国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/12/03

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成17年(2005年)12月4日(日曜日)
     通巻第1319号 
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<<今週の書棚>>

   ♪
ジョン・タシク編著『本当に“中国は一つ”なのか』(草思社)
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 産経新聞12月3日付けに本書の編者であるジョン・タシク氏への独占インタビュー記事があり、こう発言している。
「ブッシュ政権の関心がテロとの戦いなどに集中して、その対中政策がおざなりにな」り、この空隙を衝いて、中国は軍の近代化を猛烈に加速、とりわけミサイル技術は「設計から生産まで米国に次ぐ世界最高水準に達した」と指摘している。
したがって「日米が連携して対中包囲網を強める必要性を説き、中国が求める「一つの中国」政策の扱いに弾力性を持たせ、「(日米共同で)台湾の主権問題に言及するのも有益だ」とタシク氏が語っている。
 つまり本書にあるように「中国は一つ」という幻影が米国の外交路線に曖昧に投影され、曖昧なまま一人歩きしてきたのだ。
もうひとつ爆弾発言がある。
同産経インタビューを続けると、八月の中露軍事演習について、
「想定は台湾攻撃ではなく北朝鮮防衛だった」とタシク氏は分析しており、「(1)演習の想定に地上部隊の抵抗と航空戦力による反撃がない(2)演習場はウラジオストクと山東半島という北朝鮮を挟む両端だった(3)台湾攻撃でロシア参戦の可能性は極めて低い」とした。
 このタシク氏が編集した本書は、じつは台湾総統選挙直前に有力シンクタンクのヘリティジ財団が行ったシンポジウムの記録で、有名な議員、論客が勢揃いしている。


   ♪
中村彰彦『山川家の兄弟』(学陽文庫)
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 山川家は高遠以来の会津家臣の家系。「高遠以来」というのは藩祖保科正之が高遠から率いてきた名門家臣団を指す。保科正之は秀忠の庶子で家光の弟。山川家の祖先八代目は会津家老に抜擢をうけた。
 長兄・山川浩は戊辰戦争以後の虐待をバネに刻苦勉励努力を重ね、男爵、帝国陸軍将軍になった。
 弟の山川健次郎は白虎隊の生き残り、ついには東京大学総長になった。引退後も武蔵高校校長をつとめ「(藩に忠誠のために自刃した)白虎隊の分まで自分が刻苦勉励して国家有用の士にならなければならない」と決意した人生だった。
末妹の山川捨松は女史海外留学第一号という才媛。徳富蘆花の『不如帰』のヒロインでもあり、敵軍の大将・大山厳に見初められ、やがて会津の人々から疎まれるのだが鹿鳴館の華となった。
この山川家の人々は戊辰、維新、明治の疾風怒濤をいかに生きたか。
中村彰彦は会津の悲劇を描いて右に出る者はない作家だが、資料渉猟でも有名。
山川浩の『京都守護職始末』、山川健次郎の『会津戊辰戦史』の復刻にも活躍され、いずれも山口県のマツイ書店から出ている。両方に中村は解説まで書いているように、本格的な史伝である。
この小説の細部には触れない。感動的な本書を落涙なしで読み切れる人がいたら、是非ともお目にかかりたい。


   ♪
岩田温『日本人の歴史哲学』(展転社)
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 本書で展開される議論は歴史の受け止め方である。歴史に対する姿勢である。
 第一に著者は「戦後」の虚妄を斬る。切れ味は鋭い。ついで歴史哲学の議論に移るが、E・H・カー、ヘーゲル、ベルジャーエフのあとに坂本多加雄の政治学へのこまかな論究がある。坂本多加雄は、死後三年、ようやくにして全二巻の選集がでたが、これからもっと研究されるべき政治学者であろう。
 民族のアイデンティティ、その帰属対象としての共同体とは何か。国家ナショナリズムとポストモダンを対比させながら、議論は靖国神社へと向かう。
以下、具体的考察として西郷隆盛と特攻隊の精神をとりあげ、終章では「民族の記憶」へいきつくという筋立て。奥付けの日付は、偶然か意図してか、三島由紀夫自刃の日である。
 磐南総合研究会を率いる岩田温氏は、まだ23歳。現役の早大生である。
 だとすれば想像力を逞しくして、文章も若くて背伸びしたものかと言うと、じつは逆に早熟さを越えた、不思議な説得力を秘めている。
 哲学専攻ゆえに政治思想哲学論争上の箴言や引用が多く、それは本書の弱点ともなりがちだが、教えられる身ではなく、他人に教えるほどの内容を持っている。この若木は、どこまでの大樹に育つか。
          ☆ ☆ ☆
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 <<宮崎正弘の新刊予告>>
☆新年早々に刊行予定の拙著は2冊。
『出身地でわかる中国人』(仮題、PHP新書、1月13日発売予定)
『中国の自壊が始まった』(仮題、阪急コミュニケーションズ、1月中旬発売予定)
          ☆ ☆ ☆
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(読者の声1)ラオスとベトナム紀行のさわりを拝読、雑誌に本格紀行を掲載される由で、いまから楽しみです。
わたしは昔、といっても十五年ほど前ですが、プロジェクトでラオスに半年ほど居たことがあり、ビエンチャンと聴くと名状しがたい懐かしさが込み上げてきました。
 ところで、ラオスくんだり(失礼)まで、どういう取材目的で行かれたのですか?
   (WY生、盛岡)


