国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/10/14

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成17年(2005年)10月14日(金曜日)
       通巻 第1255号  
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アメリカにも小泉雪崩現象を選挙結果として期待する民主党
共和党不人気現象を梃子に06年の中間選挙で「地滑り勝利」を夢想
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 現職の共和党下院議員の支持率は32%、逆に52%が現職に不満と言う(NYタイムズ、10月13日付け)。

 「イラク」、「ハリケーン」がブッシュの支持基盤風土をがらりと変えた。
 アメリカの有権者の過半が反対党の出現を望んでいるのだ。

 NBCと「ウォールストリート・ジャーナル」の合同世論調査でも、48%が民主党の勝利を望んでおり、共和党現職の現状維持は39%とでた。

 ま、移り気なアメリカ人のことゆえ、これらの数字に一喜一憂する必要はないが、「この世論に力をえた民主党は94年の「現職妥当」作戦を来年の中間選挙で採用する模様」だと前掲NYタイムズが分析している。
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(お知らせ1)日本文化チャンネル「櫻」で、中国経済特集の三時間討論番組があります。明日(10月15日、土曜日)放送の予定。宮崎のほかに青木直人、黄文雄、藤井厳喜、小山和伸氏ら出演します。司会は水島総氏。
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(お知らせ2)小誌は10月17日号を休刊します。次号は10月18日付けを予定。
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<<今週の書棚>>

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岡田英弘『誰が中国をつくったか』(PHP新書)
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 いつものように歯切れのいい「岡田節」が全編を覆う。
要するに中国なるものの、実態とまやかし、かれらの言う「正史」とは、いったい如何なる中華的発想からきているのか、この一冊から知的冒険の旅が始まる。
 副題にあるように「中華思想」とは、「負け惜しみの歴史観」である。
 冒頭からこのような衝撃の内容ではじまる。「歴史とは中国語起源のものではない」、「日本語からの借り物」だとも。
 うっ。ならばそれまでの歴史はやはり改竄とすり替えと想像? いえいえ、中国語の「歴史」は「役人のつける帳簿」のことです、とばっさり。 
 秦の始皇帝は初めて中国的帝国を出現させては見たが、「漢字は中国ではごく少数の支配階級の人、しかも特殊な訓練を受けた人しか読めず、決して大衆の文字ではなかった」と岡田氏はずばり本質を抉っている。
 司馬遷が『史記』で言いたかったこととは、「要するに武帝こそが正統の天子と言うこと」でしかなく、しかし後世の「正史」とは、『史記』の通りに書かなければならず、一切の齟齬が認められない。つまりは「『史記』の通りでなければ歴史とは認められなくなった」
 だから、中国では様々な変化、事件は逐一書くに値しないこと、「歴史の記録に値しないことになった」。
 つまりはこういうことだ。岡田氏は断定する。
 「司馬遷の『史記』によって、中国文明における歴史の性格は決定した。皇帝が統治する範囲が『天下』すなわち世界であり、『天下』だけが歴史の対象である」(62p)。
 こうして目から鱗の歴史講座がつづく。熱血の語り口、独自の世界観、まさに岡田節の真骨頂が冴えている。


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中村彰彦『座頭市から新撰組まで』(双葉文庫)
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 全国の藩校跡をあっちこっちに訪ね歩いた重厚な歴史紀行があるかと思えば、新撰組紀行という洒落た旅行記もものにする最近の作品は、歴史作家、中村彰彦氏の新境地?
 宮脇俊三さんの鉄道紀行の取材行に、文春現役時代の中村さんは二十回ちかくお供しているという。グアム、タイ、ミャンマーなど海外も含めて。
 本書は一つのテーマに絞り込んだ紀行文ではなく、あちこちの紀行短編集として編まれたものだから、話題は韓国の倭城跡から日露戦争の舞台となった旅順、水師営。かとおもいきや、恐竜をもとめて、アメリカの恐竜博物館をめぐる紀行まで、バラエティに富んでいる。
 個人的には一番面白く読んだのは山本周五郎『楡の木は残った』の史跡をめぐる旅日記。本物の楡はどこに残っているか? 探している裡にトある温泉宿にとまった。そこには見事に楡の木があった。
 ところで、本書には小生の名前が三カ所に亘って登場するが、氏と一緒に海外も国内の温泉もよく行くからだろう。ただし楡の木の取材は同行しておりませんが。。。
 重厚な小説や難解な哲学論議に厭きたとき、息抜きにもなる軽い読み物になっている。


