国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/08/30

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年) 8月30日(火曜日)
        通巻1216号 
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九月7日、胡錦濤訪米は大荒れの“歓迎“を受けそう
 民主派、アムネスティ、法輪功などが「胡は人権抑圧者」のデモ
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 九月七日は目前、胡錦濤主席は初めての「公式訪問」でワシントンを訪れ、メキシコを訪問後、再び米国入りし、国連総会で演説する。
(日本の常任理事国入りは国際秩序を壊す云々とでも演説するのかね)。

 さて胡錦濤主席をむかえる米国の「歓迎準備」はかなり荒々しくなった。
 第一に国務省は胡の訪米を「公式訪問ではない」と強烈なアッパー・カットを繰り出して北京の面子を失わせしめた。

 第二はアムネスティ・インターナショナルなどが、反中国の集会デモを計画していることだ。ここには労働改造所問題で全米から注目されるハリー呉の組織も加わるという。
 とくに法輪功は全米から会員の組織動員を図り、胡の行く先々で「人権蹂躙」「暴政無法者」と胡錦濤にレッテルをはって全米市民に中国共産党の本質を訴える。
 
 第三に米国連邦議会は「反中国」ムードが枯れておらず、一部の通商議員は「制裁」を、金融議員は「いまひとたび人民元切り上げ」を要求する。民主党リベラル派は人権抑圧状況をやめるよう、強くよびかける。
 外交筋は北京のチャランポランな北朝鮮の核問題への対応で、不満が渦巻いている。

 第四に全米マスコミの中国論調が依然として厳しいことで、訪米直前の、わずか2・1%の人民元切り上げ措置や、「中国の春」などが要求している民主活動家の釈放に対して、僅か数人の釈放でお茶を濁そうとするなどの、いわば小手先のジェスチャーに激しい不快感をつたえている。
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(読者の声)昨今、平泉澄に凝っています。どなたかが何処かに、「石原莞爾と平泉澄を東京裁判で戦犯としなかったのは云々・・」と書いていたので、平泉氏に興味を覚えて同氏の著作を図書館から借り出しました。
いま手許に『日本の悲劇と理想』があります。
この中で近衛文麿をベタ褒めしています。 同氏が近衛の政策ブレーンだったことを割り引いても、近衛を評価すべき処は多とすると思います。大正七年28歳で書いた 『英米本位の平和主義を排す』や昭和九年44歳で書いた『国家主義の再現』には現在の政治状況にそのまま通ずる鋭い考察が書き込まれています。最近東条英機を再評価する動きがありますが、青酸カリを仰いできっぱりと死んだだけでも、近衛はりっぱでした。
 『英米本位の平和主義を排す』に次のような件りがあります。
(引用始め)「吾人はわが国近時の論壇が英米政治家の花々しき宣言に魅了されて、彼等の所謂民主主義人道主義の背後に潜める多くの自覚せざる又は自覚せる利己主義を洞察し得ず、自ら日本人たる立場を忘れて、無条件的無批判的に英米本位の国際連盟を謳歌し、却ってこれを以って正義人道に合すと考ふるが如き趣あるを見て甚だ陋態なりと信ずるものなり。吾人は日本人本位に考えざるべからず。・・・ 吾人の日本人本位に考えよとは、日本人の正当なる生存権を確認し、この権利に対し不当不正なる圧迫をなすものある場合には、飽く迄も之と争ふの覚悟なかる可からずと云う也。これ取りも直さず正義人道の命ずるところなり。自己の正当なる生存権を蹂躙せられつつも尚平和に執着するはこれ人道主義の敵なり。平和主義と人道主義は必ずしも一致せず。吾人は人道の為に平和を捨てざるをべからず。・・・(引用終わり)」

これが書かれた1918年当時、「此の論文は、当時一般の論調に比して、極めて特異なる独創的見解でありました。」と平泉氏は述べています。第一次大戦に敗れたドイツを貶す者は居ても、勝った英米を非難する論調は珍しかったのです。これを読むと現在連合国(国際連合とも呼ぶ)の安保理常任国になろうと画策している害務省(外務省とも書く)や、 無闇に中国にへつらい、いたずらに北朝鮮に融和的であったりする、腰の引けた政治家たちを想起せざるをえません。 生存権を蹂躙されたら干戈を交えることを辞さないとの決然とした表意は立派です。 ただただ平和に執着してはならないと云うは、国家存続の要諦を衝いています。 幣原喜重郎の展開した協調外交の悪果を予見していた近衛文麿には、たいへんな才気が煥発していたのです。「名門に生まれて二十八歳、白馬銀鞍の貴公子でありながら、一世の風潮に反して英米の宣伝に屈せず、堂々と之を論破して屈せざる勇気に対しては、真に驚嘆の外はありませんぬ。」と平泉氏は評しています。

『国家主義の再現』では、明治維新の精神が、維新を断行して後、いくばくも無く崩れるに至ったことを歎いています。 明治維新の精神を乱したものとは、フランス革命が齎した外来思想らであって、これに感染した国民は大正の初期において国際主義に追随し、その結果は「不戦条約の締結に当たって、イギリスは各種の留保をしたにも拘らず、日本は既得の利益権を総て、根こそぎ放棄したという不面目極まる失態を演じて、史上に汚点を残したのである。」と論展しています。 時代の風潮論調に流されず、国益の観点から国際的事態を鋭く俯瞰している目線の高さと明敏さには感服します。 平成の日本に第二の近衛が現れてほしいものです。
       (しなの六文銭)


