国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/11/20

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成17年(2005年)11月21日(月曜日)
     通巻第1305号
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<<今週の書棚>>

   ♪
細江英公『なんでもやってみよう』&『ざっくばらんに話そう』(窓社)
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 細江英公氏は、一昨年にイギリス王室写真協会創立150周年メダルを世界から七人の一人に選ばれ受賞された。
私も細江さんが日本へ帰国後、新宿のホテルでひらかれた受賞記念パーティに伺ったが、日本を代表するカメラマン、アーチスト、写真家がずらり勢揃いの壮観なお祝いだった。
 三島事件の当日、細江さんは香港にいた。
 現地の中国語の新聞に
「三・品・行・雄、割腹自殺」
とでた。ひどい音訳である。
英語の新聞を買いに行った。東京へ電話を入れた。
 「たいへんよ、テレビ局や新聞社、雑誌社、ラジオ局、外国の通信社やテレビ局まで『三島の写真が欲しい』と押し掛けてくるの」と奥さんだ電話口の向こう側で叫んだ。
 細江さんは断固とした声で言った。
 「全部断れ、理由は『薔薇刑』の写真は今回の事件とまったく関係のないことだ。その写真は九年前に撮影したもので、今回のこととは無関係ですと言ってくれ」。
 写真が悪意に満ちたキャプションとともにマスコミに利用され、流されることを細江さんは懼れた。
こうして薔薇刑は門外不出となり、
 「やがて嵐は去り、三島さんと『薔薇刑』の名誉は守られた」(以上の引用は『なんでもやってやろう』から)。
 また『ざっくばらんに話そう』のなかで、この続きを細江さんは以下のように言う。
 「私が撮った写真には、三島さんの首が身体をはなれているように見える写真がありますが、私は事件を想定して撮っているわけではなくて、あくまでも私の主観的ドキュメンタリーとしてつくられたもので、三島さんにはまったく責任のないことなんです。しかし、発表されたものは必ず被写体に関わってくるわけです。文章のちょっとした「テニヲハ」でも違う意味を持ち、被写体の意識や意図として解釈される(中略)『薔薇刑』の写真については一般印刷物などすべて使用をお断りしています」。
 写真家の姿勢が鮮明に出ている。芸術家としての、こうした基本姿勢を守らない「アーチスト」は拳拳服膺すべし。


   ♪
加藤喬『名誉除隊』(並木書房)
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 大東亜戦争突入直前に米国陸軍では日本語学校が急遽、作られた。
 この通訳養成学校は四人の二世教授が60人の日系人部隊に日本語を教えた。かれらは「ヤンキーサムライ」と呼ばれ戦場で日本兵の尋問や、捕獲した日本軍の文書の翻訳に活躍した。東京裁判の通訳も。
 爾来、この学校はいくたの変遷を経て、いまではペンタゴン外国語学校に変貌、学生数2500名、教授が750名もの大所帯となっている。日本語のほか、23ヶ国語を教えている。
 著者の加藤氏は、今、ここで教鞭をとっているが、その前はれっきとした米軍兵士だった。湾岸戦争には陸軍少尉として参戦、スカッドミサイルの攻撃も受けた。
それがセルビア女性を妻にしたあたりから、戦争の大義が突如揺らぎ、星条旗への忠誠が疑わしくなったという。
軍人は政権の命令に従うのが任務。しかしブッシュ政権の単独行動、武力信仰に深い失望を感じた加藤氏は「名誉除隊」の選択をした。
 読み出して、鮮烈なほどに意外だったのは、軍人にしては文章に秩序があり、まことに奥行きもあってシロウトが書いた文章には思えないことだった。
なぜだろう? 本文を読みすすむと、SF作家福島正美氏の息子さんだったことが分かる。さすが文章訓練を家庭環境から受けてきた人なのだ。 
  彼は11年前に『LT』という書籍を書いて開高健章奨励賞を貰っている。
 かれは戦線を転戦し、ユーゴへ行き、そしてセルビア人の妻を得た。そこから始まった米国への不審、そのあまりの幼児性への失望。それにしてもふたつの祖国の狭間にあって日々を懊悩と呻吟の中に疾駆する人生。
これは読み応えがあった。
副題は「星条旗が色褪せて見えた日」である。  
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●本紙登録読者が7050名になりました!
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(読者の声1)女帝容認へ皇室典範を改悪しようとする動きは、売国的です。そもそも、皇室典範は国会議員ごときが変更を議論すること自体、不敬なんですよ。そういう議論をなさる人が日本で稀となって、わたしは日々絶望の淵にいました。
 ところが先生のメルマガで18日の「皇室典範改悪に反対する国民集会」を知り、じつは福島県から駆けつけました。感動しました。参加して本当に良かった。
 小堀先生の基調報告も、西尾先生や加瀬先生や、ひごろ著作でしか知らなかった論客が勢揃い、クライン孝子さんははるばるドイツから飛んでこられたとか。小泉チルドランの稲田代議士も登壇され、早速自民党の憲法調査会で噛みついた武勇伝(?)も披露されたり。なかには遠藤浩一さんとか、三輪和男さんとか、演説の旨い人も居ますね。
 宮崎先生のお話、諧謔精神に富んでおられ、これも印象的でした。ひとこと感想まで。
   (YT生、郡山)


