国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/12/02

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成17年(2005年)12月3日(土曜日)
     通巻第1316号   
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日本の若者に拡がるナショナリズム
 香港の月刊誌『ファーイースタンエコノミックレビュー』が特集
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 香港の月刊誌『ファー・イースタン・エコノミック・レビュー』は週刊から月刊になって理論中心のメディアに変質。このためあまり読者がおらず、注目度も薄くなったが、それなりに分析的な論文が増えた。

今月の同誌は「日本の若者に拡がるナショナリズム」と特集し、とくに9月17日の小泉首相の靖国参拝を大多数の日本人が支持したが、04年10月の世論調査は58%が中国に不快感を示し、とりわけ二十代の若者は65%が中国を「友好国ではない」と考えている、と分析している。

 若者が嫌中感情を抱くに至った直接原因は一昨年のサッカー。あの若者が神聖視する窮状で下品なブーイングが、きわめて不快感を日本人のヤングに与えた。
 2チャンネルでいかなる議論が若者の間に拡がったかも深く分析している。

同誌はほかに韓国へのナショナリズムも特集している。
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 さらに拡がる女帝容認反対、皇室典範改悪反対の動き
   皇室典範を考える集い、決議文を採択
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去る11月30日、東京・虎門のニッショーホールで、皇室典範を考える会(渡部昇一代表)が主催して開かれた「皇室典範を考える集い」には、予想をはるかに超える約900名の参加者を得て大盛会となった。登壇者と当日、参会者一同の賛同を得て採択された「声明」は下記の通り。

登壇者 渡部昇一(上智大学名誉教授)、平沼赳夫衆議院議員、下村博文衆議院議員、田久保忠衛(杏林大学客員教授)、工藤美代子(作家)、櫻井よしこ(ジャーナリスト)、小田村四郎(元拓殖大学総長)、萩野貞樹(国語学者)、屋山太郎(政治評論家)

