国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2005/07/21

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年)7月21日(木曜日)貳
      通巻1191号
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 ブッシュ政権はチャンバレンの宥和姿勢に似てきた?
  中国の軍事力大躍進は「目の前の脅威ではない」のか
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 ナチスの台頭を軽視し、ヒトラーとの宥和政策を採ったチャンバレンは、結果的にドイツの軍拡を黙認し、戦争を誘発したことになる。

  発表を四ヶ月遅延させた。
 05年7月19日になって、米国防総省は「中国の軍事動向に関する年次報告書」を作成、ようやく米議会に提出した。

 概要は台湾への軍事侵攻能力の増大ぶり、ミサイルが730基、新型戦闘機が700機実戦配備され、さらに新型の潜水艦、駆逐艦、巡洋艦の増強ぶりが強調された。

 「しかし台湾への軍事装備にしても、国防総省のニュアンスは北京の政治目的を完全に達成するまでの軍事能力を完成させたとは考えられないし、米国領土への通常兵器での脅威はないと思われる」(NYタイムズ、7月20日付け)。

 そういう奥歯にもののはさまったような表現がペンタゴン報告の表現である。「中国こそはヒトラーをモデルにして、それを越える史上最悪のファシスト政権」(ビル・ガーツ)という米国保守派の声は活かされていない。

 毎年二桁成長の国防費に関して、中国政府が公表した300億ドル(約3兆3600億円)ではなく、実際には三倍の900億ドルあると明確な懸念を示した点には注目していいだろうが、これとて前々から専門家のあいだでは常識とされてきた事柄である。

 ペンタゴン報告書は急激な高度成長を走る中国の台頭を警戒する米国世論を反映しながらも「中国を刺激するな」とする国務省との水面下の駆け引きがあったのだ。
 このため「表現が相当程度に穏やか、事実を淡々と叙し、扇動的レトリックを避け、とくに「米国の敵」であるとの明示を避けている」(ワシントンポスト、7月20日付け)。

 当初は、中国の軍拡がこのまま続けば明瞭に中国が米国の「戦略的なライバル」になる、と表現する予定だった。しかし六者協議再開とライス国務長官の訪中を前にしたホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)と国務省が頑強に抵抗し、ドラフト(草案)は、ポトマック湖畔を挟んで、ペンタゴンと国務省の間を何回も往復した。 

 一方、対中感情が悪化している米議会には国防総省のオリジナルな基調を熱烈に支持する勢力があり、代表選手の下院軍事委員長、ハンター議員(共和党)らが報告書の早期提出を要求していた。

 台湾と日本への脅威に関する記述では、両国に照準を合わせた短距離弾道ミサイルが04年報告の500基から730基にも増強されている事実を指摘したうえ、そのミサイル命中精度向上が顕著としている。

 蛇足ながら、この重大ニュースを意図的に小さく報道した日本の新聞が多い。中国の軍事的脅威を伝えたくない思惑が見え隠れする紙面作りだった。
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