国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/10/20

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成17年(2005年)10月21日(金曜日)
     通巻 第1261号  
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 中国の“前線基地”(Outpost)となったスーダン
  西側が制裁のなか、逞しく石油鉱区を開発、いまや一日=百万バーレル余。
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 ナイル川はスーダンが上流。その先はケニアの雪解け水。

 スーダンの首都ハルツームは内陸部に位置する。紅海への出口はポート・スーダン。戦略上の要衝である。
 このポート・スーダンから南へ25キロの海岸沿いに二百トンの収容が可能な石油ターミナル基地を構築したのは中国だ。
隣接するバシール港から日量60万バーレルのスーダン石油が船積み輸出される。仕向地? 大半は中国である。

 スーダンの推定石油埋蔵量は七億トン。向こう57年間は大丈夫と言われる(中国統計年鑑などに依る)。

 スーダンは1959年に中国と国交を結んだ。アフリカでは四番目の北京承認国だったが、かといってその後、密接な外交貿易関係があったわけでもない。
 93年に中国が突然、石油輸入国に転落してから、北京が俄然スーダンに近寄ったのだ。

 1996年、中国ナショナル・ペトロ(CNPC)は、四億四千万ドルを投じてスーダンのグレート・ナイル・ペトロ社の株式の40%を取得した。産油国との契約は生産量割り当て協定(PSA=Production Share Agreement)と結ぶのが定石。

 97年に中国はムグラッド油田に三つの鉱区を獲得した。これらは2005年に325、000バーレルの石油を生産する大動脈に化けた。

 そこで中国は鉱区から港へ1506キロにおよぶパイプライン工事のエンジニアリング部門など70%を分担した。ちなみに敷設費用は10億ドルで、このうち五億4000万ドルを中国が負担。
 同パイプライン工事は99年に完成、ハルツーム北方に精油所を建設し、2004年7月には日量70万バーレルの増産に成功した。いわば中国は宝の山をスーダンで最初に掘り当てた。
 
 2001年には前掲CNPCと中国石油(シノペック)が合計47%の株式をもつ合弁「ペトロダール社」を設立し、メルト油田に幾つかの鉱区を開発した。同油田は2006年にフル操業に入ると予想されるが、周辺の油田も片っ端から開発し、現在日量17万バーレル。


 ▲次々とスーダンの石油鉱区に触手

 もう一つある。
 03年にCNPCは西コルドファン油田から730キロのパイプラインを敷設し、さらには精油所を日量10万バーレル可能に改装工事を提案した。
 この工事は3億4000万ドルかかるとされるが、CNPCは全額負担を申し出た(これ一つだけでも中国がカザフスタン全体へ投じている金額より多い)。

 99年にスーダンから中国が輸入した石油はたったの26万トンで全体の輸入石油の1%以下だった。
 それが2000年には330万トンに及び、中国全体の4・7%。そして02年統計は643万トン(輸入石油全体の9・3%)。おそらく現時点では一割以上。
 スーダンは中国にとって枢要な戦略拠点となった。
 いまや中国にとってサウジ、イラン、オマーンについでスーダンは四番目の石油供給国である。

 そこで中国はスーダンの発電所、ダムへの出資を続け、全体で17億ドルもの発電関連プロジェクトを中国政府の借款でまかなっている。
 スーダン最大のダム建設と送電線工事も中国が融資し、なんとスーダンの全発電量の半分が中国出資分による発電施設からである。

 石油の副産物であるポリプロボリエンの製造企業や化学工場にも中国が巨大な投資を開始し、同時にスーダン政府の建物、病院などの建設も中国の企業が入札でつぎつぎと商談をまとめ、総合計は150億ドルに及ぶ。

 それにしても何故スーダンに浸透した企業が中国だけなのか。
 理由は簡単である。
米国の対スーダン経済制裁と直結する。米国オキシデンタル・オイル、シェブロンなどは「治安悪化」を理由に92年に撤退。カナダやスエーデンも投資を減らし、フランスのトタル・フィネ・エルフ(現エルフ社)もスーダンとの開発契約までには至らなかった。こうした西側の間隙を中国はタイミングを選んで、すかさず衝いたわけだ。


 ▲武器輸出を一応は抑制しているが。。。

 もっとも西側は93年以来、タルフールで起きている部族衝突に対して、スーダン政府の血の弾圧措置を厳重に監視している手前、中国はスーダンに対してミグ21戦闘機を7機供与した(ほかのボロ戦闘機を含めると24機)が、そのほかには大砲、火器、銃などの通常兵器にとどめた。スーダンの輸入兵器の78%は、いまもロシア製である(ジェイムズタウン財団発行『チャイナ・ブリーフ』、10月14日号)。
 