声明

 十一月二十四日、「皇室典範に関する有識者会議」は一年に満たない審議を終えて、「女系容認・長子優先」を柱とする報告書を小泉首相に提出した。これを受けて政府は皇室典範改定案を来年の通常国会に上程する方針である。
 報告書の内容を一見し審議の経緯を振り返る時、我々は、有識者会議及びその背後で同会議を方向づけてきた政府の、軽率かつ傲慢な姿勢に強い異議と憤りを禁じ得ない。
 報告書は、皇位継承資格を女性・女系皇族にも拡大するために、百二十五代にわたり男系で一貫してきた皇位継承原則の根本的な改変を主張する。改変の最大の理由として皇位継承の安定化をはかることをあげているが、しかし、男系継承の伝統を大転換することは、皇位の正統性への不信の念を生み出し、むしろ皇位継承制度に巨大な不安定要因を持ち込むことになろう。
報告書は、改変の根拠としてさらに、近年の少子化傾向や、家族や男女の役割分担についての国民意識の変化などをあげているが、これらは皇位継承制度と次元を異にする事象である。我々はこのような報告書に、皇室の歴史や伝統への畏敬、敬慕の情を感じることができない。
 また、報告書は、元皇族の皇籍復帰など男系継承の伝統を護持するための方法については、「国民の支持と理解を得ることは難しい」と頭から決めてかかり、これを疎略にしりぞけているが、無謀かつ無責任と言うほかない。 有識者会議の設置にあたっては、政府の皇室典範改正原案なるものの存在が報道されるなど、「はじめに結論ありき」の審議が予想されたが、同時に、案件の重大性に鑑み、それなりに真摯な議論がなされるものとの期待もあった。
 しかし、その甘い期待は見事に裏切られた。審議の経過を振り返りつつ報告書の内容を見る時、有識者会議は政府のお膳立ての上での、中身の無い形式的な存在であったことが明らかである。政府が本気で報告書に基づく皇室典範改正案を来年の通常国会に提出し、その成立を企図しているとするなら、それは皇室の歴史と国民の良識を無視し愚弄するものである。
 国民は未だ、皇室典範改定に関する政府の明確な趣旨を聞かされていない。そして、国民の多くが女性天皇と女系天皇の違いを理解してはいない。その結果として、「女性天皇容認」の世論調査の数値が「女系天皇容認」の根拠として報告書に利用されている。これほどの重要問題に関して説明責任を果たさず、また国民の多様な声に耳を傾けない政府の姿勢、まして皇族方の御意向を一切無視する政府の姿勢は言語道断である。形式的な議論のみでいとも簡単に男系継承の根本原則を改変しようとする政府の方針は、断じて許されない。
 以上の通り、皇室典範の改定を急ぐ理由は見当たらないし、決して急いではならない。我々は、政府及び関係機関が、事柄の重大性を十分に認識し、取り返しのつかない事態が現出することのないよう慎重の上にも慎重に対処すべきことを強く求めるものである。
 平成十七年十一月三十日
            「皇室典範を考える集い」参加者一同
          ◎
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(読者の声1)去る11月28日、外人プレス倶楽部で、評判のユン・チュアン(「ワイルド・スワン」の著者)の記者会見がありました。いま手元にメモ(と云っても帰りの電車内での走書き)もないので、思い出すままに。ユン氏とジョン・ロデリック氏(戦後延安で毛沢東に単独インタビューしたジャーナリスト)がゲスト・スピーカーでした(出席が予定されていた共著者でユン氏の夫君ジョン・ハリディ氏は滞英中で欠席)。
二時間余りの会見でしたが、半分以上はロデリック氏がしゃべっていました。 ユン氏はスピーチせず質問に応える対応でした。
自分は中国語ぐらいしか出来ないから、中国人へのインタビュー取材を担当し、多言語に通じている夫君が、ロシア・アーカイブの調査含め、残りの全世界を受け持って出来上がったのが、共著『マオ 誰も知らなかった毛沢東』だと、この本が麗しい夫婦間の相互協力で成ったと話し始めました。
毛沢東が殺した中国人民の数は、ロシア・アーカイブ他の資料から少なく見ても七千万人。
その内三千八百万人は'68年から'71年の大飢饉で殺した。 数字を積み上げた根拠は本の中に明示してある。大飢饉の中、飢え死にする民を見ながら、毛沢東は、食糧をロシアなどに輸出して、欲しい技術・産業資材・武器を手にいれていた。だから毛沢東は後者の死者数はしっかり自覚していたはずだ。
大長征といっても毛沢東は竹の輿に乗り日光を避けて日がな読書をしていただけだ。毛沢東はスターリンからの、日本軍と闘えとの指令に従わなかった賢い男だ。指示通りにしていたら、強い日本軍に全滅させられることが判っていた。毛沢東は常に権力への近接に関心を払い、それはモスクワとのパイプを掴むことにあると認識して、その保持に腐心した人間だ。自分のいまの地位を脅かす者は誰か、誰が自分の地位を乗っ取りそうか、いつも警戒していた臆病者でもある。
江青は文化大革命を率先遂行したが、これを始めたのはそもそも毛沢東だ。江青が回りから嫌われているのを知って、汚い仕事をやらせ続け、恨みを買っているのを黙って見ていた。所詮毛沢東の「スコーピオン」(手先)に過ぎない女だ。毛沢東は密かに、自分の死後に江青を処分することを軍に対し容認していた。
その事実が証左である。北京オリンピックは、予定通り開催してほしい。そして世界中の人が、テレビに写し出された、あるいは訪れた、天安門広場にある毛沢東の肖像画を見て、彼は最低七千万もの自国民を殺した指導者で、ドイツのベルリン広場にヒトラーの肖像が掛っているのと同じことだと気付いてもらいたい。
ユン氏は、ロシアの資料アーカイブを夫君が懸命に渉猟して、それをもとに一緒に書いたと誇らしく話していました。
出席者から、そんなに信用できる代物なのかと訊かれ、プロパガンダは捨て、当時書かれた信用に足る資料のみを採用していると、いささかムキになって反論していました。いわゆる「南京虐殺」の死者数について訊かれたのに対して、”Nanjing incident, no, Nanjing massacre”とわざわざ言い直して「多くて三十万人」と答え、太平洋戦争で「日本軍が殺した中国人は二千万人」といい加減な受け答えをしていました。 反共ではあっても、親日ではないことが判りました。
  (しなの六文銭)


