国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/12/01

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成17年(2005年)12月2日(金曜日)
     通巻第1315号   
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<<今週の書棚>>


   ♪
西尾幹二『狂気の首相で日本は大丈夫か』(PHP研究所)
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 郵政改革という名前の「改革」はペテン師らが使う常套句のごとしだが、小泉カイカクのつぎは畏れ多くも“皇室改革”で、しかも「これは『構造改革の一環』だ」と小泉首相はのたまわった。
 皇室典範は国会議員が論ずるべき問題ではなく、ミーハー相手の政策提議としても、悪ふざけの域を超えている。
歴史と伝統をあざけっているのか、狂気としか言いようがない。かりにも一国の首相ではないか。歴史を否定する言辞を吐いて平然としている指導者がいて、しかも「殿、ご乱心」と言って座敷牢に押し込めるのが忠臣であらねばならないが、首相の周辺には茶坊主とイエスマンしかいない。スーパーイエスマンって御仁もいますが。
さて本書で西尾さんの慨嘆はますまるの悲壮さをともなってきた。
 自民党圧勝を単純に喜ぶ保守は、へたをすると「化け猫」が出てくるかも知れない、いまの「奇妙な国家」、「この国の気風も変わりつつある」事態に危機感を抱かないのか。
 西尾さんの言葉は段々激しくなる。
 「小泉氏は今度は文化の秩序そのものをぶっ壊してしまった。代わりに画一的で、統制的で、議論も深めない裡に重大案件がどんどん決められてしまう無思慮な秩序、大衆の名において、大衆の無知につけ込んで、大衆を犠牲にする放埒な秩序が創られつつある。」(本書49p)。
 人権擁護法案のことだ。
 「本質的に大事な問題は何かを選択する能力がない」小泉氏によって「この国家は土台を崩されかねない危うい瀬戸際におかれている」。
要するに「小泉首相は左翼である」ことを国民は一刻も早く知らなければならない。小泉首相は靖国問題をさえ、国内政治のカードに駆使している気配はないか。
 西尾さんはこう続ける。
 「首相の言葉は靖国を大切に思う人たちにフッと近づき、そしてまたフッと離れる。行動も同様である。」
この遣り方は「左翼の常套手段なのである。形だけの参拝で、靖国を大切に思う人々にまるで乞食のものを投げ与えるように恩着せがましい言動を重ねる(中略)。この政治家の国民的人気を博している扇動家としての独特な心理誘導の極致がある。」(63p)。
 随所に発せられる箴言的分析は、ニヒリズム研究の蓄積から来ている独特な解析診断であるけれども、過去四年間の小泉政治の実績なるものをひとつひとつ思い出していくと、まことに狂気の軌跡である事実に私たちは唖然となるのである。
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(お知らせ)というわけで、宮崎は昨日、ラオス、ベトナムの取材から帰国しました。両国とも戦争の傷から立ち直って凄まじい繁栄へ邁進中でした。いずれ詳しくは、拙メルマガでも。
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(読者の声1)憂国忌に参加出来なかったのですが、当日の議論が下記サイトにあり、とても参考になりました。お知らせまで。
(KY生、秋田)
http://nishimura-voice.seesaa.net/article/9852769.html
(これは西村幸祐氏のブログです)。

 
(宮崎正弘のコメント)西村さんも、ことしから発起人に入って貰いました。このほかにも多くに憂国忌のレポートがあるようです。昨日までラオスへ取材で出かけておりましたので、まだまとまったものを見ていませんが。
 なお、当日の祭主祭文は下記別項の通りです。


  ♪
(読者の声2)憂国忌に参加しました。『三島』を堪能しました。 慰霊祭を楽しんだとは不謹慎とそしられそうですが、抑揚ある祝詞、笙・シチリキの音の中に身を置き、暗転の内で細江英公氏の自然な語りに聞き入り、心楽しい一夕でした。
    (HN生、丸の内)


(宮崎正弘のコメント)ところで、今年の憂国忌は35周年という記念の節目でもあり、発起人関係の出席者を50音順に並べますと、井川一久、井尻千男、井上隆史、入江隆則、植田剛彦、小田村四郎、サイデンステッカー、篠沢秀夫、田中英道、中村彰彦、西村幸祐、西尾幹二、萩野貞樹、花岡信昭、藤井厳喜、福田逸、細江英公、松本徹、松本道弘、村松英子、水島総、南丘喜八郎、八木秀次、山崎行太郎の各氏でした(敬称略)。
 当日の記録は櫻チャンネルで収録される予定。またシンポジウムの内容は、12月22日発売の『月刊日本』で梗概が掲載されるほか、西尾幹二先生のブログにも公開される予定と伺っております。


