国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/11/22

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成17年(2005年)11月23日(水曜日)新嘗祭
     通巻第1308号
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現代日本人は、なぜかくも無惨に“民族の気概”を失ったのか?
 明治の気骨は戦後しばらく続いていた。これを破壊したのは日教組だけではない
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 小泉首相の思いつきで始まった観がある「女帝」論議。
小泉純一郎の「歴史認識」は女帝容認も「構造改革」の一環だというではないか。信じられない暴挙である。

 皇室典範を考える有識者会議は「長子後継、男女を問わず」を24日に答申するという。
 国体の変革、外国人を含めての別の王朝が出来かねない易生革命思想、どうしてこういうミーハー的解釈を装った革命思想がまかり通るのか。

 つくづくと日本の精神の衰弱を考えさせられる。

 対照的に明治人はなぜ気概、気骨があったか、を考えてみた。
(1)家庭教育、藩の教育がしっかりしていた。
武士階層に限らず江戸時代から明治にかけ、家庭では「だめなものは駄目なのです」として、屁理屈を許さない風土があった。
まずは身を立て、しかるのちに家を治め、国の大事に駆けつけよ。これは「修身斉家治国平天下」の儒学の基本だった。(ちなみにパソコンで打つと「終身制か遅刻閉店か」とでてくる!これじゃ、儒学の精神も死んだも同然)

町人の寺子屋も同じ。貞操の観念など倫理もしっかりしていた。
武士は藩校に学んだが、藩校で力点が置かれたのは知育、徳育と武芸(文武両道)。漢籍の素読(儒学、大日本史、神皇正統記)が常識だった。だから日本語がしっかりしていたのだ。
 いまの日本の教育は教育漢字、当用漢字などと漢字を識別して国語を壊し、いやはや若者の一部は漢字も満足に読めず、日本語が滅茶苦茶だから英語も喋れない。外国語は母国がしっかりしていない人には習得できる筈がない。
IQ重視の異常。テスト優先は真の教養を育まない。(例。エリート役人の汚職)

 儒学が日本では儒教になった。宗教的であり、江戸の儒学は朱子学から陽明学へ。覇道より王道をこのみ、知行合一が日本人の美意識の根底を形成する哲学として完成された。
 
 忠誠の対象は所属する藩、殿様であり、その先の忠誠心の対象は徳川家ではなく尊皇。だから徳川宗家の学問が皮肉にも反徳川思想の拠点になり、15代将軍が徳川を潰した。この過程で会津、桑名、東北列藩同盟の律儀さは? 近藤勇の愚直なまでの尊皇と忠誠、忠義は美学として了解できる。しかし理想は政治現実の前に潰えた。
 戊辰戦争の後味の悪さは「官軍」が東軍の弔いをしなかったことにある。靖国の前身、招魂社にも祭られず今日に至った。維新の志士らの一部には天皇を「玉」と密かに呼んで政治利用した。政権掌握ののち、理想は消え、西郷は下野し、結局、西南戦争へ行き着かざるを得なかった。岩倉らが偽造したニセの錦旗が当時の日本から根底になる日本の哲学を奪った。
 しかしそれはともかくとして教育がしっかりしていた。

(2)防衛と情報のセンスが良かった。
  国家とは何か? こういう問題意識が常にあった。だから国民全体が国家を理解できた。桶谷秀昭氏風に言えば「草花の匂う国家」だった。
   危機意識、向上心があった。だから日清・日露戦争に勝てたのだ。
   やがて、日本から日本の共同体意識の源泉、農耕文化の中核たる農地が希釈し、伝統的風景も村の祭りも消え、過疎が進み、他方では町がビルで白くなり、共同体が希薄化し、国家意識がなくなる。
こうなれば、たとえば中国・韓国の内政干渉に敏感に反応しない国となる。
精神の惰弱、腐敗、左翼の横暴がまかり通る。こんな状況に成り下がったのは経済の繁栄がいきすぎ、民主化の過剰、要するに民主主義のび欄である。日教組教育ばかりではない。

 どういう体制であれ、国家にとって「軍人の名誉」(武士の名誉)という価値。死生観に拘わる認識 戦死する名誉。切腹の名誉があるものである。古代ローマの武士も名誉が汚されれば切腹した。
武士道は明治に入っても、しばし軍人の名誉に受け継がれた。
 いまもマスコミの批判を浴びても靖国問題、特攻隊の弔いで民間では武士道への尊敬の念はかすかに日本人の意識に生きている。
 
