国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/08/05

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年) 8月5日(金曜日)
      通巻1205号   
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モンゴルは何処へ行く

(下記拙文は『月刊日本』8月号掲載のものの再録です)。


 バドジャルガル駐日モンゴル大使は著作『日本人のように不作法なモンゴル人』(万葉舎刊)のなかでこういわれる。
「かってモンゴルの地に移住していたひとびとは、原始共産制として数千年間をへた後、紀元前1000年代の末頃に階級制社会に移行し部族集団」となった。森の狩猟民族と河の狩猟、草原の遊牧民に大きく別れていた。1206年に統一モンゴルとなるものの、「東西王朝に分断し、その一部は遠くボルガ河(こんにちのロシア領土)、青海(中国領)付近を領土と」する。したがって「独特の言語方言、生活習慣、知的文化を持つ多くの部族となり、それらをすべてモンゴル系諸族と呼ぶ」。

 いまのモンゴルの人口は240万人だが、中国に400万、ロシアに50万、そしてアフガニスタンに3万人がいる。世界中で650万人。大国である。
 漢族が「蒙古」などと無知蒙昧の意味をこめて当て字するが、由来は不明である。
 紀元前14世紀、中国の河南省あたりに「殷」という伝説の王朝があった。その後、「周」という王朝が紀元前七世紀まで続き、秦の始皇帝の統一がなる。

 「紀元前三世紀に兇奴が中央アジアで初めての国家を建設し、紀元前198年に漢との間に万里の長城を境として、領土を所有する条約を結んだ」。その後、紀元53年に兇奴帝国が分裂、「南教奴は中国の領土に残り、前趙(304−235)、北涼(397−439)などの国を建てて十世紀まで延命した。一方、北兇奴は二世紀中頃にボルガ河、ドン河の下流域を領土として、東ローマ帝国と国境を接していた」(大使前掲書)。

 つまり兇奴はモンゴルの先祖である。
 やがて漢が崩壊し、隋・唐となり、12世紀には北方のツングース系女真族の金、13世紀にはモンゴルが全中国を支配した。
 しかし明によって元は滅び、その明は農民の反乱に手を焼いて満族の支援を求める。これを口実に満州族は「清」を建国する。

 こんにちモンゴルの経済成長率は10・6%の伸びを記録した(04年)。驚異的である。要因は主として農業部門の成長にあると政府統計は言う。99年から三年間つづいた冷害(寒害)により、農家は家畜1200万頭を失い、どん底を記録した。
 モンゴルでは金鉱への投資が最近顕著になり、年間10トン前後の金を採掘。カナダの金鉱企業ボルーーゴールドの出資が大きいが、中国の進出も顕著だ。
 ただし石油製品の値上がりから猛烈インフレにも見舞われ、物価上昇率は11%、経済成長率を上回る。

 ナイフ、台所用品、日用品から家具に至るまでモンゴルに溢れだした商品は大半が中国製、モンゴル政府は「中国製品を買わないように」と自粛を呼びかけているが、年間三千万ドルの中国からの輸入はとまらない。

 中国と密接な関係に見えて、じつはモンゴルは基本的に反中国である。
 文革時代に内蒙古自治区では二万五千人から三万人のモンゴル系住民が殺された。
 もともと内蒙古自治区はモンゴル人の土地であり、軍事力による併合を怨む声は消えていない。冷戦中は、地政学的緩衝地帯としてソ連兵が駐屯し、またソ連の経済援助を受けていた。
 ゴルバチョフ時代に雪解けが始まりロシア兵10万はモスクワへ去り、かわって中国の物資、人、カネがごっそりと雪崩を打って入ってきた。

 モンゴルは私企業化、民営化を認め、90年代に市場経済に移行した。多くの戸惑いがあり、試行錯誤が繰り返えされた。
 民営化導入以後、いきなり土足で入ってきたのは中国企業だ。皮革製品やカシミヤの原料を大量に買い上げ、中国国内で加工し、諸外国へ輸出を始めた。
  中蒙貿易は年率二桁の伸びを示し、また中国からの投資は劇的に急進、縫製工場、繊維、銅製錬のほかに中華料理レストランも目立つようになった。ちなみにモンゴルからの輸出の48%が中国へ。また外国からモンゴルへの投資の38%が中国からだ。