(宮崎正弘のコメント)小生、中国全33省を廻りましたので、つぎのテーマは中国を囲む国々の動静把握です。中国外縁の国々で一体なにが起きているのか。
 たまたま外国の友人達にクリスマスカードをおくったばかり、その文章を引用して回答に替えますと、
 「昨年(05年)中はひとかたならぬお世話になりました。
次のテーマ、中国周縁の国々を取材するため昨年は台湾へ二回行ったほかにミャンマー、バングラデシュ、ベトナム、ラオスへ出かけました。すでにインド、パキスタン、ネパール、ウズベキスタン、カザフスタン、タジキスタン、ロシア取材は済んでおり、北朝鮮と中国国境は延吉、通化、丹東の三カ所から見ております。残る中国外縁の国々で未踏地はモンゴルとキルギス。これが今年(注2006年)の課題です。」
というわけです。


   ♪
(読者の声2)発売になったばかりの『諸君』で、中国在住の若い日本女性が、中国人と一緒のパック旅行で欧州を観光に行った印象記(谷崎光「笑って許して?中国人・野次馬・欧州・珍道中」<『諸君』1月号>)を読みました。
その出鱈目ぶりを書いていて抱腹絶倒でした。お読みになりました? 中国人の立ち居振る舞いとはあのようにひどくて、ハチャメチャなのでしょうか?
   (ER生、品川)


(宮崎正弘のコメント)まず食事のマナーを見てください。テーブルクロス一杯に食べかけを吐き出したり、箸をたてて相手にお喋り(しかも大声)。地下鉄、バスでタバコを吸う。ラーメンを人前でズズッとすする。携帯電話で大声で怒鳴る。駅の切符売り場では絶対に並ばない。列車が来ても横から入る。列車を汚す、グリーンの車内でタンを吐く。
 集団で行動しても、個人行動の延長ですから集合時間は守らない。ガイドの言うことを一切きかない。デパートで値切る。ただの試食は腹一杯食べる。
 ごねるとカネがとれると分かると徹底的に集団で交渉する。
 『諸君』の当該記事、もちろん読みましたが、中国の飛行機は出発するや、すぐにゴミだらけとなり、機内の便所は忽ち三カ所が破損。なかには便所でタバコを吸っていた輩もいたとか。嗚呼、まさにあれが中国の日常風景です。
 外交の基本もすべてこれですよ。あのパフォーマンスの延長なのです。
強きをくじき、弱きをたすく、って孔子様は説いた筈ですが、やることは「強きを助け、弱きを挫く」のが人生の原則。だから神戸大震災のおり、日本で略奪がなかったことを、信じられない顔でみていたのも中国人でした。
 道徳教育がすたれたといえども、人間としての最低の公共心は一応あって、最低限度のモラルをまもる日本人は、かれらからみれば葱を背負った鴨。いや、「宇宙人」でしょうかね。北京がごねると、すぐ折れて八月十五日に靖国に行けない国ですもん。
       ◎
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   <<宮崎正弘の新刊予告>>
☆新年早々に刊行予定の拙著は2冊。
『出身地でわかる中国人』(仮題、PHP新書、1月13日発売予定)
『中国の自壊が始まった』(仮題、阪急コミュニケーションズ、1月中旬発売予定)
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<<宮崎正弘のロングセラーズ>>

『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4890631925/ref=ase_ritoukijapan-22/250-0520816-2194622
『中国よ、“反日”ありがとう』(清流出版刊、1400円+税)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4860291239/africa07-22/ref%3Dnosim/250-0800565-9441848
『瀕死の中国』(阪急コミュニケーションズ刊、1600円+税) 
http://deserveit.jp/am/asin/4484052083.html
『中国のいま、三年後、五年後、十年後(改訂版)』(並木書房、1575円)
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円プラス税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円+税)
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◎宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
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