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予告編 坂本多加雄選集(全貳巻)が藤原書店より10月25日同時刊行
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 三年前、急逝した坂本多加雄さんの選集「近代日本精神史」と「市場と国家」が10月25日に全2巻が同時発売になります。各巻8400円が、貳巻セット(送料込みで15000円)。申し込みは info@fujiwara-shoten.co.jp
 問い合わせ(03)5272−0301 藤原書店
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(今月の拙論)
!)「高千穂・壱岐紀行」(『自由』、11月号、発売中)
!)「防衛努力が希釈化する台湾」(『月刊日本』、11月号、10月22日発売)
!)「“中国の次はインド”の次は、バングラデシュ」(『エルネオス』11月号、10月30日発売)
!)「三島由紀夫の日本回帰」(拓殖大学日本文化研究所編『季刊・日本文化』秋号、発売中、展転社)
 ほか。     ◎
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(読者の声1)貴誌1254号再録の「M&Aの時代」論文ですが、『正論』5月号に掲載のときも読みましたが、ビビッドな欧米企業の動きを織り交ぜ、M&A関連用語が判り易く解説されていて、再読再々読に耐えうる秀逸な論であります。
 ひとこと感想まで。
   (HN生、丸の内)


(宮崎正弘のコメント)村山ファンドやら、楽天やらが、ほりえもんのあと、騒がれていますが、80年代のピケンズなどの活劇を体験し、あの時代のアメリカのM&Aの活劇を何冊か単行本にも書いた身としては、「村上ファンド」も「楽天」も「TBS」も、漫画ていどのレベルですね。
ほりえもんが登場し、フジテレビがあれほどやられていたのにTBSがその後も、防御措置をとっておらなかったというのは経営の無能いがい、表現の仕様がないでしょう。


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(読者の声2)三島由紀夫の「豊饒の海」の2巻目『奔馬』(個人的主観では「海」の中では「奔馬」 がいいと思います)で、輪廻転生した勲が本多に見出され、かつ、テロの後、自害する重要な舞台が奈良県桜井市の三輪山であります。取材で三島が訪れた筈なら記念碑の類があるのではと思い、桜井市の観光課に問い合わせてみたところ、あるようです。
滝はフィクションだろうと思っていると、これもまたモデルになる滝があるのでした。高校大学とこつこつ三島を読んでいました。その影響で少しだけボディビルもやりましたが、ふいに三島が嫌になって、かなりの期間遠ざかっていました。今年は35年忌でもあり、自宅からも近いので、ぜひとも訪れてみたいと思います。
宮崎先生も関西に来られた時にはぜひとも立ち寄って下さい。桜井で講演会をなさればよいのでは!? お待ちしております。(カイルN) 
 下記は桜井市産業経済部観光課から頂いた返信です。
「まず、三島由紀夫の碑のある場所ですが、大神神社(おおみわじんじゃ)の境内の奥にある狭井神社(さいじんじゃ)の手前、参道横の池の畔にあります。碑には「清明」という文字が刻まれています。 
 小説に出てくる滝ですが、狭井神社から三輪山に入ってしばらくいった所に 
ある三光滝(さんこうのたき)といわれる滝がモデルになっているといわれています。ただし、滝の所まで行くには、狭井神社で三輪山入山の許可を受けていただく必要があります」。
詳しくは、大神神社社務所(!) 0744−42−6633)へお問合せいただければと思います。 
 

(宮崎正弘のコメント)大神神社(三輪山)には事件の翌年に訪問し、もちろん滝にも行きました。二年ほど前にも近くの街で講演した帰り、大神神社を見学しましたが、そのときは滝までは行きませんでしたけれども。
 『奔馬』の舞台は多くて、勲が自刃する伊豆山の別荘は熱海ですが、どの別邸を三島さんがモデルとしたのか、特定されていません。
『春の雪』の松枝清彰邸の舞台は古川庭園、『天人五衰』の燈台は美保の松原。。。色々と特定されているものが多く、円照寺の庭は、奈良の山村御殿、これは皇室にゆかりの深い、門跡寺でもあって、なかなかみせてくれませんが、二回通ったときに、なかに入れてもらえました。
まったく、三島さんの描写とそっくりでした。
 櫻井市は保田輿重郎先生が御健在のおり、何回かうかがいました。お葬式も櫻井でした。
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三島由紀夫没後35周年「憂国忌」は来月25日です !
http://www.nippon-nn.net/mishima/
        記
 とき    11月25日 午後6時―9時(5時半開場)
 ところ   九段会館 大ホール
 参加費   おひとり 2000円(会場分担金として)
 当日のプログラム 開会挨拶(発起人代表 松本徹)、神道儀式による鎮魂祭(乃木神社宮司による)、「薔薇刑」秘蔵スライド上映と解説(細江英公)
 (記念シンポジウム)「三島事件から35年、現代日本はどうなったのか?」
     井尻千男、入江隆則、サイデンステッカー、西尾幹二、村松英子
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●「憂国忌」(11月25日)の割引チケットの受付サイト ↓
http://www.nippon-nn.net/mishima/index.html
(当日2000円を1800円に割引)
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<<宮崎正弘の最新刊>>
絶賛発売中 !
『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』
(並木書房、1575円)
http://www.nippon-nn.net/miyazaki/saisinkan/