(宮崎正弘のコメント)随分と古い本をお読みのご様子。小生ら学生のときに必読といわれて毎月買わされていたのが『少年日本史』でしたかね。平泉学派は、その後昭和40年代まで各界に強い影響力がありましたが、いまは影が弱まりました(とくに文部科学省で)。
 そう言えば先日も友人との会話で飛び出してきた或る書物があります。
筆者は昭和41年生まれの京都大学出身の政治学者で、現在は京都産業大学教授です。読売新聞の書評欄にも出たのですが、「田中卓先生などいわゆる平泉学派以外の人で平泉澄をよくここまで読み込んだものだと感心した。公平な評論ですが、心情的には平泉澄賛美の様に思えます。是非ご一読を」とその友人からアドバイスをもらいました。
下記がその書物です。
「丸山真男と平泉澄」 植村和秀著(柏書房、3800円)
       ☆☆☆
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(サイト情報)国連は今年創設60周年を迎えますが、9月の国連総会特別首脳会合開催を前に、米国務省国際情報プログラムIIPでは特別サイトを設けています。
(1)The United Nations at 60 Interational Information Program, U.S. Department of State http://usinfo.state.gov/is/international_security/UNGA_2005.html
(2)ファクトシート Fact Sheet - Profile of the United Nations: Beginnings, Purpose, and Structure Department of State
(3)http://www.state.gov/p/io/fs/51371.htm
米国国連代表部の国連改革に関するサイト United Nations Reform: U.S. Statements, Fact Sheets U.S. Mission to the United Nations
http://www.un.int/usa/reform-un.htm
(4)6月に発表された国連についてのタスクフォースの報告書 American Interests and U.N. Reform Report of the Task Force on the United Nations United States Institute of Peace, Washington, D.C. June 2005. 154p.
http://www.usip.org/un/report/usip_un_report.pdf
(5)7月21日米上院外交委員会で行われた国連改革についての公聴会では、上記タスクフォースの委員長を務めたニュート・ギングリッジ、ジョージ・ミッチェル両元議員が証言。United Nations Reform  Hearing before the Committee on Foreign Relations, U.S. Senate July 21, 2005 
http://foreign.senate.gov/hearings/2005/hrg050721a.html
(6)ヘリテージ財団からのレポート U.N. Security Council Expansion Is Not in the U.S. Interest Nile Gardiner, Ph.D。&Brett D. Schaefer
http://www.heritage.org/Research/InternationalOrganizations/bg1876.cfm
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 <<三島由紀夫研究会 公開講座>>

三島由紀夫とフランス文学者・澁澤龍彦との深い親交は、三島戯曲「サド侯爵夫人」等に結実し、皆様周知の通りです。両者の「サド」を巡る解釈、澁澤龍彦が三島由紀夫に与えた影響、当時の文壇模様等々を、両人の永年に亘る親交を間近かに見聞して来た澁澤龍彦夫人に、直木賞作家の中村彰彦氏が対談形式で伺います。
 澁澤龍子氏略歴:作家・澁澤龍彦未亡人、著作に「澁澤龍彦との日々」(白水社)等々 
 中村彰彦氏略歴:直木賞作家、「二つの山河」(文藝春秋)で直木賞受賞。「烈士と呼ばれる男」」(文藝春秋)など。
      記
とき        平成17年9月27日(火) 午後7時
ところ   JR・地下鉄 市ヶ谷駅前「アルカディア市ヶ谷(私学会館)」4F 飛鳥の間  
演題   「没後35年特別企画―対談・三島さんの思い出」
講師      作家・澁澤龍子氏(澁澤龍彦未亡人)vs直木賞作家・中村彰彦
会場分担金 おひとり 二千円
 問い合わせ 03-3200-2295/ miura@nippon-nn.netまで
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***10月公開講座の予定***
日時:10月19日(水)午後6時開場/7時開演  
場所: 「アルカディア市ヶ谷(私学会館)」4F 飛鳥の間  
講師:井上隆史(白百合女子大助教授)
演題:「三島文学の今日的意義」(仮題)
      ◎
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<<平河総合戦略研究所 講演会>>

☆日時 9月17日(土曜日) 午後2時より4時まで
場所 外国人特派員倶楽部メディアルーム(有楽町電気ビル北館20F)
http://www.fccj.or.jp/static/aboutus/map.php
会費 一般 3000円(学生2000円 平河総研特別会員1000円) 
講師 花岡信昭  政治ジャーナリスト 元産経新聞論説副委員長
テーマ 衆議院選挙結果の分析と今後の政治の行方 
ウエブサイト http://www.hanasan.net/
メルマガ http://www.melma.com/backnumber_142868/
定員 70名 申し込み先着順(info@hirakawa-i.org) 宛

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<<宮崎正弘のロングセラーズ>>
『中国よ、“反日”ありがとう』(清流出版刊、1400円+税)
『瀕死の中国』(阪急コミュニケーションズ刊、1600円+税) 
『中国のいま、三年後、五年後、十年後(改訂版)』(並木書房、1575円)
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円プラス税)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
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