国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/11/02

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成17年(2005年)11月2日(水曜日)貳
     通巻 第1281号
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●小誌総発行部数337万部を突破! ●登録読者6878名(11月1日現在)
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 米国に「健全なる資本主義の精神」を問いかける著作
 ベンジャミン・フリードマンが痛烈にモノ一辺倒経済を批判した
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  次の問いかけは永遠の政策的課題である。
高田好胤師の口癖は「モノで栄えて心で滅ぶ」だったが、経済成長や経済繁栄の議論で見失われたのはモラル、道徳、こころの問題である。
  M&A、ヘッジファンド、企業乗っ取り。要するに効率のいいカネ儲け。
 
もし経済が失速し、雇用が失われ、人心が不安定になって社会擾乱が続けば、その間隙を突いて出てくるのはヒトラーであり、KKKであり、しかし米国は一方でニューディール政策を誕生させた。
 かつて『レーガンとそれ以後の米国の経済政策の意義』というベストセラーを書いたベンジャミン・フリードマン(ハーバード大学教授)の新作は『経済成長の道徳的意義』(本邦未訳)である。
 
主眼は世界の政治家もエコノミストも経済成長と繁栄の物質的、物理的側面ばかりを追いかけているのは大きな問題ではないかと批判するところにある。

 GDP、賃金上昇、政府予算。雇用、消費。だから何だというのだ、最も大事なのは経済の成長が社会全体をいかに調和し、精神生活をも豊かにするか、徒らな党派対立、イデオロギー論争、社会的不安定、貧困な外交をを乗り越えた、人類が成長とともに達成すべき目標を政治家もエコノミストも語らないのは何故かと痛切に問うている。
 嗚呼、この問いかけを小泉政権の経済政策を担う面々にも問いかけてみたい衝動に駆られる。
 
生活が向上したとき人類は物質のみの希求のとらわれ、高級ファッション、ブランド物、有名高校への進学? 余裕のある幸せのときにこそ、民主主義、公平、次の幸福な社会などに着いての思索と努力が必要とされるのに企業利益向上リストラ、ダウンサイジング、資産比率、コンピュータ取引等々。
 精神生活はますます貧しくなり、西鶴も芭蕉もいない文化的退嬰化がもたらされた日本は、米国の論議以上に深刻である。
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 ドキュメンタリー映画『みやび 三島由紀夫』

  没後35年、天才作家の多彩な側面を総なめ
   能楽師、美術家、狂言師、小説家、演出家、俳優、美術研究家、日本研究家など

        評 奥山篤信

 『みやび 三島由紀夫』の初日に足を運んだら(毎日一回モーニングショーということで渋谷のユーロスペースで上映)、鈴木社長以下監督の田中千世子、撮影の川上皓市、出演している小説家平野啓一郎、ハンガリー作家バログマールトン、女優松下恵の挨拶それに加藤稔が主題のメロディーをトランペットを奏でてくれるおまけつきだった。
 三島没後もう35年が経つ。
僕も田中監督と同じで当時学生で、ちょうど学生紛争がピークアウトしたころであり、三島事件は僕たち団塊世代がそれぞれの思いを一生背負って行く大事件であった。この映画は三島の死後35年を記念して、団塊の世代である田中監督が、ちょうど三島の一世代、二世代あとの内外の芸術家、思想家にそれぞれ語らすことで、ひとつのドキュメンタリー映画に集大成している。

 三島の世界は世界的な教養の蓄積と天才的な感性があり、接するものは、あるとき分かったような気持ちにもなり、またあるときそれが間違いだったと後悔する、煌びやかな、ときにレトリックな三島の言葉、台詞を切り口として『ひとつを重視すれば、他が抜け落ち、全てを重視すれば迷路に踏み込む。―田中監督―』世界だ。だからこそ三島と『対話』させる。それも三島の子供、孫の世代から見た三島芸術を自由奔放に語らせている。完全にそれぞれが独立したインタヴューであるが、それを操り糸のように求心力を持たせ纏めていく必要があり、かなり監督自身の確固としたスタンスと技術能力の必要性とその苦心のあとが見えるのだ。

 三島手法に批判的な演出家坂手洋二、どうしても中共政府の代弁者からぬけ切れない中国人東大教授チンフェイ、あまりに『仮面』を饒舌に語りすぎるので、その説明に僕などしらけてしまった故野村万乃丞(昨年急死)など。彼らが逆に毒とアクセントを与え、僕から見て一番三島の本質が分かっているのではないかと思う岡泰正、アイスランド劇作家グンナルソンなどが素直な自然体に写るのだ。
三島の再来といわれる小説家・平野や美術家柳幸典などが情緒言語で語っていて、僕には難解な言葉の遊戯とも思えるが、この世代がそれなりに三島を咀嚼して自分の芸術に生かしているというだけでも素晴らしいことだと思う。

 ドキュメンタリー映画の面白さは最近の傑作『The Fog of War-マクナマラの告白』にも見られるように、インタヴューされるものの偽りのない心の動きや息使いがリアルに迫ってくる点だが、この映画もそれぞれの専門家のそれが伝わってくる。世界に誇るべき日本の三島が絶対に風化しないようにとのこの映画制作に携わったかたがたの息吹が聞こえるようだ。ある程度三島に耽溺したもののみが理解できる難解な点はあるものの、お勧めの映画に間違いない。
  (平河総研メルマガ「甦れ美しい日本」34号より転載)

 (筆者の奥山篤信氏は昭和45年京都大学工学部建築学科卒、昭和47年東京大学経済学部卒、三菱商事本社入社、6年余にわたる米国三菱ニューヨーク本店勤務を経て「ストラテジーズ」設立。勉強会『平河サロン』主宰、平河総合戦略研究所代表理事)。
(なお、メルマガ「甦れ美しい日本」↓ 下記サイトから申し込めます)
http://www.melma.com/backnumber_133212_668787/
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三島由紀夫追悼「憂国忌」まであと三週間!
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(お知らせ1)
千葉県護国神社で靖国神社に関するシンポジュウムが開催されます。
 講師  湯沢貞前靖国神社宮司
     評論家 石平 氏
 司会  石戸谷 慎吉 千葉建国塾顧問
 詳細は HP http://petat.com/users/myoukou/chibakenkoku-index.html
             ◎
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(お知らせ2)
【講座】欧米植民地主義の番頭を演じた華僑の役割
           歴史基本講座のお知らせ
 
 「欧米植民地主義の番頭を演じた華僑の役割 その後と今」
 
第一次、第二次世界大戦におけるヨーロッパの民族独立の経緯をふまえ。前回は大東亜戦争におけるアジアの民族問題、満州国建国の評価を「酒井史観」に基づいた分析が提起された。
今回は大東亜戦争の何が世界史を一変させたか、民族独立の問題を中心に欧米植民地主義の番頭の役割を果たした華僑に光を当てる。「酒井史観」による切れ味鋭い解釈に乞うご期待を!

          講師 酒井信彦(東京大学史料編纂所教授)
   日時 11月 9日(水曜日)18時30分
   場所 文京区民センター(3−D) 03-3814-6731
   資料 千円
   連絡 090−2756−8794 國民新聞・西村
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創刊日:2001-08-18  
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