 スーダンに治安が回復されれば、欧米メジャーが復帰するのは火を見るより明らかであり、中国がいま急ピッチで展開している作戦は「可能な限り早く、可能な限り多く」のスーダンの鉱区利権を抑え、そのためには軍を大量に「民間作業員」「エンジニア」と偽ってでもプロジェクトに投入し、あらゆる工事の完成を達成することにある。

 で、スーダンで何処にあるの? 日本の外務省って何をやっているんでしょうか?
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(読者の声1)N=のり、H=はさみ、K=紙。つまり(NHKは)「個性の無いスクラップ・ブック」と思っていましたが、最近は明らかに“新左翼”か、何かで、呆れてモノが言えません。
(あの放送局のOB)


(宮崎正弘のコメント)朝日新聞よりNHKのほうが凄まじく偏向してきた局部がありますね。教科書問題、北朝鮮問題しかり。
 比例するかのように『WILL』の朝日、NHK批判特集。爆発的に売れている現実は、国民がふたつのメディアの態度に飽いた証拠でもあります。


   ♪
(読者の声2)三年か四年前ですが、宮崎正弘さんが三島由紀夫全集の月報に御著書『三島由紀夫以後』と『三島由紀夫はなぜ日本回帰したのか』につづいて三部作完結編『三島由紀夫の取材現場』を出されると書かれて居ました。
 で、その本はいつ頃ですのでしょうか。今年は没後35周年、先生の三島三部作完結編も是非よみたいと思います。
      (UI生、秋田)


(宮崎正弘のコメント)つい先々週ですが、ちょっと二日ほど時間の合間が出来たので、今度は西伊豆の田子、黄金岬を訪ね、土肥からフェリーで清水港へあがり、それこそ余計な所ではありますが、次郎長の生家まで見学して帰京しました。
西伊豆の田子は、三島さんが『剣』の舞台とした所、主人公の国府次郎らが合宿する円隆寺(現地は円成寺)はトンネルをでた高台にありました。黄金岬は『獣の戯れ』の舞台です。父親の梓さんが揮毫した文学碑が建っています。
清水は、『天人五衰』の安永透という男が登場する燈台があります。
 さて五年がかりで、今も時間をみつけて書きついでいる『三島由紀夫の取材現場』(仮題)ですが、なにしろ、これは三島さん45年の生涯の中で取材にいったNY、パリ、ニューオーリンズくらいならまだしも、インドのベナレス、アジェンダ、エローラ、タイの暁の寺、カンボジアはアンコール・トム(『瀬王のテラス』の舞台)。国内では四部作『豊饒の海』にでてくる美保の松原の燈台から、『奔馬』最終場面で飯沼勲が自決する西伊豆の別荘、大神神社、円照寺、古河庭園、等々。なかなか廻り切れません。
 一年に一回か、二回、時間があるとさっと出掛けております。
熊本は『奔馬』の舞台で、五年ほど前、かなり精密に廻りました。来年こそは上梓に漕ぎ着けたい!
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(お知らせ1)21日(金曜日)深夜。ラジオ日本「ミッキーの朝まで勝負」に宮崎正弘が生出演します。
正確に言いますと、22日(土曜日)午前零時から一時15分ごろまで。冒頭に君が代を出演者全員で合唱します。
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(お知らせ2)宮崎が地方講演のため小誌は10月24日付けが休刊となります
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 宮崎正弘が「台湾海峡の近未来」について語ります!
 どなたでも参加できます!

 歴史教科書、靖国などで日本の内政に露骨に介入する一方で、東シナ海からはガスを盗掘、シベリアのパイプラインも日本から横取り。国連では日本の常任理事国を妨害。この傲慢な中国が、日本ばかりか、アメリカ東海岸へも届くミサイルを並べ、やがて台湾を侵攻しようと企て、アジア最大の脅威となっているのに日本は北京へ擦り寄るという外交的失態を演じ続けている。
 このままアジア情勢は戦雲たなびく暗い世界になるのか?
 台湾は本当に独立できるのか?
 世界最悪のファシスト=中華帝国は何時まで持つのか?

        記
日時   11月12日(土)午後1時半〜4時
場所   文京シビックホール・3階会議室1
講師   宮崎正弘
演題   「日本・台湾、そして中国」
会費   会員500円 一般1000円
懇親会  定例会終了後、会場近くで(懇親会別途会費3000円)
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◎宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
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