(宮崎正弘のコメント)チャン女史の新作は、一部に胡散臭さが残るものの、全体としてはいい出来の歴史ノンフィクション。もちろん、これを中国が国内で出版を許すか、どうか。香港では英語版がうられています
作中には毛沢東は南京“大虐殺”に一切興味を示さず、「日本軍のおかげで我々(中国共産党)が政権をとれた」と感謝の言葉を吐いたことも正確に書かれています。そうそう、翻訳もでましたね。『マオ』(講談社)上下貳巻です。


   ♪
(読者の声2)TVなど見ていて中国は明らかにおかしい。吉林省での化学工場での大事故、重慶、湖南省での化学工場事故、黒龍江省の炭鉱爆発事故、アモイへ向かっていたJAL機が軍事演習を理由に着陸を拒否された。武大偉次官が国連改革で日本にアプローチしてきたらしいなどなどです。
ワシントンではダライ・ラマとウイグルの指導者が5000人を前に会見しましています。鳥インフルエンザも患者3名と中国は公式に発表していますが、そんなものではないのではないでしょうか。経済も不採算ビジネスを相当重ねていますから、金融のゆがみは益々ひどくなっているでしょう。
経団連のトップもトヨタからキャノンに交替ですし、日本の経済界も少しかわるのではないでしょうか。キャノンは嘗て大連で理由不明のストで苦労し、最近は中国でなくてベトナムに工場をだしました。自動車だって5月頃、専門家との情報交換では、在庫が大変らしいし、とくに自動車部品メーカーの技術者によると、GM、VWの中国はメタメタらしいです。
宮崎先生の「高転び」説が証明される情勢のような感じです。
   (MA生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)ハノイからラオスへ入りましたが、ハノイ郊外にキャノンの工場がありました。
ビェンチャンからモン族の集落へ行きました。ルワンバルバンという古都の近くも戦場でした。ベトナム戦争の主戦場はラオスですから。
おどろきは幾つかありますが、モン族が米国亡命を切り上げ陸続と帰国してビジネスを立ち上げ、ベトナム系、中国系、タイ系が商圏拡大競争、日本は目立たないが、確実に経済の進出をしておりましたね。
 中国経済、高転びの日々が迫る? 
           ◎  ○
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12月4日 多摩霊園で三島由紀夫墓前報告祭があります。
http://www.nippon-nn.net/mishima/index.html
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(サイト情報)ホワイトハウスの「イラクでの勝利のための国家戦略」を発表しました。ブッシュ大統領はメリーランド州アナポリスの海軍兵学校で戦略について演説した。
(1)ブッシュ大統領の演説 President Outlines Strategy for Victory in Iraq  United States Naval Academy, Annapolis, Maryland. 
http://www.whitehouse.gov/news/releases/2005/11/20051130-2.html
(2)報告書 National Strategy for Victory in Iraq、National Security Council, 2005. 
http://www.whitehouse.gov/infocus/iraq/iraq_strategy_nov2005.html
(3)イラク治安部隊の訓練に関するファクトシート Fact Sheet: Training Iraqi 、November 30, 2005.
http://www.whitehouse.gov/news/releases/2005/11/20051130.html
(4)国務省のイラク情勢に関するサイト
http://usinfo.state.gov/mena/middle_east_north_africa/iraq.html
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