国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/10/31

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成17年(2005年)11月1日(火曜日)
     通巻 第1279号 
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 胡錦濤の訪朝はどれほどの成果が上がったのだろうか
   『非核化』が約束されたなんて誰が信じるの?
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 「北の核」はいずれ日本向けに代理使用させるためにも温存させる?それが北京の長期戦略ではないのか?

 韓国もこの問題で冷ややかなのは将来、南北統一が実現すれば、北の核はその日から日本向けに使える。核兵器廃棄? とんでもない、というのが正直な韓国民の反応ではないのだろうか?

  ともかく「宗主国」の親分が、朝貢する子分のもとへ行幸するのは、歴史的に例がない。よほどのことである。
 
 江沢民・前主席は四年前に平壌へ行ったが応対が「不愉快だった」として、その後は、「高官」を派遣するに留めた。この間、二回、金正日が訪中し、工場見学などをしている。放蕩息子は北京に滞在中と観測されている。
 また中国側は過去四年間に、銭基深、唐家旋、呉儀といった外交政策の最終立案者が、「特使」のかたちで北朝鮮問題と取り組んだ。

  表向きはこのように冷ややかな中朝関係だが、実態としての「経済協力」は、中国の北朝鮮経済植民地化である。
 石油こそでないが、北朝鮮には鉱物資源(レアメタル)があり、中国企業は片っ端から鉱区利権を傘下におさめている。
 羅津など日本海へぬける港は中国が将来の出口として使用するためか、近代化工事が進んでいるという情報もある。また中国側からの援助は、そのまま金一族の利権となって一部の特権階級だけが肥える仕組みが確立している。

 先般の六カ国協議では北京が米国と北朝鮮を説き伏せて一応の合意をみたが、核廃棄は「宣言」されただけだった。
 日本人「拉致」問題は一顧だにされなかった(ちなみに中国では「日本人問題」と曖昧な表現でしか拉致問題の存在を伝えておらず、大半の中国人は知らない)。


▲四つの合意点の中味は?

 さて10月28日から胡錦涛・国家主席(共産党総書記)が北朝鮮を公式訪問し、二日間平壌に滞在して各種もてなしを受けた。

 北京側の訪朝の主眼は伝えられる限りでは「従来の中朝関係から脱皮し、中国にも利益となる経済交流や貿易を拡大したい」というところにあるという。 

 胡主席と金総書記が合意した「新しい中朝関係」は具体的に何なのか、いますこし判然としない。
 しかし北朝鮮が核放棄を確約した共同声明に関して「金正日総書記が(首脳会談で)共同声明を履行すると真剣に約束した」という記者会見がおざなりにあった。

 中国側は訪朝の成果を強調して、
  (1)引き続き密接なハイレベル間交流を行い、相互の意思疎通を強化する。 
  (2)交流の領域を開拓し、協力の内容を豊富にさせる。 
  (3)経済貿易協力を促し、共同発展を促進する。 
  (4)積極的に協力して歩調を合わせ、共通の利益を守る、などとした。
 
 対して北朝鮮は、これらの提案に賛同を示し、「国際情勢にいかなる変化が生じても、朝鮮は中国との友好を戦略的視点からとらえ、朝中両国の友情の発展を確固不動の戦略方針に据える。朝鮮は『一つの中国』政策を支持し、『台湾独立』の分裂活動にも反対する」と述べたらしい。 
  
 核問題の討論については『人民日報』が次のような会談内容を伝えている。
 「胡錦濤総書記は『各国の共同の努力の下で、四回六カ国協議は重要な段階的成果を上げた。中国は朝鮮半島の非核化という目標を堅持し、対話による平和解決の方向を堅持し、朝鮮半島と地域の平和・安定の保護を堅持することを主張する。朝鮮や関係各国とともに、共同声明が提起する全体目標の実行に努め、次の六カ国協議で新たな進展を得るよう推し進めていく』と発言した。