   ♪
(読者の声3)貴誌に以前掲載された中国への新幹線車両についてですが、機材の輸出に従事し、中国鉄道部と過去関係のあったものとして一言申し上げます。
 日本では在来線のゲージ(軌間:レールとレールの幅)が1,067mmですが、新幹線は1,435mmです。一方、中国は全て1,435mmです。中国は、これから新たに建設する北京ー上海は全面高架で所謂日本の新幹線と同じ形式になりますが、これとは別に、在来線(平面)の高速化(高速鉄道)の計画があります。
 今回、日本とドイツが分割で受注するのではと言われているのは後者向けの車両で第1次は既に、カナダ(ボンバルディア)、日本連合、フランス(アルストム)に分割発注されています。いずれも、国産が義務づけられています。世界の車両技術の良いところをつまみ食いしたい訳です。
 最近のことは知りませんが、昔は「技貿結合」「合作」というを強要されましたが、まことに身勝手な物言いで「技貿結合」はものを買うからタダで技術を寄越せ(もっとも勝手にコピーしてましたが)。「合作」は本来、国共合作の通り「協力」の筈ですが、一方的に国産のためのご協力を意味しました。
 日本の新幹線技術は高度な日本の技術の集積であり、今日に至るまでは日本国有鉄道の技術開発(決してメーカーではない)が大元にあるわけで(当時、それは日本国民の血税で支えられていた)、車両メーカーが売りたい一心で技術を出したりしたら、一時は良いがエッセンスを盗まれるだけで、日本国民の技術財産を売り渡す国賊行為に等しい。JR東海の意見は正しい。どうしても欲しければ、台湾のように、100%日本製を「技貿結合」も「合作」もなしで買えばよい。エアバスやボーイングに技貿結合や合作を求めた話は聞いたことがない。
    (RB生)


(宮崎正弘のコメント)はなしは飛びますが、台湾新幹線のほうは試走300キロ走行に成功、いよいよ来年十月開通が視野に入って来ました。
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(資料)
憂国忌当日の鎮魂祭で捧げされた祭主祭文全文です。

 祭 文

 三島由紀夫命森田必勝命の御霊前に謹んで祭文を捧げます。
 今を去る三十五年前、お二人が市ヶ谷台上で壮烈な自刃を遂げられたとき、私は名古屋に在勤中でした。
役所へ戻る午後一時、秘書から事件を聞きラヂオをつけましたが、何のことか全く理解できませんでした。部屋に戻って早速テレビを見ると、市ヶ谷本館のバルコニーで獅子吼されるあなた方の勇姿を繰り返し映してゐましたが、既にあなた方は絶命されたあとでした。
夜の会合を終へ、新幹線に飛び乗り、胸騒ぐままに三島邸に駆けつけたのですが、瑤子夫人が気丈に柩を守ってをられました。
思へばその九月、伊澤甲子麿さんから「三島さんが是非合ひたいと言はれてゐる」とのことで、上京した折にホテルオークラで伊澤さんと三人で食事を一緒にさせていただいたのが最後になりました。
この時はあなたは凛とした「楯の会」の制服でお見えになり、日頃の快活なユーモアは少なく、専ら憂国の至情を聞かせて下さいました。今から考へれば、あなたは別れの挨拶をしてくださったのですね。まさか二ヶ月後にあのお元気なお姿に会へなくなるとは夢にも思ひませんでした。
 あれから三十五年、今思ひ返すと当時は「昭和元禄」などと呼ばれてゐましたが、まだまだ希望に満ちた時代でした。確かにあなたが嘆かれたやうに、日本は「国の大本を忘れ、国民精神を失ひ、本をたださずして末に走り、その場しのぎと偽善に陥り、自ら魂の空白状態へ落ち込んで」行きつつはありましたが、敗戦の後遺症を克服しようとする国民、青年も生まれてゐましたし、何よりも政治家には戦前の栄光を忘れぬ同憂の士が少なからず現存してゐました。
 しかしその後、かうした長老達が次第に世を去ると、光輝ある国史の成跡を信ぜぬ忘恩の徒が政権を握り、ついに政府は正論を弾圧する幕府と化し、外は中韓両国の内政干渉に屈服する亡国外交を続け、内は伝統と祖先の偉業を否定する自虐教育を放置して人倫の地に堕ちた社会を現出せしめるに至り、国際社会からは完全に軽蔑無視される卑小な国家となり果てました。畏くも先帝陛下におかせられては、かうした状態をお嘆きの裡に崩御あそばされ、世は平成の大御代となりましたが、事態の改善は遅々として進まず、現在に至ってをります。
 あなたは、このやうな亡国的現象の根源である憲法「われわれの愛する歴史と伝統の国、日本を骨抜きにしてしまった憲法」に対して「体をぶつけて死ぬ奴はゐないのか」と憤激されました。
近時漸く占領憲法改正の気運が高まって参りましたが、最近発表された自民党の憲法草案では、曲がりなりにも軍の保持は謳はれてゐますが、建軍の本義は明らかにされず、逆に占領軍が強制した国体破壊の戦後民主主義イデオロギーを憲法の基本理念として国民の自主憲法の名の下にそのまま追認しようとしてをります。
まだまだわが国の伝統に基づく真の憲法を制定する機は熟してゐないと断ずるほかありません。さらに建国以来二千六百年、国家の根幹として何人も手を触れることの許されなかった皇位継承に関する皇祖皇宗の規範を一部の人間の恣意によって変改しようとする恐るべきたくらみが政府レベルにおいて進行中といふ憂ふべき情況が生じてをります。
 この三十五年間、乱れゆく世の様を見るにつけても、もしあなたさへ御在世であれば、と思ふことが何度あったか分かりません。しかし嘆くのみでは何の益にもなりません。あなたと同世代の私たちは既に老境に達してしまひましたが、この会場にご覧頂きますやうに、あなた方の志を慕ふ若い人達が集ってをります。かうした志ある青年達と力を併せて私どもも老躯に鞭打って「日本を日本の真姿に戻す」といふお二人の志を実現するため、渾身の努力を続けますことを御霊前にお誓ひ申し上げます。何卒天駆けり国駆りつつ我等の努めをみそなはしお導き賜らんことを謹んでお祈り申し上げます。

