国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

全て表示する >

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/10/22

△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成17年(2005年)10月23日(日曜日)
     通巻第1266号  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ラムズフェルト国防長官の訪中は目的を達せたのか
 中国の軍拡、寸毫も変化の余地なく、訪中成果はあがらなかった
****************************************

 ラムズフェルド米国国防長官は中国・曹剛川国防相の招待により、10月18日から北京を公式訪問した。日本訪問をドタキャンのうえ、である。
 国防長官就任以来、じつに六年間、初めての中国訪問を胡錦涛国家主席・中央軍事委主席がもてなし、北京の人民大会堂でラムズフェルド国防長官と会見した。

席上、胡錦涛主席は「中米関係(米中関係)は全般的によい方向に発展している。両国の指導者は密接なコミュニケーションを保っており、双方は貿易経済、テロ対策、核不拡散、国連改革など重要な分野で効果的な協力を進めている」とよそよそしい内容を喋った。

ラムズフェルドの訪中最大の目的は中国の軍事力拡大への警告、牽制におかれていた筈である。

ラムズフェルド長官は胡錦涛主席との会見で、有人宇宙船「神舟6号」の打ち上げ成功に祝意を表しつつ、「両国が交流を深め、重要な国際問題で互恵の協力を強めることは非常に重要だ。今回の訪問では、両国軍隊の関係強化について中国軍の指導者と意見を交換した。両国の軍隊が軍事大学教育分野などの交流を拡大するよう希望する」とした。
この会見には曹剛川中央軍事委副主席・国務委員兼国防相、李肇星外相、熊光楷・中国人民解放軍副総参謀長らが同席した。
 
 さてラムズフェルド国防長官は、中国で何をしたか?
 第一に希望した中国版ペンタゴン(最高司令部、秘密基地)訪問は中国側の拒否により実現できず、替わってミサイル基地司令部を見学した。後者は外国人としては初めての見学となる。

 第二に軍幹部学校で記念講演をして、「アジア周辺諸国に中国を敵視している国がない。それなのに何故、中国は軍拡をするのか」と国際秩序の重視を訴えた。この演説基調は6月4日のシンガポールでの講演と軌を一にしている。
 これに対して曹剛川・国防部長は「中国の軍事費を過大視しているが、われわれの国防費は300億ドルだ」とか、へんてこな公式見解を繰り返すのみだった。

 ちょうどラ長官が訪中時、台湾のふたりの要人がそれぞれ逆の方向へ動いた。親中派に“転向”したかのような連戦・前国民党主席は夫妻で大連を訪問していた。五月以来貳回目、しかも今回は十日間の長期旅行である。連戦夫妻が大連のレジャー施設をあるく姿が台湾の新聞に大きく報じられた。

 もっと巨大な扱いで報じられていたのは李登輝前総統の米国訪問。アラスカ到着時には赤絨毯の国賓待遇。NYでの講演に引き続き、首都ワシントンでも記念講演を行い、中国は民主化しなければ希望がない、とした。

 他方、ワシントンはホワイトハウスをまとめ、国防政策の基幹をきめてきたチェイニー副大統領が体調優れず、第一線をはなれ、くわえてブッシュ大統領の側近中の側近で知恵袋のカール・ローブが機密漏洩の疑惑を掛けられて、ホワイトハウスは機能停止に陥っている。
 もしローブが告訴されたら、即座に辞任すると言明しているうえ、ブッシュ政権は来年秋の中間選挙で惨敗しかねない。政局をみてとる共和党候補のブッシュ離れが目立つ。

ローブヴの容疑は、ブッシュ批判の国務省高官夫人はCIA代理人だった事実をリークしたという、じつにたわいない疑惑。しかし側近がマスコミに追われ、ようするにブッシュ政権は内部結束に迫力を欠いているのである。

