国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/08/03

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年) 8月3日(水曜日)
      通巻1202号   
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<<今週の書棚>>

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黄文雄『日中戦争 真実の歴史』(徳間書店)
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 文字通り寸暇を惜しんで、次々と大作を世に問い、歴史の真実を語り継ぐ黄さんには、もし可能なら文化勲章を差し上げるべきである。戦後の歴史解釈の迷妄を快刀乱麻を断つ勢いで、つぎつぎと手際良く解決し、われわれ日本人を前に明回答を突きつける。
 歴史の真実を知る権利は誰にもあるだろう。
 嘘で固められた戦後の改竄歴史を学んだ現代日本人は、黄文雄さんの一連の著作によって名探偵シャーロック・ホームズのごとく歴史の真実を知ることになる。
 それにしても現代日本人にとって近代史の漆黒の闇とは中国の内戦時代、とくに国共合作時代の中国軍閥どおしの凄絶な闘いの期間である。
 この間の真実を知るには、いまや日本の古本屋、図書館を駆けめぐっても、なかなか第一次資料にはいきつけず、途方に暮れることが多い。だが、戦後でっち上げられた歴史なるものの左翼御用学者らの夥しい嘘も、米国のアーカイブで公開される資料に加えて、ロシアからも第一級史料が公開され、戦後の左翼の嘘が満天下に明らかになる。
 黄さんは聞くところに依ると多くの助手を各地の図書館へ派遣して資料収集に余念がないという。
 日中戦争なるものは、本質的には「重慶政府、南京政府、延安政府(をなのったゲリラ)の三つ巴のなかに、引きずり込まれさんざん利用されてしまった日本」という構図なのである。
 満州は日本の金銭的、人的資源の持ち出しによって建設された理想国家の夢の実現過程だったのに、戦後、我が国の進歩的文化人やら売国奴的マスコミによって、北京の獅子吼する「日本の侵略」史観が、あやうく定着する危機にあった。
 過去幾多の著作でも黄さんは、その虚妄を打破してきた。本書はその簡潔なる総集編でもある。
 もともと国民党がでっち上げた「南京大虐殺」、共産党が後智慧で改竄した「731」「三光作戦」、ここに韓国の嘘の合唱がくわわった「強制連行」に「従軍慰安婦」。
これらの自虐史観の蔓延は若い日本人をして祖国への愛を奪い、歴史に誇りを持てない新人類という日本人にして日本人にあらざる種族の誕生を見た。潜在する敵の精神を低迷させ、日本の武士道精神を破砕すれば、安全保障上最大の脅威が取り除かれるからだ。
 反日の淵源を「義和団の乱」より、もう少し前の「太平天国の乱」から説き起こされ、毛沢東なんぞよりはるか先輩の陳独秀などの知識人が、いきなり本書で登場する。黄歴史学の独壇場だ。
さらにペテン師=孫文の、じつに好い加減な対応が浮かび上がってくる。
 太平天国は史上最大の叛乱、死者だけで五千万。教祖の洪秀全「もともと読書人で、科挙試験に四回落第し、失意のうちに郷里の広東に戻り、病中に見た幻覚を天からの啓示と受け取って」、インチキカルトを結成するのだ。「自らキリストの弟と名乗り」、布教をはじめるや、瞬く間に大勢力を扶植し、中央にまで攻め上った。
中国共産党は、いま、この太平天国を前向きに評価して止まないのである。南京の洪秀全の玉座やら、太平天国の乱を英雄視した巨大な彫刻を評者(宮崎)も見たことがあるが、奇妙な歴史空間に閉じこめられた思いがした。
 辛亥革命もまた「滑稽な暴発に酔って起きた」が、孫文が国父となる近代革命などと言った怪しげな定義こそ「明らかな歴史捏造だ」と黄さんは言う。
 ともかく夢中になって読んだ。夏休みの一冊として多くの人に勧めたい。


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福富健一『南十字星に抱かれて』(講談社)
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 この本には幾つかの特色がある。
 第一に東京裁判の法的な根拠を徹底的に論破していること。第二に米国最高裁判所の判断を初公開していること。
 そういえばパール博士の「日本無罪論」がロングセラーとなって、昨今は復刻版も出たし、パール博士を検証する石碑も日本で建てられたほどだが、東条英機の遺書が発見されて公開されたのは十数年前である。今月の『WILL』も同様な企画を特集している。
 米国が押しつけた「東京裁判史観」が、インチキも甚だしいことは、ようやく多くの識者の指摘、労作によって定着しつつあるが、これはGHQのプロパガンダ。とりわけBC級「戦犯」なる概念がいかにしてでっち上げられたかを克明に調べている。
 罪もなく、外国で刑場の露と消えた多くの日本軍人が、しかし最後に何を考え何を訴えようとしたか、多くの物語が書かれたものの、左翼の「きけわだつみのこえ」などの捏造やら「反戦派」という、国際政治の背後にあるものを見ようともしない、「基礎が何も分からない馬鹿な大衆」(KGBは嘗て情報操作にひっかかる人達をこう表現した)らによって真実が掻き消されてきた。
筆者の福富氏は、ながらく政党政策立案の責任者として、多くの政治家や学者らと意見を交換してきたが、諸外国の有事法制を調べて、おそらく憲法とでの参考文献は、その辺の学者を凌駕するほどの物知りでもある。
「有事法制とはその国の歴史であり、憲法とはその国のインテリジェンスの総体である」と結論される福富氏は、こうもいわれる。
 「70年代から80年代にかけてのイギリスは『落日の大英帝国』と呼ばれたように今の日本と同じ悩みをもっていた。学生の学力低下、小年犯罪の増加、就職を拒否する若者の増大などに悩まされていた。当時の教科書は意義流誌の植民地支配を醜い豚のように描いた自虐史観に依る者であった。サッチャーはこれを学生たちが自国の歴史や文化、宗教に対して誇りをもてる教科書、教育へと修正し」、落日からみごとに立ち直らせたのだった。
 副題は「凛として死んだBC級戦犯の遺言」。
 日本にもサッチャーの精神蘇生政策が必要だ。