 この間、江沢民、李鵬、胡錦濤などトップが相次いでウランバートルを訪問し、昨年、3億ドルを供与した。

 ただちにモンゴルは旧ソ連からの累積債務を返済した。換言すればモンゴルは北京の軍門(金門?)に下ったのだ(ちなみに台湾は中国の一部であると認める共同声明を発表してウランバードルは台湾と距離をおいてきた。もっとも台湾の地理教科書はつい三年前までモンゴルを「中華民国」の領土として記載していたため反感が強かった)。
 とはいうものの民族の歴史の記憶はそう簡単に侵略者を許したりはしない。

 モンゴルの民族感情はジンギスカーン以来の「大蒙古帝国」である。これは中国領に編入されている内蒙古自治区ばかりかロシアに編入されているブルヤツカヤ地区とカルミャキア地区を含む”汎モンゴル主義”である。
 この汎モンゴル主義を1919年に世界で一番最初に支持したのは日本だった。

 すでに内蒙古自治区では「内蒙古人民党」が地下に結成され、独立運動の開始を宣言した。
 しかし現実の内蒙古省は、17%がモンゴル人で、あとは漢族の移民である。こうした人口バランス、人口移動をモンゴルが快く思っているはずはないだろう。

 新彊ウィグル自治区の地下独立運動はイスラム原理主義、これに共鳴するのは寧夏回族自治区などのイスラム教徒。チベット独立の運動はインドや欧米日でグローバルな声にもなっているが、共鳴する人々は四川省、青海省、雲南省にも散らばっている。これらの地帯はもともと吐蕃(とばん)の領土だった。
  モンゴルの快進撃路線、このあと如何なるかたちをとるだろう?
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(読者の声)『月刊現代』において、加藤紘一と古賀誠が対談しておりますが、その中で加藤が中国が5月の反日デモを押さえるのにいかに苦労したか、中国の政治家から説明を受け、本人はそれを聞いて中国に感謝したようですが、あれは本当でしょうか?
また中国に丸め込まれただけと私は思うのですが?
    (CY生、北海道)


(宮崎正弘のコメント)代理人をつかう「積極工作」(Active Measures)は、スパイ用語で、「影響力のある代理人」を世論工作に駆使します。カネと女が狙い目で、昔のようにイデオロギーやら使命感で中国共産党のために走り回る日本人は、まずいないでしょうね。その上に代理人を暗号化し、何人かを束ねる「ハンドラー」(Handler)がいます。それらの「自覚のない代理人」というのは、一番使いやすい馬鹿です。
 誰が誰か、説明も不要でしょう。
 ちなみに勝谷誠彦氏も、同氏ブログで次のように書いています。
{引用開始}「発売中の『月刊現代』は朝日新聞の自爆テロ記事ばかりが話題になっているがほかにも必読の記事が満載である。是非買われることをお勧めしたい。例えば加藤紘一と古賀誠の対談はまっとうな戦後史を学んだ人間ならば爆笑もののつっこみどころ満載でいかにこの二人が頭が悪いかがよくわかる」(引用止め)。
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<<宮崎正弘講演会の御案内>>

 名古屋、東海地方にお住まいの読者の皆さんへ
 8月20日、名古屋の熱田神宮主催「熱田神宮文化講座」で宮崎正弘の講演会が行われます(正味100分、休憩なしで引き続きQ&A)。
          記 
  とき    8月20日(土曜日) 午後二時―四時
  ところ   熱田神宮 文化殿講堂 (名鉄神宮前駅が便利です)
         http://www.atsutajingu.or.jp/event/event.htm
    演題    「日本人と中国人(その普遍的価値観の相違)」
  入場無料  どなたでも予約なしで参加できます(定員300名)。
熱田神宮は境内が広大な敷地ですので、会場を上記HPでご確認下さい。
  問い合わせ (052)671−0852 熱田神宮 文化部教化課                       
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☆平河総合戦略研究所 講演会の御案内☆
    記
日時 8月21日(日曜日) 午後1時半より4時まで
場所 学士会館(神田錦町)203号室
http://www.gakushikaikan.co.jp/
会費 一般 3000円 学生 2000円 
講師 佐藤守(元空将)平河総研専務理事
佐藤守氏のブログ http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/
テーマ  「台湾危機に直面する南西方面の実態(沖縄勤務の体験から)」。
定員80名 申し込みは下記へ。
info@hirakawa-i.org

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9月3日、ポーツマス条約締結の日です。

「日露戦争勝利百周年を祝う青年の集い」
http://www.nichiro100.jp/index.html
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 今年は日本が日露戦争に勝ってから、百周年に当たります。
 日本による日露戦争の勝利は、世界史の流れを根底から変えた劇的な出来事でした。日露戦争はその前年に始まりました。当時の世界はどこを見ても、白人の帝国主義勢力の支配のもとに置かれていました。