   ♪
(読者の声2)18日の中野ゼロホール国民集会(女帝容認に反対し皇室典範改悪阻止国民集会)に行けなかった身としては、マスメディアがどの程度取り上げるかどうか、大変気がかりで21時以降から今朝にいたるTV各局ニュースを注視していました。
 しかし各局見事にというほどの”無視”ぶりで、危惧はしていたもののがっかり落胆いたしました。
現地の参加者数についても心配していましたが、先生の今朝(19日)のメルマガでは”夥しい人々が駆けつけ”とあってさもありなむ。
しかしこれを無視するマスメディアは小泉政治のご威光にひれ伏して沈黙したのでしょうか?
  (HS生、豊橋)


(宮崎正弘のコメント)相当数の新聞記者が取材に来ておりました。デモ行進も行われ、こちらは稟烈な寒さをついて、300名近い参加者。最初、あまりに多いので、この集会に反対する女帝賛成派のデモか?と勘違いしたくらいでした(苦笑)。
 新聞記者は取材し原稿をあげてもデスクがボツにすることはよくあります。地下水流で国民の声を感得したことは事実でしょうね。朝日新聞さえ女帝論に懐疑の声をあげているくらいなのですから。
 でテレビはでなかったようですが、新聞は朝日、毎日、産経が報じました。またチャンネル櫻は特集番組を作りました。ちかく再放送もあるはずです。


   ♪
(読者の声3)鹿児島に住んでおります。当地も愛国者がたくさんいます。西郷さんを産んだ土地柄という理由だけでもありませんが。
ですから18日の集会には行きたかった。雰囲気はそれとなく分かりました。主旨もご紹介のホームページを知って早速熟読しました。
 ところで登壇者のなかに先生の名前があります。宮崎正弘さんは、どういうお話をなさいましたか?
     (KM生、鹿児島鹿屋)


(宮崎正弘のコメント)なにしろ18人の登壇ですから、一人七分に制限されました。何を小生が話したか、記憶をたよりに再演してみますと。
「鷹は群れず、といわれるのだが、鷹も群れざるを得ないことがある。いまはそれほどの危機なのに、軽々しき宰相に軽々しき政治家が国会を割拠しているさまを許しているのは国民が軽くなったからで、この先には絶望しか拡がらない。かの『有識者会議』なるものはなにも知らないし、知っていることは全部間違っている(場内爆笑)。35年前、三島由紀夫は檄文を書いて憲法改正を訴えて自刃した。その檄文の一節に『戦後の日本が経済的繁栄にうつつを抜かし、国の大本を忘れ、国民精神を失ひ、本を正さずにして末に走り、その場しのぎと偽善に陥り、自ら魂の空白状態へ落ち込んでゆくのを見た。政治は矛盾の糊塗、自己の保身、権力慾、偽善にのみ捧げられ、国家百年の大計は外国に委ね、敗戦の汚辱は払拭されずにただごまかされ、日本人自ら日本の歴史と伝統を涜してゆくのを、歯噛みをしながら見てゐなければならなかつた』とある(場内静寂)。
自決の三ヶ月前、三島は不気味な預言的文章を残している。それは『このままいったら、日本はなくなってしまうのではないか。日本はなくなって、その代わりに、無機質な、空っぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目のない、ある経済大国が極東の一角に残るであろう』(産経新聞、1970年7月)。
それをパロって言えば『(もし有識者会議の答申が通ってしまったら)、日本はなくなり、金属製の、虚ろな、表情のない、機械色の、情緒のない、効率だけの、あるロボット大国が、極東の一角に残っているだろう』。
ともかく鷹も群れざるを得ないという状況は国家存亡の危機ではないのか」と、小生の話は大体以上でした。
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 憂国忌まで、あと4日 ! 
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  三島由紀夫氏没後35周年追悼「憂国忌」は11月25日です。
  当日のプログラムは、
  1700 開場 1800開会の辞(松本徹)
1805 鎮魂祭。
乃木神社宮司、神官による。祭主(小田村四郎)
1840 スライド「薔薇刑」上映と解説(細江英公)。未公開が多く含まれます。
追悼挨拶(松本徹ほか)
1920 <シンポジウム>
     「あれから35年、現代日本はどうなってしまったのか」
井尻千男、入江隆則、サイデンステッカー、西尾幹二、村松英子
http://www.nippon-nn.net/mishima/index.html
        記
 とき   11月25日(金曜日) 午後6時(五時開場)
 場所   九段下 九段会館大ホール
 http://www.kudankaikan.or.jp/flash/index.html
 参加費  おひとり 2000円(会場分担金です)
特典   参加者全員に記念冊子(24ページ)を差し上げます。
その他  三島関連本などの販売があります(一部割引も)!
    また季刊『三島由紀夫研究』の創刊号も憂国忌に間に合う予定。
英語版『薔薇刑』、細江英公『ざっくばらんに話そう』『なんでもやってみよう』。拙著『三島由紀夫はいかにして日本回帰したのか』などもロビィで販売。
  
   ◎「憂国忌」は国民行事、どなたでもご参加頂けます!
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    << 宮崎正弘の三島論 >>
『三島由紀夫“以後”』(並木書房、1700円+税)
『三島由紀夫はいかにして日本回帰したのか』(清流出版、1800円+税)

         ♪
<< 宮崎正弘のロングセラーズ >>
『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4890631925/ref=ase_ritoukijapan-22/250-0520816-2194622
『中国よ、“反日”ありがとう』(清流出版刊、1400円+税)
『瀕死の中国』(阪急コミュニケーションズ刊、1600円+税) 
http://deserveit.jp/am/asin/4484052083.html
      ☆
『中国のいま、三年後、五年後、十年後(改訂版)』(並木書房、1575円)
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円プラス税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
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