(3)教養が高かった(学問は知識ではない)
 教養とは知識を越えた人間としての立ち居振る舞い、作法、文化の領域である。
 戦後も佐藤栄作政権のあたりまでは明治人の気骨が残った。文武両道の精神は生きていた。
 かろうじて吉田、岸、池田。同時の財界人も明治の教育があり、財界にも桜田武などのサムライがいた。
いま日本の財界人はあたかも「北京の茶坊主」になりさがったかのようで、一部に「“三河の車屋さん”がなんで政治に容喙するの?」という批判が渦巻いている。

秀吉は学歴こそなかったが、溢れるほどの教養があった。昨今は学歴はともかくとしても教養がない田中某。英語屋の宮沢某。歴史を知らない河野某、加藤某。。外国の買弁屋かとみまがうばかりの野中某、二階某。。。そのあと? 政治家を眺めやると、拡がるのは将来への絶望しかない。

(4)死生観が異なってしまった
  「いまや」か「いまは」の死生観が異なってきた。日本の伝統をささえた仏教的死生観は輪廻転生である。「いまはこれまで」は次に人生に賭けているコトバ、いまや、は来世を信じていない。「いまは」という死生観の決壊こそが、日本精神の消滅の第一にあるのではないのか。
「いまはこれまで」の世界認識が数々の辞世を後世に残したが、この世は仮の世、人生の価値は生命よりも大事なものに捧げられる。
しかし、「いまはの際の見苦しさ」は中国人だけか、と思っていたら最近の日本人もそうなった。生命は地球より重く、地球市民という空想的理想主義に埋没し、したがって宗教への神々しさはなくなり、宗派(セクト)の教え=宗教という誤認も他方では拡がる。森羅万象のすべては科学と合理、すなわち論理を越えるパトスによってなりたつものであるにもかかわらず。
 したがって文化・伝統をまもる意識の軽さは、もはや絶えられないレベルまで落ちた。
伝統を守る歴史意識、文化防衛論が希釈され、礼宮様御婚礼の席で、ベルグソンとパスカル取り違えはともかく、「信仰と結婚は似ている。本質は賭け」と或る保守派が発言。博打を連想する「結婚は賭け」という発言は歴史伝統文化に裏打ちされて発言とは思えない。
保守層にさえ、この程度のリーダーしかいない、日本の悲劇よ。

(以上は11月19日に行われた「ポーツマス・ネットワーク」での宮崎正弘の講演要旨)
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(読者の声1)最近、「こりゃ駄目だ」と思わされたこと、二題です。
 まず、先日(20日)朝のサンプロで、民主党の前原代表が、「(欧州情勢が)複雑怪奇だといって首相を辞めた”近衛文麿”」と発言していました。
 これを云ったのは(平沼赳夫氏の養父の)平沼騏一郎だって、並みの高校生なら教科書に書いてあるから知っています。京大法学部を出て、松下政経塾を経て、政治家になり、野党第一党の党首になって、テレビで堂々この発言とは如何なものでしょう。聴いていた田原も誰も気が付かないし、番組中訂正もありませんでした。
 三年ほど前、前原氏は某処の集まりにスピーカーとして招かれ、参加者から「靖国を参拝しないと言い張る奴は、首相になれる訳はない! ここから出て行け!」と一喝され、「私は参拝しないが、首相になる!」と吐き捨てて、顔を真っ赤にして、飛び出していったそうです。
 田原聡一郎から、「前原さん。一度云ったこと(靖国参拝拒否)は変えないほうがいいよ。 ずっと(参拝は)しないと云い続けなさい」と励まされて、嬉しそうにニヤッとしているのを見て、改めてコイツは駄目だと思いました。

 次に東京大学新聞が発行している「東京大学新聞」。
11月15日号の一面のコラム ”排調”に次のくだりがあります。
『・・・ 大学が教育という商品を販売すると考えれば、消費者は学生だ。企業の発展には消費者の満足が必要であるように、学生の満足なしに「世界一の大学」は生まれない。・・・ 英タイムズ紙の「05年世界大学ランキング」で、東大は去年の12位から16位に後退し、15位の北京大にアジア1位の座を譲った。順位は下がったが、東大は確実に「学生思い」になっている。 先述のランキング1位ではなく、学生にとっての世界一を目指すことから始めればよいのではないか。』とある。
同紙は学内情報誌として東大生に浸透して広く読まれているようです。
どんなレベルの方が、これを書いているのか詳らかではありませんが、 学生にこんなに媚びてどうするのでしょう?
姜尚中とか上野千鶴子とかが教授と云うだけで、世界100位以下だろうと早合点している小生ですが、 教育を「商品」に、学生を「消費者」に見立てているとは、なんとお寒い情景であることか。
晩年の三島由紀夫は「東大を動物園にせよ!」と警句を発していました。
これに対して貴台が、『あのとき動物園にしておけば、知的頽廃もこうまでひどくはならなかったでしょうに。 』と述べておられましたが、その通りです。今からでも遅くありません。  北がミサイルをぶち込む標準は駒場と本郷にしてもらえばいいのですから。
 (しなの六文銭)


