国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/10/21

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成17年(2005年)10月22日(土曜日)
     通巻 第1264号  
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 やっぱりそうだった。民衆の抗議活動が74000件では少なすぎる
 中国公安統計は100人以下のデモ、抗議、スト、叛乱統計をくわえていない
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中国の国家公安部が「正式」に認めた中国民衆の反政府抗議行動は、ストライキ、座り込み、暴動、デモを含むが、昨年一年間だけで、実に74,000件を記録したと公表した。ちなみに一昨年は58,000件だった。

 「?」。
(この数字、少ないなぁ、というのが小生の感想だった。なぜならNYの留学生組織や、香港のメディアなどは年間二十万件をかるく越えるだろう、と言っていましたからね)

 謎が解けた。百人以下の抗議行動は勘定に参入していなかったのだ(『アジア・タイムズ』、10月20日付け)。

 10月に中国の内部情報がつたえた数字では、昨年一年間で襲撃を受けた交番が1826ヶ所! 殺害された警官は23人!
 それほど治安が悪化し、民衆が殺気立っている。「反日」ですべての悪政をすりかえようとしても、もはや効き目はないのだ。
民衆は「反共産党」で感情的には結束しているのだ。
 
 さてもう一つ重大な数字が公表された。
 それは「ジニ指数」である。

 ジニ指数とはイタリアの統計経済学者コルラド・ジニが発明した「不平等」をあらわす係数である。
 「1」が全ての富を一人が独占する経済社会。
 「0」は万人がまったく平等の社会である。
 中国のジニ指数は0.45。
 これは『人民日報』の2005年9月21日付けで、ちゃんとでている。

 つまり国冨の45%を一部の特権階級が寡占するという不平等そのものの社会であることを意味している。

 『人民日報』は、このジニ指数を伝えながら、「黄色信号が点滅」と警告した。
 それによれば、
 銀行に預金口座をもつ国民は10%。
 銀行預金の80%は、そのうちの20%の国民が保有している。
 つまり三億の国民がGDPの70%を稼ぐが、農民の大半は年間300ドル以下で暮らしている社会であり、富裕層の大半が沿岸部工業ベルト地帯に居住しているという現在の事実を、これらの数字が表している。

 1980年の中国のジニ指数は0・33だった。
 1992年、南方巡講のときには、0・37だった。
 それが、WTOに加盟した2003年に0・4。
 要するに「不平等」は年々歳々悪化していることになり、民衆の不満はますます昂進し、二年以内の国内暴動は10万件をかるく突破する。社会擾乱は目の前、という暗い予測が成り立つ所以である。
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(読者の声1)昨日でしたかNHKが国民の歌を募集しよう、なんでも応募可能とありました。ところが詳細を見ると、な、なんとNHKが先に選定した500から600の曲目のなかから選ぶシステムで、しかも、「海ゆかば」も「乃木大将」も「仰げば尊し」も入っていません。こちらの方がまたまた問題ですよ。
     (HJ生、静岡)


(宮崎正弘のコメント)そうだとすれば、巧妙に仕組まれた偏向ですね。ま、ジャリタレやら無国籍の唄を大声はりあげる歌手などが大河ドラマで主演している局ですから、予想はつきますが。


  ♪
(読者の声2)貴誌1262号の「読者の声」の質問に答えられて、宮崎さんが、新潮社から刊行中の「三島全集月報」に文章を寄せた、とあります。
次の通りです。
「(読者の声2)三年か四年前ですが、宮崎正弘さんが三島由紀夫全集の月報に御著書『三島由紀夫以後』と『三島由紀夫はなぜ日本回帰したのか』につづいて、三部作完結編『三島由紀夫の取材現場』を出されると書かれて居ました。で、その本はいつ頃刊行されるのでしょうか? 今年は没後35周年、先生の三島三部作完結編も是非よみたいと思います。」(UI生、秋田)」。
 と言う文章でした。さてそうなりますと、貴兄は三島三部作の最後の『三島由紀夫の取材現場』(仮題)を数年間に亘って取材されている由。
それで。三島全集の「月報」に寄稿されたのは、どういう文章だったのか、是非読みたいと近くの図書館へ行きましたが、悲しいかな、三島全集をおいておりません。差し障りなければ、再録願えませんか?
     (KS生、福島県三春)


(宮崎正弘のコメント)『三島由紀夫全集』に寄稿したのは四年前、以下の文章です。

===
 あの驚天動地の衝撃から早や33年、ちょうど川原の小石をとびこえるような時間的空間が感じられるだけで、私にとってもすべては昨日の出来事のようである。
 三島さんを介錯後、自らも自刃して果てた楯の会学生長・森田必勝君について、三島さんは命令書に「三島はともかく森田の名誉を回復せよ」と書かれた。
  森田は筆者の親友の一人であった。
 数年前、故郷の四日市に慰霊碑が建立され、銅像が建った。事件後、私は森田の実家に泊まり込んで日記を整理し、遺稿集「わが思想と行動」として編纂した。
 