 こうした政治環境のもと、ラ長官は北京におもむいた。ブッシュ政権の内部の乱れを知悉する中国は適当におだてすかして、お茶を濁したのである。
            ☆ ☆ ☆
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(休刊のお知らせ)10月24日(月曜)付けの小誌は休刊です。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
<< 今月の拙論 >>
(1)「高千穂・壱岐紀行」(『自由』、11月号、発売中)
(2)「防衛努力が希釈化する台湾」(『月刊日本』、11月号)
(3)「“中国の次はインド”の次は、バングラデシュ?」(『エルネオス』11月号、10月30日発売)
(4)「三島由紀夫の日本回帰」(拓殖大学日本文化研究所編『季刊・日本文化』秋号)
http://blog.so-net.ne.jp/endoh-opinion/
 (上記の遠藤浩一氏のサイトで『日本文化』の申し込み方法の紹介があります)。
     ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
(読者の声1)10月21日に1999年にノーベル経済学賞を受賞したコロンビア大学教授ロバート・A・マンデルの講演を聴きにいきました。大部分は当たり前のことでしたが、以下の二点を興味深く思いました。
(1)IMFは中国に人民元の為替レートをフロートするように主張しているが、中国の国民にとっては、これは不利なことである。人民元が1ドル6元くらいになれば、外資は多く中国から引き上げ、デフレになり中国の国民は経済的に苦しむであろう。(「中国人の経済上の利益という観点から意見を言う立場に私はないが」、という前置きがアメリカ人経済学者の人間としてのあり方を見事に表現していておもしろかった。本質的にかれらは中国の一般人民の生活、苦しみなど歯牙にもかけていないのだ。)
(2)現在中国は外貨準備を非常に多くもっているが、同時に通貨の移動に関しての規制がある。通貨の移動を自由化すれば、多くの資金が海外で投資されたり他国通貨での中国人の投資が行われ、たちまちのうちに外貨準備がなくなり、中国は、デフレに陥ることであろう。(宮崎さんも先刻ご承知のように貿易黒字の大きさと外貨準備の伸びとの差異の大きさを考えれば、既に規制を逃れることのできる立場にいる人間は既にやっていることがわかる。)
今から4年前、世間では中国経済がインフレ基調にあるという主張が世の中を席捲していたとき、実は投機対象のものはインフレ傾向にあるが、中国経済は非常に大きなデフレ要因を腹蔵している旨、宮崎さん宛の電子メールに書いたことを思い出しました。そこでの私の論旨と脈絡を一致する議論が、本音の部分では一流のエコノミストの意見にも共通していることを興味深く感じました。
     (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント)1981年にレーガンがホワイトハウスに入ったとき、最初に「金問題委員会」を発足させ、すわっ。アメリカは金本位制に復帰か、と世論が湧きました。そのとき金本位を唱える強力な学者の一人がマンデルでした。
 かれの著作を日本で最初に翻訳したのは竹村健一氏。
 それから20年ちかい歳月ののちにノーベル経済学賞受賞。しかし金本位制復帰はまだ、展望も見えていない。
 さて人民元レートとドル固定相場制度を必死でまもる中国ですが、逆に石油代金の値上げに悲鳴を挙げているのも中国で、人民元を切り上げないと、原油高がインフレを引き起こします。げんにインフレが始まっておりますが、不動産がバブル破裂段階にはいって、物価高が目立ちません。
 また世界第二位の外貨準備高を誇る中国ですが、あの統計の水増しは、おそらく何か巨大なトラップが仕掛けられているのでは? と踏んでいます。
 純粋に経済理論から言えば輸出黒字を上回る外貨が貯まっており、直接投資は04年実績606億ドル、03年535億ドル。これらを単純に上乗せしても、中国の外貨準備は計算より遙かにおおい。
人民元安をまもるためにドル買いをやった所為でしょう。
 しかし、投機資金流入が一番の原因であり、原油高、インフレに対応させるために、人民元高誘導をやれば効果がある筈なのに出来ない。それは巨大な投機資金が逃げるからだ、と考えられます。


(読者の声2)下の紅白歌合戦のページの{ステップ4}に下記の注意事項があります。
http://www3.nhk.or.jp/kouhaku/vote/howto.html
 ただし【注意】とあって「一つのメールアドレスにつき1回のみの投票が可能です」とあり、さらに「投票で600曲リストから3曲、リストにない歌を1曲、合計4曲まで投票することができますが、4曲に満たない状態で投票した場合でも、もう一度投票することはできません」とあります。
つまり、リストに無い曲を一人1曲だけリクエストできます。小生は実際に投票してみました。ご協力よろしくお願いいたします。
(稲の子)


(宮崎正弘のコメント)これを国民運動にまで高める暇は(小生には)ありませんが、各ネットに呼びかけて「乃木大将」「海ゆかば」「仰げば尊し」など、日本人の誇りを謳う曲目を選びたいものです。


  ♪
(読者の声3)紅白歌合戦のアンケート、たしかに600曲のリストから3曲選ぶ仕組みですが、そのほか、好きな歌も曲名、歌手を書き込めるようになっています。「海ゆかば」の歌手はだれかというようなことになると、ちと迷いますが。小生、大月みやこ「白い海峡」、ちあきなおみ「喝采」、都はるみ「北の宿から」でいってみました。
     (NH生、新宿)


(宮崎正弘のコメント)同様なご意見、ご指摘をほかに四、五人からも頂きました。
       ◎○
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