もし日本が日露戦争に敗れたとすれば、日本がロシアに從うことを強いられただけではなく、アジアにおいて中国は半植地状態にあり、タイもかろうじて独立を保っていましたが、アジアが白人の列強によって分割支配され、今日でも全世界が白人の支配のもとで苦しんでいたことでしよう。
 日本がロシア帝国に勝ったために、数世紀にわたり白人覇権主義の神話によって抑えつけられていた、アジア・アフリカの諸民族が前途にはじめて燭光を見ました。アジアからアフリカまで、独立運動の炎が燃えたちました。

 日本が先の大戦を戦った成果として、アジア・アフリカ諸民族が解放されて、人種平等の正義の世界が実現しましたが、日露戦争の勝利が人類史の分岐点となりました。
 日本だけがアジア諸民族のなかで、極東の小国だったのにもかかわらず、白人の大帝国に勝つことができたのは、明治の日本人の精神性がきわめて高かったからでした。
 日露戦争の日本国民の気高い精神を若い世代に伝えるために、ポーツマス講和会議の百周年に当る九月三日(土)に1600名の若者を招いて、『日露戦争勝利百周年を祝う青年の集い』を開催することとなりました。
(世話人 加瀬英明、藤岡信勝、宮崎正弘)。

             記
   『日露戦争勝利百周年を祝う青年の集い』

一,日時  平成十七年九月三日(土) 午後一時(12時半開場) 
一,会場  赤坂プリンスホテル新館二階・クリスタル・パレス
      http://www.princehotels.co.jp/akasaka/kotu.html
一,プログラム  講話 日露戦争勝利の意義(加瀬英明)
         挨拶 外国駐日大使、外国人の来賓挨拶 青年代表の決意表明。
         展示 連合艦隊全艦艇二百余隻の模型の展示
            日露戦争、ポーツマス講和会議のパネル上映
            大型スクリーンにビデオ上映など。

一、食事など   当時の兵士、国民が食したレトロ食品および「東郷ビール」「乃木の誉れ」「日露戦争勝利百周年記念ビール」で乾杯します
一、会は「君が代」斉唱に始まり、最後に「海ゆかば」を合唱します。
一、記念冊子   特別編集の記念冊子(24ページ)を参加者に謹呈します。
一、関連図書   また日露戦争に関しての珍しい図書、参考文献など多数を割引販売

一、「呼びかけ人」(五十音順、敬称略)荒木和博、池田十吾、井沢元彦、石井竜生、伊藤哲夫、稲田朋美、稲見友之、井原まなみ、井尻千男、井上和彦、入江隆則、植田剛彦、潮匡人、遠藤浩一、大高美貴、大原敬子、大原康男、岡田幹彦、加瀬英明、椛島有三、久保田信之、工藤美代子、クライン孝子、倉田信靖、佐々木俊夫、さかもと未明、高池勝彦、高市早苗、高森明勅、高山正之、田中英道、津川雅彦、柘植久慶、都倉俊一、中村彰彦、西尾幹二、西岡 力、西村幸祐、花岡信昭、花田紀凱、浜田和幸、福田逸、藤岡信勝、藤井厳喜、松嶋悠佐、水島総、三原淳雄、宮崎正弘、村松英子、宗像隆幸、八木秀次、米田建三、渡邊絵美ほか多数。(まだ多くの著名人に「よびかけ人」への賛同を交渉しております)。

一、参加資格  18歳から39歳までの日本国籍を有する男女で主旨に賛同される方。

◎申し込みはメールにて下記から登録できます!
 http://www.nichiro100.jp/index.html
    
 ◎詳しくは発売中の『WILL』、『正論』、『諸君』、および10日発売の『ボイス』『自由』の全面広告をご参照下さい!
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<< 宮崎正弘の新刊 >>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/search-handle-form/249-2614512-0490730
『中国よ、“反日”ありがとう』(清流出版刊、1400円+税)
『瀕死の中国』(阪急コミュニケーションズ刊、1600円+税) 
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<<宮崎正弘のロングセラーズ>>
http://www.nippon-nn.net/miyazaki/saisinkan/index.html
『中国のいま、三年後、五年後、十年後(改訂版)』(並木書房、1575円)
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
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◎宮崎正弘のホームページ http://www.nippon-nn.net/miyazaki/
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