それから四半世紀、畏友の中村彰彦氏が3年をかけて足跡の分からぬままだった森田の関係者を訪ね歩き、世に問うた労作が「烈士と呼ばれる男」(文春文庫)。遺稿集も第一級史料と評価が固まり、昨年には復刻版がでた(日新報道刊)。
 事件の直後に黛敏郎氏は三島さんの諫死を{精神的クーデター}だと比喩された。
 当時の大手マスコミは三島を国賊、犯罪者のごとく扱っていたため、文壇・論壇の人々はなかなか積極的に三島評価にたちあがらなかった。三島をあしざまに罵倒したほうがマスコミの主流に乗れると計算高い評論家も大勢いた。
 それでも林房雄、佐伯彰一、黛敏郎、藤島泰輔、山岡荘八、川内康範氏ら40数人がたちあがり、最初の三島追悼会を開催、1万人以上が結集した。凛烈な寒さのなか、会場のそとにまでファンが溢れた。これが「憂国忌」の原型になった追悼の夕べだった。翌71年2月、三島氏の思想と行動を通して日本を考えよう、との趣旨で三島由紀夫研究会の結成をみた。結成趣意書には{その祖国への愛と憂いを継承する}等と謳われた。
 
爾来、毎月一回、日本を代表するあらかたの知識人、教授、文藝評論家、アーチストなどが三島を論じたり、おもいでを語ったりの会が三島由紀夫研究会公開講座と銘打たれて33年、累計300回もの勉強会を続けてきた。毎年命日に開かれる「憂国忌」の母胎はこの三島研究会、学生、青年にくわえ、OLや劇団員、市井の人々、とりわけ若い女性の参加も目立つようになった。墓前祭も年に一二回、必ず行われる。 
 71年から追悼会は正式に「憂国忌」と銘打たれた。三島研究会内部では「潮騒忌」「金閣忌」「仮面忌」なども検討されたが、やはり憂国忌に自然と落ち着いた。
 しかし政治ばかりか文学、演劇、映画、スポーツの分野もカバーし、「芸術家三島」を追悼する国民的行事とすることが当初からの目的であり、いまも変わりない。
 発起人に川端康成、小林秀雄らが引きうけると著名作家、文化人、俳優、実業家、評論家、大学教授ら300名以上にふくらみ、たとえば山岡荘八氏は{白き菊、捧げ祭らむ憂国忌}とする献句をとどけてくれた。遠く海外からもサイデンステッカー、アイバン・モリス氏らからメッセイジが届いた。
 かくして林房雄、林武、保田与重郎、浅野晃、宇野精一、佐伯彰一、嘉悦庚人、竹本忠雄氏らに祭主は交代しながらも毎年毎年、祥月命日には憂国忌は確実に開催されてきた。 誰に言われたわけではない。それでも日本をなんとかしようと地下から沸き出てくる清流水のように、ひとびとは集まり、自費を投じ、時間を割いて憂国忌を盛大に行うことこそが三島・森田の荒ぶれた魂の安らぎになると信じてきたからである。

 変化は静かに訪れた。
 当初のかまびすしい批判をよそに二十五年祭には江藤淳、遠藤周作らも憂国忌発起人に加わり文壇中心の国民的行事になった。最近は浅田次郎、中村彰彦、中西輝政、久世光彦、高橋克彦、立松和平、古川薫氏ら数十名が新たに発起人に加わった。
 私自身の人生はこうして三島・森田追悼が中心になった。

いつしか三島さんの年を越え、50歳で大病したあと、「共有したあの時代のことを記憶のある裡に書き残しておかねば。。」と「三島由紀夫以後」(並木書房)を書き上げ、ついで私の三島論「三島由紀夫はいかにして日本回帰したのか」(清流出版}を上梓できた。

 残るは三島さんの作品の海外舞台を全て尋ね歩く評論なのだが、「暁の寺」のジン・ジャンが登場の薔薇宮殿、本多が衝撃を受ける印度のベナレス、「頼王のテラス」のアンコールトム、「アポロの杯」にみえるギリシアのデルフィの神殿など時間が出来ると飛び出して印象などを綴りあちこちに分載してきた。それでも「暁の寺」に鮮烈に描かれたエローラとアジェンダの遺跡や太陽に焦がれたコパカバーナの海浜とリオのカーニバルも未踏、なんとか三年以内には三島さんの世界旅行先を回り尽くし、拙著三島三部作の完結もみたい、と念じる日々であるーーー。
==(以上で、引用終わり)

 さて拙著三部作の参巻目の完成は遅れに遅れており、その後、寄稿にあるようにエローラとアジェンダは、たしかに二年前に訪れておりますが、「また会おうぜ、滝の下で」の、アジェンダの滝は夏枯れで、水がなかった。このときの印象記をじつは二年も経つのに、日常の雑務に追われ、また当座の取材の旅行はあっても三島追想目的の旅にでる機会がなかなかとれず、小生はまだ書き上げていません。
 というわけで、目標は来年!
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(お知らせ1)本日21日(金曜)深夜。(正確には22日午前零時)ラジオ日本「ミッキーの朝まで勝負」に宮崎正弘が出演します。午前0時から1時15分頃まで。
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(お知らせ2)地方講演旅行のため10月24日付けは休刊です。
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  • 疑問2006/09/29

    中国のジニ指数は0.45とのことですが

    日本のジニ指数は0.49ですよね

    けっして高くはないと思うのですが