<<宮崎正弘のロングセラーズ>>
『中国よ、“反日”ありがとう』(清流出版刊、1400円+税)
『瀕死の中国』(阪急コミュニケーションズ刊、1600円+税) 
http://deserveit.jp/am/asin/4484052083.html
『中国のいま、三年後、五年後、十年後(改訂版)』(並木書房、1575円)
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円プラス税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
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◎宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
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  • 匿名希望日本人2005/10/14

    中国広州の近郊の村で、汚職の村長に対する合法的罷免運動が、当局により弾圧へ





    広東省広州市番禺区魚窩頭鎮太石村(TAISHI村)という人口二千人の村で、村民委員会主任(村長)罷免運動が発生して、弾圧を受けて多数の死傷者が出ている模様。  これは、中国国内の新聞では一部しか報道されていないが、香港発行の亜州周刊(2005年10月2日号)などが詳しく伝えている。



    背景としては、太石村の耕作可能農地約3000ムー(1ムーは667平方メートル)のうち、2000ムー強の農地が、ここ10年以内に村民の同意なしで工場用地として収用されたが、村の経済は停滞、財政も赤字続きだった。



    農地を失い、貧窮化した農民側は、村長(村党支部書記兼村委会主任 陳進生)と『高級領導』数名の不正を疑い財務公開を要求した。

    この要求が拒否されると、『中華人民共和国村民組織法』や『広東省村務公開条例』の規定に基づき、罷免に必要な800名数の署名を集め、7月29日『罷免動議』を広州市番禺区民生局に提出した。



    同民生局は確認作業を行い、800名の署名の内、584名の署名を合法とし、太石村合法選民の五分の一を超えて、法律規定の罷免必要人数に達したことを確認した。





    8月16日より、当局は警察を動員し、不法に村民民権護持代表の馮秋盛や梁樹生などを拘束、80歳の馮さんという老婆を骨折させた。

    その後、同じく 村民民権護持派の呉志雄(退役軍人)なども拘留所入りとなった。



    9月11日、広州市番禺区民生局の確認に基づき、太石村の罷免選挙が公布された。



    9月12日には、番禺区政府は60台余りのパトカーを出動させ、機動隊や治安隊員千人近くを太石村に進入させた。 その間、警察部隊は太石村に通じるあらゆる道路を閉鎖し、その後、消防車の高圧水を、会計室を守っていた女性の村民に向けて間断なく噴射した。その結果、現場にいた数十人が地面に倒れ、けが人が出た模様。



    9月16日に罷免委員(七人)選挙が行われ、陳進生村長を含む共産党支部推薦の7名は全て落選し、村民側7名の候補者が選出された。 村民民権護持派の呉志雄(在拘留所)が最高得票を獲得。  その後10月7日に開催予定だった村委員会で、正式に罷免される手筈となっていた。



    当局側は警察を動員して村民多数を拘束。 加え一日一人100元で人を多数雇い村を封鎖。 村民に署名撤回の圧力をかけ、罷免委員も9月末までに全員が辞退、当局側候補者が繰り上げ当選、村長は罷免を免れた。地方当局が経済発展を名目に開発業者と癒着、「失地農民」を力で押さえ込んだ。





    9月26日、弁護士の唐荊陵氏、郭燕氏、広州中山大学教授・艾曉明氏と鳳凰週刊紙記者が番禺区沙湾大橋付近で暴漢に襲われた。



    10月9日、英紙ガーディアン記者ベンジャミン・ジョフ-ウォルト氏と湖北省の人民代表・呂邦列氏(Lu Banglie 日本で国会議員にあたる)が暴漢に襲われ、呂氏は撲殺された。



    日本の大新聞は沈黙を守っている。