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田丸公美子『シモネッタのデカメロン』(文藝春秋)
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 田丸公美子さんといえばイタリア語の名通訳。歴代イタリア政界財界ファッション界の要人の来日のたびに通訳を務められ、またイタリア訪問の日本の政治家、財界人、有名人のお供でイタリアへ何十回も足を運んでいる。
 彼女でしか書けないイタリア人の内幕、とりわけ◎◎にマメで、◎◎に真剣なイタリア人のスタミナって一体どこからくるのか、だれもが興味を持つ。
 評者(宮崎)が初めてイタリアへ行ったのは1972年、前菜にでたスパゲッティだけでおなかが満腹で、それからメインの肉がでたが、手もつけられなかった。昼からワインをのむイタリア人って、本当に日本同様の敗戦国なのか、と不思議に思った。フィアットの工場を見学したり、ローマで蟹の缶詰をかって酒を飲んだことを奇妙に思い出す。イタリアは男も女もタフである。
 数年前に行ったときも、居酒屋で大量の料理を食べながらイタリア人の知識人と議論をしたが、行き着く先は恋愛論、セックス論、そこに女性も平然と加わって不倫やら浮気の話を真剣に展開するのだから、ホテルの戻る頃は足下も頭脳も朦朧となっていた。
 田丸さんの前作も文春からでたが、題名を『パーネアモーレ』と言い、何かの雑誌で書評を担当したことがあるが、強烈な内容で印象が深く、どれもこれも徹底的に人生を愉しむイタリア人の生き様がでていた。
 塩野七生が現代イタリアの目から古代ローマの歴史の教訓をさぐるとすれば、この本は現代イタリア人と日本人の感性の距離から、文化を真剣に考える思惑を秘めている。大げさではなく、全体が軽い読み物にみえて、じつは読後感はかなり深刻である。
 本書も抱腹絶倒につぐ抱腹絶倒やがて日本人であることが悲しく、イタリアの男女が羨ましくもなるという、一種の文化論でもある。
 さて、本書の面白い箇所をここで取り上げてしまっては野暮になる。
 二つの逸話を紹介するが、まず著者のニックネームをシモネッタ(下ネタ専門)などと命名したのはロシア語通訳の米原万里女史(この話は前作にでてくる)。
 もう一つだけ本書にある逸話をこっそり書くと、「イタリアで『セックスが終わった直後、なにをするか?』とういアンケートを採った。第二位は「タバコを一服」が17%、第三位は「水やビールを飲む」が13%、そして第四位「シャワーをあびる」11%、第五位「そのままネル」が3%。
ならば第一は?「服を着て家に帰る」が堂々の53%でした!
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(読者の声)いつも貴重なメルマガでの情報をご提供いただき有難うございます。商業新聞が日々劣化していく中で、先生の情報サービスは本当に貴重だと存じます。
 現在わが国の知識人の中で、先生の知行一致のご活躍が最も光っているように思います。日本人の蒙を一寸でも啓けようと努力されている、宮崎先生の使命観と心意気を強く感じております。関西で講演される機会がございましたら是非お聞きいたしたいと存じます。一層のご教示を期待しております
      (JT生、大阪)


(宮崎正弘のコメント)過分なお褒めをいただき、励みになります。関西での講演は年内の予定がありませんが、名古屋では8月20日、午後二時より熱田神宮会館で「中国人と日本人」と題しての講演を行います。
 詳細は近く、この欄に告示します。また全国で一般視聴者可能な講演会の告示は、その都度行います。来年あたり、大阪でも講演会がありそうです。
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(お知らせ)『市民のためのメディア・リテラシー(メディアの情報操作に加担しない能力)』公開講座は7月30日と31日で無事に終了しました。
 愛媛県議会議長の森高康行氏、日本会議愛媛県本部会長の久松定成氏、南海放送会長の土居俊夫氏、救う会愛媛会長の中矢民三郎氏、元伊予銀行相談役の舛田三郎氏を含む一般市民や学生ら約150人が参加しました。
 公開講座の資料の予備があります。もしご希望の方がおられましたら、配付させて頂きますので下記までお知らせ下さい。またビデオ4本(10時間分)を作成予定です。
入手希望の方には実費(ビデオ4本、10時間分4,000円)で頒布します。
hkuri@st.rim.or.jp
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<宮崎正弘の新刊>>
『中国よ、“反日”ありがとう』(清流出版刊、1400円+税)
『瀕死の中国』(阪急コミュニケーションズ刊、1600円+税) 
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<<宮崎正弘のロングセラーズ>>
『中国のいま、三年後、五年後、十年後(改訂版)』(並木書房、1575円)
『世界経済のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房、1575円)
『中国財閥の正体―その人脈と金脈』(扶桑社、1600円)
『拉致』(徳間文庫、590円+税、以下同)
『ザ・グレート・ゲーム』(小学館文庫、476円)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/search-handle-url/index=books-jp&field-author=%E6%AD%A3%E5%BC%98%2C%20%E5%AE%AE%E5%B4%8E/250-6226573-5690658 
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