がそうで、不如意な現実と向き合い、そこに生きる個人の内側へと深くくぐり入りことをもっぱらとした」
 この戦後文学を三島は激越に批判した。
 「個々の卑小な民俗現象のゴミ箱の底へ手を突っ込んで、ついには民族のひろく深い原体験をさぐりだそうという試みは、人間個々人の心の雑多なゴミ捨て場の底へ手を突っ込んで、普遍的な人間性の象徴符号をみつけ出そうという試みと、お互いによく似ている。こういうことが現代人の気に入るのである。マルクスとフロイトは、西洋の合意主義の二人の鬼子であって、ひとりは未来へ、一人は過去への呪縛と悪魔払いを教えた点で、しかもそれを世にも合理的に見える方法でおしえた点で、双璧をなす」。
 三島の表現とは文化意思の発露であり、こうした戦後の流行現象とは無縁の存在に向かったと松本徹氏は力説されるが、本書は氏の三島由紀夫論の総決算に見える。
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(読者の声1)ベトナムはともかく、ラオスについては日本のマスメディアに登場することはほとんどなく、まったく未知の世界です。先生の書かれるルポが楽しみです。
  「国際ニュース早読み」のメルマガで、先生が海外ルポを少し書くだけでも、現地在住の読者から感嘆の投書が寄せられます。それだけ広く多くの人に読まれているということであり、また海外に出た日本人が国内にいるときより目覚めて愛国者に成長していることを感じさせてくれます。
  ところで最近の台湾は陳水扁の無能無定見から実に危ない状況に陥っています。まるで「三無大統領」の盧武鉉と合唱するかのようで、あきれ返ることがあります。
   (HS生、愛知)


(宮崎正弘のコメント)「三無大統領」というのは小生の造語の無知無能無謀のことですか(爆笑)。しかし一国の元首ですから、この喩えは控えたいと思います(再爆笑)。
 さて小生のラオス探訪記ですが、写真を10枚ほど使って次号『エルネオス』に掲載します。


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(読者の声2)産経の6日付け朝刊に「汚水に沈む中国」とあってハルビンへの猛毒ベンゼン流出、環境汚染が取り上げられており、ハバロフスクへ汚染された流れがとうとう達しました。ロシアは緊急に250噸の活性炭で浄化に努めているようですが、やがて、このアムールの流れは日本海へ注ぎ込む。
 日本への被害はどれほどのものになるでしょうか?
     (IY生、新潟)


(宮崎正弘のコメント)日本海が汚染されるのは間違いないでしょうが、その被害の程度はいまのところ予想不能です。
 小生はそれより、今回の問題を軍事的にみて、緊急事態への対応力が中国にない、という恐るべき実態を発見して逆に驚いています。
具体的には他の雑誌にも書きますので要点だけ述べると、情報を十日間も隠したため、下流域の対策が遅れ、それが致命的になったという過程です。戦争でも、このようなケースがおそらく中国では頻発するでしょう。
敗北、被害をたとえば「勝利」だと報告すると軍の大局の判断を誤る。
大東亜戦争中の参謀本部の誤断も、ミッドウェイの敗北や山本五十六長官の爆死を情報封鎖した結果、なにがどうなったか。結論は火をみるより明らかでしょう。
 中国の情報隠匿体質が意外な局面でかれら自身を極度に不利にしました。
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<<宮崎正弘のロングセラーズ>>

『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4890631925/ref=ase_ritoukijapan-22/250-0520816-2194622
『中国よ、“反日”ありがとう』(清流出版刊、1400円+税)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4860291239/africa07-22/ref%3Dnosim/250-0800565-9441848
『瀕死の中国』(阪急コミュニケーションズ刊、1600円+税) 
http://deserveit.jp/am/asin/4484052083.html
『中国のいま、三年後、五年後、十年後(改訂版)』(並木書房、1575円)
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円プラス税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円+税)

  <<宮崎正弘の新刊予告>>
☆新年早々に刊行予定の拙著は2冊。
『出身地でわかる中国人』(仮題、PHP新書、1月13日発売予定)
『中国の自壊が始まった』(仮題、阪急コミュニケーションズ、1月中旬発売予定)
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創刊日:2001-08-18  
最終発行日:  
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