国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/08/30

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年) 8月31日(水曜日)
        通巻1217号 
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ブッシュは“外交的に麻痺状態”に陥ったのか? 
 ネオコンの代表格ロバート・ケーガンがまたまた吠えた
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 ロバート・ケーガンは、イラク戦争突入まで、「アメリカは“リバイアサン”のごとくに強い意志と軍事力の保持によって畏怖を世界に与え、秩序安定に貢献する」とした。
 同時に対米協力を渋り始めたヨーロッパを独特の文明観で批判した。

イラク戦後処理の泥沼化によって、ブッシュ政権のなかで外交をリードした感のあったネオコンは影響力を希薄化させた。
 イラク戦争の立案者、ポール・ウォルフォウィッツ(前国防副長官)は「世界銀行へ左遷された」(ケーガン)という認識である。ならばジョン・ボルトンの「国連大使」も左遷なのか?(小生は国際的な大枠の改編に登用したと解釈したが。。)。

 イラク戦争の泥沼、国内の反戦運動の復活と北朝鮮の核武装に対してブッシュ政権の醒めすぎた対応。イラン核武装への切歯扼腕。いやはやブッシュ政権はいったい何をやっているのか、と米国愛国者の立場から疑うのも無理はない。
 
 衝撃的なネオコンの衰退を象徴したのはイスラエルのガザ入植地からの撤退である。
 ブッシュ政権下ではあり得ない、と考えられたことが起こった。これに比べれば小泉の「郵政解散」など、寝言の類いだろう。

シャロン首相自ら、あの熱狂的領土拡張の「大イスラエル主義」のシャロンが、政敵ネタニヤフ(元首相、前蔵相)を閣外に放り出し、与党リクードを分裂の危機に晒してでも、ガザから撤退を命じ、逆らった愛国的入植者を実力排除、逮捕した。

 ブッシュのいまの外交を「麻痺状態」と表現したケーガンは、この米国の衰弱的外交退嬰の典型を最近のエジプト政治への介入度に見る。

 ムバラク大統領は九月七日に大統領選挙で「四選」されるだろうが、七月にエジプトを訪問して演説したライス国務長官は、日頃の輝きを失い「自由と民主主義」をレトリックとして用いただけだった。つまりムバラク独裁にしばらく目を瞑るということである。

 ライス国務長官は「エジプトの大統領選挙と引き続く国会議員選挙に欧米から選挙監視団を送り、メディアの野党的活動をも支援する」ことを建議したが、ムバラク大統領から拒否されても、引き続き強い要請を繰り返さなかった。

 これはイラク介入投書のネオコンのマニフェストだった「中東全域民主化」を強い決意でやり遂げようとするブッシュ政権の姿勢後退と捉えられた。米国はエジプト民主化をあきらめたのか?

 そうではないだろう、とケーガンは推測する。

 「(完全な自由選挙を取り入れて)ムバラクが負ければ、エジプトもまたイスラム過激派、イスラム原理主義の跳梁跋扈をみるだろう。自由も民主主義も、現段階はレトリックでよく、イラクとイラン情勢を眺めるだけでも、これ以上エジプトも反米化することに(ブッシュの中東民主化構想の後退があろうがなかろうが)、現実的アプローチを重んじれば、ムバラク転覆というシナリオだけは耐えられないからだ」(ワシントンポスト、8月29日付け)。
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(読者の声)先般、名古屋の熱田神宮で先生のお話を二時間たっぷり伺いました。東京になかなか出られないので、待望の機会でしたし、御講話は大手新聞ではなかなか読めない、中国人と中国そのものの真相、驚くほどのおぞましき本質を余すところなく網羅され、こういう貴重な話をタダで聞かせていただいていいのかな、と熱田神宮さんの文化講座に感謝しました。
 ところで、それから貴誌がしばらく停刊されていたので、どうしたのかと案じておりました。毎日先生のメルマガが来ないと寂しい思いになります。再開第一号で、その後、旅行を続けられていたことを知りました。ほかのブロガーの人は携帯パソコンで旅先でも配信しているようですが、毎日読みたい身としては、このことまで望むのは無理でしょうか?
   (HM生、江南市)


(宮崎正弘のコメント)小生は携帯電話も持っていない、いはば文明に逆らう日常です。せめて旅先くらいはパソコンからも離れて、本を読みたい心境です。というわけで小誌は旅行中休刊という方針を続けます。どうかご了解のほどを!
 ついでにもう一つ、メルマガのシステムに小誌への「書き込み」がかなりありますが、殆ど読んでおりません。賛否両論おおいに結構ですが、小誌へのご意見は投書でお願いします。
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