(宮崎正弘のコメント)ああいう過激な諧謔をものにできる作家や文化人が少なくなりましたね。いま、三島さんが生きていたら本当になんと言われるか、興味があります。
 御節、最後のくだりはチト過激すぎますが。


   ♪
(読者の声2)先日、宮崎さんの『金正日の核弾頭』(ほぼ新本)を古本屋で見つけて買いました。まだ読んでいませんが、宮崎さんの才覚には驚くというか。いや、あきれ果てています。
『中国・台湾電脳大戦』(講談社)という小説もあるそうですね。ビックリしています。
    (TK生、世田谷)


(宮崎正弘のコメント)じつは小説「金正日の核弾頭」を改題したのが「拉致」(徳間文庫)です。中味はほぼ同じです。
 『中国台湾電脳大戦』は講談社ノベルズが絶版にしてしまって、どこかで文庫本に入るのを密かに期待しているのですが(苦笑)。中国語版は台湾ですぐにでました。やっぱり当該国家ですから、台湾ではかなり騒がれましたが、いずれにしても十年前のことです。


  ♪
(読者の声3)靖国問題での麻生外相の発言でまたも韓国各紙は一面トップの大騒ぎしているようだ。 韓国大統領も訪日をしたくないと言っているが、これに賛成だ。相も変わらず”来るの、来ないの”と大騒ぎしているが、来れば必ず喧嘩になる。
だから何も無理して”来て頂く”必要はないし、来ればこちらも迷惑だ! 黒戦城死。
  (IS生)


(宮崎正弘のコメント)行かないと言ってみせて日本の反応、譲歩をまっているのです。この場合、日本は“ビナイン・ネグレクト”(優雅に無視する)路線で行けば良いのです。先方がいずれ折れて、来日せざるを得なくなるのは火を見るより明らかですから。
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 憂国忌まで、あと二日 ! 
 ☆
  三島由紀夫氏没後35周年追悼「憂国忌」は11月25日です。
         記
 とき   11月25日(金曜日) 午後6時(五時開場)
 場所   九段下 九段会館大ホール
 http://www.kudankaikan.or.jp/flash/index.html
      鎮魂祭(乃木神社宮司、神官による。祭主(小田村四郎)
スライド「薔薇刑」上映と解説(細江英公)。未公開の写真が多く含まれます。

<シンポジウム>「あれから35年、現代日本はどうなってしまったのか」
井尻千男、入江隆則、サイデンステッカー、西尾幹二、村松英子
詳しくは http://www.nippon-nn.net/mishima/index.html
参加費  おひとり 2000円(会場分担金です)
特典   参加者全員に記念冊子(24ページ)を差し上げます。
その他  三島関連本などの販売があります(一部書籍は割引も)! また季刊『三島由紀夫研究』の創刊号も憂国忌に間に合う予定。英語版『薔薇刑』、細江英公『ざっくばらんに話そう』『なんでもやってみよう』。拙著『三島由紀夫はいかにして日本回帰したのか』などもロビィで販売。  
 
  ◎「憂国忌」は国民行事、どなたでもご参加頂けます!
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    << 宮崎正弘の三島論 >>
『三島由紀夫“以後”』(並木書房、1700円+税)
『三島由紀夫はいかにして日本回帰したのか』(清流出版、1800円+税)
       
         ♪
<< 宮崎正弘のロングセラーズ >>
『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4890631925/ref=ase_ritoukijapan-22/250-0520816-2194622
『中国よ、“反日”ありがとう』(清流出版刊、1400円+税)
『瀕死の中国』(阪急コミュニケーションズ刊、1600円+税) 
http://deserveit.jp/am/asin/4484052083.html
『中国のいま、三年後、五年後、十年後(改訂版)』(並木書房、1575円)
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円プラス税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円+税)
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