 金正日・総書記は『(北)朝鮮は朝鮮半島の非核化を堅持し、対話を通して問題を平和的に解決する立場を堅持する。朝鮮は共同声明には重要な意義があり、この成果は容易なことではないと考える。朝鮮はすでに承諾した約束に基づいて第五回六カ国協議には開催日に合わせて参加する」(「人民網日本語版」2005年10月29日)。 


 ▲血の友誼関係は消えた

 滞在中、金総書記じきじきの案内で胡主席は「大安親善ガラス工場」を視察したが、これは中国が無償援助したもので、中国が「協力関係の象徴」と呼ぶシロモノ。

 だが中国側の心情としては「食糧もエネルギーも依存しているのに、核問題で言うことをきかない北朝鮮への引き続きの経済支援は中国の国益に直接繋がらない」とする不満が聞かれる。
 遅浩田・前国防相や張万年・前参謀総長ら朝鮮戦争に実際に従軍経験があって、中朝は鮮血で固められた友情などというメンタリティは、いまの人民解放軍にさえない。

 しかしながら二国間の経済協力問題では、さらなる貿易拡大、企業間協力、中国の対北朝鮮投資増加などを協議し、「両首脳は中朝の伝統的友好関係を再確認し、さらに発展させていくことで一致した」と中国側スポークスマンも力説している。

 胡錦濤はマスゲームなどの観覧し、帰国日には平壌空港に金正日総書記はじめ序列2位の金永南・最高人民会議常任委員長、朴奉珠首相らが特別機の前に並んだ。

(文中の「銭基深」の基は「土」をとる。「深」は王扁。また唐家旋の「旋」も王扁)
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(読者の声1)貴誌29日付の第1277号(臨時増刊号)に、先頃北京清華大学に招聘され、高度最新鋭コンピュータプログラムの責任者に任ぜられたというプリンストン大学教授・ヤオ・チーチー(音訳不明)に関する記述がありますが、正しい名前及び補足事項を参考まで下記します。
 正しい漢字名は姚期智。1946年12月生まれの59才。貴誌はシンガポール生まれとしているが、正しくは上海生まれで、台湾育ち(台湾大学卒業)、米国で学業を修め、スタンフォード大学教授を経て、プリンストン大学教授。
姚期智は2003年からは清華大学で客員教授として講義を持ち、2004年6月には中国科学院から数少ない外国籍の院士に選ばれているようです。(と言っても、2004年6月時点で外国籍の院士は45人いた由)。さて、姚期智が「祖国の学問のために」と言えるのは、やはり上海生まれだからで、シンガポール生まれならばそうは言わないでしょう。
      (商社員)


(宮崎正弘のコメント)ご指摘有り難う御座いました。それにしても小生が持っている「中国人名事典」にも漏れている人物、よくご存じでいらっしゃいますね。
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(お知らせ1)11月25日は「憂国忌」です。
http://www.nippon-nn.net/mishima/index.html
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(お知らせ2)小誌は取材旅行などにより11月3日―4日が休刊の予定です。
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(サイト情報)日米両政府は、10月29日国防総省で防衛・外務閣僚による日米安保協議委員会(2プラス2)を開き、両国の安全保障同盟の強化で合意。沖縄の海兵隊7千人のグァムへの移動、航空防衛・テロ対策・人道支援などの強化、ミサイル防衛の一環として次世代のレーダー機器を日本に建設などについての中間報告。
(1)プレスリリース
Remarks With Defense Secretary Donald Rumsfeld, Japanese Minister of State for Defense Yoshinori Ohno, and Japanese Foreign Minister Nobutaka Machimura, Pentagon, October 29, 2005.
http://www.state.gov/secretary/rm/2005/55775.htm
(2)在日米軍の再編についての中間報告書 Security Consultative Committee Document - U.S.-Japan Alliance: Transformation and Realignment for the Future October 29, 2005.  PDF 14p. 
http://www.defenselink.mil/news/Oct2005/d20051029document.pdf
(3)普天間から辺野古への移転地図
http://www.defenselink.mil/news/Oct2005/d20051029map.pdf
(4)国防総省発行のニュース記事
http://www.defenselink.mil/news/Oct2005/20051029_3186.html
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