<< 千葉建国塾 第3回 シンポジュウム >>

講師  湯沢 貞     前靖国神社宮司
    石 平      日中問題研究家
司会  石戸谷 慎吉   千葉建国塾顧問

日時 平成17年11月6日 午後1時(参拝)
講演会 午後1時30分 ーー 午後3時30分、懇親会 午後4時―――午後6時
会場 千葉縣護国神社(千葉市中央弁天 3-16-1  電話 043-251-0486)
会費  講演会 1,500円  含む玉串料(懇親会 4,000円)
神道、靖國神社、分祀問題、代替慰霊施設の問題、昭和殉難者(所謂A級戦犯)の問題に関して解りやすく解説されます。
お申し込み、お問い合わせは「千葉建国塾 事務局」
電話 043-421-5721 fax 043-421-2295 mail : fukumura@poem.ocn.ne.jp
     ♪
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

<< 台湾研究フォーラム 定例勉強会の御案内 >>

 宮崎正弘が「台湾海峡の近未来」について語ります!
 どなたでも参加できます!

 歴史教科書、靖国などで日本の内政に露骨に介入する一方で、東シナ海からはガスを盗掘、シベリアのパイプラインも日本から横取り。国連では日本の常任理事国を妨害。この傲慢な中国が、日本ばかりか、アメリカ東海岸へも届くミサイルを並べ、やがて台湾を侵攻しようと企て、アジア最大の脅威となっているのに日本は北京へ擦り寄るという外交的失態を演じ続けている。
 このままアジア情勢は戦雲たなびく暗い世界になるのか?
 台湾は本当に独立できるのか?
 世界最悪のファシスト=中華帝国は何時まで持つのか?

        記
日時   11月12日(土)午後1時半〜4時
場所   文京シビックホール・3階会議室1
講師   宮崎正弘
演題   「日本・台湾、そして中国」
会費   会員500円 一般1000円
懇親会  定例会終了後、会場近くで(懇親会別途会費3000円)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
        ♪♪♪
三島由紀夫没後35周年「憂国忌」!
    
 とき    11月25日 午後6時―9時(5時半開場)
 ところ   九段会館 大ホール
 参加費   おひとり 2000円(会場分担金として)
〜〜〜〜〜〜〜〜
当日のプログラム
〜〜〜〜〜〜〜〜
1800 開会挨拶(発起人代表 松本徹)
1805 神道儀式による鎮魂祭(乃木神社宮司による)
1840 「薔薇刑」秘蔵スライド上映と解説(細江英公)
1905 (休憩)
1920 シンポジウム「三島事件から35年、現代日本はどうなったのか?」
     井尻千男、入江隆則、サイデンスティッカー、西尾幹二、村松英子
2050 追悼挨拶(発起人代表)および閉会の辞

「憂国忌」(11月25日)の割引チケット受付中!
http://www.nippon-nn.net/mishima/index.html
(↑このサイトから申し込めます )。    

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    □ □ □
“サロン劇場”からお知らせ
    ♪ ♪ ♪
  三島由紀夫演劇の後継を自他共に任じられる村松英子さん主宰のサロン劇場です。久しぶりに広いお庭のある、由緒ある細川邸で、楽しい芝居が上演されます。
 
 アルフレッド・ド・ミュッセ原作 演出 観世栄夫
 “千慮の一矢“
 出演 村松英子、坂上二郎、川口敬史、村松えり、永島克ほか

 11月20日 → 12月4日まで(11月26日のみ休演)
 入場料  5500円 
前売り  サロン劇場(03)3945−5384
 芝居は一時間ていど、終演後参加自由のパーティが一時間ほど。
 場所は細川邸(文京区目白台1−21−2)
 (上演時間と日時)
 14時からの日は11月20,24,25,27,29,30及び12月3,4日。
 19時からの日は11月21,22,23,28,そして12月1,2、3日
   (いずれも開演30分前までに入場してください)
          ☆ ☆ ☆
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
       ☆    ☆
<< 宮崎正弘の最新刊 >>

『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
http://www.nippon-nn.net/miyazaki/saisinkan/
    ☆ ☆

<< 宮崎正弘のロングセラーズ >>

『中国よ、“反日”ありがとう』(清流出版刊、1400円+税)
『瀕死の中国』(阪急コミュニケーションズ刊、1600円+税) 
http://deserveit.jp/am/asin/4484052083.html

『中国のいま、三年後、五年後、十年後(改訂版)』(並木書房、1575円)
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円プラス税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
           ☆ ☆ ☆ ☆
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◎宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
小誌の購読は下記でご友人・知己・メル友の代理登録もできます。
http://www.melma.com/backnumber_45206/
(↑この左欄。過去4年分の小誌バックナンバーが閲覧可能です)。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(C)有限会社・宮崎正弘事務所2005 ◎転送自由(転載は出典を明記のこと)。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-08-18  
最終発行日:  
発行周期:ほぼ日刊  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。