  平成十七年十一月二十五日
                   小田村 四郎
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(在台湾の読者の皆さんへお知らせ)

「米軍のトランスフォーメーションとアジア安保体制」国際講演会
(無料)
主   催:社団法人台湾安保協会、アジア安保フォーラム
期   日:2005年12月16日(金曜日)
時   間:午後1:30〜午後5:00
会   場:台湾大学校友聯誼社 4階 大会庁(台北市済南路一段2−1号)
 ●参加者人数の統計と名札制作の為、参加ご希望の方は電話又はFAXにてお申し込みください。日本語でお気軽にどうぞ!皆様のご参加を心よりお待ちしております!
 会場責任者 趙天徳(台湾安保協会副秘書長)
 (プログラム)1:00 〜 入場開始
 1:30 〜 1:40 開会の辞 黄昭堂(台湾安保協会理事長)
 1:40 〜 2:20 パネリスト:鈴木正孝(元日本防衛庁政務次官)40分
   題目:東アジアの安全保障情勢と日米同盟
 2:20 〜 3:00 パネリスト:林錫模(国立中山大学副教授)40分
   題目:米軍の変革と台湾海峡
 3:00 〜 3:20 Coffee Break 20分
 3:20 〜 4:00 パネリスト:黄昭堂(台湾安保協会理事長)40分
   題目:台湾に於ける米軍基地提供の可能性
 4:00 〜 4:50 総合討論 50分
 4:50 〜 5:00 閉会の辞 宗像隆幸(アジア安保フォーラム幹事)
 逐次通訳:台(漢)日=蘇南芬女史、林信甫先生
 メールでのお申し込みE-mail:wufi.data@msa.hinet.net
 ● 席に限りがございますので12月12日前までにお申し込みをお願い申し上げます。
  参加者人数の統計と名札制作の為、参加ご希望の方は電話又はFAXにてお申し込みください。日本語でお気軽にどうぞ!皆様のご参加を心よりお待ちしております!
TEL:台湾(02)2357-6656 FAX:(02)2356-3542
台湾安保協会  wufi.data@msa.hinet.net
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<< 宮崎正弘の新刊 >>

『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
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『中国よ、“反日”ありがとう』(清流出版刊、1400円+税)
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『瀕死の中国』(阪急コミュニケーションズ刊、1600円+税) 
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『中国のいま、三年後、五年後、十年後(改訂版)』(並木書房、1575
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『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円プラス税)
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『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
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